Contact-43 ゴブリン退治(前編)
大変お待たせしました!
書き方や新要素など、「伝える事」の手法を考える事は常々”難しい”と思ってしまう今日この頃です……。
それはそうと実は、ちょっと行き詰まった際に「第一章のリメイク版」を執筆してみましたところ……
意外にも、コレが良い出来になりまして……。
まだ、公開できない代わりに試験も兼ね、実験的にリメイク版に載せている”あとがきの書き方”を今後の話に書いて行きたいと思います。
今後もまたノロノロ更新になるとは思いますが、何卒お付き合いを宜しくお願いします……!
因みに、「あとがき」は<ゲームのロード画面>を意識した作りになっております。
書き方の風味に”ピンッ!”……と来た方は、それはそれは立派な「フ◯ム脳」をお持ちだと賛美をお贈らせて頂きます……!
(投稿日、設定を誤って”予約なしの見切り発車”をしてしまいました……もし読んでおられた方がおられましたら、お詫びを申し上げます……!)
30 minutes later ...
「あれは……廃村か?」
11:15 AM
Forest about 600m northwest from the commercial city of Maquette
(商業都市マケットから、北西約1200mの森)
数ヶ月ぶりだと言うのに、どこか”懐かしい”と言う言葉を絞り出させもしてくれないその光景……。
それが冒頭で「アウトドアセール」で出した”高性能双眼鏡”越しに、偵察していたボスが言った言葉だ。
そこには、ボスが初めて訪れた「トルガ村」とは――全く”似ても似つかない”程の荒れ果て様だったからだ。
「……中央の広場で、焚き火を囲んでドンチャン騒ぎしている個体が”12体”以上……。
家と家などの狭間を往復する個体が……少なくとも”6体”……。
……うわッ、屋根の上に弓持ち警備も”6体”近くいるって……!?」
――倍率を変えながら、次々に浮かび上がるゴブリン共の醜悪な醜態の数々……!
……は当たり前なので、ボスは奴らの”警備網の配置”を次々に把握して行く……ッ!
「……後は、偵察場所を変えたりしないと――建物の影なんかの”死角”に居るゴブリンは見えないか……。
そして、恐らく大量に潜んでいると思われる”各屋内”は……入ってから臨機応変に要注意だな……!
しかし……もはや”知能”と言うよりも、”知性”があるって言えるぐらい――地味に厳重だな……。
……フッ、ゴブリンのくせに生意気だぜ……」
――どこぞのジャイアニズム溢れる、”引き籠もり魔王”が言いそうな台詞を何、ドヤ顔で言ってるんだろうか……この人は?
うるせェ。オレは地下に籠るどころか、ダンジョン経営すらした事ないんだぞ? オマケに……ツルハシでもねェし。
――そんな知らない人が聞いたら、擦る所か――理解すらも困難なネタなど聞いてもいないのだが?
……ハァ、異世界に来て唯一不満なのは――”ゲーム”や”漫画”とかの<娯楽>なんかが楽しめない事なんだよなぁ……。
……そりゃ、今の生活だって――余裕がある時は、”RPG”や、無人島とかの”サバイバルゲーム”をやってる様な感覚で、楽しい時もあるよ?
……”残機”共に”プレイ料金”が、常に”自身の命”って、<クソゲー>じゃなきゃなぁッ!?
リトライや、コンテニューすらない――”ストレスゲー”ばっかりやりたくないんだよッ! オレはァァッ!
それに、「デパートセール」の本屋やおもちゃ屋の項目にすら、”週刊誌”や”コミック単行本”、更に”各種ゲーム機器”や”ゲームソフト”すらないってどう言う事なんだよッ!? チキショウッ!
デパートだろォォッ!? 選り取り見取りな筈だろォォッ!?
……ゲーム機や漫画本等の何処が、”ゴブリンとの戦闘”で役に立つのであろうか?
……あ〜ハイ、役に立ちませんよねェ〜。
……だから、ないのかよ――チクショウォォッ!
「……ハァ。オルガ?
お前の鼻で、屋内とかに居るゴブリン共を”探知”したりとかできないか?」
――そう言いながら、後ろを振り向くボス。
……しかし、そこに”彼女の姿”はなかった……!
「ッ!? おい! オルガッ!? 何処に行った!? 返事をしろオルガァァ!」
――「まさかゴブリンに……」とボスの脳裏に嫌な予感が走る……!
しかし、何とか焦る気持ちと共に”声のボリューム”も抑えつつ――ボスは元来た道を駆け戻り、彼女を探すッ!
「ウェロウォロロロロロロロロロロロロ……」
〜ズコォォォォッ! キッ!〜
――うん、ボスさんよ。
良く彼女が居た、廃村から少し離れた木の傍に居た”両手を木に当てつつ、吐きそうになってるオルセット”を見逃さず……しかも”盛大にズッコケ”ず止まれた事は……そう! 褒められるべき事であるッ!
(注:「ズッコケ」は、本来「ハメを外す」とかの意味だが、この物語では大体「頭から盛大に転ぶ」と思って欲しいッ!)
