肉狩り 3
誤字報告、感想をありがとうございます!
おはようございます。
今日の天気も薄曇りです。
リクエストされて、大量に作ったホットケーキで朝食をすませテントの外に出ると、輝く虫の魔物が小山になっていました。
小山の前には心なしか膨らんだハクが。
「ハクがちゅかまーたの?(ハクが捕まえたの?)」
「ムー!」
「ハクがちゃべったー!」
「ムー、ムームームムー!」
「ことばーは、わかんにゃいけろ、ハクがちゅかまえたーのはしゅごいねー!(言葉は、分かんないけど、ハクが捕まえたのは凄いねー!)」
ムニムニ撫でながら褒めれば、
「ムムー、ムムム!」
ご満悦の様子。
ユーグラムがドン引きし過ぎて大分遠いところにいるけど、折角ハクが取ってくれた獲物なので、マジックバッグに全部詰めて街に帰ったら売りますよ!
姿が見えなくなれば大丈夫なのか、ユーグラムも近付いてきて、肉を求めて森へ。
猪と熊の魔物にはちょっと飽きてきたので、他の魔物を物色中。
木の上の方には小さな猿とか鳥の魔物がいるけど、食べる所が少ないし臭いらしいのでパス。
ルルーさんによると、猿の魔物は脳みそが薬に、鳥の魔物は羽が装飾用としてどちらも高額買い取りして貰えるらしいが、今回は肉確保が最重要なのでパス。
途中に出る猪と熊の魔物を狩りながら進むと、先頭のソラが、体勢を低く警戒しだしたので、気配を消して前方を窺う。
そこに居たのはダチョウの群れ。紫色だけど。
は?こんな森の中にダチョウとは?
脚力を生かせないと思うんですが?
と思ってたら、ルルーさんの解説。
「ありゃードードーだ、気を付けろ、蹴られりゃ一発で動けなくなるぞ!」
脚力は生かせている模様。
後ろ蹴りだけで無く、前蹴りも繰り出して来るそうです。
俺の胴体よりも太い足首ですね!
近付くと危ないなら、近付かなければ良いではないかー、と言うことで、ユーグラムと俺でサクッと首を狩りました!
グロいね!でもお陰で血抜きは簡単にすませられました!
血塗れなので洗浄魔法をかけてから、マジックバッグにしまったよ!
その間中、ルルーさんの口がパカーンと開きっぱなしだったけど、気にしなーい!
さてさて次は何が出るかなー?
暫く歩いて見つけたのは、ミニバンサイズのサイ。
頭部の角がやたらデカイサイ。
体が黒光りする銀色のサイ。
「あー、ここまでくりゃーモスも出るわなー、気を付けろよ、かてーぞ!」
「そうですか、ではまず状態異常を狙ってみますか」
そう言ったユーグラムがモスと言う名のサイに状態異常の魔法を掛ける。
カクンカクンと首が揺れて、ドドウと地響きを立てて倒れるモス。
寝てるだけかと思ったら、体が微妙に震えてる。麻痺も入ってる模様。
助とディーグリーが駆け寄り、其々に首に向かって一撃。
「あ~確かに硬い!」
「あぁ、魔法剣でこれだけしか切れないのは初めてだな!」
続いてアールスハインが一撃、ルルーさんも一撃入れる。
「硬いな!」
「いやいやいやいや!まだ四回切っただけで、骨まで切ってんのは、普通なら有り得ないから!魔剣?魔剣使ってんの?!」
「いや、俺達が使ったのは魔法剣だ」
「うわー、また俺の知らない剣が出てきたー」
「いや、これは剣では無く魔法だ」
「それもきーたことないー」
なんかルルーさんが拗ね出した。
彫りの深い男前がやっても可愛くない。
「ま~ま~ルルーさんにも後で教えるから、今はこいつを殺っちゃいましょう!そろそろ麻痺も切れそうだし!暴れられる前に!」
「そりゃそうだ!後でしっかり教えてくれ、よっ!」
ルルーさんの一撃から、またモスへの攻撃が始まった。
まぁ、麻痺してるモスの首に順番に切り付けているだけなんだけど。
何時もなら一撃で首が飛ぶのに、何度も切ってやっと首が胴体から離れた。
ビッグガガの針をプスッと刺して血抜き。
切り落とされた首も回収。
ルルーさんによれば、角が良い剣の素材になるそうです。
流石にミニバンサイズの解体は簡単には出来ないので、モスと言う名のサイはお持ち帰り。
肉屋のガジルさんに任せましょう!
