登場人物紹介。
イルム「あら? そう言えば、そろそろ、ストーリーに関して説明しないといけないわね。我らがミント王女さまやデス・ウィングやジェド君達に対して、説明していこうかしら? ちなみに私はみんなの事が大好きだから、ちょっとだけ身内贔屓になるかもしれないわね! 私は他人の良い処を見つけるのが大好きなのよ!」
イルム「で、これかな。今、この私の顔ちゃんと映っているかな? ふふっ、今から動画配信するのだけど、観ているかな? みんな、そういうわけで、私はみんなの事をお伝えしようと思うの」
イルム「まずね。我らがミント王女さまだけどね。この子は何ていうか、十代で一国を再建しようっていう、ハーフ・ドラゴンなの。もう本当に偉いっ! ちょっといきなり怒り出したり、怒りを溜め込みやすいけど、多分、男友達のジェド君の事が大好きなんでしょうね! いや、もう『主人公』のジェド君に対する愛は負けるわね。嫉妬するくらいに! それにしても、何で、あんなに病んでいるのかしら? ちょっと間違えば、一国を簡単に破壊しちゃいそうだけど、それはミントさまのヒロイン力でカバーよねっ! ミノタウロスのハルシャに恋愛感情を隠しているのも、異種族同士の愛で健気って本気で思うわ」
イルム「そうだ。ジェド君に対して話さないと。彼のあだ名は『主人公』なのよね。もう、本当に今時のライトノベルの童貞主人公のようにハーレムを作るという目的で旅を始めたわ。村を焼かれ両親を殺されても、めげずにこれまでの目的を達成しようとする自己中心的な性格は見上げたものだわ。思考能力も状況判断能力もまったくないけど、少年漫画の主人公に類するものがあって、王道な人生をきっと地で行っているのよね。
私は彼の事が大好きよ。いや、もう本当に彼のような破天荒な事は中々に出来ないわ。みんな気付いているかしら? 彼って、実質的にハーレムを形成しているのよ。だって、ジェド君って、彼の周りにいる、女の人達、全員が好意的に見ているじゃない? 単に、性的対象や恋愛対象って見られていないだけ。そこそこ承認も賞賛もされているわ。やっぱり、ライトノベルの男主人公はそうでなくてはねっ! 沢山の女の子から好かれて素晴らしい事だわっ!
もちろん、私もジェド君はとても大好きよっ!
いや、もう本当に色々凄いわねっ! ジェド君はっ! いや、もう本当に凄い!」
イルム「デス・ウィングね。彼女の他人への皮肉と煽りには、本当に学ぶべきものがあるわ。素直な賞賛よ。何で、あんなに性格が悪いのかしら? 他人に嫌がらせをする天才よね。私には自信が無いわ。スタイル抜群、絶世の美女だから許されているのよね。きっと、あれが気持ち悪いオタクとかの容姿だったら本当に嫌われているわ。何で、あんなに本当に自然体に他人に皮肉を言えるのか分からないわ。自信満々で、自分の事をクーデレだとかツンデレだとか言う不遜さとか、もう本当に美女キャラの鑑みたいなものねっ! ラノベやウェブ小説なんかには、一人くらいは、ああいう女性がいるのよね、きっと。そして、男性読者の変な妄想のサービスをしてくれるわ。美女だしっ! そういうわけで、もう本当にデス・ウィングっていうクソ女、……っもとい、絶世の美女だと思うのよね。匿名掲示板でやるような煽りを延々とリアルで実行する辺り、もう本当の本当に、クーデレの鑑だわっ!」
イルム「ハルシャね。ミノタウロスの青年ね。彼に対しては、そうね、特に何も言う事は無いわね。別世界の人達の物語では、退治される怪物種族なのに、堂々とメインキャラに居座って、戦士キャラをやっているのが面白いわね。もうね、きっとギャップ萌えね。まあ、正直、私は彼に関しては、あんまり興味が無いから、どうでもいいのが本音なのよね」
