オフサルマパティゾーオン
無垢なる空間
琳: :「…」
なぜだろう。
あのシャルドだかって人に触れられた時とは比べ物にならない。
全く悪い心地がしないんだ。
タバコがないから?
いや違う。
純粋で汚れを全く感じさせない、まさに真っ白な感覚だ。
このナキって奴がそんな想いで俺に触れてるから?
(不思議な感覚に駆られている間、しばらく沈黙が流れていきました。
ナキは目を閉じて鬼城の頬に触れていましたが、そのままゆっくりと羽を下げていき、再び話始めました。)
ナ:「…まぁ良い 本題には入ろう
エクソシスト、というものがあることは知っているか?」
(鬼城は「当たり前だろ」と、石の中から見てたならわかるであろう情報をなぜ逐一聞かれなくてはいけないのかと思っていましたが、すぐにそうではないことに気がついたのです。)
琳:「…あ そうか
あの時はマギアリトスを持って行かなかったから…!
えーっと、モノの想いを掬って浄化させるとかなんとかって言ってたな」
(「あの時」とはなんなのか、ナキは少し気になっている様子でしたが特に問うわけでもなくそのまま鬼城の話に耳を傾けているようです。)
琳:「エクソシストってのはそういう役目があるっていうのは理解したつもりだが、それとマギアリトスとの関係性はよく分からなかったからな
つまり、詳しくは知らない」
ナ:「なるほど 十分だ
妾から話そう」
(と言うとナキは重たげな胴体をゆっくりと右に回しドスドスと足音を立てながら歩き始めました。次は左へと向かう素振りを見せたので、どうやら何かをこと細かく説明する際はよくみる人の動作の一種である「"話し"ながら歩き」をするということがわかったのです。)
琳:「…いや ちょっと待て
そのまま歩きながら話されると足音で掻き消されるから止まって話してくれないない…?」
ナ:「…そ、そうか
それは確かに否定しない すまぬ」
わお、素直。
ナ:「…改めて話をしよう
まず琳、お前がわかっていないマギアリトスとエクソシストの関連性について話そう
妾のようなオフサルマパティゾーオン…幻の生物はお前の同じ世界線にはいない
全くの別次元に生存する
妾とお前のいる世界線を繋ぐためのアイテムとしてマギアリトスがあると考えた方がわかりやすいだろう」
琳:「おぉ、わかりやすいぞ」
ナ:「妾の世界には一つの空間に一つの生物と決まっている
要は他にも妾と似た奴らはいると判明されているものの互いに同じ世界線で出会うことはまずない、ということだ」
琳:「へぇ…」
確かに、この空間は無駄にだだっ広いというか終わりがどこなのか、あるのかすらわからないくらい一面の白。
ナ:「しかし会うことはある
それはオフサルマパティゾーオンだからこそ成し得る役目に互いが遭遇するとき
まぁ会ったからといって何かがあるわけではないが この空間、世界線はそういうものだっていうこと」
琳:「ほうほう」
ナ:「問題は妾のようなオフサルマパティゾーオンの役目とは何なのかということだろう
それは、ジョウカすること」
琳:「…ジョウカって、浄化?」
ナ:「いや、浄火だ
そして人が浄化する」
琳:「は…?いや、ちょ
もう無理わかんない」
(「確かに今のじゃ琳にはわかるはずがないか」と嘲笑うナキに無意味な抵抗をしてみましたがもはや相手することなく丁寧に説明をし始めました。)
ナ:「情によって取り憑かれたモノを有害なものにしないためには浄化する必要がある
その浄化をする上で最も必要とされる清らかな火、清火を妾たちは体内に蓄えられている
オフサルマパティゾーオンは妾のような鳥類に限らずたくさんの種類がいる
そのために共通して清火を蓄えていたとしても放出方法は異なる」
(話が進むにつれてついていけなくなった鬼城はデジャヴかのように再び睡魔に襲われます。
それを見兼ねたナキは自身の羽を一枚、器用に嘴で捉え抜いた途端に宙へと投げたのです。
ヒラヒラとゆっくり鬼城の目の前へと舞い降りていきます。)
ナ:「その羽を握れ」
(と言うと眠たげな表情の鬼城は何も言わず無心でその羽を握りました。
すると、みるみるうちに羽先が細長くなり羽型の筆へと変貌したのです。)
琳:「…ぉわぁあお」
(ぼんやり感動した鬼城ゆっくりと状況把握をしているようでした。
ですが、その数秒後のことでした。)
琳:「…
っ!!!!?は! 火!火!え、燃えた!?」
(筆へと変化した羽は羽先へと向かい徐々に燃え始めたのです。
燃え尽きるまでには約5秒とかかりません。
さすがの睡魔も消え失せ反射的にその羽を手から離したのです。
火はとても鮮やかな蒼でした。
ギリギリ火に触れたか触れてないかくらいで手を離したにも関わらず全く熱気を感じませんでした。)
琳:「ちょ…とナキ!!!!
あぶねぇだろ何考えてんだよ!」
(九死に一生を得たかのような焦りを覚え怒鳴りつけましたが、ナキはとても楽しそうに笑っていました。)
ナ:「安心せよ その火は人に燃え移ることはない 焼き尽くすこともない、優しい火だ
ただこれで眠気は覚めただろう?」
琳:「ぐっ…」
(悔しがる鬼城をよそにナキは話を続けました。)
ナ:「この羽一枚一枚がモノを助けるアイテムだ 筆になったのも燃えたのももちろん意味がある
これからお前がなるエクソシストにはなくてはならないもの
そしてやらなければいけないことにこの羽が、
必ず付き纏うのだ」




