肉狩り 2
誤字報告、感想をありがとうございます!
おはようございます。
今日の天気は薄曇りです。
朝起きたら、共有スペースにルルーさんが寝ていてぎょっとして、理由を尋ねたら、
「あんなフカフカの布団は落ち着かねーし、あれに慣れたら俺はダメになる気がする」
と膝を抱えて訴えてました。
お城の布団よりは大分ランクを落としてあるんだけどね?
まぁ、共有スペースにはフカフカの絨毯も敷いてあるし、清潔だし、寝たい所で寝れば良いよ。
朝食はステーキサンドにしました。
薄目に焼いて貰ったパンに、野菜をたっぷりと料理長特製のドレッシングで焼いたステーキを乗っけてガブッとね!
昨日の残りのスープもあるのでそれも出した。
柔らかいパンとシャキシャキの野菜と、柔らかい肉。
素晴らしいね!皆も朝からモリモリ食べたよ!
ユーグラムが虫除けを大量に装備したら出発!
あ、テントは丸ごとマジックバッグにポイしました。
出すときも同じようにポイっと出せばすむからね!
皆が無言で見てきたけど、知らん顔しときました!
昨日と同じルートでズンズン進むソラに付いていく。
小物の魔物は邪魔しなければ無視して進む。
昨日引き返した辺りで、昼休憩。
ホカホカにした携帯食と、水筒に入れてきたミルクティー。
「あ~この携帯食も、最初は感激したのに、今はもう味気ないと感じてしまう自分がいる~」
「そうですね、朝からあの豪華な食事を取ってしまうと、この携帯食では満足感が全く違いますね」
「……………………お前ら、この携帯食だって相当だからな?!森ん中で温かい物を飲み食い出来るなんて相当贅沢だからな!普通の冒険者は、歩きながら、カッチカチの携帯食や干し肉を囓って腹の足しにするんだからな!そもそもこんな安全なバリアを張れる奴は、なかなか居ないんだからな!」
ルルーさんがプリプリしております。
冒険者って過酷なのね!
そんなプリプリしてるルルーさんを他所に、肉狩りはいたって順調。
猪と熊の魔物の肉は、結構な量を確保出来ている。
ただそれ以外の魔物がほぼ出てこないので、段々作業になってきた。
ついでなので肉体強化の訓練も兼ねて森を進んでいるんだけど、
「ナハハハハハハハハ」
「「アハハハハハハハハハ」」
「フフフ、フフフフフフフフ」
静かな薄暗い森の中に、四人の笑い声がやたらと響いている。
「おいおいおい、何事だこりゃ、獲物が全部逃げて行くだろうが!」
「にくたーきょーかしゅると、いちゅもこーなりゅ(肉体強化すると、いつもこうなる)」
「にくたーきょーかって何だ?聞いたこともねー魔法だな?」
「まほーらなくて、まーりょきゅを、かりゃだのなかで、ぐりゅぐりゅまわちて、かりゃだにちゅよくなりぇーってしゅりゅと、あーなりゅ(魔法じゃなくて、魔力を、体の中で、グルグル回して、体に強くなれーってすると、あーなる)」
「魔力を体の中で回して、体に強くなれってすると、あーなる?……………………ほんとに?」
「なってりゅねー」
「木の枝を飛び回る事も出来るのか?ほんとに?」
「でちてりゅねー、きちだんでもくんりぇんちてるよ(出来てるね、騎士団でも訓練してるよ)」
「騎士団でも訓練、そりゃ本物か?だが普段から魔力ってのは、体を回ってるもんだろう?」
「そりぇを、いちきちて、こうしょくでまわしゅと、あーなりゅ(それを、意識して、高速で回すと、あーなる)」
「意識して、自分の意思で高速で魔力を回す」
ブツブツ言いながら、ルルーさんが体内の魔力を操作しだした。
目に見えるわけでは無いけど、ゆっくりとルルーさんの体内で魔力が回り出すのが感じられた。
流石Aランクの冒険者。
騎士団の騎士よりも呑み込みが早い様子。
それでもすぐに習得とは行かず、多少体が温かくなった程度で気力が尽きた模様。
「これは結構疲れるな?」
「さーしょはね、なりぇりぇばへーちになりゅよ(最初はね、慣れれば平気になるよ)」
「ああ、地道にやってみるさ、俺もまだまだ強くなりてーからな!」
「んーじゃあ、こりぇあげりゅ(んーじゃあ、これあげる)」
差し出したのはボード。
魔力操作の訓練にもなるしね!
