三年新学期終わり
誤字報告、感想をありがとうございます!
おはようございます。
今日の天気は雪です。
魔法大会事件があってから十日が経ちました。
今日は前期修了式があるだけです。
この十日間は、本当にのんびり過ごしました。
お城では取り調べや事後調査や、関連捜査などで大変だったらしいけど、それはあえて聞かずに、授業に出たり昼寝したり訓練したり昼寝したり、肉を狩りに行ったり昼寝したり料理したり。
ブロッコリー侯爵子息は相変わらず鬱陶しい視線を送ってくるけど無視してるので問題なし。
学園内もアールスハインが普段と変わらない生活をしているせいで、声高に事件を口に出す者も無く。
ちょいちょい見掛ける元女神も特に変わり無く。
ただ、キャベンディッシュはあからさまに挙動不審だった。
それは自分の出生の事か、事件の際に、明らかに内部からの手引きがあった事に関してかは分からないが、怯え、慌て、開き直り、傲慢な振る舞いがあったり、酷い情緒不安定な様子だった。
事件のせいで学園の魔法陣にも多少傷が付いてしまったので、修復を依頼されたりした。
チチャール先生が無理矢理付いてきて、騒いだ挙げ句学園長に追い出されてた。
着替えさせてもらい食堂へ。
食堂の真ん中で無駄にイチャつく馬鹿っプルを横目に隅の席のユーグラム達と合流。
そこそこ美味しくなってきた朝食を食べ、教室へ。
チチャール先生に注意事項を聞いて、講堂で学園長や何とか大臣の長い話にウトウトして、クラスメイトやユーグラム達に挨拶して、ボードに乗ってお城へ。
出迎えてくれたのは双子王子とアンネローゼ、それとクレモアナ姫様の婚約者なサディステュー王子。
全員に順番にハグされた。
アンネローゼのハグは絞め技だと思うの。
皆と別れ王様の執務室へ。
諸々の話は午後の会議でするとして、王様と共に食事室へ。
今日のお昼ご飯はサラダとパンと煮込みハンバーグ。
大人達のハンバーグのサイズがおかしいけど。
柔らかい肉のハンバーグは旨いよねー、パンも柔らかいし!とか染々と思いながら食べてたら、ダイエットが成功して縦伸びもしてスレンダーな体型を手に入れたアンネローゼが、モリモリモリモリモリモリ食べてる。
イングリードと同じ量食べてる。
大分ほっそりと引き締まったウエストの何処に入っているのか謎な程食べている。
なんだか怖くなってきた。
他の面々もその事に気付き無言になっている。
しかも食べ方がイングリードよりもワイルド。
なんの反応もしていないのはロクサーヌ王妃様だけ。
平常運転ですか?これが?お姫様なのに?
「んん!アンネローゼ、ずっと気になっていたのですが、貴女の食事の仕方は、少々、いえ、大分品がありませんわ!折角体型が改善されたのに、その様な粗野な食事マナーでは恥ずかしくてよ!」
クレモアナ姫様の言葉に、首を傾げ自分の周りを見るアンネローゼ。
皿の外にまで跳ねる程ではないものの、双子王子と比べても食い散らかしているのは確か。
無言で皿の上を片付けているが、食器がカチャカチャ鳴っている。
無言でクレモアナ姫様だけでなく、リィトリア王妃様にまで見られてる。
「そうね、折角見た目は可愛らしく戻ったのだから、年始のパーティーまでは、徹底的な淑女教育ですわね!」
「ええええ!それでは体が鈍ってしまいます!日々の鍛練は休めません!」
クレモアナ姫様の提案に抗議するアンネローゼ。
そこにリィトリア王妃様の、
「……………それは淑女教育では体が鈍ると?」
普段よりも低い声に、
「当然ではありませんか!折角磨き上げた戦闘能力を無駄にするのは嫌です!」
「……………そうですか。一つ聞きたいのですが、貴女はロクサーヌ様には勝てますの?」
「そ、それは、まだ十本に一本取れるかどうかと言う所ですが、だからこそ今サボるわけにはいかないのです!」
「そう、なら貴女は余計に淑女教育を受けなくてはね」
「ですから!わたくし………」
「だってロクサーヌ様よりも、わたくしの方が強いですもの」
アンネローゼの声を遮ってのリィトリア王妃様の言葉に、男性陣が一斉に目を逸らす。
「………………は?ロクサーヌ母様よりもリィトリア母様の方が強い?なぜそんなご冗談を?」
「冗談ではないわ、ねえ、ロクサーヌ様?」
「あ、ああ。悔しいが今まで一度もリィトリアに勝ったことはないな」
「そ、そ、そんな、本当ですの?信じられません!」
「ならば一つ試合をいたしましょう!」
なんか女の戦いが始まるそうです!