……そんな”ショボい称賛”なんて、恥ずかし過ぎていらねェよ……!
「オルガ、どうした? 大丈夫か?」
――ボスが彼女の背を擦りながら、問いかける。
「ウェロウォロロロロロロロロロロロロ……」
「……チッ、アァッ、モォォォ……ッ!
『オルガ、どうした? どこか体調が悪いのか?』」
――余りに嘔吐……失礼、応答しない彼女に痺れを切らしたボスは一頻り、頭を掻き毟った後――「コール」での”脳内に響く”念話に切り替えたのだ。
「ボ…ボズゥ? どうじだの……?」
――横に来たボスへと向けた彼女の顔は、一瞬”ギャグ”かと思ってしまう程酷い有様であった……。
「うわッ!? 鼻水塗れじゃあねぇかッ!? ホント、大丈夫か?」
「ゴ…ゴベンねぇ……? ボズゥ……? ボグ……ごの先に行ぐの無理ィ……!」
「……もしかして、この辺りに漂う”腐臭”や”死臭”の性か?
オレの鼻でも、結構キツく臭うモンだが……」
「……そう、ボズ以上だよぉ……ボクばァ……!
……特に、ゴブリンどが……ゴブリンどが……ゴブリンどが……ッ!」
「……いや、わかったけど……。
どんだけ、ゴブリンの匂いが嫌いなんだよ!?」
「ゴベン……ホンド、ボスゥゴベンねェ……!」
――数十分前、「任せてェ! ボスゥ!」……と、意気込みをしたばかりなのに――匂いのキツさ以上に、この先”役に立てない”思いもあってか……。
再び、地面に視線を落とした彼女の目尻に――溜まっていた涙が、溢れ始める……。
「……泣くな、オルガ。
ここまで案内してくれた事は、本当に助かったよ……!」
「……ホンド? ボグ……役に立でだ?」
「あぁ、勿論だ。
それに……この先の巣の掃討は、出来る限り”オレ一人でやる”って言ってただろ?
だから……ホラ、このティッシュで鼻をかんで……リフィル達が到着するまで、休んどけ……」
「……ありがどう……ボズゥ……」
「あぁ……かむ時は、ゆっくり静かに……なっ?」
〜……ブチィィィィ〜ンッン! ……ズビッ!〜
「あぁ、それと……ホラ! この”マスク”を使っておけ。
この匂いも前じゃあ気休め程度かもしれんが……使えば少しはマシになるだろう」
――そう言ってボスは、会話の途中で右手を黄色く光らせ――それが晴れたかと思うと、その手には縦長な長方形で出来たビニールの袋が握られていた。
それは、<消臭! 炭の力で臭いや埃を99%カット!>……と言う謳い文句と共に、「黒い立体マスク」の絵がデカデカと載った”7枚1組”の「お徳用マスクパック」であった。
「……いいゔぉ? ボズゥ……?
ざっぎの武器ば、確が今日、出じだばっがだのに……!?」
「1週間近く”オーバーチャージ”で貯めてから出したんだ。
まだ”1000”近くは余裕があるし、コイツの供給コストはたったの”1”だから大丈夫だって……!」
――つまり、”100円シ◯ップ”級のヤスモノ……!
うるせぇ、黙れ。
地球にいた時、オレも使ったけど――効果は抜群だったての……!
「……ありがどう……ボズゥ……。
げど……使い方教えでね?」
「あぁ、勿論だ。
後……多分、リフィル達にもこの臭いはキツイだろうから――アイツらが臭がってたら、ついでにそのマスクを渡しといてくれ。そして、オレが行っている間は……」
「……見づがらず、休んどげ――でじょ? ボズゥ?
分がっでるよ……。ぞごの茂みに隠れどぐがら……」
「そう。大人しくしとけよ? オルガ」
――そう言った後ボスは、彼女が解るように自分にマスクを掛けた後、彼女にマスクの入ったビニール袋を渡した。
そして、先程まで偵察していた”茂み”の付近まで戻ると、この<ゴブリン村>をどう攻略するのか……頭を捻らせ始めるのであった……!
……因みに、唐突に出た上記のマップは全て、”ボスが偵察時に視認できた範囲”の情報である。
そのため、彼が”視認”出来てないものは、ここにない事はあらかじめ言っておこう。
「”正面突破”は、どう見ても愚策……。
”右側の家”から攻めようにも、身を隠す遮蔽物はないに等しいし――そこそこ離れてる……。
……なら攻めるなら”左側の家”か。
……入り口に、”動物とかの骨”が雑多に飾られてるのが――地味に”嫌な予感”がするが……」
――マップの左下部分、ボスの腰ぐらいの高さまで荒れ放題に伸び切った”草むら”が密集した地帯を見て、まるで自己暗示のように……一人、そう彼は呟きながら決断した。
そうして彼は、その”左側の家”の屋根に居た「弓持ちゴブリン」が、草むら方面を見ていない時を見計らって、その草むらを「ホフク前進」で進んで行くのであった……!
