肉狩り
誤字報告、感想をありがとうございます!
さてでは森へ出発!
の前にユーグラムが大量の虫除けを装備。
その量にディーグリーが笑って、ルルーさんが呆れてた。
では改めて出発!
ソラとハクがとても張り切っております!
先頭はソラとディーグリーと助。
その後ろにアールスハインと俺と、俺の頭に乗っかったハク。
最後尾はユーグラムとルルーさん。
ソラがズンズン進むので、何となく付いていってる状態。
後ろにユーグラムが居るので、虫の魔物は捕まえられません。
結構な高額で買い取って貰えるのに残念。
ウサギ魔物や狐魔物を適度に狩るが、こいつらはあまり美味しくないので、血抜きだけしてさっさと通り過ぎる。
狼魔物の群れは迂回。
狼魔物は味はまあまあだが、臭いし固いし骨が多く食べにくいらしいのでスルー。
どんどん森の奥に入って行くと、小動物系の魔物が少なくなってきて、猪魔物や熊魔物が出てくるようになった。
積極的に狩るよね!
その場で血抜きをしていると、匂いに誘われるのか、次々現れる魔物。
狩るよね!
三時間程の森歩きで、七匹ずつの熊と猪の魔物を確保したので、休憩場所に戻りました。
夕飯の準備をせねば!
五日間の泊まり込みでの肉確保の為に、俺のマジックバッグの中には、様々な便利グッズと言う名の魔道具を入れてきた。
訓練場の片隅で、ボードのみ作っていたわけではないのだ!
まぁ、それを見ていた魔法庁職員さんに、全ての魔道具を判子にしろとお願いと言う名の強制をされたのだけど。
そのぶんおこづかいも増えるのでまぁ良いだろう。
アールスハイン達の見てない所で色々作ったので、これからお披露目です!
まずは、テント。
見た目はこの世界標準の、大きめのテントだけど、中を拡張してある。
前世の眼鏡魔法少年の映画を参考にしました!
前世でグランピングに使っていたようなお洒落テントをイメージして作った、各個室客室付き、風呂トイレキッチンもついたテント。
ついでに簡単な家具付き。
それをドドンと休憩場所の隅に設置して、いそいそと中に入る。
中央に大きく太い柱が有り、天井は換気の為に隙間を開けて、でも雨漏りなどはしませぬ!
全体が八角形の各々に仕切りを付けた個室を五部屋、一ヶ所は入口、一ヶ所はトイレとお風呂にしてある。
柱の周りにはドーナツ型のテーブルを置いて、椅子ではなく大きめのクッションを配置。
水回りはお城の設備を参考に魔道具を作って、排水なんかも浄化してからテントの外に流せる様にしました!環境汚染ダメ絶対!
入口にはタープを付けて、キッチンを置いた。
キャンプと言えば外ご飯!と思ったのだが、魔物のいる世界、安全は大事なのでタープの下にした。
テント自体に魔物侵入防止と他人侵入禁止と、盗難禁止、天候無効とか他にも色々付けたから、よっぽどの事が無ければ大丈夫。
俺の認識ではタープまでがテントの内だからね!
俺と手を繋いで、一回でもテントに入った人はお客様扱いになりますよ!
アールスハイン達は元々自由に出入り出来る設定だし。
ルルーさんと手を繋いでテントに入れば、ルルーさんも自由に出入り可能に。
まぁ一週間以上出入りしなければ、自動でまた入れない設定になるけど。
皆がテント内の様子に唖然としてるのを他所に、助を連れてキッチンへ。
作業台にドドンと熊魔物を置いて、一応浄化した後、助を見れば、大きなため息をついた後に、まずは皮を剥いで、内臓を取り出し、部位ごとに切り分け、骨を取り除いて、腱と筋を取って肉塊にしていく。
こんな時でも肉体強化は役にたち、肉屋のガジルさん並みにスイスイ解体が進む。
血も出ないのでグロさも半減。
内臓は、ちょっと不安なので食べない方向で。
ソラとハクがめっちゃ見てくるので、どうぞってしたら、ペロッとたいらげた。
普段は学園の食堂で出される食事と、寝る前の聖魔法玉二、三個で満足するんだけど、外に出てテンション上がってるのは、俺だけでは無いようです。
熊魔物が肉塊になる頃には、皆もテント見学に満足したのか、キッチンに集まりだして、夕飯の準備の手伝いをしだした。
使う肉以外をしまって、初日だし夕飯は簡単にステーキにします。
厚めに切った肉に、すりおろした青パパイヤを揉み込んで放置。
玉ねぎ人参キャベツじゃが芋を、大きめに切って、ベーコンは固いので薄切り、全部を鍋に入れて炒めたら、水を入れて料理長特製コンソメを入れて煮込む。
隣でディーグリーが適当な野菜を千切っただけのサラダを作り、料理長特製のドレッシングをかける。
パンも料理長特製のパンを大量にマジックバッグに詰めてあるので出すだけ。
肉が良い感じに柔らかくなったので、塩胡椒をかけて、ニンニクと一緒に熱したフライパンでジュウジュウ焼く。
い~い匂いがしてきた所で火を弱めて裏返し、更に焼いていく。
この世界のステーキは、完全に火を通しすぎて固くパサパサになるまで焼いて、濃いい味のソースをかけるのが定番だけど、そこまで焼かなくても体に害が有るわけじゃないので、俺は程々に焼きます。
流石にレアの肉はちょっと躊躇うけどね!