イルム「ザルクファンド。彼はドラゴンの魔法使いね。ドラゴン退治をしようとする英雄達を初見殺しで潰そうとする発想が面白いわね。他人をムシケラみたいに始末しても平然としているのにドラゴンっていう種族だから人間とは違うって態度でも、暴君的な事やサイコパス的な事を幾ら行っても、種族が違うから、で許されるわっ! 得意技は中二病溢れる重力魔法だし、もう本当にザルクファンド格好いいっ!」
イルム「ルブルとメアリー。この二人は女同士のカップルね。レズビアンって言うのかしら? メアリーの方から紹介しようかしら? 彼女はルブルっていう死霊術士の魔女に従っているメイドさんなのよね。美少女を凌辱して解体する性的嗜好の変態なのよね。ルクレツィアに来た当初に、特定の地域一つを壊滅させて、大量の虐殺劇をやっているのに、何の報いも受けずに、新たな強大な敵が現れたからって、堂々とミント王女さまと和解しようとする神経が凄いのよね。少年漫画でさえ、一度はメアリーとかいうサイコ女は、主人公サイドに敗北して、改心するのに、詭弁で和解しようとする当たりがゲス極まりないわね。変態は何をやっても許されるって免罪符かしら? 変態だから彼女に対する信者が多いのよね。まったく、この私には理解出来ないわ。やっぱり、変態はみなから愛されるヒーローでヒロインなのかしら? 実質、ジェド君よりも、スケベ心で美少女を凌辱しようとするから、彼女を見ると妄想を代弁されているような気分になるのかしら? もう本当にとてもズルい小悪魔的女よねっ!」
イルム「ネクロマンサーの魔女ルブル。彼女はメアリーがミントにガチで恋愛感情と友情を抱き始めたから、完全に嫉妬しているのよね。二人がルクレツィアを離れたのって、ルブルが本気でブチ切れたっていう裏話があるのよね。そういうわけで、私が彼女達のポジションに乗っかる事が出来たから、この私の為に席を用意してくれて本当にお礼を言うしかないわ。まあ、ある意味で言えば、この私の踏み台になる為に生まれてきてくれた人達って思うと、最高なのよね」
イルム「そうだわ。ルブルとメアリーも大概だったけど、これまで、ルクレツィアに飛来した二つの強大な敵に関して説明しないといけないわね」
イルム「サウルグロスね。この世界、ルクレツィア全土を破壊しまくった暗黒のドラゴンね。その戦争によって、数多の人々が死んだわね。素晴らしい虐殺劇だったけれど、私はまだ生まれてなかったので、観れなかったわ。その時に死亡した呪性王っていう、カルト教団の闇の天使の残骸から、この私が生まれたってわけ。サウルグロスは倒された事になって、正確にはデス・ウィングが異世界に逃がしたのよね。で、プライドが高い暗黒のドラゴンは、もうルクレツィアには手を出さないと決めている。ふふっ、私の誕生に大きく関わっているから、彼にはとても感謝しないとね」
イルム「ジャレスね。ミントの宿敵である、お兄ちゃんね。彼は何度も異世界に転生して、死亡する度に異世界で復活して、復活する度に新たなる能力を手にする力に目覚めたんだけど、少し前に倒されたわ。特に何か私が言う事は無いわね」
イルム「さて、コメント欄を読みましょうかね。ふふっ、ああ、何ですって? お前は偏った他人への悪口ばかり言うなって? うーん、聞こえないわねー。そもそも、私は褒めているじゃない。はっ? 褒め殺し? 皮肉? ちゃんと人物紹介しろ? はあ、聞こえなーいわね。あ、え? 何、このwwwwwwとか、ざまあ、とか、草とか、大草原とか? ふふっ、ちょっと、何を言っているか分からないわねっ!」
イルム「まあいいわ。この私がこれからは、ミント王女やデス・ウィングの処に行くわ。さてと、私の物語も見て欲しいわね……それから、今後、重要人物になるであろう、女騎士アリゼに関してはまだ情報が出回っていないので、説明を省くわ。まあ、とっても気持ち悪い女である事は確かなんだけど……」
†
一筋の光のみが灯っている廃屋の中だった。
迫害の天使イルムは実況動画配信を行っているカメラを蹴り飛ばして踏み砕くと、もう、それに飽きたように、背中を向けて、翼を広げると、闇色の夜へと飛び立っていくのだった。