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肉狩り 最終日

誤字報告ありがとうございます!

 おはようございます。

 今日の天気はシトシト雨です。

 肉狩りも最終日です。

 今日はお昼までしか森に居られないので、朝御飯は携帯食ですませ、早速森へ向かいます。

 向かう方向はソラ任せ。

 薄暗い森の中を進むので、何時もより視界が悪い。

 ユーグラムの胸ポケットにいるハクが大活躍中。

 触手を伸ばして、ユーグラムに近付く虫魔物を片っ端から弾いています。

 ユーグラムがハクを撫でながら、無表情でフフフフとずっと笑っています。

 目を合わせられません!

 猪と熊の魔物を程ほどに狩りながら、先へ先へと進むなか、やっと新たな魔物を発見。

 遠目に見えるその魔物は、体長三メートルはある、緑色の肌の二足歩行の巨体。

 片手には棍棒を持ち、豚に似た醜悪な顔の額に二本の角。腰布らしき汚い布を股間に巻いているだけのそれ。


「……………ありぇはたびらりるの?(アレは食べられるの?)」


「まず食うことを前提にしてるのな?まぁ食えるし高級肉だけども!」


「おー」


「オークは知能もそこそこ高くて、群れを作る場合も多い、周りを警戒するのを忘れるな、迂闊に倒すと、周りを囲まれるぞ!」


 ルルーさんのアドバイスに従って、周りの様子を注意深く警戒したが、特に周りに仲間は見付からなかったので、見付けた個体を倒すことに。


「モス程じゃねーが固いぞ!」


 まずはユーグラムの状態異常を掛ける。

 多少ふらついたが眠りに落ちる様子は無い。

 しかし両手の先をブンブン振っているので、半端に麻痺には掛かった様子。

 まだこちらには気付いていないので、もう一度状態異常を試したが、これも半端に終わった。

 仕方無いので、ディーグリーと助が挟み込むように両側から素早く近寄り切り付ける。

 ディーグリーの方がスピードがあるので、膝裏に切り付ける事に成功。

 続いた助の首への攻撃は、体勢を崩したオークに躱された。

 ユーグラムが顔面目掛けて火魔法玉を撃ち込む。

 怯んだ隙に、真後ろからアールスハインが首を目掛けて切り付ける。

 しかし傷は浅く、致命傷には至らずに、オークが闇雲に暴れだす。

 距離を取る三人。

 ユーグラムの火魔法玉で目をやられたのか、オークは三人の姿を捉えられず、大振りに棍棒を振り回す。

 真後ろにいるアールスハインが何とか近付いて切り付けるが、中々深くは傷付けられず、振り向いたオークに距離を取らされる。

 ユーグラムが雷魔法玉をオークの背に撃ち込むが、ルルーさんのアドバイス通り固い皮膚に阻まれる。


 さて俺はどうしましょう?

 ルルーさんとソラは周りを警戒してくれているし、ハクはユーグラムに近付く虫魔物を弾いているし。

 あんまり俺が手を出しすぎるのもどうかと思うし。

 視界の悪いなか、ちょっと上空まで上がって周りを警戒してみるかな?

 移動魔道具を操作して、木々の上まで出てみる。

 驚いた鳥魔物が攻撃してくるが、全部バリアに跳ね返されてすぐに逃げて行った。

 グルッと周りを見渡しても、特に変わった様子は無い。

 上から森の中を見てみるが、暗くてよく見えない。

 どーしよーかなー?とぼんやりしていると、突然飛んできた斧がバリアに弾かれた!

 ビックリして、斧が返された先を見てみると、暗がりに二体目のオーク発見!斧が弾き返されて腕をかすり血を流している。

 目が合ったので他の皆が気付く前に倒してしまおう!

