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夏休み 15

 おはようございます。

 今日の天気は快晴です。

 夏の陽光が海に反射して眩しいです!

 昨日のカニ騒動は、全員が文句無く美味しいと言ったので、青海蜘蛛はカニになり、美味しい食材の仲間入りを果たしました!

 腰を抜かしてた料理人さんも、食べさせてみたらはまったそうです!

 今は何かカニ料理を考えているそうです。

 朝御飯には魚料理のリクエストもしておきました!

 折角海辺に来たのに、魚介類を食えないなんてあり得ない!

 味付けは薄味でね!っても頼んだ。

 美味しい魚料理の朝食を食べ、また海遊び。

 と、別荘の目の前の海に繰り出したら、貝貝貝貝貝、貝の群れ。

 浅瀬を崩すように貝の群れが犇めきあっている。


「おおーバーベキュー!」


「いやいやいや、ケータさんや、あれ全部魔物だからね!食い気は今はしまっときなさい!」


「あーい」


 と言う事で、子供達は別荘の中に置いて、貝の魔物退治。

 貝の魔物の退治方法は、基本的にとても固いので、ハンマー的な物で殻を叩き割り、核と呼ばれる魔石とは別の黒い石を壊せば、退治出来るそうです。

 しかしそれでは食べられぬ!なので、俺は巨大なバリアの玉を作り、その中に真水と聖魔法を満たし、砂浜を転がす。

 貝のみをバリアで拾い、砂を取り除くように設定したバリア。

 中の聖魔法にやられる貝の魔物。

 巨大なバリアを作ったつもりが、一往復だけで、バリア内がミッチミチに!

 近くに転がしてきて、中の貝の魔物を一つ取り出し、無事死んでることを確認。

 俺が一呑みされそうな大きさの貝だけあって、貝柱のデカイこと!バスケットボールくらいの大きさの貝柱。食べでが有りそうだ!

 中には真珠のような丸い石が有るものもいて、取り敢えず全部収納した。

 次々にバリアで回収、退治、収納を繰り返し、ほぼ砂浜が片付いた頃、海から上がってきた巨大な影。

 大きなハサミを持ち上げ威嚇するようにこちらにジワジワ寄ってくる。


「えーびーーーー!」


 思わず叫んで走りより、黒い靄の出ている頭の部分をカッター日本刀モドキでプスッとね!

 そこから聖魔法を体に流すように浴びせれば、サクッと退治完了!

 ドヤ顔で助を振り向けば、呆れた顔の面々。

 だがすぐに険しい顔になり、こっちに駆け寄ってくる。

 ユーグラムの雷魔法が、俺のすぐ横を通って後ろに、慌てて後ろを見れば、プスプスと煙をあげる巨大海老。

 まだ居たのね。と思ったら、次々に陸に上がってくる海老の群れ。

 本日は海老祭りですな!

 思わずキャー!っと叫んで海老に向かう俺。

 最初の海老と同じ手順で、大量の海老を確保、収納し、ホクホク顔で浜辺に戻った。

 アールスハインが魔法剣で切った海老や貝は、黒焦げになって、ディーグリーの魔法短剣で突かれた海老や貝は、中身がグズグズに刺されてて、ユーグラムの魔法に当たった海老や貝は、何の魔法を使ったのか、中身が溶けてて、助の魔法剣で切った海老や貝は、殻がひしゃげて身に混じり。

 俺が取った海老や貝以外は、食べられそうもなかった。

 素材を駄目にする冒険者は、一人前になれませんよ!

 まあ、俺が一番大量に狩ったから、食べるぶんには当分困らないだろうけど!

 午前中一杯魔物退治して、粗方片付いた頃、押し寄せていた魔物の群れが引き下がって行き、やっと一息付けるようになった。

 様子を窺っていたシェルが、果実水を持って近寄ってきて、それを飲みながら様子を見ていると、大量に居た貝魔物が、大量の砂を吐いて、元の砂浜の浅瀬が出来上がった。

 その後は何事も無く、静かな砂浜になり、別荘に隔離されてた子供達が駆け寄ってきて、興奮した様子で、皆の戦いぶりを真似してた。


 折角なので、お昼は海鮮バーベキュー。

 魔物の大量襲来で、料理人さん達も慌ててたからね!お昼ご飯の用意が間に合わなかった。

 別荘の庭で、炭と網を用意してもらい、食べやすい大きさに切った貝と海老を焼いていく。

 塩胡椒だけでも文句無く旨いし、醤油をかけても旨い!

 前世お酒は飲めたし、強かったけど好きでは無かったのに、今はビールが欲しい!