良い感じに焼けた肉を、各々の皿に盛る。
良く食べる彼等には、大きなステーキを三枚づつ。俺は一枚でも多い感じ。
フライパンに残った油に、赤ワインと醤油を一回し、ジョワッと煮たってアルコールが飛んだ所で肉にかけて完成。
スープも出来たので、いただきます!
「「「「「はぁぁぁーーーーーー」」」」」
肉を一口食った全員が大きな大きな溜め息をついた。
「にゃにー?」
「あーーーケータ様、全体的にやり過ぎ!テントも別世界だし、肉が柔らかくて旨過ぎるし、ここが野外なのを忘れるくらい快適だし!」
ディーグリーが文句を言う。
それに全員がウンウン頷くし、
「かいてち、いいことれしょー?(快適、良い事でしょ?)」
「快適が過ぎる!」
「えー、ばんばったーのにー?(えー、頑張ったのに?)」
「ちょっと常識から外れ過ぎ!こんなの他人に見られたら、見た全員が盗賊化するから!」
「にゃかはみえなーよーなってりゅよ?(中は見えないようになってるよ?)」
「んむむむむー!」
「……………………確実に俺んちより快適だわ、俺Aランクの冒険者で、結構稼いでるし、そこそこの家に住んでるつもりだったけど、このテントの性能見たら、俺んちなんか、ゴブリンの集落と変わんねー気がしてきた」
ルルーさんが落ち込みだした。
「ゴブリンの集落と比べるのはどうかと思いますけど、このテントが規格外なのは認めます。俺の実家よりも清潔だし、設備も調ってるし、快適だし!」
「そうそう、清潔、なにこの絨毯、臭くないしゴミの一つも落ちてないし、テント内がほのかに良い匂いしてるし~?」
「くしゃいのいやれしょー、いりぐちのまっとーに、よごりぇぼーちちゅけたよ!(臭いの嫌でしょ、入口のマットに、汚れ防止付けたよ!)」
「ブーツで半日森の中歩き回ったのに、足が臭くないっておかしいからな?」
「にゃかじきにも、によいぼーちつゅけたよ?(中敷きにも、匂い防止付けたよ?)」
「によい?匂いか、にゃかじきがなにか知らんが、俺の足も臭くねーな?」
「入口にあるマットのせいでしょうか?汚れ防止で匂いも消えたのですか?」
「くしゃいのも、きちゃないのも、いやらからね!(臭いのも汚いのも、嫌だからね!)」
「何で出来てんのか知らんが、このクッションも、やたらと座り心地が良いし、お茶も高級そうで良い香りするし、何よりこの菓子がサクサクなのにホロホロで、すげぇ旨いし!俺はどっかの国のお姫様にでもなったのか?!」
ルルーさんが混乱しだした。
「いや、この菓子は、城でも出てきたことがないくらい旨い」
アールスハインが俺を凝視してきます。
「かちしょくにーとちゅくった!(菓子職人と作った!)」
「菓子職人?ああ、菓子専門の料理人か、シェルと何かこそこそしてると思ったら、菓子を作ってたのか?」
「てんともちゅくった!(テントも作った!)」
「「「「「はぁぁぁーーーーーー」」」」」
全員に溜め息をつかれました。
「あーーー、なんか不味かったら答えなくていいけどよー、そのケータ様ってのは、普通の妖精族とは違うだろ?俺も何度か妖精族は見かけたし、妖精族の里にも行ったことあっけど、こんな妖精居なかったぞ?」
「あー、確かに、普通の妖精とは別物と考えて良いと思います。魔法庁長官の意見では、突然変異と思われる、とのことですし」
アールスハインが濁して言うのに、
「突然変異ねー、妖精族なら見た目通りの年齢じゃ無さそうだし、魔力も尋常な量じゃ無さそうだし、そんなもんか?」
「人族の生活に馴染むと、よりそうなるのかも知れませんね?」
「ああそうかもな、滅多に人と交わらない妖精族が、人の中に混じると、えらいことになるんだなー」
なんか納得してくれたので、まぁいいや!
