三年 冬休み
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おはようございます。
今日の天気は雪です。
今年は雪が多くなるかもなー、と庭師のおじちゃんが言ってました。
着替えて部屋で朝食を食べ、何する~?と相談してたら、王様からの呼び出し。
会議室に入ると、王様、イングリード、宰相さん将軍さん、テイルスミヤ長官が揃っていて、何だか挙動不審なキャベンディッシュが居ました。
冬休みが始まってから、元女神の家に入り浸っていたキャベンディッシュが、強制帰宅させられたようです。
「揃ったか、では始めるとしよう」
王様の重々しい声に、
「ち、ち、父上、何が始まるのですか?わた、わたしは、魔法大会の事は謝ります!私は騙されただけなのです!」
焦って言い訳をするキャベンディッシュを見る王様の目は、とても暗い。
他の面々は努めて冷静であろうとしているように見える。
デュランさんが机の上に魔道具を置くと、王様が一滴血を垂らす。
「リングラード」
宰相さんの名を呼べば、
「はい」
宰相さんも返事をして血を垂らす。
当然赤判定。他人であることが分かる。
次に将軍さんが、テイルスミヤ長官が。
当然赤判定。
そして次にイングリード。
青判定。
アールスハインも青判定。
説明もなくただ結果を見せられて戸惑って何も言えないキャベンディッシュに、
「これは親子を鑑定する魔道具だ。結果は今見せた通り正確である。お前と私との親子である真偽が定かで無い可能性が出てきた。キャベンディッシュ、ここに血を垂らせ」
「!父上!父上は私をお疑いなのですか?!賊の言葉を鵜呑みにしてはなりません!私は父上の息子です!!」
「ふぅぅーー、キャベンディッシュ、お前も知っているだろう?お前の母であるクシュリアの不貞行為の数々を。身の潔白を証明したいのなら、黙ってここに血を垂らせ!」
「!!」
キャベンディッシュはそこまで言われてもまごまごとするばかりで一向に動こうとしない。
痺れを切らしたのはイングリード。
ガッとキャベンディッシュの手を取り、指先にナイフをあてて軽く切り、魔道具に無理矢理血を垂らした。
「兄上!何をするのです!それが弟に対する仕打ちですか!あまりに酷い!」
「黙れキャベンディッシュ!お前は自分の置かれている立場が分からないのか?!これは父上の温情なのだぞ!」
「何が温情なものですか!賊の言葉を鵜呑みにして、私をお疑いになり、不当な処罰をするつもりではないですか!」
「不当だと?お前は自分の犯した罪の自覚も無いのか?!罪人を逃がし、多くの民を危険にさらし、王や王妃を殺害しようとした者の手引きをしたのだぞ!仮令正当な王子であっても許される事では無い!」
「そ、そ、そ、それは、私も騙されたのです!その事は謝ります!」
「今さら謝って許される事では無い!」
イングリードとキャベンディッシュの言い合いの間に、王様が魔道具に血を垂らした。
ピカッと光って出た結果は、赤判定。
言い合っていた二人も含めて無言になる。
「………………………残念だキャベンディッシュ。母の愚かな行いを、子に償わせるものではないと、私は考える。だが、お前はあまりに学ぶべき事を学ばなすぎた。そしてお前自身が罪を犯した。これは裁かなければならぬ」
「あ、あ、あ、わた、わたしは、王族で、王子で、私は!」
「王子だから罪を免れるわけもなかろう。高位の存在ならばこそ、より厳しい処分に処すべきだ」
「あ、うう、あああーーーー」
言葉にならずに泣き崩れるキャベンディッシュ。
「キャベンディッシュ、処罰を言い渡す。貴様は王族籍を剥奪の上、犯罪奴隷とする。行く末は奴隷商に委ねられる」
言葉もなく騎士によって部屋から運び出されるキャベンディッシュ。
重い重い沈黙が続く。
王様は両手で顔を覆って俯いている。
宰相さんと将軍さんが、王様の肩を労るように叩く。
「大臣、主要高位貴族の集まりは?」
「本日の午後には揃います」
「そうか、ならば他の罪人に関してもその場で処罰を言い渡す」
「承知致しました」
それで会議は終わり。
王様を残して全員が部屋の外に出る。
部屋の扉を閉めた途端、イングリードが顔を覆ってしゃがみこみ、
「はああーーー、重い!」
「しっかりしろ!お前が潰れてどうする!こんなのはまだまだ序の口だ!今回は死人も出なかったからまだまだ軽い!こんなもんで潰れてちゃーお前、戦なんざ出られやしねーからな!」