……結果は”成功”。
前進中、「振り向くなよ〜? 背中のバックパックに気づくなよ〜? 弓ゴブリン……ッ!」……なんてボスは思ってたそうだが、”焚き火”、”右側の家の屋根”に居たゴブリン達を含め――全く見当違いの方向を見ていたので、”取り越し苦労”に過ぎなかったワケなのだが……。
「……」
――どうした?
体の前面に付いた土埃を払ってないで、何か言えば良いではないか?
「任務に集中する」
――だそうで。
さて、そう呟きながらも”左側の家の裏手”に到着した彼は、”ドア”と”窓”に挟まれた壁に背中を預けていた。
すると、おや……? 先程の戦闘では微塵にも抜く気配がなかった「M1911」を、右手に。
腰に装着していた大型の「サバイバルナイフ」を、左手に持つと……コレはッ!?
「ス◯ーク まずCQCの基本を思い出して……って奴だな。
麻酔銃どころか、サプレッサーはないし――基本、この後使う予定はないが……ガバメントの弾代に、目処が付いたんだ。
それを踏まえて……有り難く、”念のため”として使わさせてもらうぜ……!」
……有り難く?
「……まぁ、ど〜せ”覚えがない”……とかって、言うつもりなんだろ……って、うッ!?」
――と、急に臭い除けの黒いマスクによって覆われた”鼻を急に摘み”……覗き込んでいた窓から自身の顔を素早く離脱させた。
……何故かって? その覗き込んだ先に問題があったからだ。
その中は”木の実”や、”穀物の袋”、そして”肉”が乱雑に置かれた”食糧庫”らしきところであったのだが……。
……まぁ、どれも腐っていたからこそ……ボロボロとなった木枠から除いたボスが、思わず顔を背けてしまったのだ……。
「……ここはパスだな。ザッと見た感じ……ゴブリンはいないみたいだし……。
それに……”土埃”は我慢出来ても――服にこの”腐臭”が付くのは、我慢ならない……ッ!」
――そう言って、ボスは頭を左右に振って気持ちを入れ替えた。
そして……左手のサバイバルナイフを「M1911」の”グリップの削られた部分”に押し当てながら銃を構え、隣接する”左中央付近の家”を目指す。
……しかし、彼は家と家の狭間を横切ろうとした際――即座に銃とナイフを顔の側面に戻しながら、付近にあった壁に身を隠すのであった……!
狭間の先に居た”ゴブリン”が――今し方、ちょうど彼の方向に向こうとする瞬間だったのだ……ッ!
「……クソッ、そこの草むらを”ホフク”しながら行けばバレなそうだが……。
こっちに来た時が怖いな……!
さて……”誘き寄せて”から倒そうにも、どう誘き寄せた物か……?」
そう言いつつ、先程の”食糧庫”の屋根に居た「弓ゴブリン」に注意しながら――近場にあった茂みの裏手に隠れた。
……そしてボスの予想は当たった。隠れた直後、ボスが確認した「狭間に居たゴブリン」が、先程ボスが隠れてた付近まで来たのだ。
そんな紙一重の危機を乗り越えつつも、彼には次のアイディアが浮かんだようだ……!
「……よし、ならあそこに”罠”を仕掛けてやるか……」
――そう言った後のボスの行動は早かった。
少し待って、「狭間に居たゴブリン」が”焚き火の方面”に戻ったのを見計らい、彼は先程の”窓の前”へと移動する。
すると、その前で”右手”で地面に触れた後――”左手”で拳を作り「スイッチ」と彼が呟くと、彼の眼前に近未来的な”ホイール状のUI”が表示される。
そして、左手の親指を”レバー”のように左右に動かしながら「サムズアップ」の薄水色アイコンを選択した後……「ウドウスト・バンジャベリン」と再び呟く。
そうして、準備が終わったのか屋根に居る「弓ゴブリン」の動向に注意しながら、再び先ほど隠れていた”茂み”へと静かに――素早く隠れるのであった。
隠れた後、「狭間に居たゴブリン」が再度確認しに向かってくるのを彼は確認すると……腰に付けていたポーチの中から”小さな何か”を取り出すと……?
〜ポイッ……キンッ! キンッ、キン……〜
……窓枠付近の壁に投げつけたのだ。
すると――その”甲高い金属音”は一瞬であったが、ゴブリン共には「聴き慣れない音」であったのだろう……。
「狭間に居たゴブリン」は吸い寄せられるように……その音の発生源のあった”先程ボスが「スイッチ」と呟いていた場所”へと向かうと……?
「……今だッ!」
〜 グッ! ググ……バズンッ! グサァァッ!〜
「うわぁ……エッグ……ッ!」
……ボスの発言は最もだ。これが人間であったら、非難轟々な光景であろう……!
誘き出されたゴブリンは、宙に浮いていた。
……地面から射出された”竹槍”によって、”顎から脳天”を貫かれて……ッ!
そして一言で言おう……。
「ボスは”空薬莢”を投げ、その”物音”をおとりにゴブリンを誘き寄せ……タイミングを見計らって”スイッチ”の魔法を発動……!」
……その結果が、上記の<竹槍によって串刺しにされた>ゴブリン君だったのだ……!
