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026 価値観の違い

 装甲車から降りてきたルクとチエミに怒られていた。


「何故、家畜にノボルの腕を奪われなくてはいけないのですか!」


「ノボルはルナ様と同等の存在と言ったが、この行為は有り得ない」


 どうやら、王族にとっては奴隷とは豚や馬レベルの存在であって、人間として扱う私に不満があるようだ。

 しかも、今や少女を助けるために両腕が無い状態である。

 助けた少女は私の背後から、ルクとチエミを睨んでいる。


「ノボル、どうするんですかその体……」


 ルクが泣き出した。


「やはり、デシュタール帝国へ戻るのは止めるべきか?」


 チエミは、疑心に囚われている。

 解決法は、わかっているがな。


「ルク、腕は元に戻る。チエミは奇跡を見ればよい」


「は?」「え?」


 装甲車に近づいて、機能的に問題が無いと思われるキャタピラを覆っている外装の一部を蹴り飛ばし破損させる。


「なにを?」「蹴りで!!」


 驚く二人を無視して、吹き飛んだ外装を靴を脱いで裸足で踏む。


【顔以外の体の表面を覆っているナノマシンを、構築行動にまわします】


 服を着ているので外からは見えないが、私を覆っている人間に偽装させていたナノマシンを、全て足から装甲車の吹き飛んだ外装へ移動させて、外装を義手に再構築させる。

 外装がロボットにしか見えないが、人間の手のような形の義手に再構築された。


 2人はその様子を、感嘆の眼差しで見つめる。


「魔法って凄いですね。錬金術ですか?」


「ルナ様とこれで同等? それ以上なのか?」


 5分程で、ある程度の形になったので肩を接近させて接合させる。

 首より下の体を覆っていたナノマシンを、ほとんど持っていかれてしまったので、回復するまで服で隠れている体の外見が人間の形はしているが、偽装できずに機械で出来たロボットの様な外見になってしまった。


【回復まで168時間ほどかかります】


 結構時間がかかるな。まぁ服を脱がなければ手しか見えないからいいか。


 金属でできた手を閉じたり開いたりして、動きを確かめる。


「その手は、元に戻るのですか?」


 ルクが心配そうに聞いてくる。


「数日経てば、元に戻る。魔法を使った反動だから大丈夫ですよ」


 さて、次は少女とルクとチエミの関係をはっきりさせよう。

 先程から、申し訳なさそうに新しくできた私の手を少女が見つめていた。


「君の名前はなんだい?」


「私の名前は、パルだ。お前はノボルと言うのか?」


「そうだノボルと言う」


「約束通り、ノボル……ノボル様の奴隷になる」


 ルクとチエミの事を考えると素直に奴隷として扱ったほうがよさそうだな。


【ちゃんと空気が読めていますね昇】


 お前が言うな! オンラインで二人に私の視界を見せなければ、彼女が奴隷である事や助けるために私の腕が無くなった事が、ばれなかった筈だったのに!


【昇が、最優先保護対処ですが、ルクとチエミも保護対処の為、当たり前の行為です】


 討論したいが、インディに思考を読まれるので、私の負けは確定しているだろうから諦めた。


「ルクとチエミ、パルは私の奴隷として扱う。失った手も復活した。何か問題はあるか?」


「ノボルがそう言うなら納得しましょう」


「私は、奇跡を見たので更にお前を信じる事にした」


「インディ、パルも保護対象にしてくれ」


『パルを私の保護対処に登録しました』


「ん! 何処から!? 他に誰かいるの?」


 パルが急に装甲車の拡声器から聞こえた声におどろく。


『貴方の目の前の乗り物が私です。インディとお呼びくださいパル』


「え!?」


「インディは精霊で、そこの鉄の箱に宿っているんだよ」


「精霊!?」


 パルが混乱し始める。


 ここで私の体が戻るまで待機して、今後の計画を練ろうと考えた。

用語説明


家畜

人間が利用するために繁殖させ、飼育する動物をさす言葉である。


錬金術

狭義では、化学的手段を用いて安価な金属から高価な金を練成する試み。

広義では、金属に限らず様々な物質や、人間の肉体や魂をも対象として、それらをより完全な存在に錬成する試み。


拡声器

音声や音楽などを大きくして遠くまで聞こえさせる、電気的な装置。(ラウド)スピーカー。

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