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親愛なるスズキ・テツロウへ


ありがとう、まさかまだ幼い私が送った手紙の返事が来るなんて思っていなかった。

送った時の私はまだ小さく、背も母よりだいぶ小さかったが今では追い越しているよ。


今、私はこの世界では『独立』の試験を受ける資格を得るのに達したところなんだ。

本来ならば試験に向けて勉強するべきなんだがあまりにも君の手紙が嬉しくてね。

それに少しの気晴らしぐらいしても罰はあたらないだろう。


それにしても君はやけに食に対して聞くね?

もしかして白髭と同じニホンジンという人種だろうか?


もし白髭に君の手紙を見たら喜んだだろうに…

ああ、白髭については後でまた書くよ。


まずは君の質問に答えるよ。


まず美味しいものだけど地域によって採れる野菜も果物もだいぶ違うから様々な料理が存在して一口に美味しいものといっても何から紹介すればいいかわからないな。

君の世界がどうだか分からない、もしかしたら一枚の平たいお皿のような世界かもしれないから説明すれば、僕たちの世界は様々な小さな地面がくっついて出来ている球体だ。

だが、少し歩いて隣の地域に入ってしまえばどんな季節か、もしくは朝なのか夜なのかもわからない一寸先は闇。

そんな世界さ。

何故ならばこの世界には色んな精霊がいて、好き勝手に天候を替えたり気分でお日様を読んだりとしっちゃかめっちゃかなのさ。

私たち人間にも色濃く精霊の力が宿っているのか声を使って多少天候に影響を及ばしたり好きな時に夜にしたりできる。

だから小さいうちはあまりやたらめったら声の力を使わないよう封印を受けるんだ。

ある程度親からの許可があれば使えるけどね。

そして精神的に十分な成長を賢者から認められたら『独立』の試験を受けて自由に力を使えるようになるんだ。


おっと話がだいぶ逸れてしまった。


私の好きなものは「オタマジャクシのタルト」だな。

ああ、カエルの子供のオタマジャクシじゃないよ。

オタマジャクシって呼んでいる実があるんだけどね、この実は私の地域ではどの家の庭にも必ず一本ある。

そしてこの実は聞いて育った歌によって味が変わるんだ。

だからこの実の味こそ家庭の味っていうわけ。


私の母の歌は私と同じくオーボエで、彼女の歌をよく聞いて育った実はホックリとしていて優しい甘みがほのかにあってタルトにするととても美味しいんだ。


父が気まぐれに沢山木の世話をしたときは酸味と汁気が多くなってジャムにするんだけどね。


君の好きな食べ物は何?

私にも教えて欲しいな。


さて、白髭について言いにくいが書かなければ君は気になってしょうがないだろう。

君が気付いたとおり、白髭は『地球』出身だ。

ある日気付いたらここにいたらしい。


その白髭だが、『時間』の概念の思想が危険だということである日裁判にかけられることになってしまった。

白髭はいち早くその情報を手に入れてある日姿を消したよ。

今頃元気にこの世界に他に彼と同じ『転生者』がいないか探しているんじゃないかな・・・

そう私は願っている。

白髭は前々から転生者を探したい事を幼い私にだけ教えてくれていたのだが私達に情が移ってなんだかんだでこの地域にとどまっていたんだ。


まあなんだかんだでとんずらする程度には強かな爺さんだったから大丈夫だと思うんだ。


さて、今回はもう少し早く返事が戻ってくるといいな


ムジク


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