不思議な光を纏って
空き教室前
(奥村はそのままドアノブを引き元の世界へと繋げました。)
琳:「…んーと モノの想いを掬って悪魔…を
ん?」
ぜんっぜん何言ってるのかわかんねぇ。
じいちゃんも長々と話してたけど…。
琳:「なんだっけ 人が植物状態になるとか脳死とかって…」
(と言うと奥村は少し驚いた様子で鬼城を見ました。
そして関心したような口調で言いました。)
楓:「へぇ それは聞いたんだ
それを覚えていた君に少し関心したよ
確かに、植物状態になったり最悪の場合脳死になることがある
まぁモノが引き起こす悪影響はそれまでだけど、脳死になってしまえば死に至ることがほとんどだよ」
琳:「要は直接的に死ななくても間接的に死を与えてるってわけか」
(さらっと放たれたその一言は意外にも誰より簡潔でわかりやすいものでした。
そのことにより一層関心した奥村は更に話を続けました。)
楓:「そうそう、そういうこと
なんだ意外と理解してくれてて安心したよ
エクソシスト知らなかったとわかった時はもう…」
琳:「う、うるせぇ!
地味に上げて下げんじゃねぇ
俺ぁ褒められて伸びるタイプなのー」
(先程のことを思い出し、クスッと笑った奥村に対し面食らったようにして食らいつく鬼城。
しかし、この直後思いがけない言葉が鬼城から発せられました。)
琳:「ところで….植物状態と脳死って 何ですの」
楓:「…はい?」
(聞き間違いかと思っているようです。鬼城の次の行動を待っています。)
琳:「いやだから、植物状態と脳死ってなんですか」
楓:「…うそでしょ
今までそれ知らないで知ったかぶりしてたの」
(呆れたように言う様子は先程関心していたのを前言撤回したかのようでした。)
琳:「知ったかぶりというか…雰囲気で理解したの! ある意味すごくね?」
(無駄に目を輝かせ自慢げに言う鬼城に対し平静に「ある意味ね」と強調して言いました。)
楓:「元々は知らないんじゃないかと思ってはいたけどね
…植物状態っていうのは脳が正常な働きをしないことさ 一部機能しないともね
死んでるわけじゃない 心臓は動いているし眼も開いている、声も発するし反射的に行動することもできる
ただしそれらのアクションは意図的に行動しているものじゃない
考え、行動に起こす為の部分が欠落している状態だからね
脳死は完全に機能を失い、生きる為に必要な機能すら働かなくなり呼吸器系だっていずれ機能しなくなる
植物状態と脳死の違いは生きる為に必要な機能がなされているか、そうでないかだよ」
(奥村を目を細め見つめながら、なんとか理解しようとしている様子でした。)
琳:「そんでもって脳死は心臓も機能しなくなっていくのか?」
楓:「うん 植物状態で脳が正常に機能して生活できるように快調した人もいるけどね 確率で考えたらさほど多くはないんだ」
琳:「なるほど それはやばいな」
楓:「でしょ?
だから僕や、これから君がなろうとしているエクソシストが必要になるんだ」
(ここでようやく鬼城は自分の置かれた状況を把握することが出来ました。
しかし、ひとつ疑問が浮かび上がりました。
学校から出て当たり前のように施錠し、再び歩き始めたころです。)
琳:「ところで、じいちゃんが言ってたんだけど」
楓:「んー?」
琳:「このマギアリトスのことだったり、きっとあの世界のことだって誰にも言っちゃいけないと言われた
それはなんで?」
楓:「…あぁ それはね
50年ほど前に部外者に知れ渡ったことでちょっとした問題が起こったからさ
大事には至らなかったみたいだけどその教訓を経て機密情報にしたっていうわけ
単純な話だよ」
琳:「なるほど」
(そう言っている間にお互い違う道で帰るところまでたどり着きました。)
楓:「けど、僕も君も互いに情報を提供し合える状況下にいる
だから何かあったら月曜日に聞かせてね
それじゃあまた」
琳:「…おうよ
またな!」
俺、昨日の昨日まであいつのこと不気味がって嫌に思ってたけど…
面白ぇじゃん。
(ニヤニヤしながら一人で歩く鬼城。
おもむろにスマホを取り出すと「12:57」と表示されていました。)
琳「え、やっば!1時なっちまうじゃねぇか!」
(そう言うと強い日差しを背中に浴びじんわり汗が染みる中全力疾走するのでした。)
琳:「…っはぁ!
1時過ぎちゃったな… まぁいいか」
(振り切るようにドアを開け勢いよく自宅に戻ってきました。
息を切らしながらも軽々しく階段を駆け上り部屋に入りました。
机の中心に巾着袋が置いてありました。
慣れた手つきで石を取り出し、いつも通り磨き始めた
その時でした。)
琳:「…んん!!!!?
なんだ…!!!!???」
(鬼城の手のひらで石は突如光だし、太陽の反射と相まって眩いほどの蒼い光が
鬼城を一緒にして包み込まれたのでした。)