日収め
大晦日。大掃除が終わった頃に、むつみと七瀬が美紅を迎えに来た。
「美紅ちゃん、日納め見に行こう!」
「海だよ、海!」
美紅は首を傾げる。初日の出を見に行くという話は聞いたことがあるが、日納めというのは聞いたことが無い。
「おお、日納めか、いいなぁ。美紅、連れて行ってもらいなさい」
祖父がニコニコと笑って頷く。
父と母が外に出て、車に乗った双子の両親に挨拶をしている。
祖母に上着を着せてもらい、帽子を被りマフラーを巻いて外に飛び出した。
「美紅、いい子にして、おじちゃんとおばちゃんの言う事聞くのよ」
「うん、いってきます!」
元気に頷いて、車に乗り込む。
冬休みの宿題の話やアニメの話をしていると、海が見えて来た。
夏に行ったあの海だが、車は浜辺のほうには向かわず、山を登って行った。
車は海を見下ろす展望台の駐車場で止まる。
しばらく3人で一緒に雪だるまを作って遊んでいたが、双子の親に呼ばれて見晴らし台に駆け寄った。
「ほら、みんな、お日様を労うわよ。一年間ありがとうございました」
「ありがとー」
「ありがとうございます」
みんなの真似をして、美紅も手を合わせてお礼を言う。
今年最後の夕日が沈んでいく。
ジュッ!
海に大量の水蒸気が上がり、辺りが一気に暗くなった。