男性陣は関わらないように、全員が目を逸らしています。
お茶を飲んだら即解散。
怖い物見たさはあるけど、触らぬ神に祟りなしとも言いますからね!
王様の執務室に、宰相さんと将軍さんとテイルスミヤ長官も集まって、
「さて、アールスハインもいる事だし、最初から順を追って話すとしよう」
「では私から、今回の魔法大会事件ですが、魔法大会を狙ったのは一般庶民が多数出入り自由な催しであることから、潜入が楽だと考えられた事。潜入が楽に出来る上に、多くの高位貴族も集まる事、当然その中には王家、つまり陛下や王妃様も来られる可能性が高い事、主犯の元王妃クシュリアと元聖女の共通の仇と思われる陛下や王妃様を狙うには絶好の機会であったことから、魔法大会が狙われたと予想されます。元魔法庁魔道具師のルガーヌの目的も、本人の弁によれば、天才である自分を不当に解雇した恨みによる犯行だ、との事です。Aランク冒険者のスコラウスは、金で雇われたそうです」
「その金の出所は?」
「以前、クシュリアが王宮からスコラウスの手引きで逃げた際に、キャベンディッシュ王子に言っていたように、隠し財産なる物が有ったようです。それとキャベンディッシュ王子の私物が幾つか換金された形跡もあります」
「キャベンディッシュはその事を知っているのか?」
「はい、ご本人がマーブル商会傘下の質屋で換金したものを、フレイル・マーブルに託しておりますのを影が確認しております」
「フレイル・マーブルとは、元女神の事だろう?奴が今回の事件に関与している証拠は見つからぬか?」
「はい、クシュリアの逃亡を手助けした事は事実ですが、事件に関与した形跡は今のところ見付かっておりません」
「キャベンディッシュは?」
「魔法大会へ、直接手引きしたことが判明しております。おそらく魔道具師ルガーヌの作った魔道具を使用し、一時的に学園のバリアを弱めたのでしょう。これには他の数名の生徒も関与しております」
「ふううーーー。して、魔道具の事は分かったが、冒険者スコラウスの言った事の真偽は?」
「クシュリアが王妃時代、度々不貞行為に及んでいたのは事実ですが、関係を持った全員の裏はまだ取れておりません。不当に解雇された者も多くいますので」
「……………………キャベンディッシュとの親子確認もせねばな」
「そうでございますね」
「他に分かった事は?」
「以前、アールスハイン王子達が街外の草原で見付けた地下室の所有者が、魔道具師ルガーヌであった事が判明しております」
「随分と違法な物が多かったと聞いたが?」
「はい、魔道具を含め、毒物、麻薬、妖精の死体等も多数見付かっております。そしてそれらの入手経路として上がっているのが、元アブ男爵のアブ商会です。ここ最近の出入りが無かったのは、影の監視を逃れて街の外に出ることが叶わなかったせいであるようです」
「だが途中で姿を眩ましたろう?」
「はい、魔道具を使われたらしく、一月前から行方を追えずにいましたが、街の出入りには身分証が必要になりますから」
「ならばなぜ、妖獣の取引の時には街を出られた?」
「西街門を守る衛兵の中に、ルーグリア元侯爵家の守衛をしていた、クシュリアの愛人の一人がおりました」
「………………はぁ、私は何も気付きもせずに、碌に興味も無かったせいで……………これは私の責任でもあるな」
「それは今考える事では無いでしょう。それよりも事前に魔道具を用意し、協力者を作り、何らかの方法でクシュリアと元聖女を融合させるなどという行為に及んでおいて、効果が随分と半端でしたが、実際の魔道具師ルガーヌの腕はその程度だったのでしょうか?」
宰相さんの不審そうな声に、テイルスミヤ長官が答える。
