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051 月の歴史

 生体実験施設へ、ガードロボットで女性を抱きながら、ステラとコアとスパルと一緒に移動中である。

 掃除ロボットからガードロボットに体が変わってから、ガードロボットの性能が良いせいか動きやすい。


 スパルに月の事情を質問しても回答が理解できないために、月コロニーのシステムにアクセスが成功したインディに、いままでの月コロニーの話を聞くことにした。


 それで、何処までわかったの?


【月コロニーのログを解析していますが、詳細ではなく軽い事ならすぐに話せますが誤差があるかもしれません】


 それでよいですよ。まるっきり状況がわからないのでお願いします。


【西暦3015年に月コロニーの上部の月基地内の実験施設にある中央コンピューターのルナ・イシュタルにコロニー管理者が最終命令を出した後に、大規模なクーデターのようなことが発生してますね。月から地球の人々を助けるという人々と、感染を恐れて月から出ないし地球と関わらないという人々で争ったようです。地球を助けるという考えの人は全て殺されていく記録が残っています。


 鎖国のような状態になった月コロニーで世代を重ねて人間に対して行う軍事、民間コード登録は、地球の管理システムで登録してネットワークで拡散保存されるのですが、地球の人類の死滅によって登録システム自体が停止していまい登録不能になりました。


 月コロニー内で、軍事、民間コードがない人間のできる行動が限定されていき、狭い世界で勢力の対立や独裁や反乱などで多くの知識が失われて、自動で生活ができるコロニー内では長い月日によって人間の退化がはじまって現在の様な施設の使い方もわからない集団に成り下がったようです。


 現在は、中華食堂と和食食堂と洋風食堂に立てこもり、食べて寝るという怠惰な生活を行っていているようです。まれに食堂を巡って小競り合いを起こしている感じですね】


 食堂! 和食は飽きたから中華を攻めるとかの話なのか?

 何もしないでも衣食住があると、ここまで退化するものなのか?

 いや、服着てないから食住だけか?


【原因は、初期に地球と関わらない派が基地までの通路や通信手段をほぼ全て破壊していて、その部分の修復プログラムの破棄まで行っていますね。軟禁されているような状態で進化は望めませんし、ガードロボットや学習システムまで停止している状態です。現在はガードロボットが起動しましたのでコロニー内の治安が回復します】


 インディと脳内で会話していると、目的地へたどり着いた。


 扉に接近するだけで扉が開くことにスパルが驚く。


「管理人さん……いや、ノボルさんはどんなドアでも開けれるのか?」


「ノボルさんではなく、ノボルで良い。どうしてだ?」


「掃除する管理人や修理する管理人、調べに来るだけの管理人などいるんだけど、僕らは扉を開けれなくて管理人が来たら一緒に出入りする感じで移動するんだ」


【普通は、人によって配布されるコード番号によって、ドアに接近した場合は体に埋め込まれている非接触解除キーで開くのですが、この4人はコード番号もインプラントもないですからね。女性の治療中に3人に付与しておきます】


「3人にも同じように開けれるようしてあげるよ」


「本当! それは凄いや!」


 スパルが喜ぶ。


 生体実験施設にある、手術台らしき所に女性を寝かせる。上部から治療機器やロボットアームが降りてきて女性の治療に取り掛かる。


【3人を奥にあるインプラントを打ち込む装置に誘導してください】


「ステラとコアとスパル。こっちに来て」


「はーい」


「うあうあ! かー様の上で一杯動いてる」


「そこに行けば良いのか?」


 コアが、治療中のかー様を見て目を丸くしながら従って奥まで歩いて来る。


『そこの、穴に手を入れてください』


「「「え!」」」


「誰かいるのか!」


「ノボル!?誰かいるぞ!」


 突然、インディが外部出力で発言した為に、聴きなれない声に3人が驚く。


「大丈夫だよ。君たちを守る私とは別の管理人をつけたんだ」


「本当?」


「ノボル凄い!」


「初めて見る形だから凄い!」


 ガードロボットは、初めて見るらしくリスペクトされていく。


 インディの指示で3人が、穴に手を入れて手の中にインプラントを入れた。

 インプラントが入ると手の甲に刺青のような青い番号が書かれている。


【民間コードは、親の登録が必要で昇の子供として女性と3人の子供を仮登録しました。登録情報はまだ生きているネットワークを通じて、世界標準のユニークコードとなります。地球へ衛星からデータは送信しておきますので受信可能だった旧遺跡施設では有効です】


 仮登録?