……しかし、その”戦車砲並みの速度”で発射された竹槍は、地面を劈いた際にそこそこ大きな音を発していた筈なのだが……。
どうやら、焚き火方面の”ドンチャン騒ぎ”もそれに負けじと大きかったのだろう。
家の裏手で、壮絶な最後を遂げた”哀れなゴブリン”に対し――誰一匹(?)として気付いてはなかったのだ……!
そして――ボスが左手の親指を離すと、”役目は終わった”と言わんばかりに射出された竹槍は――地面へとスルスルと消えていき、全てが地面に収まった頃には、その”劈かれ盛り上がっていた地面”すらも跡形もなく消えていたのだ……!
……実に魔法らしく、ファンタジー的な事象である。
「……そんな感傷に浸っている場合じゃあないんだけどなぁ……っとッ!」
――そう言ってボスは、おとりに使った”空薬莢”を素早く回収しつつ、うつ伏せに倒れたゴブリン君の死体を先程の茂みまで隠しに行った……!
……無論、血や匂いで汚れるのが嫌なのか――両手両足をムンズと掴み、静かに素早くである……!
……贅沢に出せるのは、”石鹸”に”タライ”、”洗濯板”までだからな……。
……任務後に、洗うのがメンド臭ェんだよッ!
「デパートセール」で出せば良いのでは?
……同じ”一張羅”が出せないから、こんな面倒い事してんだろうがッ!?
そんな言うなら、「ファッションセール」とか、衣服専門の”供給スキル”をサッサと支援投下しろよッ!?
否、管轄外どころか――私には一切無関係であるッ!
私に出来るのは、”君への実況”だけなのだッ!
……ホント、”話し相手”意外に使えねェ……。
……ところで、先程からやけに熱心に”空薬莢”を集めるものであるなぁ?
……そんなに、”おとり”を用意する必要があるのであろうか?
”空薬莢”? ……あぁ、それは……ウッ!?
どうした!? また”腐敗した食糧庫”でもあったのか!?
「……いや、もっとヤバい……!
ホフクして来た先の家に、こんなにもゴブリンが密集して寝ているなんてな……ッ!」
――そう、ボスが「焚き火のゴブリン達」を警戒して――先程の”食糧庫”とその先の”隣家”にある”草むら”をホフクし……再び”食糧庫”と同じように”隣家”を覗いた矢先にである……!
そこには、<100体近いゴブリン>が所狭しと眠っていたのである……ッ!
ボスの”野蛮”、”汚い”――と言うイメージとは裏腹に……その寝息は意外にも静かであり、先程ボスの言っていた”知性”を感じさせるかのように……。
地べたに寝そべりったり――汚いイビキも上げたりする無数の個体他に、”ハンモック”や”藁製の枕”を使用してスヤスヤと寝息を立てている個体も居たのだ。
……まぁ、そんな情景より――最も重要な事は先程、彼が”一体のゴブリンを倒す”過程で「大きな物音」や「銃声」を上げていよう物なら……!?
その音に、目を覚ましたこの"中隊規模"の奴らに、彼は為す術も無く”数の暴力”によって蹂躙されていたであろう……ッ!
……それを証明するかのように、この光景を見て思い浮かべていたのか……ボスの額から一雫の”冷や汗”が流れ落ちる……!
「……”ステルスプレイ”で行ったのは正解だったな……!
この数だと……幾ら無限に出せる”9mm弾”や”45LW弾”、アイツらの実力を加味しても……。
”無傷で”倒し切れるかどうか心配になるな……!
……悔しいが、ここもパスだ。
現状、オレの装備じゃあ……バックパック内の”試作品”を使えないと、流石にこの数を一網打尽にするのは無理だ……ッ!」
試作品? 気になる”ワード”が出た物だが……それはお目見えになるのだろうか?
……さて、そんな事を言ったボスは奴らの”宿舎(?)”になっている家の裏手を、窓から自身の姿が見えないように……。
”しゃがみ歩き”をしながら、その先あった”藁山地帯”に向けて移動しようとしていた……。
しかし、ボスは再びその近くにあった”茂み”に――その身を隠すハメになってしまう……!
向かうべき先に、3体もの”藁山の間を巡回するゴブリン”の内の一体が、しゃがみ歩きをしていたボスに気付いた素振りを見せたからだ……ッ!
「危ねェッ!? 何で、急に巡回が増えるんだよッ!?」
――茂みに身を潜め、なんとかやり過ごしたボスが抑えた声で毒づく。
……と言うよりも、先程の”偵察”で既に確認済みではなかったのでは、ないだろうか?
……言葉の綾だよ。予想外の連続でチョッピリ失念していただけだ。
……そう言う事にしておこう。
さて、ボス君? この「藁山エリア」は、どうやって攻略する腹積りなのだ?
そう言う事って……ハァ、もういいや……。
まぁ、あそこらの藁山が、オレの予想通りなら――もう攻略の目処は付いたも同然だから……なッ!