「奴の腕は普通です。魔法庁にいた頃から、魔力は足りないものの、魔力操作や魔法陣の扱いは他の職員と遜色無い腕でした。その事から考えても、今回のお粗末な結果は少々腑に落ちないと思っておりました」
「あー、しょれねー、がくえんのー、ばりあのまーどーぐに、まーどーぐあきゅよーぼーちちゅけといたんらよー、ケータいーちごとしゅりゅー!(あー、それねー、学園のバリアの魔道具に、魔道具悪用防止付けといたんだよ、けーた良い仕事するー!)」
ドヤ顔して言ってみたが、皆さんポカン顔。
「ああ!あの時ですか?ですが、あの時の改良は外からの一定以上の魔石の持ち込み禁止だったのでは?」
「ゆーかいしゃれたあとにー、まーどーぐがげんいんで、きづゅかなかったってゆーから、かいりょーちてみた!まーりょきゅおーいかりゃね!(誘拐された後に、魔道具が原因で気付かなかったって言うから、改良してみた!魔力多いからね!)」
「ええ?そう言う問題?!」
テイルスミヤ長官がとても驚いてるけど、そんなに難しい魔道具でもなかったよ?焼き付けに凄い魔力が要るだけの、普通の魔道具です。
「あー、成る程?ケータ殿の事前の機転により最悪の事態を防げたって事か…………」
「そうですね。ありがたい事です。お陰様で大した被害も出なかった事ですし」
「あきゅよーきんち、ちゅけとけばよーかったねー(悪用禁止、付けとけば良かったねー)」
「いやいやいや、そんな簡単に?!」
問題が事前に回避出来るなら良いじゃない?
「学園のバリアの魔道具は、競技場にも一部適用されていますからな。全てを防ぐのは無理でも、最悪を回避出来たのだから、ケータ様のお手柄ですな!学園に持ち込まれた魔道具は、弱い効果の物を複数使って増幅する形態だったので、学園の魔道具には引っ掛からなかったようですし」
フォローなのか、解説なのか宰相さんの言葉で纏められました。
王様に撫でられました。
「それで、後残るは多少の裏付け確認と、その後の処罰、そして親子鑑定か。今回の事で、キャベンディッシュの関与もハッキリしたし、親子判定がなされたとしても処分は免れぬ。その上で親子では無いと分かれば、また処分内容は変わってくるな」
「そうですな、クシュリアとキャベンディッシュ王子は、王族を詐称していた事になりますから」
空気が重いです!
「………………キャベンディッシュは戻っているか?」
王様がデュランさんに確認すると、
「いえ、影の者に確認致しましたところ、フレイル・マーブルの所に居るとの事です」
「………………………何か、元女神の関与に繋がる証拠は無いものか?」
「魔道具師ルガーヌの魔力不足を、フレイル・マーブルの精霊が補ったと考えたのですが、ルガーヌの言い分ですと、魔力は買い取った魔物から吸い取ったとの事でした。事件の時にもスコラウスの魔力を無理矢理引き出して使っていた事も分かっております。また、魔王にされそうになった少年への関与は、魔道具を幾つか依頼されたのと、毒物と薬物を売っただけで、何に使われるか、誰に売ったかはハッキリしませんでした」
「聖輝石に書かれた魔法陣自体は簡素な物でしたし、聖輝石本体の魔力を利用したと考えれば、可能であると思われます。あれは聖輝石を用意する事自体が難しいのであって、依頼を受けただけ、と言うのは、納得出来ます。大変不本意では有りますが、今回の件で、元女神フレイル・マーブルを罪に問い処罰することは難しいかと」
「クソッ!また逃げられるのか!」
「落ち着け、決して逃がしはせん!いずれ必ず尻尾を掴む!今はまだ泳がせておく時なだけだ!」
ガンッと机を叩き悔しそうなイングリードを、背をバンバン叩きながら将軍さんが宥める。
