漫才『プロポーズ』
二人「どうも、よろしくお願いしまーす」
ボケ「いやあ、世間はすっかりジューンブライドですねえ」
ツッコミ「大分過ぎてるね。体内時計どうなってんの?」
ボケ「因みに僕は20年付き合ってる彼女がいるんですけどね」
ツッコミ「20年!? そろそろ結婚してあげなよ!?」
ボケ「そう思っていよいよ明日、プロポーズしようと思うんですよ」
ツッコミ「おお!? 重い腰を上げたね!?」
ボケ「でもちょっとだけ不安なんで、今からここで予行演習するからさ、ちょっとお前に見ててもらいたいんだよ」
ツッコミ「ああ、まあ、いいよ」
ボケ「じゃあいくな。――ヒサコ、急に呼び出してごめんな。メグミも、来てくれてありがとう」
ツッコミ「二人いる!? え!? どっちが彼女!?」
ボケ「懐かしいよな、この海。よくヒサコと二人で来たよな」
ツッコミ「ああ、ヒサコの方が彼女かな?」
ボケ「そして、今日で俺達が付き合って、ちょうど20年だな、メグミ」
ツッコミ「メグミが彼女だった!? じゃあヒサコは何なの!?」
ボケ「――メグミ、一生大切にする。だから俺と……結婚してくれ!」
ツッコミ「いやヒサコが気になって全然入ってこない! メグミもヒサコの前でプロポーズされても困惑するだろ!?」
ボケ「……え? 俺とは結婚出来ない……?」
ツッコミ「そりゃあね! プロポーズ現場にヒサコを連れてくるようなやつとはね!」
ボケ「……そうだよな。プロポーズ現場に、母親同伴で来るやつなんて嫌だよな」
ツッコミ「お母さんだった!?!? てかお母さんのことヒサコって名前で呼んでるの!? そしてお母さんと二人でよく来た海でプロポーズしたの!?」
ボケ「わかった、プロポーズはまたの機会にするよ。じゃあ、三人でカラオケでも行こっか」
ツッコミ「メンタル鋼で出来てんな!? もう次の機会は無いよ!」
ボケ「――どうだった? どこが悪かったかな?」
ツッコミ「言わなきゃわかんない!? お母さん同伴のとこだよ!」
ボケ「……そっか、やっぱそれはマズいよな」
ツッコミ「予行演習しといてよかったね!」
ボケ「じゃあ、次は母親同伴無しでやってみるよ!」
ツッコミ「それが普通だけどね!」
ボケ「――メグミ、急に呼び出してごめんな。シゲオも、来てくれてありがとう」
ツッコミ「お父さんもダメだから! お母さんじゃなきゃいい訳じゃねーから!」
ボケ「なら俺は誰を連れて行けばいいんだよ!」
ツッコミ「ソロで行け! その覚悟がないやつはプロポーズはするな!」
ボケ「……わかった」
ツッコミ「わかってくれたか」
ボケ「じゃあ代わりにお前が来てくれ」
ツッコミ「もういいよ」
二人「どうも、ありがとうございましたー」