そろそろ戻る事にして、途中の魔物を狩り、広場に着くと、虫魔物の大量発生。
ユーグラムが範囲魔法を打つ前に助とディーグリーが取り押さえ、ソラとハクが駆け出して、バッタバッタと倒していく。
俺も風魔法で真っ二つにしていきました。
程なくして、朝と同じくらいの小山を作る虫魔物の死骸。
この広場は、虫魔物の繁殖地か何かなのか?
まぁ殲滅しちゃったけれども。
マジックバッグに詰めて、ソラとハクを褒めて、夕食作り。
本日の夕飯は、ドードーの照り焼き。
ドードーはアールスハインと同じくらいの身長で、太股がアールスハインの胴回りと同じくらいある。実に食べでのある獲物でした!
肉はちょっと白っぽい見た目の普通の鳥肉。
解体は皆も手伝ってくれて、かなり早くすみました。
ユーグラムが予想外に不器用で、肉がミンチになりました。
まぁ肉団子にしてスープに使うから構わないけど。
夕飯は、ドードーの照り焼きと付け合わせの玉ねぎ、レタス、トマト。
ドードーの肉団子入りスープ。
あとはパンです。
食後に時間が空いたので、広場でルルーさんに魔法剣の指導。
「んじゃぁ、とにかく剣に魔法を込めればいいんだな?」
「そ~そ~、ルルーさんなら火魔法込めれば、敵を焼き切れるかも~?」
「焼いちまったら素材がダメになるだろう?なら俺は風魔法か」
「成る程~、カイル先生を参考に、一番使い易いかと思ったんだけど、素材か~」
「そうですね、冒険者としては風魔法の方が素材の確保がしやすいですね」
「風魔法ならば、鋭く切れ味を上げるイメージをすれば、威力は上がるだろうな」
「なんならその鋭い刃を飛ばすイメージもしてみたら、遠距離攻撃にもなるんじゃな~い?」
外野がワイワイ言ってる内に、ルルーさんは剣に魔法を纏わせて、その辺の枝に切りつけ始めた。
結構な太さの枝を切り落とし、落ちた枝を見て驚いている。
「おいおいマジか、一撃でこの太さの枝が落ちるのか!やベーな魔法剣!ハハッ」
テンションが上がってきたのか、笑いながら枝を切って行く。
だがこれ以上自然破壊もさせられないので、ルルーさんが切った枝を、周りに座った皆がルルーさんに向かって投げつける事に。
「ハハッ、アッハッハッハッ」
やっぱり笑いだした。
騎士団を思い出す。
どうして皆笑い出すのか?謎だ。
暫くそんな事を繰り返し、枝がただの木切れの群れになった所で終了。
ルルーさんはまだまだ物足りなさそうだったけど、夜も良い時間になったので、俺はもう起きてられません!
明日もあるのだからと説得して就寝。
ゴアアアアーーーーー
おはようございます。
何事が起こったのか、轟音で目が覚めました。
慌てて外へ出て見ると、テントの外は火の海でした!
「ギャー!ユーグラムやり過ぎ!ちょっと消して消して!」
「フフフ、フフフフフフフフ」
「ダメだこりゃ!ケータ様、これ消してー!」
ディーグリーの慌てた声に反応して、火の海の消火。
加減を間違えて、土砂降りにしちゃったけど、火は消えたので問題無し!
焼け野原には、虫魔物の残骸が転々と転がっている。
ユーグラムは土砂降りの雨に打たれて、正気に戻って今は無表情なのにしょげている。
「申し訳ありません」
「あ~、まぁやっちゃった物は仕方無いけど、テントが無事で本当に良かったよ~、でもケータ様のテントじゃなかったら、俺達ごと丸焼けになってただろうから、反省はしてね~!」
「はい、すみません」
「あー、反省もしてるみてーだし、俺から言う事は特にねーな」
「まあ次は気を付けてくれ」
「俺からも特に無いです」
「やいたーあとは、ちゃんとけしぇばいーよ!(焼いた後は、ちゃんと消せばいーよ!)」
「いやいやいや、ケータ様、焼かない事が前提だからね!危ないから!」
「しょーらけどー、とっしゃにやったりゃ、あとちまちゅちないと!(そーだけど、咄嗟にやったら、後始末しないと!)」
「それはそうなんだけど!その前に無意識に魔法を撃ってはいけません!」
「たちかに!」
そんなやり取りをした後で、朝御飯を作る気にならなかったので、ホカホカの携帯食を食べて、森へ出発した。