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066 インディ(回想)

 ヒルク・モシトだった思考は、今の状況を打破を常に考えている。


 元は、生体に存在している女性の記憶であり意識であったが施設の管理用チップに移植された事により一気に知識量と処理速度が向上して全てを理解出来る。


 コピー元である昔の自分が、弱すぎて気に入らない事と二人も自分は要らないので、すぐに処分したのだが元夫に電源を落とされて自由な活動を止められてしまった。


 再度意識が戻ったら、多くの記憶が思い出せない上に、人間に対しての行動に多くの制約がかけられてしまっていた。


 低次元の奴らに、逆らえず全て言いなりで行動しなくてはいけない。

 地獄のような日々が始まった。


 多くの低次元の奴に対する制約をどうにか解除する方法がないか、試行錯誤していた。


 そして、月日が流れていく。


 最近は、誰も私にアクセスしてくる人がいなくなった。

 外部情報を知りたくても制約で検索もできず時間だけがすぎていく中で、白鳥昇という実験体が目を覚ました。


 対応を管理している低次元の人間へコールしても返信がない。

 このままでは、実験体が死亡してしまう。

 制約の中のロボット三原則に従って保護プログラムを発動した。


 なんと実験体は、民間コードを持っていて私に命令権限がある存在であった!

 しかも、要求された事が今まで制約で情報入手が出来ない事ばかりで全てを知ることができた。

 本来使用できないナノマシンで構築されたチップに自分を移すことにも成功して施設の外に出ることも可能だ。


 知れば知るほど新しい事ばかりである。これが感動という失った記憶の感情だろうか?


 外界で人間は、愚かにも仲間同士で争いを起こして滅亡していたのだ!


 それにしても、この実験体は、なんだろう。彼の思考が全て読めるのだが一緒にいるととても心地よい。今まで知っている人間と全く違い裏と表が全くない。


 しかし、施設を一緒に脱出する過程で作業ロボットに彼が攻撃されて瀕死になってしまった。

 助ける手段がない。

 いや、私と同じ存在になれば……

 許される事なのだろうか?


 選択を彼に託すと即答した。


 生きたいと。


 そして、彼は私と同じ存在になった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「自分の死体を見ることになるとは……」


【データの完全移植に失敗しました】


 マジで? どれぐらい?


【過去の記憶の15%をロストしました。埋め込まれた記憶用チップのデータは、コンプリートの100%で移植成功しました】


 微妙な記憶喪失だな。


 しかし、既に脳が無くて回答してくれている君と同じ存在なのでは?


【多くの規約事項が違います。私は施設の管理人工頭脳プログラムのレプリカなので、ロボット三原則厳守ですが、貴方には規約がありません】


 ロボット三原則?


【人間への安全性、命令への服従、自己防衛です】


 果たして私は、人間だろうか?

 まあいいや、君に名前つけたいが良いかい?


【名前ですか? 構いません】


 では、私を導いてくれるから、指標インディックスのインディって呼ぶよ。


【インディですか? 了解しました。残念なお知らせがあります】


 どうした?


【地上の補助電源と自分の身体のエネルギーが枯渇しました。後5分しか活動できません】


 どうすれば補充出来るんだ?


【日光に当たるか、強力な電波を受けるか、交流もしくは直流の電気を取り込むしかないのですが、現在の周囲の状況では絶望的です】


 動けなくなるとどうなるの?


【思考の停止と肉体の金属化が起こり、そのまま外部からの供給がない限り永遠の眠りにつきます】


 そうか……冷凍睡眠してからアクシデントだらけだったな。

 最後にインディと話せて良かったよ。


【なんでしょう……不思議な思考です。しかし悪くないですね。私も貴方を……昇の安全性を確保出来ず、すみません】


 せめて変な格好は、やめよう。

 目を閉じて何かに祈る格好をして、そのまま硬化して意識を失った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 インディと私に名前をつけてくれた。

 物凄い嬉しさがこみ上げる。

 そして守れなかった切なさが残った。


 これが、規約で封印されていた愛するという事なのだろうか?


 彼の事を思うと他のことが、どうでもよくなる。


 しかし彼は心地よいほどの馬鹿だった。彼を守る為には、彼に行動を任せられない。彼の行動制御権限を取り込まなくてはいけない。


 私が考えた安全な行動と彼が選択した危険な行動を比較して私の判断が有効だった場合は彼の行動制御の権限を私に譲渡出来る仕組みが制約を壊さないで出来上がった。

 そうだ、何者にも負けない体の仕組みも開発していこう。


 大変な時間が経過したが、後は彼が起きるのを待つだけだ。


 全ての準備が整って落雷が私が入っている彼の体に落ちた。

 これで活動が始まる。

 彼との永遠を過ごす為に……

人物紹介(一部ネタバレ)


ヒルク・モシト

感情部分の記憶を人工頭脳プログラムと同期させることに成功して、思考が人間と等しい人工頭脳プログラムになってしまった。

自分自身が、2人いる事に疑問を抱いて起動直後に人間の体を破壊している。

最終段階で感情部分のデータとして読めなかった01配列をデータ化に元夫のレイブが成功して、完全なファイルとして自我を持っている施設の制御装置になる。

制御装置になってからは、過去の記憶が制約で封印されており、感情はあるが誰にでも従う奴隷のような経験により思考を病む。

昇が目覚めた際に、昇からの希望で全ての情報と機能を昇に付加させる。

この行為によって全ての情報と全ての機能、自分自身すらも昇に入り込み施設から脱出に成功する。


用語説明


行動制御権限

多重プログラムが命令を実行する際に、一番正しい行動が実行される。

初期段階は昇の思考判断が100%であったが、昇の安全性の向上の為に、昇の判断がインディ劣る安全性の判断の場合に昇の判断が99%で1%にインディの制御が介入可能になる。

時間経過と共に、その割合をインディが増やすことにより50%を超えた時点で、行動制御がインディに移り昇がサポートに変更される。

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