将軍さんがイングリードをバンバン叩きながら慰めてるけど、この何百年も戦なんて無いよねこの国。
まあ、小競合いとかも戦の内に入るのかも知れないけど。
自分の息子として、弟として接してきた家族を、自分達で裁くのはきついよね。
それでも、同情はするけど容赦はしない姿勢は尊敬します。
午前中はちょっと心を落ち着ける為に、公務をお休みして、午後は罪人の処罰。
お昼ごはんは、気持ちを宥める為か、王様とイングリードと双子王子と一緒に食べた。
女性陣は淑女教育で忙しいからね。
王様とイングリードが双子王子を抱っこして癒されてた。
今回の事件には、次期王様のクレモアナ姫様は関わってない。
事情や処分内容は話してあるけど、元聖女の事を知らないし、元女神の事も後から知らされたので、途中参加はしない方が良いとなった。
身内の事件には関わらないのが基本だしね。
謁見の間と言われる大きな部屋には、既に多くの主要高位貴族が集まり、玉座の間には今回処罰される面々が縛られ、魔力封じの首輪をされて座らされている。
王様に続いてイングリード、アールスハインも玉座の下の段差に立つ。
その更に一段下の両脇に宰相さんと将軍さん。
まずは王様が、
「緊急の召集によく集まってくれた。皆も知っての通り、先日の学園での魔法大会襲撃事件の処罰が決定した。宰相」
「は、処罰対象は元王妃クシュリア、元魔法庁魔道具師ルガーヌ、Aランク冒険者スコラウス。なお、第二王子キャベンディッシュと協力関係であった学生数名、他数十名の賊に関しては、既に処罰が決定し刑に処されております」
何人かの貴族が俯いたり、震えたりしてるのは、処罰された学生の身内なのかもしれない。
続けて将軍さんが、
「処罰内容を申し渡す。Aランク冒険者スコラウス」
「Aランク冒険者スコラウス、貴様の罪は罪人の逃亡幇助、違法取引、利用されたとはいえ、魔法大会への襲撃、以上の事から冒険者登録永久抹消の上、国外追放を申し渡す」
グウウウと呻いたものの反論はしなかったスコラウス。
「次、元魔法庁魔道具師ルガーヌ」
「ルガーヌ、違法取引、違法魔道具の行使、違法薬物、毒物の所持、違法人体実験、魔法大会襲撃、以上の罪で、魔力封じの上犯罪奴隷とする」
王様が淡々と告げる処罰に、ルガーヌが、
「王家など呪われればいい!天才である私を認めなかったばかりか、このような惨めな目に遇わせて!王家など呪われろ!」
泡を吹いて怒鳴り散らしているが、誰も恐れもしないし相手にもしていない。
「次、元王妃クシュリア」
「クシュリア、不貞行為の数々、第二王子の王族詐称、第三王子への呪いの行使、逃亡、違法取引、魔法大会襲撃の主犯。以上の事から魔力を封じ、犯罪奴隷とし、生涯鉱山婦とする」
「そ、そ、そ、そんな!鉱山婦などと!ああ!ああああああああ!!」
クシュリアは叫びながらバタンと気絶した。
「最後に第二王子キャベンディッシュの処罰は既に執行されている。第二王子の罪は、違法魔道具の行使、逃亡幇助、魔法大会襲撃への協力、王族詐称により、犯罪奴隷とし奴隷商へその身柄を預けるものとする」
王様の言葉に沈黙が続く。
「この度の事件は、主犯が、協力者が、王族であった事を皆に謝罪したい。すまなかった」
王様が深く頭を下げるのに合わせて、イングリードとアールスハインも頭を下げる。
他国とかは王族の人間が臣下に頭を下げる事なんて、有ってはならないことらしいけど、この国の王族は、ちゃんと自分の非を認められる人達なので、頭を下げる事もある。
慌てて頭を上げるように言う臣下達。
ちゃんと王様達が悪くないことを分かっている。
こんな時こそ付け入る時!とかはしゃぐ貴族はほとんど…………………ほとんど居ない。
全然、全く居ないかは分かんないけど。
王族との信頼関係が素晴らしいね。
罪人が運び出され、最後まで呪われろ!って暴れてたルガーヌが、最後の足掻きなのか、見たことのない黒い魔法玉を投げてきた。
魔力封じの首輪をされているので、魔法は使えないはずだから、魔道具をどこかに隠し持ってたみたい。
まあ、俺のバリアに弾かれて、自分に返って行ったけど!
グアアアアア
と雄叫びを上げて悶絶してるルガーヌ。
なんだったのかあの魔法玉は?
見てるととても痛そうだけど、命に関わる事はなさそうなので放置。
そのまま騎士に運び出されて行った。
刑はその日の内に速やかに執行され、クシュリアとスコラウスは各々の場所に運ばれ、ルガーヌとキャベンディッシュは同じ犯罪奴隷のオークションに出される事が決定したらしい。




