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042 再会

 ヘリコプターで移動を開始した。

 直線距離を取れる上に時速400km近い速度まで出せる。

 今まで苦労を笑うような進行速度である。

 後数時間で王都へ到着予定となった。


「そういえば、男が積み込まれているらしいな。見てこよう」


 キラスが、操縦席を立って後方の貨物室へ向かう。

 自動操縦になっているので、私もキラスの背後を追った。


 貨物室へ入ると男が手足を縛られて転がっていた。

 既にかなりの拷問を受けているようで、目が片方無くなっており、手足の指が全て潰されていた。

 歯も数本欠損しているようだ。


 殴られて顔が変形しているが、よく見ればヘルテ村で別れたレベロじゃないか!


 怪しい集団って移民集団だったのか。私達の行動に巻き込まれた感じだな。自分でも温和だと思っていたが無条件でデシュタール帝国を潰したい感情が湧いてきた。


 私の外見が黒騎士なので、レベロが私だと気づいていないようで、キラスと私を残った片目で睨みつける。


「お前が、弟を殺した犯人か?」


「な……な……んども……言っている……知らない」


「安心しろ。私にとって弟は殺したい一人だったからな。解放してやるから好きなようにするがよい」


 キラスって残酷と言うか、好き嫌いがハッキリしてるんだな。レベロを助けても問題なさそうだな。


「だが、誰が弟を誰が殺したかは知りたい所だ。解放してやるから知ってる事を全て話せ」


 さっきの考えに補足だな。タダでは動かないタイプだ。


「わかった……話そう……ノボルと言う執事にあった。そいつが殺した犯人だと思う」


 話せば殺されるから、情報を最後まで話さなかった感じかな? まぁ、私の事を自白したが許せる範囲かな。


【昇は、アホですね。バレない行動も取れたと思います。キラスにばれましたよ】


「ノボル?」


 キラスが鋭い眼差しで私を見る。

 どんな対応をして良いのかわからないので、目を合わせないようにしておこう。


「いやはや、レベロすまないな。巻き込んでしまったようだな」


「そ……の声は……ノボルか?これは参ったな。口を割ったのが本人の前とは……」


「どう言う事だ? ノボルよ。お前が犯人だったのか?弟も通りがかりに襲われたら殺したのか?」


 キラスが混乱してているようだが、敵対する意思はなさそうだ。


「そうだよ」


「……なるほど……ルナ様の眷属に手を出してはいけない事がよくわかった。ルナ様と敵対するのか?」


「ルナが私を襲えばそうなる」


「わかった」


 キラスが考え込み始めた。


 インディ、レベロの修復は可能か?


【パルを治療した際に多くの情報が手に入りました。

 現在もパルの体でインプラント技術の実験を継続しています。レベロの肉体の欠損率は低いので、黒騎士の外装で使われたナノマシンの補充であるノボルを人間に偽装する為の回復量を減らせば可能です。ただしノボルが外装を外すための時間が10時間は延長されます】


 それぐらいなら構わないから、やってくれ。


 レベロの両手を私の両手で握る。

 私の外装が液状化して、レベロの両手を包み込む。


「ぎゃああァァァ!!!」


 レベロが痛みでのたうちまわるが、両手が私と同化しているので逃げれない。


「何をしているんだ!」


 キラスも、驚いてそれを見ていた。


 私の手が元の形態に戻ると潰されていたレベロの指が、金属製のような光沢の指に変わっていた。


「な、なんだこの指は? 動く!? 感覚もある」


「じゃあ、次は足ね」


「ちょ! ちょっとまて」


 足を掴んで開始する。


「ぎゃあああああああああぁぁ」


【速度重視で神経と融合させていますので、痛覚は麻痺させれませんでした】


 なるほどね。


 足が終わった後に口に手を突っ込んで口の修復をして、最後に失った目に指を突っ込んで修復する。


「ま、待ってくれ...限界だ。ぎゃあああああああぁぁ」


 容赦なく、指を目に突っ込み、手が液状化してレベロと同化を始める。

 目から指を抜いて、レベロの目の部分に液体金属の塊が残っていたが、少しづつ金属製の眼球に変わっていく。


「目が見える……なんなんだ!? なにか文字も見えるぞ」


【昇と義眼のリンクに成功しました】


「インディです。はじめまして?」


 カタコトでレベロが、視界に表示されている文字を読んだ。


 え! そんな機能まで出来るのか?


【今後は、私と会話を可能にしました。義指と目の使い方を指導しておきます】


「これがノボルの力か? ルナ様の眷属の話は、色々と聞くが治癒まで使えるのか? こいつから情報を手に入れたら殺そうと思っていたがノボルの知り合いであれば、やめておこう」


 キラスが物騒な発言をする。


「依頼の護衛も失敗して、口まで割ってしまって、命まで助けられたのか。決めたよ。ノボルの騎士として命を捧げよう!」


 重い話だな。全部行き当たりバッタリの結果なんだがな。


【昇は、平和ボケしてますからね。昇の生きていた時代は、命のやり取りなどほとんどない時代でしかたから、理解できないようですが、強い人物に従う事で生存率を上げる価値観がこの世界では重要なんですよ】


 時代の価値観が違いすぎるな。この世界では命が軽いと感じていたが、インディはブレないのだな。


【いま、昇の思考を読んで、諦めると言う感情を取得しました】


 酷い……


「決めた! 私もノボルの騎士になろう! ルナ様ではなくノボルにしたぞ!これからが楽しみだ!」


 キラスまで、レベロにつられて私の従者になってしまった。

 味方が増えると嬉しけど、部下など持ったことがないからどうして良いかわからない。


 新しい悩みを抱えたまま、ヘリコプターが高速で王都へ移動していく。

用語説明


いやはや

驚きあきれたとき、また、落胆したときなどに発する語。


インプラント

体内に埋め込まれる器具の総称である。 医療目的で広く行われる。


融合

とけあうこと。とけあって一つのものになること。


人物紹介


レベロ(本当の名前は、メロウ・ミミテル)

ミミテル国の第三王子であった。過去は、ミミテル国とデシュタール帝国は、友好国であったためにデシュタール帝国へ留学していたのだが、戦争になったために人質になる可能性を考えて、レベロと言う名の傭兵をして身を隠していた。

昇と出会った為に、トラブルに巻き込まれる。金属の手足の爪と金属の歯と高性能な義眼を持つ騎士なる。

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