「たすきゅー、ビールほちー」


 とこぼせば、


「ナハハハ、俺も今同じ事考えたー!でもこの世界のビールって、不味いよ?」


「まずいにょ?」


「うん、温いし、気が抜けてるし、なんか粒々入ってるし!ケータ旨いビールの作り方知らない?」


「ちななーい。ま、いっか、おしゃけすきらないし」


「え~、そんなこと言わずに、旨いビール作ってよー!」


「きょーみなかったちー」


「あー、やたら強いくせに、好きじゃなかったからなー」


「たすきゅーは、つよかったーけろ、うるしゃかった!」


「それは今も変わんない。てか兄弟全員同じ様になる」


「そりはうるさそー」


「確かに!」


「「ナハハハハハ!」」



 午後はまた海遊び。

 助が子供達にも泳ぎ方を教え、アールスハイン達は潜水して、周りの様子を見回ったり、誰が一番長く潜っていられるか競争したり、速く泳げるかの競争をしたり。

 健全な少年達の遊びを楽しんだ。


 夜ご飯も、子供達の希望でまたバーベキュー。

 外で食べるご飯は美味しいよね!




 おはようございます。

 今日の天気も快晴です。

 三日目の朝です。

 今日は午前中遊んだら帰ります。

 朝ごはんの後は目一杯海で遊んだ。

 子供達は、昨日教わった泳ぎを覚えようと必死です。

 アールスハイン達は昨日の勝負の続き。

 助が加わったので、また順位を決めるそうです。

 俺は、大きくなったハクに乗って、その俺の腹の上に小さなソラとラニアンが乗って、プカプカまったりしています。

 ハクって浮けたのね!と初日に驚いた思い出。

 ラニアンは泳げるけど、海水は嫌いな模様。

 ソラは水が嫌いだけど、俺にはくっついていたい様子。可愛いヤツめ!

 たった三日の海だったが、皆それなりに黒くなって帰宅。

 帰宅にも三日掛かるんだけどね!

 宿のご飯は食えないし!

 なので今回は、料理人さんに頼んで、大量の魚を焼いて貰って、収納しました!

 昨日のバーベキューでもせっせと海鮮類を焼いて収納に詰めてあるし!これで帰りは安心!


 ガタガタ揺れる馬車にも大分慣れた今日この頃。

 座っていたら外が見えないので、助の足の上に立って窓の外を眺めている。

 長閑な海辺の町を通り抜けて、夕方に差し掛かる頃、本日の宿に到着。

 王族って事を態々宣伝する必要は無いが、それなりに高級な貴族御用達の宿。

 この宿を取り仕切るのはおかみさんで、夫が三人もいる女傑。

 見た目は上品なマダムなんだけど、そんなマダムに惚れ込んだ三人の夫を顎でこき使ってる様子。

 行きにも泊まったこの宿で、ご飯の食えなかった俺をかなり気に掛けてくれた。

 それでも食えないものは食えなかったけど。


 にこやかに迎え入れてくれて、部屋に案内され、少しまったりしたら夕飯。

 俺に気を使ってくれたのか、出された夕飯は俺のだけちょっと別メニュー。

 野菜や肉が細かく切ってあって、一見食べやすそう。だが、肉自体が固いので、肉とパン以外を完食。お礼を言って部屋に戻ったけど、部屋で思わず魚の串焼きを食っちゃったよね!




 次の日も、何事も無く馬車の旅が過ぎ宿に到着。

 この宿も高級宿なんだけど、料理人のプライドが高いのか、やたら凝っててコッテリしたソースのベッタリした料理が多い。

 子供の食える料理では無い。

 なので程ほどに口を付けただけで撤収。

 アールスハインの部屋で、子供達と共に芋と海老と貝を食って終了。


 三日目。

 今日の夕方にはお城に着くので、朝御飯のみ耐えればいい。

 朝からガッツリとした巨大肉の塊。

 朝食だよね?と疑問に思うが、他の宿泊客には好評のよう。

 皆さん胃が丈夫ですね!

 俺は食えないけどね!

 助とアールスハインが俺の朝食を片付けてくれた。

 俺は馬車の中で、蟹を食った!何と言う贅沢!

 つられて他の皆も食ってた。


 もうすぐ王都の近くの里山的な森に差し掛かる頃。

 馬車が急停車した!反動で座席から吹っ飛んだ俺は、ユーグラムにキャッチされた。

 素早く助が御者に何事があったのかの確認をすると、賊です、とのこと。

 お忍び?とはいえ、王族の乗る馬車、護衛の騎士も居るので、暫く様子を見ることに、助が窓にカーテンをして、隙間から外を覗く。

 賊の数はざっと二十人程。

 意外と大きな賊らしい。

 チラッと見えた賊と言われる男達は、何と言うか、不潔。

 モジャモジャの絡んだ髭に、モジャモジャの髪、歯は黄色を通り越して茶色く、痰が絡んだような声で怒鳴っている。

 剣の打ち合う音とか、おっさんの悲鳴とか、たまに馬車が揺れたりとか、外は随分騒がしい。

 護衛の数は確か五人くらい。

 いくら精鋭でも五人で二十人相手は厳しいのではないだろうか?