 風魔法で円盤を作り、また斧を投げようとしている腕の付け根を切り落とす。

 ギャリンと音をさせて落ちる腕、ギャギャギャーと雄叫びをあげるオーク。

 怯んで逃げようと体勢を変えるその横から、未だ消していない風魔法の円盤を、横に水平に動かす。

 ギャリンと音がして、オークの首が落ちる。

 首が落ちてもまだ筋肉の痙攣なのか、動きを止めないオークの体、二.三歩惰性で歩いた後にバタンと倒れてビクビクしてる。

 降下して一応他の魔物の気配が無いのを確認してから、切り落とされた首にビッグガガの針をプスッとね。

 断末魔の恐ろしい形相の顔も、あまり直視しないようにマジックバッグに納めて、血抜きの終わった体も回収。

 血の跡を軽く焼き払って終了。

 ふう、と一つため息をついて、また周りを警戒しながら皆の元へ戻る。


 四人対一匹のオーク戦も、もうだいたい終盤。

 オークは既に虫の息、身体中傷だらけで、首も半分切れている。

 それでも暴れてるオークには感心する。

 皆もちょっと息が切れてるし。

 皆をボケーっと眺めてると、後ろからガサガサ音がするので振り向くと、ソラが何かデカイのを咥えて来た。

 ペッと目の前に置いて、ご機嫌に俺を見上げて来るソラ。

 地面には巨大蜥蜴魔物。

 首の皮一枚で繋がった頭がプランとしてる。

 以前ディーグリーが旨いと言っていたリザードと言われる巨大蜥蜴魔物。

 取り敢えず首の断面にビッグガガの針をプスッとして、ソラに抱きつき、


「よーちよち、しょらえりゃいぞー!かっちょいーぞー、しゃしゅがしょら、ちゅよいぞー!(よーしよし、ソラ偉いぞー!格好いいぞー!流石ソラ、強いぞー!)」


 褒めて撫でまくったよね!

 ご機嫌に尻尾を振るソラは、黒豹スタイルでもとても可愛い!毛並みもツルスベで最高!

 ソラと戯れている間に、オーク戦も終了し、皆が集まって来た。


「……………………けーたよ、俺達が必死に戦って倒した魔物よりつえー獲物をシレッと確保してんじゃねーよ!傷付くだろ!」


「けーたららくて、しょらがとってちたよー?しょらちゅよいねー!(けーたじゃなくて、ソラが取ってきたよ?ソラ強いねー)」


「ソラが強いのは何となく分かってたけど!傷付くでしょ!お年頃なのよ!」


「?にくたーきょーかちゅかってなかったーのに?(肉体強化使ってなかったのに?)」


「肉体強化は、まだ完全に制御出来てないから、密集した場所では、加減が難しいの!」


「あー、おーぶりなりゅもんなー(あー、大振りになるもんなー)」


「そう、味方が近くに居ると、使いづらい」


「バリアーありゅのに?」


 俺の言葉に助だけでなくアールスハインとディーグリーもハッとなってた。

 忘れてたんですね!

 その後落ち込む三人は放っておいて、オークの切り落とされた首にガガ針をプスッとして、ルルーさんが戻って来るのを待つ。


 程無くして戻ったルルーさんは、熊魔物を引き摺って帰って来た。

 だが、何時もの熊魔物と違って、大きさは二メートルくらい、色が黄色の熊魔物。


「特殊個体のベアーが出たんで、ついな」


 頭を掻きながら言い訳の様に言うが、特殊個体の魔物は、普通の魔物よりも倍以上強くて、たまに魔法を使う奴もいたりする、厄介な魔物なんだとか。

 流石Aランク冒険者、厄介な特殊個体の魔物を一人で倒せるなんて!と、助とディーグリーが絶賛してた。

 今日の肉狩りは以上。

 馬車を置いた休憩場所に向かう。

 途中で出た魔物は狩りましたよ?

 休憩場所には誰も居らず、馬だけが草をモシャモシャと食べていた。

 ルルーさんが操作した魔道具で、隠されていた荷馬車も無事。

 昼食は焚き火を作って、串に刺して焼いた肉を食べました!塩コショウだけでも美味しく食べられたよ!外ご飯マジック!


 帰りは荷馬車ではなく、馬を引っ張りながら、途中までルルーさんの練習がてらボードに乗って飛んで帰りました。

 皆がアクロバットな乗り方をするなか、ルルーさんは、何とか荷馬車と同じくらいの速度で飛べるようになったよ!