【本登録すべき地球のネットワークが動いていない為に現在は不可能です。仮登録と本登録の違いは有効期限ですが本登録が出来ない為に仮登録でも無期限で有効です】


 難しい話だな。あとはインディに任せてルナの所に戻るかな?


【コーピーの昇は、物凄いアホですね。既にルナと謁見中ですよ】


 え!?


【まさか、自分が地上にいて月の体を遠隔操作してると思ってました? あははは! おかしい! これが愉快って事かしら? 本体に送らなきゃ。じゃぁ一緒に月コロニーの探索と治安回復を行いましょうか?】


 えええ? 理解できない?!!


【掃除ロボットの時に、動きが遅く感じませんでしたか?】


 性能が悪かったからじゃない?


【本当に昇は.....地球から遠距離で遠隔操作する場合は、光通信でも数秒のタイムラグがあるのですが、私が違和感が出ないように調整していました。掃除ロボットではそれで通用しますが、反応速度が速いガードロボットは流石にラグによってまともに動かせません。そこで、ガードロボットに昇と私のコピーを置いて動かしてます。今の貴方は、昇のコピーですよ】


 おおお! もはや人間じゃない!!

 掃除ロボットの時は遠隔操作で、ガードロボットの時は本体のコピーで動いていて、今の私はコピーなのね。


 じゃぁ、地球にいる自分に戻ったらどうなるの?


【突然、短時間で今までの経験が入るだけですよ。同じ時間軸に存在できるので経験が2倍に増える感じになります。一旦、本体にデーターを送り本体と記憶の共有をしてみましょう】


 そんなものなのか?

 突然、司祭と一緒にルナへ再び謁見に向かう記憶が増える。

 面白い! これが記憶の共有というものなのかな?


 わかった、地球は本体に任せて月の事を処理しよう。

 新た自分の可能性を知って、少し驚くがいつもより落ち着いている自分に違和感を感じる。

 ガードロボットのチップにコピーされたインディと私が治療中のかー様と言われていた女性の所に移動した。

用語説明


クーデター

一般に暴力的な手段の行使によって引き起こされる政変を言う。


鎖国

政府が自国と他国との交通・貿易などを禁ずること。


ロボットアーム

人間の手の代わりに、つかむ・放す・運ぶなどの作業をする機械の腕。コンピューターを組み込んだ自動制御式のもの、離れた場所から人間が操作するものなどがある。


軍事、民間コード管理システム

インターネットのドメイン登録に類似した拡散方法を取るユニークなコード。各個人に割り当てられる。

主に、右手の甲に番号と内部にインプラントを入れて登録完了となる。インプラントの大きさは米粒よりも小さい。

任意で番号表記を入れない人もいる。

コードの頭文字がWが軍事コードで、Pが民間コードであり、軍属になるとPがWになり、退役するとWがPに戻る。

コード番号が割り振られると個人のDNA情報も登録されて右手の静脈認証と網膜認証もオプションで付加される。

登録されると仮登録として拡散するのだが、地球にある国際基準センターの管理システムに承認されないと上書きされて仮登録が抹消される。

西暦3015年付近は、無人でセンターが動いていたために仮登録してもすぐに抹消されて登録不能になっていた。現在は、センターが沈黙している為に仮登録で本登録と同じ状況になる。


完全補足(読まなくても構いません)

月に存在するコピー昇とコピーインディの性能に関して(※ネタバレ:注意)


西暦3000年付近では、人間の脳の記憶の一部を読み込んだり書き込んだりする事は許されていたが、完全移植する事は禁忌であった為に、昇が初めての被験者である。

※例外にマージョが存在する。


人工頭脳をナノマシンに使用する事も禁止されていた為に、インディもナノマシンで構築された体内のチップに格納している昇は例外の塊である。


地球の昇の体の中には、高性能ナノマシンで構築された記憶チップが存在する。初期に昇の記憶が移植失敗判定されていたが、正確には、移植は成功していてデータとして読めない15%のコピーができない上に解析不能な情報としてチップに含まれている。

この15パーセントが入っている地球の昇は、オリジナルと言える。コピー不能なために月のガードロボットに存在する昇は、不可解な15%の情報がない劣化品であって感情に差が出る。

インディは、完全なデータ体であるために月のガードロボットに存在しているインディは同一のものであると言えるのだが、地球の昇のチップに比べて月のガードロボットのチップは処理速度が圧倒的に遅い。その為に略式の計算や確率で動く為に、複雑な状況に対応できない。

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