拝啓
この広い世界の何処かの貴方へ
僕はムジク
僕の世界のほかにも世界があるんだって白髭の長が教えてくれた日、僕はドキドキワクワクってしたんだ。
その世界では出来事の何もかもが理論的に説明出来て、『時間』という空間の刻みが存在するんだってね。
この手紙を読んだ君、もしそれが本当なら僕に時間について教えてくれないかな。
時間の概念がわかる絵でもあれば最高だよ。
是非この空き瓶にもし詰めれたら手紙の返事と一緒に入れてくれないかな。
この空き瓶は僕のお母さんが使わなくなったジャムビンだから結構色々入ると思うんだ。
そうだ、君が手紙に返信する気になるようにこの僕についてとこの世界について大まかな事を教えよう。
白長にも手伝ってもらって書いたから多分正確だしその世界の君の興味を引ける内容になっていると思うよ。
この世界は『声』が音楽になるんだ。
え、当たり前じゃないかだって?
うーん、ただの音ではないんだ。
なんていえばいいかな、それぞれの人にあった『音』になるんだよ。
あ、白髭が楽器の音って言ってたな。
楽器の音になるっていえばわかるかな?
この世界は音楽が世界を動かしているだ。
雨を宿した声をもつ人間が歌えばその周囲に雨がふるし、夜を司る力をもつものが歌えば夜が訪れる。
うっかり喋ったら大嵐が襲うこともあるから僕たちはなるべく文字で日常会話をするんだ。
めんどくさいって白髭がよく文句言うけど、僕たちは別にそう思ったことはない。
訓練すれば思ったことを相手にそのまま伝えれる魔法を覚えれる。
白髭は「てれぱしー」って呼んでる。
でも白髭以外僕はこの魔法を使っている人は見たこと無い。
だって別に急ぐ必要ないもの。
ゆっくり相手が文字を書き終えるのを待つ間も楽しくない?
僕の声だけど、僕の声はオーボエって呼ばれる。
小さいころは男らしくないなって好きじゃなかったけど、今は自慢の声だよ。
だってこの声を使えば強く思った相手にものを届けたりする事ができるんだもの。
そうこの手紙が君に届ける事が出来たのもそういうわけ。
まだまだ書きたい事は沢山あるけどとりあえずこんなところでいいかな
『異世界に興味ある君』、返事をまっているよ。