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058 強制上陸艦

 ロメロ司祭に案内されて、マージョいるオリタリオ島へ行くために船に案内される。

 途中に、多くの教団員ではなく司祭クラスの服装をした司祭に出会って、そのたびにロメロ司祭がなにかの指示を出していた。


 インディ彼らの会話を拾う事が出来るか?


【何かを隠しているのでしょうか? 暗号化されている断片的な会話をしている為に、音声を拾えても意味が分かりません】


 ロメロ司祭はルナの配下だと思っていたが、そういう訳ではないのか?

 船へ向かいながら、斬りこんだ話をしようと思った。


「ロメロ司祭は、何者だ?」


「ムーンクレスト教の司祭ですよ。ルナ様の様々な奇跡を信じて従う者達です」


「では、質問を変えよう。司祭達が持っている特殊能力は、どこで手に入れた?」


「……そうですね。ノボル様なら知っていると言う訳でもないですね。今から会う人に聞けば全てが解決すると思います」


「会う人?」


「私を産んだ人物になります」


 司祭を産んだ? 改造したではないのだな?


「ルナの情報だと、司祭は身体の問題があってルナに治療された人々や特殊な能力を持っていて彷徨っている人がなっていると思ったが?」


「それは、ルナ様に誤解してもらう建前ですね。後は、今から会う人物に聞いてください」


 ルナの支配下の演技をして、ロメロ司祭に指示しているルナ以外の人物がいるという事か。


【私の推測だと、演技ではなくロメロ司祭はルナに仕えていると思います。ルナと同格の存在がいるという事だと考えられます】


 ルナと同格と言うとインディ?


【……ルナごときが私と同格? ふーん、そのように見られるのは心外ですが、昇の頭ではその程度なんでしょうね】


 馬鹿にするような、インディの思考が頭に響く。


 ではインディは回答がわかっているのか?


【おそらくですがマージョだと思います。何か考えがあってルナと関節的にしか接触していないのではないでしょうか?】


 今から向かう場所に存在する人工頭脳か?

 ルナと一緒で会えば、全てがわかりそうだな。


 移動中に、気になっていたキラスとレベロがどうなったか聞いてみる。


「キラス様は、ルナ様とノボル様の和解を聞いて、既に公務を行っていますよ。ノボル様と一緒に行動したいと揉めたようですが、お兄様のバスル皇帝に止められたようです。レベロは、ノボル様の従者と言う事なので先に船に移動しています」


 レベロが、ついてくるのか?


 港に接近していくと港の船着場に、巨大な船影が見えてきた。

 船の上に戦闘機やヘリコプターが搭載されていた。


 あれって空母ってやつじゃないのか? 遠くから見ても300mぐらい大きさだぞ!


「あの大きな船で行くのか? 空母!?」


「そうですよ。空母と言う言葉は初めて聞きます。空母に関しては良くわかりませんが、強制上陸艦とルナ様はいっておられましたね。既に出航準備は終わっていますので、行きますよ」


 ロメロ司祭が、空母ではないと否定する。


 強制上陸艦!? こんなに大きいの?

 接近して、船に乗り込む桟橋まで到着するとインディの説明が聞こえた。


【空母ではないですね。ワスプ級強襲揚陸艦だと思われます。外観上は、空母に見えますが、艦尾には喫水線ギリギリまでウェルドックを防護する大型扉があるので小型船を発進できる艦艇ですね】


 ほうほう、島に接近して小型艇で行く感じかな?

