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032 町

 盗賊を放置して30km離れた所にあった町を目指す。

 何か外見的な装備を買って、少しは警戒される姿にした方が良さそうだ。

 盗賊が判定した弱そうな評価は、もっともだった。


 町の側に接近すると結構大きな町であるのがわかる。

 街全体が高さが4m程の石壁に囲まれていた。

 衛星写真で見ると出入り口は、2箇所で北と南に存在している。

 南の入り口に近いので南の入り口へ向かう。


 衛兵が2人たっている。商人や旅人らしき数人が、町へ出入りしているが特に調べてる様子もない。

 さらっと町の人のフリをして中に入れそうな気がする。


【そう、上手くきますか? しかし、上手く行く可能性はとある理由から高いです】


 ん? とある理由?


【行けばわかりますよ】


 南の入り口に近ずくと衛兵が、一度だけ私を見るが、すぐに視線を他の出入りしている人に移す。

 何も警戒なく、南の門から町へ侵入出来た。


 まてよ、弱そうな外見はこんな時に有効では?


【昇は、馬鹿ですか?】


 インディにそれを言われるのが2回目な気がする。

 それならば、何故怪しまれないんだ?


【昇の顔を見たことがあるからですよ】


 ま、まさか!?


【昇が復活してから、昇の顔を見た事がある人の割合が非常に高いです。見たことあるがトラブルの記憶がなければ怪しまれない可能性は高いですね。逆に、今のままの弱そうな外見だと絡まれる可能性が増大します】


 そんな馬鹿な……私の裸像がそんなにある訳が……

 目線を町の広場にやると噴水の中に自分に似ている裸像が服を着せられて噴水の中心に存在した。

 また、私の裸像のレプリカか……何故ここまで多いんだ!


 インディの推理通りだったって事か。

 まぁ、これを利用しない手はないか……

 見慣れぬ顔ではなく見慣れた顔がうろついても怪しまれないようで、全くトラブルに巻き込まれなかった。

 街を徘徊して目的の物を探す。


 町には人があふれていて、活気があった。

 スラム街的な所もないようで治安が良い町だった。

 装備を仕入れるために、それっぽい店を発見して中に入ると武器と防具が売っていた。


「お! お客さん、何をお探しで?」


 恰幅が良いオヤジさんが出てきた。

 私以外にお客はいなく、売ってるものにも埃が僅かに積もっている。

 この店、流行ってないのか?


「旅をしているんだが、誰かに襲われても対処できる装備が欲しいんだが?」


 店主が私を舐めるように上から下まで眺める。


「なるほど、実用性よりも見た目を強そうにしたい感じですね!」


 なんか、勘違いされた感じである。

 だが、実は正解だ。

 一見すると弱いそうな細身の男性だからなぁ。私が同じ立場でも見栄の為に買いに来た小僧という印象を受けるだろう。


 奥に引っ込むと、とある世紀末の人が着てそうな棘だらけの鎧を持ってきた。


「いや、それはちょっと」


「お安くしておきますよ!」


「もっと、大人しいのが欲しいですが」


「そ、そうですか……」


 再び店の奥に消えていき、顔まで覆うフルプレートの鎧を持ってきた。


「全くの飾りなんですが、大変薄い金属を使っていて下手をすると皮の鎧より軽いですが、見かけは最強に見えます」


 渡されて持ってみるが、軽いというか指で変形するほど薄い。


「これって、実用性あるんですか?」


「祝いの席で使う用ですね。ただ見た目だけはそれっぽいです」


 ちょっと、気に入ったかもしれない。


「あとは、武器はありますか?」


「これは、どうだい?」


 目の前にある大剣を指差す。


「なんと、表面がメッキで中を空洞にしている優れものだ! 信じられないほど軽いです」


 持ち上げて振り回して来る。

 中が空洞の刀身じゃ完全に飾りだな。


【昇、考えがあります。質は問わないので重い剣を10本ほど購入してください】


 ん? インディが言うなら買うけど、どうしたんだ?


【エネルギー効率が良くなるように、色々作ろうかと思います】


 なるほど!


「すみません、知り合いに剣を色々集めてるコレクターがいるんですが、重い剣を沢山も貰いたいんですが」

「お! 本当ですか! 売れ残りを抱えて……いや、良いものが丁度ありますよ!」


 儲かってなさそうだもんな、この店……


 最終的に、売れ残っていた重い剣を11本と薄いフルプレートを購入した。

 白金貨を出すと、店のオヤジが驚いて町の両替屋へ行って金貨に両替してからお釣りをくれた。

 白金貨を出してからオヤジの対応が、あからさまに親切になったので金の力は偉大だ。


 白金貨を、どうやって両替しようか悩んでるいたので助かる。高いか安いかわからないが金貨83枚がお釣りだった。金貨17枚の価格だったという事だな。

 白金貨は、金貨10枚の価値だと思ってたら金貨100枚だったのか! レベロに依頼料を白金貨で渡した時に驚いた理由が今更わかった。


 買ったものを紐で縛って背中に背負って、北門を出る。

 北門にも、衛兵がいたが特に咎められずにすんなり町の外に出れた。

 逆に町人として溶け込みすぎて怖い。


 町から離れたところで、インディが話しかけてきた。


【鎧を装備して剣を一本構えてください】


 早速、買ったばかりのフルプレートを装備して見る。

 大変な事がわかる。


 鎧がデカイ! 微妙にサイズが合っていない……


【昇は、馬鹿ですか?】


 それ、3回目だね。

用語説明


衛兵

警備・取締り・監視等の任務につかせる兵。


フルプレート

プレートアーマの顔の部分まで隠れる鎧。

プレートアーマは、人体の胸部、あるいは全身を覆う金属板で構成された鎧。金属板で構成されるため、板金鎧ばんきんよろいとも呼ばれる。


重い剣

バスターソードとも言われ、両手、片手持ちの両用の剣。

標準的な定義は、長さは1.1〜1.4メートル程度。

重さは2.5〜3キログラム程度。

両手でも握るために柄は長く作られている。

刃は狭い。

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