懐かしい夏色
懐かしい夏色
作:ラインハルト
この作品は、だから君がいいのif作品となります。
もし、春と夏海の子供が存在し、成長していたならという設定です。
※過度なアレンジ、アドリブはしないで下さい。
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登場人物
蒼:だから君がいいの春と夏海の息子、明るく優しい性格
瑠璃:蒼と学生の頃に出会い交際を始める、蒼と同じ様に明るい性格だがすぐに緊張して、照れてしまう
蒼:♂
瑠璃:♀
蒼「…ふぅ、だんだん暑くなってきたなぁ、今年も、もうすぐ夏が始まるのか…おーい、瑠璃早くおいでー」
瑠璃「はぁ…もう少しゆっくり行こうよ蒼ー
暑いし、これから蒼のお母さんに会うって考えたら緊張しちゃって」
蒼「いつもの瑠璃っぽくないなぁ、そんなに緊張する事ある?」
瑠璃「緊張するよ!これから蒼のお母さんに紹介されるんでしょ私!?緊張しない方がおかしいよ、はぁ…ねぇ?私どこも変じゃないよね?大丈夫だよね?」
蒼「どこも変じゃないし、瑠璃は僕の自慢の彼女だから大丈夫だって、ほら、もうすぐ僕の実家に着くから」
瑠璃「自慢の彼女…えへへ…ってそういう事じゃ無くて!ほんとに緊張してるんだからね私!」
蒼「あはは…ほんと瑠璃って単純でかわいいね、そんな所も大好きだよ」
瑠璃「もぅ!からかわないでよ!はぁ…どうしよう、本当に緊張して来たよぉ、ちゃんと喋れるかなぁ」
蒼「大丈夫だって!あっ、ほら、見えてきたよ!あの風鈴を吊ってる家が僕の実家だよ」
間
蒼「母さーん!ただいま!今年もあの風鈴出したんだね。
あっ、先に紹介しとくね、この人が僕の自慢の恋人の瑠璃だよ」
瑠璃「はっ、はじめまして!蒼君とお付き合いさせて頂いてる、瑠璃って言います!よろしくお願いします!」
蒼「そんなに緊張しなくてもいいのに、大丈夫だって母さんは優しい人だよ」
瑠璃「優しい人だよって…見たらわかるよーすっごく綺麗なお母さんだね」
間
蒼「やっぱ久しぶりの実家は落ち着くなぁ、それにしても…借りてきた猫みたいに大人しいね瑠璃」
瑠璃「借りてきた猫みたいって、緊張してるんだから仕方ないじゃない…ねぇ、蒼?お母さん何も言ってなかった?」
蒼「本当に瑠璃はすぐに緊張しちゃうんだね。
母さん、瑠璃の事気に入ったみたいだよ、僕達を見てると、父さんと付き合ってた頃を思い出したみたいだよ」
瑠璃「気に入って貰えたならよかったぁ、はぁ…
そういえば、蒼のお父さんはまだ仕事なの?」
蒼「……僕に父さんはいないんだ、僕が産まれる前に癌で亡くなったみたいなんだよ。」
瑠璃「あっ…ごめん、私…」
蒼「大丈夫だよ瑠璃、寂しくなかったって言えば嘘になるけど…僕には母さんもいるし、瑠璃もいるから」
瑠璃「そう言ってくれてありがとう蒼。
そっかぁ…蒼のお父さんにも会ってみたかったなぁ」
蒼「会おうと思えば会えるよ?映像の中だけどね、母さんに頼んで父さんが母さんに送ったビデオレターでも見てみる?」
瑠璃「ビデオレターって、見てみたいけど…それって、私が見てもいいの?」
蒼「もちろん見ていいよ、だって僕と瑠璃はもうすぐ家族になるんだからね、それに…僕自身が瑠璃に父さんの事を見て欲しいんだ」
瑠璃「そうだね、来年の今頃には家族になってるもんね…それじゃ見てみたいなぁ、いい?」
蒼「母さんに聞いてくるよ、ビデオレターは母さんの許可を取らないと見れないからね」
瑠璃「わかった、待ってるね」
間
瑠璃「うぅ…お母さん…辛かったですね…蒼も辛かったね」
蒼「そんなに泣かなくてもいいのに…って、これを初めて見たら泣いちゃうよね。
僕も初めて見た時は泣いちゃったし」
瑠璃「こんなの見たら、誰でも泣いちゃうよぉ…でも、素敵なお父さんだね、蒼が見て欲しいって言った意味がわかったよ」
蒼「会ったことはないけど、僕の自慢の父さんだよ」
瑠璃「私達も、あんな風に素敵な関係になっていきたいね」