〜ポイッ……キンッ! キンッ、キン……〜
「「「ゲギャァ……?」」」
――再びボスは、”空薬莢”を「藁山エリア」の先にあった――すっかりボロボロに劣化していた”木造の小屋”に投げつけ、藁山付近を巡回していたゴブリン達の視線を音の方へと逸らすのであった。
音に吸い寄せられるように、3体のゴブリンが向かって行ったのを確認した彼は――その隙に、近くの藁山へと素早くしゃがみ歩きで移動し密着するように接近すると……?
〜ズボッ!〜
「……おッ! 良しッ! ありがてェ……ッ!
予想通り、中身は空洞になっていたとはな……!」
――と、いきなり手を突っ込んだ後、”藁山の内部”を確認したボスは「焚き火のゴブリン達」を警戒しつつ、先程のゴブリン達が戻る前にそそくさと藁山の内部へと潜り込むのであった……!
こう言った”藁山”……現実では、有名な画家である「クロード・モネ」が1890年代に発表した、「積みわら」と言う作品などで目にした◯者の諸君もいるだろうが……。
実際、どんな役目をしていたかご存知だろうか?
まぁ……答えをザックリとだが言って仕舞えば、”穀物の貯蔵庫”なのだが……彼は違う認識をしていた……!
とある「ステルスアクションゲーム」で、彼は敵兵士の目を掻い潜りつつ、こう言った藁山を見つけては潜り込み――「異常なしッ!」……と、藁山の付近に戻って来た敵兵士に対し……?
〜ブゥワサァッ! ブンッ! グサァァッ! ガシッ! グンッ! ブゥワサァッ!〜
――と、このように……。
「素早く上半身だけを藁山から出し、敵兵士の首にナイフを突き立てて倒した後――敵兵士の両脇を抱えて再び藁山へと潜伏する」
と言った事をまるで日常のように常套手段として、ゲームプレイ中によく使っていたため――今回のように異世界でも、ゴブリン相手に即興で応用してみたのだ……!
「潜伏場所」兼、「暗殺ポイント」として……!
悪かったなッ! 本来の使い方を知らなくてよぉッ!?
……とまぁ、こう悪態を吐くボスであったが――この作戦は案外、効果的面であった。
先程一体を皮切りに、素早く別の藁山に移動しては再び戻って来たゴブリンを一体……また一体と屠っては藁山内部に隠して行き、気が付けば「藁山エリア」は既に制圧済みとなっていたのであった……!
しかし……! 倒した最後の一体から”空薬莢”を回収しつつ、藁山内部の僅かな隙間から「焚き火方面」を偵察していたボスの心境は内心、穏やかじゃあなかった……!
「……おいおい、もう一棟――”ゴブリンの宿舎”があるなんて、聞いてないぞ……!?」
前方を落ち着きなくウロチョロする「弓ゴブリン」や、藁山内部で同居する屍となったゴブリンのより強力な悪臭にイライラしつつも、藁の隙間から双眼鏡で覗く”反対側の家屋”の内部に悪態づいていた……!
宜しければ、もう一度◯者の諸君もマップを確認しながら聞いて欲しい。
ボスは、初めの南東近くの”茂み”から――時計回りに、北西付近の”藁山エリア”と移動して来た……。
つまり、ボスは”最初の偵察場所”では確認できなかった事を、藁山内部から新たに入手している事になった結果が、上記の一言だ。
双眼鏡の先に見える家屋側面――”二つの窓”からチラチラとその奥の壁などに覗かせる――ゴブリンの手足……!
ゴブリン達は寝ている際、窓枠の下部にも届かない高さであった事は先程の”宿舎”で確認済みであった。
そのため、正確な数を数える事が出来なかったボスは”最悪”を予想し、先程の宿舎で数えられた「108体」近いゴブリンが居る事を予想。
更にその左側の先、彼の最初の偵察地点から最も離れた”右奥の離れ屋”のような家屋も、先程と同じような”ゴブリンの宿舎”であると予想。
……丼勘定ではあるが、彼はこの村の戦力が楽観的に見て「300」、最悪的に見て「350以上」――実に、<大隊クラス>ものゴブリンが居る事実に思わず、左手で顔を拭いつつも頭を抱えずにはいられなかった……!
「……おいおい、マジでどうすれりゃ良いんだよ……!?
無限弾で対処するにしても――リロードを挟まなきゃ、延々に撃ってらんねぇし……
持って来た”試作品”で一網打尽にするにしても――一箇所ずつやれば、すぐさま気づいたゴブリン共が雪崩れ込んでくる……!
……無双ゲームでもないのに、”ステルスプレイ”でどうやってこの数を対処しろってんだよ……ッ!?」
……未だ「ゲームのザコ敵」と思いつつ、カルカの依頼を”安請け合い”した自業自得である。
うるせェッ! 「繁殖力が強い」ってだけの情報しか聞けなかったんだぞッ!?
多くても”4、50体”だと思っていたのに、その予想を軽く6倍は超える数が居るなんて予想できるかよ!?
