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040 情報収集

 キラスが、私にお姫様抱っこをされたまま、引き連れていた5万のデシュタール軍が全滅したのを呆然と眺めている。


「なんなんだこの攻撃は? 大地の神が怒ったような現象だな。まさか私の精鋭が一瞬で全滅するとはな」


「すまない。まさかこんな事態になるとは思っていなかった」


「あやまるのか? 不思議な奴だな。私にとって5万の兵などゴミ程しか価値がないから大丈夫だ。それより会話から判断すると、お前がこの惨状を引き起こしたのか?」


「いいえ! 私じゃないです!」


「え!? どういう事だ!?」


 意外な回答でキラスが驚く。


【昇は、アホですね。回答せずに放置して先を急ぎましょう】


 また、アホ扱いされた! だが助けるときに反対しなかったのは何故だ?


【昇は、自分を助ける時よりも他人を助ける時の方が力を発揮するからです。先ほどのクラスター爆弾に関しては、私の予定よりも着弾が早く、攻撃範囲外に逃げれる可能性が低かったのですが見事に範囲外に出れましたので私の予想通りだと思っています】


 そんな事を考えていたのか。たしかに言われればそうなのかもしれない。


 キラスを下ろしてその場を離れようとするが、キラスが私の首に手を回して、お姫様抱っこから降りようとしない。


「逃さぬよ。さっき謝罪したよな? 許さないから私の言うことを聞け」


「いや、謝ったのは癖みたいな物です。惨状を引き起こしたのは、私ではないです!!」


「ほう? じゃぁ誰だ?」


「わかりませんが、私じゃないです」


「信じられないな。嘘をついてたら何でも言う事を一つ聞いてもらうが良いのか?」


「……わ、私がやりました。手を離してもらえないでしょうか?」


「アハハハァ、本当に面白い奴だな。私を助けたので、なんらかしらの理由があると考えて、無茶な発言や行動をしても殺されないと実行してみたら、まるで古き友のような対応をするじゃないか。何故、私を助けたんだ?」


「攻撃前に、攻撃を止めようか迷っていたのを聞いた事と、何故か助けたいという衝動があったためかな?」


「あの距離で、私の発言が聞こえていたのか? ますます凄いな」


【昇、キラスの性別は女性です。それも考えて助けたのかと思いましたが、昇の思考に一切入ってこないので心配なので教えておきます】


「えぇ!!!」


「どうしたんだ?」


 熱い眼差しでキラスに見つめられているのに気がついた。

 よくみれば、美少年だと思っていたがボーイッシュな美女にも見えなくもない。

 王子と名乗っているから、確実に男だと思っていたぞ!

 これはまずいぞ。女性には免疫がほとんどないうえに、どう扱って良いかわからなくなったぞ。


「どうしたら、私から離れてくれるのかな?」


「そうだな、まずは名前を教えてくれ」


 そういえば、名前をまだ教えていなかったが、偽名が良いだろうか?偽名をなのるメリトッもないので素直に教えよう。


「ノボル・シラトリだ」


「シラトリとは、聞いた事が無いな? ノボルと言うのか。手を離すが逃げるなよ」


 勘が鋭いな。


 キラスが私の首から手を離して、立ち上がる。

 このまま、ダッシュで逃げてもかまわなかったが、ルナに関して情報を集めようかとも思うので聞いてみよう。


「ノボルよ。どうして、私の軍を襲ったのか聞きたいのだが良いか?」


「通りがかりに、突然襲われたので反撃しただけですよ」


「……私の判断ミスか? お前に関するルナ様に近い気配を察したときに会話できていたら変わっていたと言う事か?」


 失敗したと言う険しい表情をキラスがする。


「ルナに関して知っている事を全て知りたいのだが教えてくれないか?」


 一瞬、ルナと敬称をつけずに呼んだ瞬間に驚いた顔をしたが、すぐに納得したような表情になる。


「ルナ様を呼び捨てにするか? そうか、ルナ様が探していた同じ存在という存在なのか? ルナ様は、我が父上と組んでデシュタール帝国を作った御方だ。私の知る限りでは、不老不死であり、私が小さき時から年をとっていない。実際に剣の指導を受けた際に完璧な剣技を見せていただいた時から尊敬している。今は、兄上のバスルがルナ様と一緒に帝国を大きくしようと動いている」


「それで、全ての情報? 生贄などの話は?」


「ルナ様に関しては、私の立場では謁見もままならないので、私ですらこの程度しか知らない。生贄は、ムーンクレスト教団の話で、私は信者ではないので詳細は知らない」


 想像以上に、情報が少ない。第四王子でこのレベルということか? 直接会わないと解決しない問題のようだ。

 不老不死と言う内容を聞く限り、過去の人物が延命していると言うよりも私とインディのような過去の意識がある遺跡かオーパーツの可能性が高い。


「そうか、ルナに会ってみたいので、先を急がしてもらう」


「それならば、ここから数日の町にヘリポートがあるから、そこからヘリコプターに乗れば王都まで一日で到着して会えるぞ。案内するから私も連れて行ってくれ。ノボルと一緒に戻れば、ルナ様の眷属の話しと言う事で今回の件も問題なかろう」


 へ、ヘリポート!? ヘリコプター!? この時代でそんな言葉を気軽に聞くと思わなかった。

 ルナの周辺には、過去のオーパーツが多く存在しているようだ。

 5万の兵士の命よりルナ様の眷属の方が重要って少し怖い価値観な話だな。

 とにかく、早くルナに会いたい好奇心と不思議な感覚に襲われた。


【馬車で2日で到達できる圏内に町を一つ発見しました。ヘリポートらしき場所も確認できました。昇なら6時間ほどで到着すると想定できます】


「了解した。私も場所がわかったのでそこに一緒に向かおう」


 再び、キラスを抱きかかえた。


「え!」


 突然、抱きかかえられてキラスの顔がほのかに赤くなる。

 何かのフラグを立てたのだろうか?

用語説明


ボーイッシュ

女性の髪形・服装・挙動が少年のようであるさま。


女性に対する免疫がない

女性に対して、普段通り自然に接する事ができない。


ヘリポート

ヘリコプターが離陸・着陸する設備のある場所。


ヘリコプター

大きな回転翼を機体の上方に取りつけ、エンジンで回して浮力をつけ、地上滑走をせずに発着する航空機。回転翼の角度を変えて水平方向に飛ぶ。空中に静止することも出来る。


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