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037 過剰支援

 ルク、チエミ、パルは、人工頭脳であるインディのコピーが搭載された武装を全部取り出してキャンピングカー並みに改造された装甲車で、川底を進んでいた。

 装甲車の中はトイレと台所と寝る場所、そして運転席がある。


 運転はインディが自動でやっているので、誰も運転していない。


「今日のご飯は、肉料理ですかね」


『パルは、料理が上手いですね』


「指示通りやってるだけですよ。奴隷として役に立たないといけませんから」


 パルは、インディのレシピで料理をしていた。


 運転席の方から、ルクとチエミの声が聞こえる。

 運転席の外を映す為のモニターには、外の画像ではなくて、昇の見ている画像が映し出されていた。


「昇様の黒騎士のお姿! 早く見たいですね」


 ルクが、目を輝かせて想像している。

 昇の視界から黒騎士になっているのは、わかるのだが外部からは見えないので、どのような姿になっているかルクはまだ知らないのである。


「デシュタールの兵に囲まれましたよ。どうするんでしょうか?」


 昇の引き起こす奇跡が見たくてワクワクしているチエミである。


 ちょうど、昇がデシュタール帝国と戦闘を開始するシーンであった。


「さすが、ノボル! 一振りで3人ですか! 多くの剣を使ってきましたが、何ですかあの剣は! 金属の鎧があそこまで簡単に斬れるものなのですか? ノボルの技なのでしょうか?」


『剣の性能ですね。超音波ブレードを採用しています』


「凄いものだな。もはや、ノボルより強い者を想像できない」


『現在の世界では、その可能性は高いでしょう』


 一瞬でデシュタール兵を3人切り裂いて、デシュタール兵の集団へ突っ込んで凄い速度で倒していく昇を見て二人は感嘆する。

 インディが、丁寧に回答している。


「あ! あれは第四王子のキラスじゃないか!過去に領地の優秀な兵をあいつの娯楽で殺された! ノボル、倒してしまえ!」


キラスの姿を見た途端にチエミが憤慨している。


 少しするとキラスの背後から、ガトリング砲が出てきて弾が発射された瞬間に画面が消える。


『通信回線に避ける能力がなくなったようです。現在、混戦中だと想定されます』


「大丈夫なのですか? ノボルといえども単騎で軍隊を相手にできるものでしょうか? 何か支援とかはできないのですか?」


 先ほどまでは、元気だったルクが、心配しはじめる。


『この装甲車を改造する際に外した武装を使えるように、川底に沈めてあります。ミサイル支援なら可能です』


「早速! 支援しましょう!」


『支援は不要だと思いますが、ルクが言うなら実施します』


「少しでもノボルの役に立ちたいので、最大支援でお願いします」


『現在、発射可能なミサイルは8発存在。過剰支援と考えられますが、昇のそばにいるデシュタール帝国軍を全て消し去るのに必要な2発を発射します』


「ミサイルとは何ですか?」


 チエミが、インディに質問をする。


「この前教えてもらったでしょ! 爆発する物を遠くまで運ぶ物よ」


 装甲車で移動中にインディから昇の為に、ルクとチエミは多くの知識を勉強中であった。


『ルク、正解ですね。今回のミサイルは巡航ミサイルで、デシュタールの王都迄は届きませんが、昇がいるところまでは届くので支援攻撃可能です』


「え?じゅ、じゅんこ?」


『大丈夫ですよ。まだ教えていない内容ですよ。既に発射しましたので20分程で着弾予定です』


 ルクが一瞬だけ焦った顔をしたが、まだ教わっていない内容だったので安堵した。


「ルク様、チエミ様、食事の用意ができましたよ」


「もうそんな時間なのね」


「今日は、どんな料理かの?」


 運転席から離れて、台所へ移動する二人。


 画面が変わって、上空から撮影されている高速で昇のところへ飛来しているミサイルが映し出されていた。

-----ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 川底に沈められた戦車に搭載されていたMk 41 垂直発射システムの8箇所ある蓋の2箇所が開いて、気泡が出る。


 しばらくして、二本鉄の棒のような大きな塊二個が勢いよく飛び出して、その勢いで水中から飛び出して空中に飛ぶ。


 空中で勢いをなくして、再び落下するかと思われた瞬間に塊が二つに割れて、中からトマホーク型の巡航ミサイルが推進剤を点火して加速する。

 2本のミサイルが一気に速度を上げて昇がいる方向へ飛んで行った。

 最悪な事に、このミサイルはクラスター爆弾装備型である事を昇は知らない。

用語説明


キャンピングカー

寝泊りできる設備を備えた乗り物


ミサイル支援

ミサイル攻撃によって苦境にある人・団体に力を添えて助けること。


トマホーク型

海洋発射を前提に作られた巡航ミサイル。攻撃型原子力潜水艦の魚雷発射管あるいは巡洋艦、駆逐艦の艦上から発射されるものが多い。発射直後は慣性誘導で飛行し、途中からは地形照合誘導で地上 50m以下という低空を飛行するため、迎撃は非常に困難である。

射程は、最大3000kmの物が存在する。


巡航ミサイル

巡航ミサイルは、飛行機のように翼とジェットエンジンで水平飛行するミサイルである。


クラスター爆弾

容器が空中で開き、中にある多数の小型爆弾が広い範囲に飛び散って、著しい被害を与える爆弾。

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