 船に乗り込むとレベロが待っていた。


「お、流石ノボルだな。ルナを従えたと聞いたぞ。対応が手の平を返すように良くなった……グフ!」


 話している途中で、ロメロ司祭がレベロ首を片手で掴んで発言を止めた。


「お前に従ったのではない。ノボル様に従っただけだ。ルナ様を呼び捨てにするとは、許せぬな」


 見かけでは判断できなかったが、凄い怪力で首を掴んだまま、レベロを持ち上げる。


「な……なめるな……」


 レベロが、圧迫された喉から苦しそうに声をだす。


 グサ……シュ……


 首をつかんでいるロメロ司祭の腕を、レベロが両手でつかむと指が鋭利な刃物に変化してロメロ司祭の腕を両断した。


「おお! これは、素晴らしい。ノボル様の従者だけの事はあるのか? ただの荷物持ちかと思っていました。失礼いたしました。レベロ様」


 ロメロ司祭がレベロの掴んでいた右腕を切断されているのに落ち着いて答える。

 不思議な事に血が出ていない。


 切断されて握力を失ってレベロの首をつかんでいた手が地面に落ちる。

 それを左手で拾い上げて切断された右腕に接合させると、斬られて切断されたことが嘘だったかのように右手の指が動き出した。


「私は能力がある方々は尊敬しています。私にとって、この程度の怪我は怪我に入らぬのでレベロ様は気にしないでください」


 元に戻った右手を開いたり閉じた入りしながらレベロへ伝える。


「わ、わかればよいんだ。ノボル、ルナ……様と仲良くなったようだな。今後の事で相談もしたいし、後で私の部屋に来てくれ」


 ロメロ司祭をにらみながら、つぶされかけて喉を押さえてレベロが言った。

 やっぱり、ロメロ司祭もいろいろ特殊な特技があるようだ。


【肯定、リジェネレーターかもしれまんね。再生能力に特化した人物のようです】


 まぁ、このままロメロ司祭が言う、人物に会えば全て解決な気がする。


【そうなりますが、ルナからもらった情報だと島への侵入はかなりの難易度のようです】


 インディなら余裕では?


【私だけでは、どうでしょうか? 昇と一緒ならば、そうなりますね】


 船に乗り込んでロメロ司祭に後を追いながらインディと脳内で会話をしていと、多くの人が桟橋を利用して船から降りて行く。


「出航するのに、人が降りて行くのか?」


「この船は、最低限の人数で行くことになります。ノボル様の部屋はこっちらです」


 ロメロ司祭が船内を案内しながら即答した。


「私はいったんここを離れますがお部屋でお休みしててください。出航後にまた来ます」


 そういい残すと、急いで艦橋の方に移動していった。


「レベロの部屋が分からないな?」


 生身の喉をつぶされかけたので苦しそうだったために、あの場に置いてきてしまった。


【大丈夫ですよ。レベロにインプラントした私の一部からの情報だとレベロのバイタル正常です。この規模の船に対して最少人数で行くことが気になりますね。しかし多人数がいたとしても昇と私の全ては足手まといにしかなりません。当面の目的は、昇が鎧を脱げるほどのナノマシン量の回復でしょうか?】


 あまり、黒鎧製作から時間が経過していないため黒鎧を脱いで、見た目を人間にするほどナノマシン量が今はない。


 考えることをやめて、部屋のベットに黒鎧で座ったら、ベットが変形してフレームが曲がっていしまった。


「体重が重いの忘れていた」


【昇らしいですね……】


 失敗は昇らしいと言う表現に落ち着きそうだなと考えながら、出航まで消費エネルギーを節約するために脳の処理速度を下げはじめた。

用語説明


同格

資格・格式・地位などが同じであること。


空母

航空機を多数搭載し、海上における航空基地の役割を果たす軍艦。


ワスプ級強襲揚陸艦

全長260m、全幅50mであり、1900人近い人員と戦車を含む各種装備を積載しそれを港湾施設を使うことなく上陸させる能力に加え、輸送用大型ヘリコプター、垂直離着陸機を運用できる能力を持った「空母」としての顔を持つ軍艦である。


リジェネレーター

再生能力に特化した生命体。この世界の定義では半分にされても再生しうるレベルからそう言われる。


人物紹介


ロメロ司祭

ルナ側のムーンクレスト教の司祭である。

マージョに生産された、再生能力と視覚強化に特化している人工生命体である。

性格は激昂型で感情の起伏が激しいうえに、一般の能力がない人物はゴミのように思っているが、過去の技術を保持する人を尊敬して敬う。

旧世界の技術の結晶ともいえる月の中央コンピューターであるルナに忠誠を誓っているが、もう一つ同格の存在にあたるマージョにも忠誠を誓っている。

マージョからは、ルナの制御と情報操作を任務として与えられている。

ルナを従えた昇をルナと同格以上に考えており、始祖(過去の特殊技術を作り出した人類)の生き残りだと予想しているために彼の中で昇は、もっとも尊敬できる対象になりつつある。

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