 助もそう思ったのか、助太刀に行くようで、アールスハインに許可を取っている。

 すかさず双子王子を捕獲するディーグリーとユーグラム。

 双子王子が飛び出さない為のようで、信用無いよね双子王子。

 子供用の刃を潰した剣を其々持ってるし。

 それを確認してからササッとドアを開けて外に出る助。

 出た途端に賊を蹴り飛ばしたのか、ドワッとかヘグッとか聞こえて、剣を交わす音が響く。

 もがいてディーグリーとユーグラムの腕から逃れた双子王子は、ガシッとアールスハインに頭を掴まれ、


「いいかカルロネルロ、これは遊びじゃない、お前達がふざけて飛び出せば、誰かの命を危険に晒すかもしれない事態だ。お前達はまだ自分の身を自分で守れる程強くない、そんな奴はおとなしく守られていろ!決して飛び出すな!ふざけるな!分かったな?」


 アールスハインの何時に無い真剣な厳しい声に、双子王子がショックを受けたように震え、


「「はい、兄様ごめんなさい」」


 と剣を手放した。

 シンと静まった馬車の中、外から声が掛かる。


「ケータ!!」


 助の切羽詰まったような声に、ドアを見るが、アールスハインがドアを押さえていて、立てた親指でクイッと示したのは、連絡用の御者につながる小窓。

 成る程、この大きさなら俺は出られるね。

 バリアを張って窓から外へ。

 ドアの近くを護衛の騎士が守り、助は少し離れた位置に。

 ちょっと飛び上がり、回りを見渡せば、五人中二人の騎士が怪我で倒れている。

 助が寄せたのか、騎士二人は近い位置に居るので、攻撃しようとしている賊を弾く様にバリアで二人を包む。

 空を飛んで二人の元へ行き、バリア内へ。

 二人共に傷口がブスブスと泡立つ様に弾けている。毒を受けたようだ。

 急いで二人に毒消しと治癒魔法を掛ける。

 見る見る内に回復していく二人に安堵の息を吐く。

 この二人は、アールスハインの訓練に付いていくとよく目にするお調子者な二人組だ。

 俺も顔見知りだったりする。


「グウウウウ、いてーくない?あれ?俺死んだ?」


「ちんでねーし!なおちたし!」


「ウエッ!ケータ様!ケータ様が治してくれたんすか?ありがてー!おい、おい、俺達助かったぞ!何時まで寝てんだ!」


 隣に横たわった同僚の騎士を、バンバン叩き起こす騎士。


「痛い痛い痛い!こらテメー!テメーが叩くから痛いんだよ!止めろ!」


 殴り返す騎士。


「ちょっとー、まだおわってなーのよ!」


「「はっ!!そうだ敵は?!」」


「まだいりゅよ!」


「「やべー、こうしちゃ居られねー!!」」


 ガバッと立ち上がって駆け出していく二人の騎士。

 毒付きの剣で怪我を負わせて油断していたのか、二人が起き上がり戦いに交じった事に驚く賊の奴等。

 なので俺は毒消しの魔法玉を作り、バリアの中から賊達の武器に魔法玉をポンポンぶつけてやる。そうすれば毒を警戒して大袈裟に回避する必要が無くなって、騎士達も本来の強さを発揮出来るからね!

 バッタバッタと倒されていく賊達。

 寄せ集めの実力もバラバラの賊等に、日々訓練に励む騎士が負ける筈もなく、人数差など物ともせず、危なげ無く完勝した。

 しかも誰一人死んではいない。

 多少怪我の酷い奴も居るけど、動けない程では無いので、全員を丈夫な紐で縛り上げ、馬車の後ろの留め金に繋ぎ、引き摺る様に連行することになった。

 騎士達の怪我はサクッと治しといたよ!最初の二人以外は軽傷だったけどね!

 二人は上司?な騎士に怒られて、賊の見張りとして、一緒に歩かされる事になりました。

 代わりに助が馬に乗って外で警備するそうです。

 王都の街門まではさほど遠くないので、間も無く到着。

 街門警備の兵士に賊達を預け、ディーグリーとユーグラムと別れお城へ。





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4巻の発売日は6月9日で、公式ページは以下になります。 https://books.tugikuru.jp/202306-21551/ よろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
[一言] 双子、やっていい事と悪いことを知る(゜ー゜)(。_。)ウンウン
[良い点] ケータさんの成長は「呂律が若干回るようになって、(翻訳)がいらないくらいには伝わるようになった」って事で読みやすくなって良かったですね。
[一言] 楽しすぎて周回しまくってます! カニとエビがゲット出来たら次はわさびを見つけて… すーーーしーーー!!! をケータに言って欲しい…!!(^q^)
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