なんせ、「襲撃に遭った際の正確な数」が分からなかったんだからなッ!?
……常に”最悪を想定しろ!”……と仲間達に言ってたのなら、自身も”最悪を想定”して普段から多く見積もるべきではなかったのであろうか?
……あ〜ハイ、そうでしたよねェ〜。
……結局、自業自得かよッ!? ――チクショウォォッ!
『……兄さん? 少し……宜しいでしょうか?』
『……んッ? リフィルか?』
――そんな「任務は遂行する」、「ラフィルへの面子を示す」。
「両方」やらなくっちゃあならないってのが「組織のボス」のつらいところだな……と、半ば現実逃避気味にボスが困り果てていた時――唐突にボス脳内に、リフィルの声が響くのであった……。
『……兄さん、どうかされましたか?』
『あぁ……いや、リフィル? どうした? 頼んでた事は終わったのか?』
『……はい、終わりましたよ。
……今兄さんが、潜伏している村には数分前に到着しまして……オルちゃんの傍に居ます……。
ラフィルも……不機嫌な態度ですが……今、大人しく傍に居ますよ?』
『……そうか』
『……兄さん、本当にどうかされたんですか……?
先程から……お声に元気がないですよ……?』
『……ちょっと気の張り過ぎで疲れてるだけだよ……。
ゴブリン共に……バレちゃ終わりだからな……』
『……兄さん、何か困ってるんでしたら……私に……!』
『気のせいだって……今、この後の作戦を考えてるだけ……』
『でしたら兄さん……! 尚更、”聡明”だと褒めてくれた私に……!』
『大丈夫だってッ!』
――念話ではあったが……ボスは声を荒げるように、リフィルの提案を断った。
『大丈夫……大丈夫……だから……高が”300”体程のゴブリンぐらい……!
”傭兵団のボス”なら……これぐらい……!』
『……兄さんッ!』
――困惑した口調で呟き続けてたボスに対し……意趣返しなのか、リフィルは怒鳴り返す。
『兄さん……オルちゃんが言ってくれましたよね……?
「困った事があったのなら……もっとボク達を頼って良いからね?」……と……!』
『ッ!? リフィル……なんで知って……!?』
『……不躾ながら、”アラナ”に頼んで兄さん達を見守らせて頂きました……
けど……その前に兄さんはこうも言ってましたよね……?
「オレの言う事や指示が間違っていたら、遠慮なく言って欲しい」……と』
『あっ……』
『ですから……今がその時何じゃあないかと……私は思います……!』
『……』
『兄さん、”ラフィルの事”も含め――本当にありがとうございます……。
けど……それだけに思い詰めないで下さい……!
……兄さんは、オルちゃんやラフィル……私を含めて……”傭兵団”……と、名乗ってくれたんですよね……?』
『でしたら……”団”と名乗る以上、私達は一蓮托生です。
オルちゃんが”ボク達を頼って良い”と言ってくれた”思い”と同様……。
私だって……兄さんがどんな事に会おうと……私は生涯を捧げてでも……兄さんを助けて行きたいんですから……!』
『……』
『そんな……そんな”今の私の覚悟”を聞いても……
兄さんは……まだ、ただの”傭兵”として……赤の他人であるラフィルの事を、気に掛けるとでも言うのですか……?』
『……それ程の覚悟を言われちゃなぁ……。
……情けない事なんだが……』
――と、ボスはようやく観念したのか、自分に置かれている状況をポツリポツリと彼女に話し始めるのであった……。
家屋の内情、敵戦力の状況、そして一人ではこの先の攻略には”どん詰まり”だと言う事……。
そんな現時点で判明している、この「ゴブリン村」の情報を包み隠さず彼女に話すのであった……!
そんな諸々の事情を、恥ずかしげに頬を掻きながら――彼女に語るのであった……!
『……なるほど。
ところで兄さん、確認したい事があるのですが……?』
『んッ? なんだ?』
『さっきおしゃっていたゴブリンの数……大体300体クラスのゴブリンとは、”おおよそ”300体……って事で宜しいのでしょうか?』
『……いや、違げェって。
さっき言ってた”大隊”ってのは、人間の軍隊の集まりの一つで……。
おおよそ「300〜1000人」もの人間の兵士の集まりを”大隊”って言うんだよ』
『「300〜1000人」ですかッ!?
そんな……それ程のゴブリンがこの村に……ッ!?』
『……流石に、1000体は居ないと思うけどな?
ところで……さっきオレが言った事を聞いて――何か良い案はないか? リフィル?
この大隊クラスのゴブリン共を”バレず”に、一網打尽に出来る方法は!?』
『……なくはないですけど……』
『本当か!?』
『……けど、兄さん?