「おいおい、こんなすげぇもん俺にくれちゃって良いのかよ?後で怒られても知らねーぞ?」
「らいじょーぶよ、けーたちゅくったやちゅだち(大丈夫よ、けーた作ったやつだし)」
「はあ?お前さんが作った?マジか!魔道具まで作れんのかよ?!」
「あ、こりぇないしょらった!(あ、これ内緒だった!)」
「ああ、そりゃそうだろうよ。こんなすげぇ魔道具作れるなんて知られたら、拐われるぞ!」
「バリアあるち、らいじょーぶとももうけど、なーしょね!こりぇはわいりょ!(バリア有るし、大丈夫と思うけど、内緒ね!これは賄賂)」
「賄賂って、まぁ誰に言ってもまず信じやしねーだろーけど」
「くちどめりょーでもいーよ?(口止め料でもいーよ?)」
「くれる物は貰うけど、ホントに良いのか?」
「いーよー、のりゅのたーへんらちいけど(いいよー、乗るの大変らしいけど)」
俺とルルーさんが話していると助が来て、
「ああ、ルルーさんも貰ったんですか、その魔道具は凄い便利なんで、早く乗りこなせるようになると良いですね」
「そんなに難しい魔道具なのか?」
「んー、俺は割りと最初から乗れたんで、分かんないんですけど、騎士団では苦労してる人が多いですね。ああでも、魔法庁の職員は何人か乗れるようになった人がいましたね」
「あー成る程、魔力操作とかが関係してくる奴か」
「ええ、俺達は、先に肉体強化の訓練で、魔力操作が上達してたんで、割りと簡単に乗れるようになりました」
「成る程。まぁ何事もやってみなけりゃ話しになんねーか」
助に説明されて、まずは乗ってみよう、となった。
その為にちょっと広い場所に移動。
木々の途切れたポッカリ開いた場所を発見したので、そこで練習。
アールスハイン、ユーグラム、ディーグリーは広場の見える場所で魔物を狩る。
俺と助はルルーさんの見学とアドバイス。
ルルーさんも、騎士団同様、ボードをすっ飛ばし、ボードごとすっ飛んで行ってを何度か繰り返したが、まずはボードに乗って浮く練習に切り替えた。
「おおー、流石Aランクの冒険者。呑み込みが早い、まずは浮く事に慣れるってのが、騎士団とは違うな!」
「なー、きちだんは、しゅぐふっとばしょーとちて、ちっぱいしゅりゅかりゃな!(なー、騎士団はすぐ吹っ飛ばそうとして、失敗するからな!)」
「そーそー、そう言う所が脳筋って言われんだよなー」
ルルーさんは、上手に浮かべるようになって、フヨフヨとでは有るが、ゆっくりと広場内を飛べるようになった。
上達が早いね!
さて、時間も良い感じなので、ちょっと早いけど夕飯の準備に取り掛かりますかね。
テントを設置して、台所に立つ。
メニューは何が良いですかー?
本日のメニューは、しょうが焼き。
昨日は熊魔物のステーキだったので、今日は猪魔物の肉を使います。
助も慣れてきたのか、処理の仕方が大分早くなった。
昨日よりも大分早く猪魔物を肉塊にしたので、青パパイヤを練り込んで放置。
青パパイヤ自体には大した味も無いので、肉を柔らかくするのに重宝する。
料理しても味の邪魔をしないのが良いね!
玉ねぎや舞茸でも柔らかくはなるけど、青パパイヤの酵素の方が、良く働く気がする。
生姜と醤油と砂糖、白ワインでタレを作り、パンとサラダと味噌汁を作る。
本当は米を炊きたい所だけど、ルルーさんも居るし、米の在庫も気になるしで、今回はパンです。
味噌汁の匂いがしたのか、アールスハイン等も戻って来たので、肉を焼いてタレをからめて、大量の千切りキャベツと共に出す。
千切りキャベツは、俺が作りました。
職人さんと共にピーラーを作ったよ!
職人さんに、ピーラーを売りに出しても良いか聞かれたので、どーぞーってしたら、その後物凄い売り上げを叩き出したそうです。
デュランさんに感謝されたよ!
職人さんは、デュランさんの古い友達だったらしい。
頑固過ぎて、作る物は丈夫で長持ち、凄く良い品なんだけど、長持ちし過ぎてあんまり儲かって無かったらしい。
そこに俺が料理長と共にホイホイ新しい品物の注文を出しまくったせいで、職人魂に火が着いたとかで、凄く熱心に道具の開発に協力してくれた。
しかも出来上がった調理道具が、とても売れてるらしい。
行く度に凄く感謝される。
猪魔物のしょうが焼きも大好評でした!
魔物の肉は、強くなるほど旨くなるそうだけど、今までは肉を目的に狩りに行く冒険者はいなかったらしい。
他の素材の方が儲けになるし、肉はすぐ腐るから、その場で焼いて食べるくらいで、持って帰ったりはしなかったとか。
普段は干し肉やカッチカチの携帯食なんかばかり食べているので、元々のかっっったい肉でもご馳走に感じてたとか。
今回ルルーさんが一緒に来てくれたのは、ガジルさんの肉屋で、柔らかい肉を食べさせて貰って、衝撃を受けたかららしい。
Aランクの冒険者の自分は、貴族の通うレストランでも普通に食事が出来るくらい、旨いものなら知ってる気でいたのに、ガジルさんの肉屋で食べた肉は、今まで食べた事が無いくらい柔らかく旨かったそうで、それを更に上回る肉を狩りに行くならって事で、同行を申し出てくれたんだって。
たんとお食べー。
ルルーさんは醤油の味付けにも嵌まったらしい。
ディーグリーの商会で売ってる事を教えると、絶対買う!って意気込んでた。
ケータの台詞が読みづらいと、ご指摘を頂いたのですが、すみません!直してる時間がありません!いずれまとまった時間が取れたら、訂正なり、()の説明なりつけます!
たぶん、きっと!