 ポツポツと人の姿が見え始めた頃、マジックバッグから取り出した荷馬車に乗り換える。

 さてここで問題です。

 肉はどれだけ出せば良いでしょう?

 後、大量にある虫魔物の死体も。

 この荷馬車に全部は乗らないぞ?

 話し合いの結果、猪と熊の魔物を数体、ドードーを数体、泥カバも数体、虫魔物を端の方にちょっと多めに置きました。

 ユーグラムが嫌がって、御者席に座ってます。

 足の踏み場もないので、他の皆もボードに座って宙に浮いてるけどね!

 街門が見えて来て、衛兵さんの検問を受ける列に並ぶ。

 冒険者として来てるので、貴族用の列には並びません。


 王都の街門だけあって人の出入りが多く、暫く待たされたけど無事通過。

 大量の魔物の死体に衛兵さんがギョッとしてたけど、笑顔でサムズアップして通してくれた。

 まず向かうのは冒険者ギルド。


 街門を通りすぎてすぐに、魔物の死体を片付けて、大量の虫魔物の死体に入れ換えた。

 ユーグラムが頑なに振り向こうとしません!

 冒険者ギルドに横付けした荷馬車から、ユーグラムと俺以外が、大量の虫魔物の死体を運び出して行く。

 カウンターのお姉さんの顔がどんどん引き攣って行くけど、構わずどんどん積んで行く。

 去年の演習の時に、草原の担当だった副ギルドマスターが慌てて出てきて、職員に命じてどんどん奥に運んでいく。

 ギルドに併設されてる酒場の冒険者達が唖然とするなか、小山二つ半の虫魔物の死体を運び終わった。

 副ギルドマスターがホクホク顔で、査定は後程、と割符をルルーさんに渡していた。

 今日は食えない魔物の査定をお願いして、次はメインの肉屋へ。


 肉屋の裏に荷馬車を横付け。

 裏口にはガジルさんがぶっとい腕を組んで仁王立ちして、凶悪な顔で出迎えてくれました。

 今日は、ガジルさんが仕込んだ他の肉屋の助っ人が居るので、荷馬車から下ろすふりして、俺のマジックバッグから魔物の死体をどんどん出していく。

 猪と熊の魔物を数十体づつ、次に、と思ったら一旦ストップ。


「オイオイオイオイ!どんだけ出てくんだよ?!こんなん1日じゃ処理しきれねーよ!」


 ガジルさんに怒られたので、猪と熊の魔物を半分しまって、ドードーとサイ、じゃなくてモスをドドンと出したら、ドン引きされた。


 話し合いの結果、猪と熊の魔物を五体づつ、ドードーも五体、モスを出して今日はそれ以上は無理と言われた。

 後は腐らないのを良いことに、俺のマジックバッグに入れといて、週末に肉屋に届ける事に。

 その代わり代金は多めに払ってくれるし、肉以外の素材も、ちゃんと綺麗に確保して、冒険者ギルドに売れる状態で置いといてくれる約束をした。

 ガジルさんも含め、ガジルさんが仕込んだ他の肉屋の助っ人の人達も、元冒険者だったので、多少手間は掛かるが素材の扱いはちゃんと分かってるらしい。

 安心して任せろ!と分厚い胸を叩いていた。

 ルルーさんもそれで納得したので、話し合いは終了。

 今日の分の肉を置いたら、後は忙しそうな肉屋に用は無いので、お城へ帰ります。

 ルルーさんは、肉屋に残るそうです。

 解体した後の肉の試食会をするんだとか。

 モスの肉だけは少し残しといて!とお願いしてあるので、次の肉の配達の時に受けとる予定。


 肉屋の裏で、ユーグラムとディーグリーと挨拶をして別れ、ボードに乗ってお城へ。

 屋根の上を飛ぶので、回り道をしない分早々にお城に到着。

 見張りの騎士さんが、上空から現れた俺達に驚いてたけど、普通に通してくれた。





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4巻の発売日は6月9日で、公式ページは以下になります。 https://books.tugikuru.jp/202306-21551/ よろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
[一言] ユーグラム面白すぎて好きだわ笑笑
[一言] ウィニー・ザ・プーよ安らかに!>黄色熊
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