表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/70

023 残念な防御衛星

 チエミに奇跡を見せる為に川の上流に、防衛衛星からレーザーを発射して水を蒸発させる作戦を遂行する。


「チエミ、川の水を止めて見せるよ」


「可能なのですか?目で見たら信じましょう」


 インディ、やってくれ。


【了解しました】


 天空から防御衛星のミサイル迎撃用のレーザー光線が、私たちがいる場所より1kmほど先の上流に一本の光の線として落ちてくる。

 しかし、落ちたと思ったらすぐに光が消えた。


 ん? 今ので終わり?


【昇……蓄電されたものが自然放電されていたようで、最後の記録が蓄電終了だったため、エネルギーが最大かと計算していましたが長い年月で空になっていました。再蓄電の必要があります。衛星の発電システムを使用して開始しますと、可能になるまであと57時間かかります】


 え!? インディでもミスをするのか?


【進化型の人工頭脳ですから急ぎの要件であったため、時間短縮して最適化されて最小限の情報で計算しましたので、時間経過の可能性を見落としていました】


 人間っぽいな?


【ロボット三原則以外は、昇と同じですから】


 そういえば、私も仮想の人間の真似をしているロボットなんだな。何処からが人間なんだろうか?


「……ノボル? 奇跡とは、今の光の柱ですか? 水は?」


「あ、すまない。私の力不足で時間がたたないと、できなそうだ」


「そうですか……けれど貴方を信じようかと思います」


挿絵(By みてみん)

(絵:森山イツキ)


 え? なんで? 失敗したが信頼は得たのか?


「どうして?」


「必死なノボルを見ていたら疑うのがばからしくなりました。ここまでのノボルの話はルク様から聞いていますし、ノボルがルナ様に会えば何かが変わる予感がします。戻りましょう。

 改めて自己紹介します。デシュタール帝国のルラ自治領土第二王女チエミ・ルラと申します」


 改まって紹介されたので私もある程度わかりやすく答える。


「私は、魔法使いのノボル・シラトリです。その鉄の箱に宿っているいるのは、精霊のインディです」


 チエミが驚いた、顔をして改めて鉄のそうこうしゃを眺める。


「魔法使いに精霊ですか? 信じられませんが、私自身がルナ様の奇跡も多数みているので信じましょう」


「ルナ様はどんな奇跡を、みんなに見せているのですか?」


「医者がさじを投げるような病気を治してしまったり、遠くのものを破壊する道具を持ってきたり、空を飛ぶ乗り物などを見たことがあります」


 え? その程度ならさっきの川の水を止めるってレベルが違うきがする……それで、失敗したが光の柱を出現させたから納得したのかな?


『チエミを私の保護対象として仮登録から正式に登録しました』


「精霊の声は、なんとも優しい声ですね。とても人間が出している声には聞こえない」


 装甲車から聞こえる声を聞いて、チエミがつぶやいた。

 それは、合成音とスピーカー出力だから人間味はないだろうなぁ。


 川の水を干上がらせるのは、失敗したが、光の柱とルクの私に関する良い話を複合して納得してくれたようだ。

 今回の収穫は、インディも間違いをすると言う事だな。


【間違えではないです。最小限の情報で算出した結果なだけです。時間をかければ間違いません】


 感情がないと思っていたが、仮想だとしても言い訳するインディには感情があるのかな?


【それだけ高度な人工頭脳だと思ってください】


 なぜか、笑いが込み上げるが、これも作られた感情なのかな?

 ロボットと人間の差は、なんだろうな?


 近くの村らしき所まで食料調達の為に、ルクと私と新たな仲間のチエミの3人で移動することになったが、装甲車に3人乗るのは難しいほどの狭さだったので、ルクとチエミを装甲車に乗せて後発させて、先行して私が村を目指すこととなった。


「じゃあ、ルクとチエミは、インディに乗って後から追いかけてきてね。村の付近で私からの連絡を待ってください」


「わかった。ノボルも気をつけて」


「また、あの鉄の箱に乗るのか?狭い所はにがてだな」


『鉄の箱ではなく、インディと言ってください』


「そうだな、精霊の腹の中と思えば安心かな」


「じゃあ! 行ってくる!」


 インディのバックアップも入れると3人で会話が、継続しているので切り上げて先に行く。


 川縁をなぞらないで、上空写真から見た村の様な場所への直線ルートで疾走を始めた。

人物紹介


チエミ・ルラ

デシュタール帝国のルラ自治領土第二王女である。過保護に育てられいて結構自己中である。

立場が第二王女で年齢が低いため、国での地位的立場はさほど優遇されていない。

美人ではないが、14歳の胸のふくらみが小さいかわいい女の子。

現在の外見は、血の付いたワンピースを着ている。


用語説明


自然放電

蓄えられている電気の量が、時間の経過と共に徐々に減少する現象を言う。 自己放電じこほうでんとも言う。 殊に、二次電池では、この現象が大きく現れる傾向がある。

今回のお話では、最後に最大充電の記録ログが残っていたが、はるか昔であったため、ほとんど空になっていた。そのためインディーが誤判断してしまう。


発電システム

なんかしらの方法で電気を発生するシステム。防衛衛星では、大きなソーラープレートを展開して太陽光からエネルギーを生産する。


魔法使い

魔法、妖術、幻術、呪術などを使う者たちの総称である。 民話、神話にしばしば登場する。

この世界では実際に魔法などないので、真実は科学を利用した詐欺師に近いだろう。


精霊

山川・草木など種々の物に宿ると考えられる魂。原始宗教の崇拝の対象となる。

この世界では、古代遺跡に残されたものが動いていれば、これに該当すると考えられる。


天然

「天然」「天然キャラ」とも言う。 勘違いや間違った知識、思い込みから引き起こされる言動であるが、悪意や計算高さは含まれない他愛のないものが大半である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