蒼「もちろん僕達も、母さん達に負けないくらい素敵な関係になれるよ」
瑠璃「そうだよね。
そういえば、ここから海ってすぐ近くなんだよね?」
蒼「海?あぁ、海に行きたいって言ってたもんね瑠璃。
それじゃ、海まで行こっか」
瑠璃「うん!行く!」
間
蒼「もうすぐで海に着くよ」
瑠璃「楽しみだなぁ、蒼は子供の頃は海でよく遊んだの?」
蒼「もちろん、よく遊んだよ。
海水浴もしたし、釣りもしたし、色んな事して遊んだよ」
瑠璃「それじゃ、蒼にとっても思い出の場所なんだね、ここの海は」
蒼「そうだね…あっ、見えてきたよ」
瑠璃「うわぁ!綺麗な海だね!夕方だから海もオレンジに染って本当に綺麗だね!」
蒼「ここの海はね、夕日が沈む頃に来ると本当に綺麗なんだ、それを瑠璃に見せたくて、この時間に連れて来たんだ」
瑠璃「へぇー、蒼もそんなロマンチックな事考えてたりするんだぁ、なんか意外だなぁ」
蒼「僕だって、少しくらい考えてるよ!それにここは、父さんと母さんの思い出の場所でもあるから、瑠璃にも見せたかったんだ」
瑠璃「そうだったんね…ありがとうね、蒼。
私をここに連れて来てくれて、お父さんとお母さんそれと…蒼の思い出の場所に連れて来てくれて」
蒼「瑠璃…」
瑠璃「なに、蒼?」
蒼「改めて言いたい事があるんだ…僕と…結婚してくれませんか?」
瑠璃「…はい、喜んで…これからもずっとよろしくね蒼」
蒼「必ず幸せにするよ…日も落ちてきたし、そろそろ帰ろうか」
瑠璃「うん…そうだね!お母さんも待ってるもんね」
間
蒼「ふぅ…ごちそうさまでした。
久しぶりに母さんの手料理食べたなぁ」
瑠璃「お母さん料理も凄く上手なんだね、私も、もっと料理上手にならないとだね」
蒼「瑠璃も料理上手だから大丈夫だって、僕は瑠璃の手料理、母さんに負けないくらいに美味しいと思ってるよ」
瑠璃「ほんとに?なんだか照れちゃうな、そう言われると、でもこれから、もっともっと美味しい物食べてもらいたいから頑張るね」
蒼「うん、期待してるよ…それじゃ、そろそろお風呂にでも入ろっかなぁ、瑠璃も一緒に入る?」
瑠璃「なっ、何恥ずかしいこと言ってるのよ!すぐそこにお母さんいるんだよ!」
蒼「あはは、ほんと瑠璃ってすぐ照れるし面白いね、それじゃ、先に入ってくるね」
瑠璃「お先にどうぞ!もぅ、蒼ってほんといじわるなんだから!」
間
蒼「おはよう母さん、久しぶりにゆっくり出来たよ、今日の夕方には帰るね、あんまり長く居すぎても母さんも疲れると思うし。
大丈夫だって、定期的に病院にも行って癌検診はしてるから、僕には遺伝してないみたいだから大丈夫だよ。
僕の事より自分の心配しなよ、母さんには長生きしてもらって、ちゃんと孫の顔見て欲しいんだから、またすぐに戻ってくるから、今度は子供を連れて三人で来るからね。」
間
蒼「瑠璃ー、いい加減起きなって、はぁ…ほんと瑠璃は朝に弱いなぁ」
瑠璃「うぅ〜、あと五分だけ〜」
蒼「だぁめ、ほらほら、早く起きて!もう朝ご飯も出来てるから!ほーら!おいで」
瑠璃「はぁい、おはよぉ蒼、先に顔洗ってくるね」
間
瑠璃「ごちそうさまでした!朝からこんなに美味しいご飯食べられるなんて、蒼の子供時代が羨ましいなぁ」
蒼「僕の自慢の母さんだからね、料理上手だし、優しいし、何より僕から見ても美人だしね」
瑠璃「ほんと蒼ってお母さんの事大好きだよね、私とお母さんどっちの方が好きなんだろねぇ」
蒼「もちろん瑠璃の方が大好きだし、僕にとってかけがえのない特別な人だよ、母さんも同じ様に僕にとってはかけがえのない人だけどね」
瑠璃「うぅー…蒼ってどうしてそんな事、恥ずかしげもなく言えるの?いじわるしてやろうと思ってたのに、私が照れちゃうよ」
蒼「恥ずかしくないわけじゃないよ、父さんのビデオレターを見た時から大切な人には、ちゃんと素直な気持ちを伝えようって決めたんだ。
言葉にしないと分からないこともあるからね」
瑠璃「言葉にしないと分からないこともあるけど、そんなに真っ直ぐに言われると照れるよ」