先程話して頂いた……”試作品”? その効果は……自信を持って言える物なんでしょうか……?』
『安心しろ、材料の段階では成功している。
今回は完成して、一度も試していない段階だから”試作品”だが、上手くいけば屋内のゴブリン共を”木っ端微塵に消し飛ばす事”が出来るぞ?』
『そ……そんな事が出来るのですか……!?』
『あぁ、リフィルにはキツイ物だろうけどな……?』
『?』
『まぁ、気にしないでリフィルの考えを聞かせてくれ』
『……分かりました。
では、確認しますが……兄さんは中央で焚き火に集まって”馬鹿騒ぎ”しているゴブリン共が目障りなんですよね……?』
『お…おうっ。(リフィルにしちゃあ、随分辛辣な言い方だなぁ……?)』
『そして、そのゴブリン共を排除するか、誘導して……。
三箇所にある「ゴブリンの宿舎」にその例の”試作品”を仕掛け、一網打尽にしたいんですよね……?』
『そうだ』
『……でしたら、兄さん?
今、兄さんが潜伏している”藁山”を含め……その三つの藁山を何かしらで”燃やす”事はできないでしょうか?』
『燃やす……?
……狼煙みたいにして、焚き火周辺のゴブリン共の気を引くのか?』
『そうですが……もう一工夫あります。
三つの藁山が並ぶの中央に、「レーションセール」で何かしら”匂いの強い食料”を置いて下さい』
『……なるほど。 悪食なゴブリン共の注意を更に引くんだな?
で? 最後にどんな罠を仕掛けるんだ? リフィル?』
『フフッ、そうしたら……私の出番です。
まんまと罠に掛かった、おバカなゴブリンさん達を……私の風魔法によって”火炎旋風”を巻きこして……
掃除機の如く吸い取りつつ、こんがりと焼き上げて差し上げますよ……!』
――思わず、”フフフ……”と不気味な笑い声に続き、悪女が言いそうな発言に……チョッピリばかし、背筋がブルっとしたボスは思わず話題を変えるのであった……。
『……(やっぱ……何か辛辣だぞ? リフィル……?)。
火炎旋風? 何だ……それ?』
『兄さんは読んでなかったのですか?
以前、兄さんが渡してくれた”キショウガク”の本に、兄さんが教えてくれた非常に精巧な”シャシン”と言う絵と共に載ってたんですよ!?
”ウィドラマスタ・トルネード”の内部に、煌々とした火柱が立つなんて……!
恐ろしいと思いつつも、兄さんの住んでいた”チキュウ”では……あのような現象が起きる事に、驚きを抑えられずにいられませんでしたよ!』
――途中からの熱弁に、サングラス奥の”虚ろな目”がキラキラと輝いている様を想像してしまうボス……。
彼が、リフィルの”好奇心が強い”と言う事を再確認した時であった……!
『……そ、そうか。
と言う事は……燃やした藁山を、その魔法で吸い込ませて……疑似的に”火炎旋風”を起こしてゴブリン共を一気に倒す……って事で合ってるんだよな?』
『そうです!』
『(……やっぱ、魔法ってスゲェなぁ……!)
けど……リフィル的には大丈夫なのか?』
『……何がですか?』
『ホラ……リフィルは、”エルフ”だろ?
そんな火炎旋風なんて、でっかい燃える竜巻を起こそうモンなら……。
この周囲に火の粉が散ったりして、”火事”に……!』
『心配無用ですよ、兄さん。
エナとアラナに話して見たら、「面白そう」の一言で快諾して協力してくれるそうですから……。
そんな規模が大きくないよう、お願いしますし……。
それに、火の粉が飛び散らないよう、彼らが”調整”してくれるみたいですし……。
後は”火柱”が消えないよう、エナが常に”酸素”を送り込むよう頑張ってくれるみたいですから……』
『どうやって発動するか気になってもいたが……そう聞くと、改めて二人の存在は規格外だな……!?
”魔法の遠隔発動”だよな? それってッ!? しかも酸素って……ッ!?』
――ボスは思わず、顎が外れそうな勢いで彼女の言っていた事実に驚愕していた。
彼の言った事を簡単に言い換えれば……以前にも言った「精霊=ドローン」が、「魔法=爆撃」として、「安全地帯からの遠隔爆撃」が出来ると、言いたかったのである……ッ!
しかし、私も驚きである……ッ!
マケット復興や、ゴブリン狩りなどで忙しい中……一ヶ月早々で、科学の”科の字”も知らなかったであろう、彼女が――(おそらく初歩的な物であろうが……)”理科”や”気象学”を学び、応用し始めているのである……!
『フフッ、私は”ハイエルフ”ですからね? 二人に渡す魔力ぐらい……朝飯前ですよ。
それに……兄さんが渡してくれた”理科の教本”……すごく勉強になりましたよ?』
『……まさか、日本語ももう覚えてるとか……!?』
『……それは、もう少し兄さんからご教授頂きたいですね。
まだ出来ても……「コンニチハ」とか……挨拶ぐらいです……』
『んッ? 今、”クウェルヤ語”しか聞こえなかったが……』
『あれッ? おかしいですね……。
以前、兄さんにお願いして喋って頂いた……”ニホンゴ”の発音を真似して、今伝えてみたのですが……』
『……意外と、”コール”の能力は発動させれば、言語は関係ないのかもな……。
それはそうと、話が脱線したが――焚き火方面の奴らは、リフィルが請け負ってくれるんだよな?
