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027 休憩

 私の体が元に戻る為の少しの間。この村に住む事にした。


 ルクとチエミには、食事の用意と食事をするように指示した。


「ルクとチエミは、食事の用意をしてくれ。馬に食料が乗っているはずだ。パルは、私と一緒に来てくれ」


「わかったけど、ノボルはなにをするのですか?」


 チエミが聞いてくる。


「少し清掃しないとね」


 私が目線で倒した男達の死体を見る。

 納得してルクとチエミが、馬に乗っている食料をおろしはじめた。


 男達の死体を川に流そうと初めは考えたが、インディが下流で発見されると危険であると警告するので穴を掘って埋めた。

 パルと一緒に鎖で、つながれていた2人も死んでいたので一緒に埋める。

 パルは衰弱しているので、手伝わせずに私だけで作業を行う。

 無理して手伝おうとするパルを止める事の方が大変であった。


 死体を観察してみると、バイオハザードの細菌に感染して発病すると全身に紫斑が出て呼吸困難に陥り、消化器や鼻から激しく出血して死亡するようである。

 人類を滅ぼした細菌に関してインディは何処までしってるんだ?


【正確には滅ぼしていません。確率が低いですが耐性がある人類が生き残って目の前にいますよ。

 他の多くの細菌やウイルスと異なり、免疫系を攪乱するデコイを放ち、生体の防御機構をほぼ完全にすり抜けるという特徴があります。

 これが驚異的な感染性の高さに繋がっているようです。

 また、体細胞の構成要素であるタンパク質を分解することで最強の毒性を発揮します。

 免疫系を操作して血管を攻撃させ破壊し、肝臓を始めとする全身の臓器を冒して発症者を死に至らしめます。

 未だ治療法は、わかっていません】


 うお! とにかく強い細菌なんだな……って、治療法がないって事は、今の世界の人類は、全員感染していて発病しないだけ?


【そう言う事になります。老化や体調不良で、細菌の力が自分の免疫力を超えた瞬間に発病します】


 こりゃ、平均寿命も短そうだな……

 死体を埋め終わったので、パルに聞いてみる。


「パル、この世界の平均寿命って何歳ぐらいだ?」


「平均寿命って?」


「歳とって、みんないくつぐらいで死ぬの?」


「……私の知ってる一番歳をとってる人が50歳だったよ」


 うあ! 戦国時代並みの寿命の短さだな……

 ルクとチエミの場所に戻ると、馬がいた側の家の調理場から食欲が湧く臭いが漂ってきた。


【昇は、食べられませんよ】


 そうだよね……擬似的な食欲の再現ってやめてほしい。


【その機能をオフにしますか?】


 食欲は、オフで良いかな……まさか、ほかの欲求も全部擬似的なものだからオフに出来るのか?


【もちろん可能ですが、人間性を失うので推奨しません】


 まぁ、そうだよね。


 パルと一緒に匂いがする家に入ると、テーブルの上に3人分の食事が置いてあった。


「ん? パルの分がないのかな?」


「当たり前です。奴隷と一緒に食事などあり得ません」


 ルクが、強い口調断言する。


「ノボルは、奴隷と食事をするのか?」


 チエミが、不思議そうな顔をして聞いてくる。


 二人の価値観は王族だからな。パルが実は囚われの姫で奴隷にされていた設定にすれば、すんなり受け入れないかな?


【無理ではないでしょうか? パルの行動を見る限り一般的な庶民のようです】


 やっぱり無理設定だよね。


「体調が悪いので、私は後で別室で食べる。パル、私の分の食事を隣の部屋に運んでくれ」


「わかりました、ノボル様」


「この料理は、誰が作ったの?」


 目の前にルクとチエミの食事が残っているが、穀物で作ったスープと硬いパンに干し肉を挟んだ物が置かれていた。王族が作れる食事には見えなかった。


「干し肉を挟んだパンは私で、スープはチエミが作りました。王族の女子は、嫁ぐのが最重要の目的なので一通り料理の事を学びます。私はその他に剣術を学んでいました」


 少し恥ずかしそうにルクが答えた。


「私は、料理以外に衣服を学んでいる。着るものに関しては、まかせてくれ」


 チエミが自信まんまんのガッツポーズをした。


 なるほど、私が抱いている王族のイメージとかなり差異がありそうだな。

 私のイメージだと、何もできないってイメージだが実際は、そんなわけないよな。


 二人に食事をさせている間に、別室に移動するとパルが涎をたらして料理を見つめていた。


「パル、食べていいよ。二人がいないときはノボル様ではなくノボルと呼んでくれ」


「そ、それはできない。ノボル様はノボル様だ。この料理食べて良いのか?」


「私は、別の物が好みでね。食べてくれ」


「わ、わかった!」


 パルが喉に詰まる勢いで食べ始めた。

用語説明


奴隷

人間としての権利・自由が認められず、道具同様に持主の私有物として労働に使役される人間


紫斑

皮膚下に出血したため現れる紫色の斑紋(はんもん)


細菌

非常に小さい単細胞生物群。他物に寄生して発酵や腐敗を起こし、また病原となるものもある。分裂菌。バクテリア。


ウイルス

細菌より小さく、光学顕微鏡では見えない、一群の微生物。特定の細胞に依存して増殖する。


免疫

体内に病原菌や毒素その他の異物が侵入しても、それに抵抗して打ちかつ能力。また、異物と反応する抗体を作って発病をおさえる抵抗力を持つこと。


平均寿命

老化や事故や病気などで死亡する際の平均的な年齢。


デコイ

誘いよせるために使う手段。

今回の意味は、免疫に偽情報をながして自分自身に対抗する耐性を作らせない事。

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