蒼「これからも瑠璃の事をどんどん照れさせるからね」
瑠璃「またそういうこと言うー!」
間
蒼「それじゃ、そろそろ帰るね母さん」
瑠璃「お邪魔しました、また遊びに来させてもらいますね」
蒼「次来る時は、子供も連れて三人で来るからね」
瑠璃「急に何言ってんのよ蒼!」
蒼「急にでもないと思うけどなぁ、とりあえずまた来るよ母さん」
瑠璃「それじゃ、失礼します。」
間
蒼「やっと着いたぁ、ふぅ…やっぱ移動は疲れるね」
瑠璃「ただいま〜、移動より色んな事に緊張して疲れちゃったよ〜」
蒼「すっごく緊張してたもんね、あの時の瑠璃を映像に残したかったなぁ」
瑠璃「嫌だよぉ、残さなくていいよ…ねぇ、蒼?子供が産まれたら名前どうする?もう決めてるの?」
蒼「名前か…そうだね、幾つか決めてある名前はあるよ」
瑠璃「もう決めてるんだね、どんな名前なの?」
蒼「今はまだ秘密かな、子供ができた時に教えるよ」
間
蒼「実家から帰って来てからもう半年かぁ…冬になってきたし、寒くなって来たなぁ、でも、頑張らないとな、来年の春には僕と瑠璃の子供が産まれるんだから。
…ん?電話?誰からだろう、知らない番号だ…もしもし?……え?…母さんが…そんな、嘘ですよね?だって!半年前はあんなに元気だったのに!そんな……母さん…」
間
蒼「ただいま」
瑠璃「おかえり!どうしたの?」
蒼「瑠璃…母さんが…母さんが…亡くなったってさっき」
瑠璃「亡くなった…嘘でしょ…」
蒼「交通事故にあったみたいなんだ…病院に運ばれたけどダメだったって」
瑠璃「そんな…ねぇ、蒼?我慢しなくてもいいんだよ?泣いてもいいんだよ」
蒼「うっ…うぅ…あぁぁ…なんでだよ母さん…もうすぐ子供も産まれて、また母さんに会いに行くつもりだったのに…なんで…」
瑠璃「今は泣けるだけ泣いていいよ、子供が産まれて成長した時に三人でお墓参りに行こ…ね?」
蒼「そうだね…母さん…少しだけ待っててね、三人でお墓参りに行くから」
間
蒼「やっと着いたぁ…ふぅ、父さんなんでこんな山奥を選んだんだよ…おーい!瑠璃ー、夏海ー早くおいでー!」
瑠璃「早いよ蒼ー!もぅ、パパ歩くの早いねー、もう少しゆっくり歩いてくれればいいのにねぇ」
蒼「父さん、母さんやっとお墓参りに来る事が出来たよ、待たせちゃってごめんね」
瑠璃「ふぅ…やっと追い付いたぁ、夏海、ここにあなたのおじいちゃんとおばあちゃんが眠ってるのよ」
蒼「そうだよ、ここにおじいちゃんとおばあちゃん…パパの、パパとママが眠ってるんだよ」
瑠璃「あなたのおじいちゃんとおばあちゃんはね、凄く素敵な人達だったのよ」
蒼「パパはね、おじいちゃんと会ったことはないんだけど、すごく優しそうで、かっこよくて、おばあちゃんにビデオレターを送ったりするような人だったんだよ」
瑠璃「ママもね、パパにおじいちゃんのビデオレター見せてもらったけど、あの時はすごく泣いちゃったなぁ、お墓参りにから帰ったら三人で一緒に見よっか、パパの泣いてる所が見れるかもね」
蒼「また泣いちゃうかもなぁ…それじゃ夏海、おじいちゃんとおばあちゃんに挨拶しよっか?パパとママの真似して、手を合わせるんだよ」
間
蒼「父さん、母さん…僕は瑠璃と結婚して、子供も授かって、毎日がとても幸せだよ。
父さんと母さんは驚いてるかもしれないけど、僕達は娘に母さんと同じ、夏海って名前を付けたんだ、少しでも母さんと過ごした思い出を忘れないように…瑠璃も母さんと同じ名前を付けるのに納得してくれたよ。
僕達はまだまだ、そっちには行けないけど…いつの日か家族みんな揃ってお酒でも飲もうね。」
間
瑠璃「おじいちゃんとおばあちゃんにちゃんと挨拶できたかな?えらいね、ちゃんと挨拶できて」
蒼「それじゃ、瑠璃、夏海、そろそろ帰ろうか」
間
蒼「父さん、母さん、また来年も、再来年もこの時期に来るよ。
懐かしい夏色に染ったこの山に家族三人でお墓参りに来るから、夏海の成長を見守ってて下さい」