んで……オレは、その「囮の設置」と「各宿舎に試作品を仕掛ける」事をすればいいんだよな?』
『……そうです。
まとめると、そうなりますね……』
『よしッ! 了解だッ!
相談、ありがとうなッ! リフィルッ!』
『……フフッ、お役に立てて光栄ですよ……兄さん』
『けど……』
『?』
『リフィル、ホンの些細な疑問なんだが……』
『どうしました? 兄さん……?』
『……何で、ゴブリンにそんな辛辣に言えるんだ?
いや……ゴブリンに限らず、この周辺の森に居た……
「スピーアーラビット」とか……「オーバルフ」とか……。
そんな……”魔物”全般には――一切「ごめんなさい」とか、躊躇せず撃てたりしてたよな……?』
『……』
『まぁ、言いたくないなら言わなくとも……』
『……心苦しい事ですが……。
私の言う「全ての生きとし生ける者達」の中に……魔物は入っていないだけの話ですから……』
『……えッ!?』
『……それよりも兄さん。
先程、言い忘れてしまいましたが……兄さんから見て左方面……。
4体近くのゴブリンに入り口を守られた「大きな屋敷らしき家」の中に……。
”人らしき姿”が、一人……先程偵察した際に見えましたよ?』
『えッ!? おいッ! 何でそれを早く言わないんだよッ!?』
『すみません……兄さんの落ち込み様の余り……失念していました……』
『そッ、そうなのか? そりゃぁ、すまなかったけどさ……。
そうだ! それよりも、その人はまだ生きているのかッ!?』
『……大丈夫みたいですよ。
呼吸音はまだ聞こえていますし、外傷によって呻き声を上げている素振りもないですから……』
『……そうか、良かった……』
『しかし……悠長にはしてられませんよ、兄さん……?』
『何でだ?』
『どうやら……囚われているのは”女性”みたいです。
そしてゴブリンには”雄”しか性別がいない……。
それに、”300体にも迫る数”がこの村に居て……それだけの”ゴブリンを産み落とした筈の女性達”の姿が、一向に見当たらないのですよ……!? そう考えると……』
『やめろよ!? 怖くなってきたじゃあないかよッ!?』
――じゃあ、一瞬……あの「食糧庫」を覗き見した際に感じた”視線”は……!?
……と悪臭と共に感じていた”悪寒の正体”を、ボスは考えてしまったが――即座に頭を振ると、その事を考えるのをやめた……。
『……私だって……考えたくもないですよ……!
でも、生き残れていた人がいたのは事実です……!
その人のためにも、今すぐにでも最前を尽くしましょうッ!』
『あぁ、だが今度からはそう言った”一刻を争う事態”は、オレの状態がどうであろうと即刻”報告”するようにしてくれよな? リフィル』
『……分かりました』
『よし、この先の索敵とかの”サポート”は頼んだぞ……!』
『了解しました……。
一応……オルちゃんとラフィルにも伝えときましょうか……?』
『……助かる。
恐らく、試作品を使っても”倒しきれないゴブリン”が出るハズだろうから……
二人には、体調とか武器の状態を万全にしといて、そんな”討ち漏らしたゴブリン”をこの後討伐して欲しい……って、伝えておいてくれ』
『なるほど……分かりました……!
後、兄さん……御武運を……! ……リフィル、アウト……』
『あぁ。ボス、アウト……!』
――「コール」による通信を終えたボスは、地面へと向けていた視線を顔を上げた。
そして、再び藁の隙間から周囲の様子を窺いながら……今し方、リフィルと取り決めた”作戦の手順”を脳内で反芻し、その成功している様を想像し始めるのであった……!
<異傭なるTips> リフィル・ホープティア
『非常に精巧な”シャシン”と言う絵と共に載ってたんですよ!?』
『”ウィドラマスタ・トルネード”の内部に、煌々とした火柱が立つなんて……!』
……これらの一文を読んで、彼女は盲目だったのでは?
……と思う人も多いハズ。
……実は、彼女は”エナ”と”アラナ”の二人の精霊を目に宿らせる事で、一時的にだが――”元の視力を取り戻す事”が出来る。
「虚ろな目」に、しっかりとした”瞳孔の光”が戻るのだ。
ただし、それは数十分とも続かない。
そもそも、仕組みとしては――元々失った視力を精霊の二人の力で、魔力によって無理やり引き出しているに過ぎず……。
その燃費も「一分に付き、MP:1000」ずつ消費するほど悪い……。
更に、彼女の目にも結構な負担が掛かるため――彼女は頻繁に使いたがらないのだ。
……だが、点字の突起は「盲目の視界」の中、見えるようである。
そのため、最初にボスが彼女の目を心配して渡してくれた「点字の本」をもらって以来、「点字を学ぶ」事にも並々ならぬ意欲を持ち始めているようである……。
「採長補短」と言う言葉があるが、ボスの世界の知識は彼女をどこまで”成長”させるのであろうか……。




