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第十八幕 ミントとメアリー……。交差する光と闇。 3


 約一時間後の事だった。

 手紙が投函される。

 ミント宛だった。


 ミントは、その手紙の中を見る。

 魔女のメイド、メアリーからの手紙だった。

 果たし状なのだろうか。


 中には、明らかにラブレターのような便箋が入っていた。

 

 どうやら、中身は小説らしきものの体裁を取ってはいるのだが……。


「はあああああ? …………!??????」


-このシチュエーションを実現したいから、私と会って欲しいの。悪くない取り引きでしょう?-

 先に、小説らしきものの最後に眼を通すと、そう記されていた。

 再び、内容を読んでいくと、何度か推敲した形跡があり、文章の合間に、加筆修正らしきものが大量に記され、その内容は、濃密に、凄まじい性描写が記され続けていた。

「なんで、私、こんな人間じゃないでしょおおおおおおお!?????? 何なの? この気持ち悪い妄想!???????」

 完全に裏返った声で、叫び続ける。

 自分が辱められているというよりも、見ていて痛々しささえ感じてしまう……。他人の性欲を吐き散らした妄想など、薄ら寒いとしか思えない。


 その後、ミントは、一応、最後まで丁寧に眼を通す。

 これをハルシャに見せて、気色の悪さを共有して欲しかったからだ。

 だが、”物語”の最後に差し掛かると……。


 ミントは。

 全身が打ち震える。

 額に血管が迸っていた。

 そして、メアリーのエロ夢小説を無言で破き、炎の魔法で焼き尽くしていく。


「おい、一体、何が書かれていた?」

「魔女のメイドである、メアリーからの、求愛の手紙です。下劣にも、彼女と私が性行為をしている内容でした。それを実現させたいと……」

「…………、凄まじい女だな……」

 ハルシャはなんとも言えないような表情になっていた。


「取り引きには、応じます。……困ったわ。あの女、私の思考が読めるのかしら? それとも、未来予知でも? 私もちょうど今、味方が欲しかったの。ジャレスを倒す為の…………っ!」

「…………、何かそのような力を使える手合いがいるのかもしれぬな」

 ハルシャは首を捻る。


「だが、やはり燃やすべきでは無かった。お前の気持ちは分かるが」

「セクシャル・ハラスメントですよ。……あ、いえ、貴方の事ではないです……。あの女……、私の心でも読めるの…………?」

 ミントは、ハルシャとの関係性が記されていた事で、ゾアーグの件とは、まるで別の怒りが激しく湧き上がっていた。……口封じとして殺してやりたい。



「ちゃんと、肥料は埋めないとね。此処に、人参とかジャガイモを埋めよう。収穫時に、君達のご飯にするからね。その時は、クリーム・シチューでも作ろうか」

 ジャレスは優しく、子供達に微笑む。

 子供達は、教育者に対して信頼の顔を抱いていた。

 8歳から12歳くらいの子供達が集まっていた。

 シャベルを手にして、砂遊びをしていた。

 

 彼らはジャレスに言われて、孔を掘り、縛られた女達を生き埋めにしていた。彼女達は王室を狙ってハーレムに志願してきた者達だ。ジャレスは何も、容赦しなかった。女達は泣き喚き、猿轡を噛み千切り、哀願の言葉を叫ぼうとしていた。彼女達はジャレスの下に近付いてきた者達だった。王宮に入れると、試験を設けて、選抜に落とされた者達だった。


「どうですかね? ジャレス様」

「なかなか、彼らは優秀だよ。良い子達に育っている。みんな愛しいな」

 そう言うと、ジャレスは子供達の頭を優しく撫でていく。


 哀願の嗚咽は、シャベルの音によって掻き消されていった…………。



 やがて、サウルグロスの放ったオーロラは、ルクレツィアへと近付いていく。

 そして、オーロラの一部を背負うかのように、異形の姿となった、かつてメアリーから前頭葉を切除された悪魔の少女、リコットは四足歩行する獣の怪物となって、ルブルとメアリーの城へと向かっていった。周辺を徘徊している、砂漠を放浪するゾンビ達が、次々と、オーロラの餌食になり、別の怪物へと変容していく…………。


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