魚の書き方
短めの魚リベンジ
第一話で「オリジナリティあふれる魚を描くことは諦めろ!」といったようなことを書いてしまったことを今更ながらに後悔したので、今回はスタンダードなタイプのオリジナルの魚をどのように作るかということを魚作り初心者の方でもわかるように丁寧に解説していきたい。
まず最初にやることは魚の形を決めること。スーパーの鮮魚コーナーを思い浮かべてほしい。様々な形の魚が思い浮かぶだろう。どのような形を持っている魚なのか、どのような大きさの魚なのかをまず決めてしまおう。細長く小さい魚、丸くて大きな魚。形が決まったらその形に特徴を加えていく。額の部分が盛り上がっていたり、鼻の部分が長かったり、ヒレが長かったり、下顎が長かったり、ヒゲを作ったりなど。
こうして全体的な形ができてきたら、それに色をつける。他の陸上の動物と違い、色が変わるのは魚の大きな特徴だ。日本の魚でいえばオイカワ、ベニザケなどを調べてみればどんなに色が変わるのか一目瞭然だろう。その魚が普段はどんな色、模様をしていて繁殖期にはどんな色になるのか。ここまで決めたのならばどのような繁殖方法を取るかも決めるのが良いだろう。繁殖方法というのは非常に大きな特色になる。巣を作る、他の種類の魚と同時に卵を産み生存率を上げる、普段は海にいるが川を登り繁殖する、ペアで卵を守る、普段はバラバラに群れを作っているが海岸に押し寄せる。繁殖はもっとも他の生物とのかかわり合いができる場所でもある。石を集めて巣を作り使い古された巣に住む魚、繁殖期に合わせて渡ってきて大量に魚を食べる水鳥など。
形、繁殖方法が決まったのならば、次は食性だ。主に魚を食べる魚食性、エビやカニなどを主に食べるもの、水面に落ちた時の虫を食べるもの。口の部分が決まっていない魚であれば水面を狙う魚ならば上向きに、エビやカニなどを狙う魚ならば下向きになども決めるのが良いだろう。
ここまで出来たのならばもうその生物の生活史を書き上げることができるだろう。例としてあげると、針のように細い魚。口が細長く尖っており体色は黄褐色だが、食餌の時にのみ黄色に光る。水草や流木などの障害物が多い湖畔の浅い場所を好む。昼間は湖底の方でじっとしており夜になると湖畔の浅瀬の方に出てきて光る体でプランクトンをおびき寄せ食べる。それにより湖が光る様子は地元の観光産業を支えており、保全活動がなされている。春から夏にかけ繁殖し、卵は水草の裏に産みつける。生まれた幼生は水面付近に漂いプランクトンなどを食べて育つ。細長く、また夜行性なために鳥に狙われることなく、水中下から見ると水面に反射する月の光のように見えるため襲われることはない。
ただ光るという特性を持っただけの魚だが、こうして書くと興味深い生物になるだろう。水面で光っているこの魚のすぐ下の夜の水草の草原で獲物を探して泳ぎ回る巨大な黒ナマズ、そしてそのナマズが食べる群れを作る流線型の小魚。また湖の深い場所で速いスピードで泳ぎ回るカジキマグロ、そしてそれを食べるドラゴンなど。この魚が生息する湖はどのような湖なのか。そこに釣りにくる人なども考えながら、構築していくと面白いだろう。
また水の中には魚だけではなく、幼虫の時だけを水の中で過ごす昆虫、水に依存している両生類、カメやヘビなどの爬虫類、カニやエビなどの爬虫類、水辺を住処とする哺乳類など様々な生き物がいる。このような生き物を彩りに加えることで水の中の生態系は更により興味深いものとなっていくだろう。