森林の生き物(木)
空想生態系において植物なんて考えるもんじゃありません。
森林とは一言は説明できるものではない。今回はどのように森林の生態系を構築する上で考えることを避けられない木について書いておきたい。
森林とは木の集合体である。どのような木が生えているかを考えるのは楽しみともなり、時には苦しめることもある。生態系の根幹である木だが空想生態系に組み込むにあたってオリジナリティをだすことは非常に難しい。無理にオリジナリティをだすとそれは生態系の中で逸脱し、違和感が現れることが多い。これは植物に動きがないということもあるが、植物にオリジナリティをだすということは読者に植物を意識させるという行為でもあるからである。植物とは生物ピラミッドでも下層に位置し、膨大な種が存在する。際立った特徴を持つ1つのオリジナリティあふれる植物をだすと、読者はそれしか記述されていないことに違和感を覚える。そのため、よほど植物に情熱がなければ考えるのは無謀であるといえるだろう。舞台設定として特徴的な植物をだすのならばオリジナリティをだしてもよいが、空想生態系構築では植物にオリジナリティをだすのは地獄への入り口であるともいえる。
私が提言するのは木を考えるのではなく森を考える、ということである。現実の森の特徴を元にしてそこから木を考えていく。森といってもただ木が集まっている場所ばかりではない。それぞれ特徴というものがあり、それを活かすことで魅力的な森を作ることができる。1つ例をあげてみよう。
例にあげるのはイエローストーン国立公園の森だ。イエローストーン国立公園はアメリカにある四国の半分ほどの大きさの国立公園であるが、この森には森林火災が頻発に発生するという大きな特徴がある。しかしそのイエローストーンの森を形成している松は森林火災に適応しており、火事になって始めて種が撒かれる松ぼっくりを作る。現実のイエローストーン国立公園は落雷によって火事が起きるのだが、この火事の原因を竜が吹く火としてみれば面白くはないだろうか。
他にも屋久島や白神山地、ボルネオの熱帯雨林、アメリカのオリンピック国立公園など様々な森が世界には存在する。そのような森をモチーフにすることで良い空想生態系を構築することができる。また現実の場所をモチーフにすると写真を見ることができるのでイメージがしやすいという利点がある。
熱帯雨林はイメージと違って実が少なくまた背が高い植物に覆われているため下草も少なく人が暮らすには厳しい環境であるということを知っていれば、実を大量につける木が多い熱帯雨林というアレンジもできる。
様々な森を知っていれば自ずと面白い空想の森ができるだろう。空想の森を作ったあとは前回の「海の中の生物」の例であげたように、地名+木の名前で表示するといいだろう。ただの杉ではなく、ワシントン杉などとするだけででグッと雰囲気がでるだろう。
それでもどうしても植物から考えたい。自分は最初から全てを考えたいという方のためにここで空想植物の作り方について書いてみる。オリジナルの世界の観葉植物を作りたいときに役立ててもよい。
何をもって植物とするか、それは幹の有無である。例え炎の葉を持つ植物であっても幹があれば植物といえるが、シカの角の部分に角の代わりに植物が生えているものは動物であって植物とはいえないだろう。また動く植物というものも特殊であるため除外する。動く植物が許される世界ならば犬に似た姿の植物、鳥に似た姿の植物などが考えられる。またそれによって草食動物も捕食者となり生態系は地球のものとはまるで違ったものとなっているだろう。
さて幹と動かないという2つの軸が決まったことでこの枠内でどのように木をアレンジするかということだが、アレンジの仕方としては2つある。1つめは葉をアレンジするということである。葉さえアレンジできてしまえば、それは立派なオリジナリティあふれる木ができるだろう。例としては刺激を受けると幹に引っ込む葉や炎でできた葉など。
2つめは木の見た目以外の場所に特性をつけることである。葉がお茶になる、薬になる、燻すと良い香りがでる、食べると不死身になるなど。
このように木のアレンジは非常に難しい。その理由として最も大きいのは植物が非常に多種多様だからである。実だけでも爆発するもの、空を飛ぶもの、動物の体にくっつくものと創作者泣かせの多様性を誇っている。やはり植物は自分で考えるのではなく、自分が作りたい環境の植物を流用するのが良いだろう。
何かネタを思いついたら書きます。感想か何かでネタをくれたらそれもまた書きます。