「ですが、これはある意味良いことやも知れん。奴の振る舞いを増長させていた一番の原因であるキャベンディッシュ王子が、処罰されれば、次の手を打とうと無理をして尻尾を出すやも知れん」
「監視の目を増やそう!」
「いや、下手に増やして勘づかれるのも不味い。今なら事件の後と言うことで警備の人数を多少増やす方が自然だ」
「ああ、なら学園付近の警戒を強めるように巡回の兵士にも協力を頼もう」
「後は警戒地区へ出入りする学園生の報告も欲しい。また別の協力者が居ないとも限らん」
「分かった。マーブル商会の方はどうだ?」
「今までの所、怪しい動きは無い。それ程規模の大きな商会でもないし、昔から堅実な商売をする、評判の良い商会だな」
「あんまり耳にしねー名だなー?」
「主に取り扱うのは王都の不動産と、商業用の倉庫の管理、後は質店を数件程の中堅の商会だからな。騎士団に世話になるような騒ぎを起こした事も無いし」
「そうかい。そんな堅実な商売人が、なんであんなろくでもねー奴を養子に迎えたんだか?」
「それはまだ調査中だな。養子に迎えた経緯なども、これから分かってくるだろう」
「キャベンディッシュが戻りしだい親子鑑定を行う。それまでは細々とした背後関係の調査と裏付け、といったところだな?」
「そうですね。後数日もすれば、色々と結果も出るでしょう」
「ならば私も覚悟を決めよう」
「では我々も我々に出来る仕事をこなしましょう」
「おう、なら俺は学園へ派遣する騎士でも見繕ってくらー!」
将軍さんが勢いよく部屋を出ていけば、王様と宰相さんも各々書類に目を通し出す。
テイルスミヤ長官と部屋を出て別れる。
アールスハインの出来る仕事の大半は、もうほとんどサディステュー王子が終わらせてしまったので、やることがない。
流石にクシュリア達の事件の手伝いとかは出来ないからね。
やることがないので、取り敢えず部屋に向かっていたら、庭で雪まみれになってキャッキャと走り回る双子王子を発見。
同時にこっちに気付いた双子王子が駆け寄って来て、遊びに誘われる。
そこにはサディステュー王子も居て、軽く挨拶して、一緒に遊ぶ事に。
このメンバーで遊ぶと言ったら、魔法玉をぶつけ合う追いかけっこが定番になりつつある。
キャッキャと逃げ惑う双子王子を追い掛け回す大人な王子二人、魔法玉をぶつける俺。
いつもは水の魔法玉をぶつけるのだが、今は冬、水の魔法玉で遊んだら怒られるので、他、と考え思い付いたのは毛玉。
魔法で作った毛玉を投げる→くっつく→静電気で取れない→いっぱいくっついたら面白い!
と思い付いてしまったので、双子王子にもその事を報告。そっとマジックバッグの中から出した袋に毛玉を詰めて渡す。
キャーッと駆けながら毛玉を投げる双子王子。
突然毛玉を投げられて驚く大人な王子二人。
爆笑する双子王子とシェル。
更に毛玉を投げる双子王子。
自分にくっついた毛玉を投げ返す大人な王子二人。
しまいに俺以外の全員が毛玉だらけになって、爆笑しました!
一緒に駆け回ってたうちのアニマル達も漏れ無く毛玉まみれです!
ラニアンなんか、毛玉に毛玉が付いてて、なんだか変な生き物になってました!
全員でゲラゲラ笑ってたら、通り掛かったクレモアナ姫様に、物凄く微妙な顔をされました。
でもデュランさんには怒られなかったよ!
散々遊んで昼寝して、起きたら夕飯の時間でした。
食事室に行ったら、妙にスッキリした顔のリィトリア王妃様と、グッタリボロボロのロクサーヌ王妃様とアンネローゼが居ました。
勝敗は一目瞭然だね!
明日からの淑女教育頑張れ!
心の中だけで応援して、ご飯食べて寝ました。




