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物語ーモノオモイー  作者: 万里
6/10

異世界へー序章ー

琳の部屋

(あれから鉄平には「誰にも言ってはいけない」と念押しをされ、行ったり来たりする意識の中部屋を出ました。

頭の中にはもう石のことで埋め尽くされている状況です。


下手すれば抹殺される、それも鉄平に。

その恐怖へと集約する脳内は、もう何をするにも集中できなくなっていました。

茫然とした中で夕飯もお風呂も歯磨きも着替えも全て終わらせ、布団の中に入っている鬼城はふぅ、と自分の中に溜められていた重い空気を吐き出しました。)

俺はこのことを望んでいたはずだ。

非日常を。だから恐怖一色かと言われたらそうでもないし、何かを求めている自分だっているのは確かだ。

けれど、実際にこうなってみると上っ面な感情で言っていたことなんだろうと実感した。


あぁ怖い。

(再び溢れんばかりのため息をつき、モソモソと寝相を変えました。

しかしその数秒後、思い切り布団を押し上げ勢いよく上半身を起こしたのです。)

琳:「あっやべ!

俺…じいちゃんに明日楓に会うこと言ってねぇじゃん…」

(心臓の打つ脈がはっきりと聞こえました。

焦る鬼城でしたが、改まって言うことではないかと考えました。)

そうだ、きっとそう。だって石のこと知っていても大丈夫って言うんだから特に言う必要もない、か。

(冷静を装おうと必死に考えた末にたどり着いた思考がだんだん正しいと思い始め、脈の打ちも治っていったのです。

何事もなかったかのように再び横になり、再三のため息をついて眠りにつきました。)


翌日の朝、いつもより一時間ほど遅く起き、軽々しくあくびをしました。

いつも通りの時間が流れています。

当たり前かのように着替えを済まし、リビングに着くといつも通り鉄平はいませんでした。朝のランニングです。

鬼城は牛乳一杯を飲みほして、「用事があるから出かけてくる」と母に言い学校へ向かいました。)

やっぱり一晩経てばどんなに重い出来事でも踏ん切りつくもんだな。

どうにでもなれ、って思えている自分がいる。


(いつも通りの通学路、昨日喧嘩をしていた猫はどうなっているのか少し興味がありました。

けれどそこに猫はおらず、それどころか今まで居たという痕跡すら見当たりませんでした。)

なんだ…どこかへ行っちゃったのか。

仲良くお引越ししたのか、一生のお別れを告げたのか。

(憶測を考えている間、内心に笑みを浮かべていました。

しばらく推測をしているといつのまにか学校に着きました。

けれど鬼城には最大の不安があったのです。)

来たのはいいんだけどさ…。


琳:「集合時間って …いつ?」


(見上げる空は蒼く、どこか石に似た色にも見えました。スマホには『10:45』と写っていました。

土曜日のため通常通り生徒玄関が開いているわけがなく、仕方がなく陽に照らされながら奥村を待つことにしました。


それから約一時間が経ちました。)


琳:「…おせぇぞ」

楓:「いやぁ これでも早くに来たつもりだったんだけどね」

琳:「ったく、集合時間を確かめなかった俺も悪いが…」

楓:「あぁ、本当にごめんね

僕も君と別れてしばらく経ってから気付いたもんだから遅くってね 琳君なら午後にくると思ったから」

琳:「それ悪口じゃないよな」

楓:「え、ち 違うよ」

(そう言うと奥村はそそくさと一本の鍵を取り出しました。

さも当たり前かのように生徒玄関の施錠を外し、「中へどうぞ」と鬼城に目線を向けるのです。)

琳:「…は?おま、何勝手に開けてんの…?

もしや、お前の親はここの校長でしたーとかそういうやつ?」

(戸惑いながらも中に入り靴を履きます。)

楓:「その一文のみで言うなら間違いではないよ

でも僕が鍵を持っている理由はそうじゃない」

(そう言うと昨日の空き教室の前に立ち再び同じ鍵をさし、回しました。

どうやらマスターキーのようです。

カチャッとハマった音が響いたのち楓は笑顔で鬼城にこう言いました。)


楓:「さぁ 異世界への幕開けだ


準備はいいかい?」





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