本当は妖精族でもなく、聖獣らしいけど、内緒だしね!
「るるーしゃん、まほーちゅかえりゅの?(ルルーさん、魔法使えるの?)」
「ああ、Aランクの冒険者は全員使えるぜ」
「へ~、Aランクの冒険者って、どんな魔法使うの~?」
「どんなって、人によるさ、魔法玉を何発か撃てるだけの奴から、大魔法撃つ奴もいるし、パーティー組んで治癒魔法専門の奴もいるし」
「へ~、ルルーさんはどんな魔法使うの~?」
「俺は、火と風と土の魔法で中級までだな」
「え~!凄いじゃん、学園の先輩だったり~?」
「いや、完全に独学。俺はスラム出身だから、まず食扶持を稼ぐ為に冒険者になった口だ」
「ええ!独学で中級撃てるって、才能有りまくり~!」
「ええ、凄いですね。教会にもスラム出身で神官になった者はおりますが、ほとんどの者が魔力の扱い方を知らないので、見習いの内は大変な苦労していると聞きます」
「ああまあな、俺の場合は、運良く雑用係として潜り込めたパーティーが、魔法使いの多いパーティーで、やたら蘊蓄を語りたがる奴に付き合ってる内に、魔力操作や魔法の使い方を、実際に見て覚えられたからな」
「へ~、それは本当に運が良かったね~、スラム出身の駆け出し冒険者は、騙されたって話をよく聞くからね~」
「まぁな、学がねーからすぐ騙されて、無駄に虚勢を張るから、誰にも教えて貰えねーんだろ」
「そ~なんだ~、ちょっと教えてって言えば、余程酷い人に当たらなければ、見習いの内は多少の失敗もフォローして貰えるのにね~」
「そんでもこの国は、失敗してもやり直す機会を与えて貰えるだけありがてぇんだ。他の国じゃあ失敗したら、即奴隷落ちなんてのもざらにある」
「それは極端で新人が育ちにくい環境だね~」
「ああ、だからこの国は他の国に比べて、SランクやAランクの冒険者が多く居るのさ」
「そ~なんだ~、俺も外国行く時は、ちゃんと情報仕入れてから行かないとな~」
「外国に行く予定があるのか?大商会のお坊ちゃんなのに?」
「お坊ちゃんなのは間違いないけど、次男だから、いずれは一人立ちしないとね~」
「次男なら、長男の手伝いでもするんじゃねーのか?」
「家には超~優秀な長男と、商魂逞しすぎて行き遅れの姉が二人も居るんで、俺の出る幕はないので~す」
「それはそれで苦労しそうだな?」
「気楽だけどね~、でも飛び級したら、後一年しか学園に通えないから、先の事も多少は考えないとね~」
「おや、飛び級を決めたのですか?貴方はのんびり学園生活を楽しむのかと思いました」
「そ~ゆ~ユーグはもう決めてるんでしょう~?」
「ええ、滅多に与えられないチャンスですからね!」
「そ~なんだよね~飛び級なんて、十年に一人くらいかと思ってたら、クラスで十人て!何、うちのクラス優秀過ぎ!」
「ええ、それもこれも誰かさんの影響でしょうね!」
「あ~そ~ね、目の前に規格外が居たら、間違いなく影響受けるよね~」
皆に見られました。
ソラとハクが、何故かめっちゃ胸を張ってます。ハクは胸では無く全体が膨らんでるけど。
ルルーさんが、ヘ~って顔で見てきます。
そっと目を逸らしました。
お茶を飲みながらだらっと雑談をして、順に風呂に入りそのまま本日は就寝。
明日からは、森の奥に拠点を移し本格的に肉を狩る予定。
キャベツフラグwww!
まだもうちょっと先です。たぶん