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街の中の生き物

 街の中の生き物と言われて想像するのは容易いだろう。スズメやカラスなどの鳥類。夜に出歩く人ならばタヌキやネズミなどの哺乳類も目にすることだろう。どれも人にとって馴染みのある生き物で、また普通の人にとっては気にも留めない生き物だ。もちろんファンタジー世界にも人の住む環境に入り込むことができた生き物はいるだろう。完璧に人によって管理された都市でもない限りはいるはずだ。都市にいる生き物には様々な特徴がある。人間を過度に恐れない、都市環境でも繁殖が可能であるなど。しかし街での空想生態系を考える時に最も障害となるのは、人に危害を加えないという特徴である。洗濯物を汚す、ボーっとしてると弁当を奪われるなどの可愛いものならともかく、人が怪我をするような危険な生物は都市環境からは駆除される。そのため、ファンタジー世界の他の場所に存在する生物に比べてインパクトが不足してしまうのである。

 何故、ファンタジー世界の生態系を作るのが楽しいのかというと自分で自由に考え、作ることができるからであるのだが、人の営みと共存できるファンタジー世界の生き物を描くのは難しく、また考えていてつまらないものでもある。要するに現実世界に存在するスズメやカラス以上のものが生み出しにくいのである。人間が中心であり、生物ピラミッドの規模が小さいために食べる食べられるの関係も描きにくい。

 もちろん、スズメやカラスのような人にとって特に興味を引く対象ではない生き物を描いても良い。だがそれでは面白くない、もっと個性的な街に暮らす生き物を描きたいという欲求もあるだろう。

 人の生活を脅かさないファンタジー世界の生物をどう描くか。3つの方法をここに記しておこう。


 1つめは「人間側を強くする」である。人を害する生き物は人間の都市では排除される。ならば人間側を強くしてしまえばそれは解決する。せっかくのファンタジー世界、人を好きなだけ魔改造してしまおう。例えば火を吹くワイバーンが空を舞っているが、人々は常に魔法の護符を身につけているために火のブレスも効かないし、力が強いために襲われても撃退できる。それを知っているため、ワイバーンも人を襲おうとはしない。ワイバーンは空を飛び小さな虫を食う鳥を食べ、人の屋根の上で巣を張る。そう、人間を強くすることができるならばカラスや野ネコ、野良犬をバージョンアップさせてしまえばそれでファンタジックな世界を演出できるのである。昼間はいつも道端で寝ているが夜になると起き上がり街の外に出ていき狩りをし、朝になるとまた帰ってくる2mを超える大型のネコ科の肉食動物。大型動物が都市で寝ているなど信じられない、違和感がある、と思う人はインドの牛の写真を検索してみよう。(筆者はコロナ騒ぎの前にインドに1週間ほど行っていたのだが、牛や野良犬が普通の街の中にわんさかいたのが怖かった。インドに人が普通の顔して通行の邪魔になってる牛を追い払ってるのを見て慣れって怖いなぁと思った。)この方式を使ってしまえば火を吹く生物でも、怒ったら雷を落とす生物でも、街で人と共存できるのである。

 2つめは「人の営みを変える」である。何故多くの人にとって都市の生物がどうでも良いのか、それは自分の生活に生き物が関係していないからである。多くの生き物を利用する街を作りあげてしまえばいいのである。例をいくつか上げると、街の中で大量の草食動物を囲う、それを狙ってきた肉食動物を狩って暮らす。肉食動物にとっては簡単に獲物を狩れるが、同時に自らも狩られる危険な狩場となる。これだけで街に現れる多くの肉食動物を描ける。他にもベネチアのような水の都で船を生き物に引かせる、その生き物の餌となる多くの種類の魚、街の水路に住む厄介な害獣、時折紛れ込む凶悪な捕食者など。人の営みを生物と関係させることにより、そこに小さいながらも生態系を作ることができるのである。

 3つめは「なんの変哲もない生き物に物語性を追加する」である。人と親しい距離であったからこそ生まれる物語がある。古い時代い生きた詩人がその生き物について読んだ詩を紹介してみたり、街に生きるその生き物を説明するついでにペットとしての魅力も説明する。その生き物に都市の姿と他の地方の姿との説明をつける。ただのスズメに似た鳥であっても「春になると番になって飛ぶ姿を見ることができ、恋人の鳥を意味する〇〇とも呼ばれる」などの説明をつけるだけでも、ぐっとそれらしくなる。





結論を言うと、街の主役の生き物は人間なので人間の生態を描きましょう、ということです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] やはり都市は人が住む以上、人間と関わる動物が多くなりますね。 [一言] 貴族のペットとして他の地域の動物(モンスター含む)を出すこともできるので、出せる生物のレパートリーでいえば街は多そう…
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