トアル”過去”での苦悩
……あっ!? 気づかれちゃいましたか?
こっそり投稿した、この回を読んでくれてる皆さんへ……。
いつも遅くてすみませんッ!
……えぇ、今更って感じはしますがこの回は、そんな皆さんに対する”お詫び”の気持ちを込めてお送りしたいと思っています。
新たな章へのプロローグなので、短いですが……次のお話が投稿されるまでの間、この回を元に、申し訳ないのですが……”展開を想像”しながら、気長に待っていて下さいね……?
今後も、異界の傭兵団ッ、何卒よろしくお願いします……ッ!
……昔々、ボスがこの異世界……ウォーダリアへと訪れずれるずっと前……。
東の山の何処かにあると言う、”ドワーフの集落”に、一人のドワーフの男の子が生まれました……。
その男の子は、生まれてから数十年……人間の歳で言えば、まだ小学生にも満たない頃に、周囲のドワーフ達の目ん玉を引ん剥かんばかりの功績を成し遂げ、周囲をアッと驚かせていました……!
――すごいぞォォッ!
ウチの息子は将来、我々ドワーフの頭領になる事、間違いなしだッ!
――ええッ! そうねアンタァッ! この子は……神の手を持つ、神童だよッ!
そう……男の子は小学生にも満たない歳で、それはそれは立派な長剣を、自らの手で作り上げてしまったのです……ッ!
しかも、ただの長剣ではありません……! 鉄鉱石の状態から製錬し、加工の難しい鋼となった塊を、柄の根本から刃先まで……丹念に鍛造して作られた――歴とした業物であり……その完成度に舞い上がっていた両親が、当時の頭領や、最長老に見せると……?
――本当にこの歳でか……?
どっかの熟練スカタンドワーフに頼んで、作ったんじゃあなくってかァァッ!?
――こ…コイツは凄いワイ……!
ワシらはともかく……人間のアホンダラ供に売ったとしても、金貨100枚は下らない業物じゃワイ……ッ!
しかし……男の子の凄さはそれだけにとどまる事を知りませんでした……!
10年……20年……と、ドンドン齢を重ねるに連れて、ミスリル――オリハルコン――アダマンタイトなどなどの、非常に加工の難しい伝説級の魔鉱石達を、自由自在に扱えるようになり……次々に金貨百〜千枚以上は当たり前の、素晴らしい武器や道具の数々を、作り出していったのです……ッ!
――良くやった!
オマエさんはどの”ボンクラドワーフ”よりも、圧倒的に優れた、立派な職人だッ!
オマエさんが居れば……ドワーフは永久不滅じゃァァァァッ!
――生涯、”物作り”に命を懸け……他人どころか、同族の素晴らしい作品でも滅多に褒めることのないドワーフ族一同が皆、口を揃えて言うのです。
それ程、彼の腕は神技の域に達する程、素晴らしかったのです……!
数百年後……すっかり成人し、歳を重ね続けて来た男の子の作品が、”千”を超える時になった頃……。
彼は忽然と姿を消したのでした……!
その時……その日は、彼が若くして最年少のドワーフの名誉頭領兼、最長老として就任する日でした……!
勿論、ドワーフ達は大騒ぎし……彼を必死に探しました。
しかし……100年経とうとも見つからない彼に対し、その時に迫るに連れ……ドワーフ達はジョジョに失望していき……とっくの昔に呆れ果ててしまった頃……嫌な事があると、皆が口々にこう言うのでした……。
――あのッ、大クソアホンダラの……”伝説の鍛冶師”は何処に消えたッ!? ……と。
Time changes ... About a month before the end of Chapter 2 ...
(時は変わり、2章終了時から、およそ一ヶ月前……)
21:16 PM
??? ??? ???
〜ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ……!〜
「ハァハァハァ……! 待てェ! 待てェェッ!」
――月夜の明かりが僅かにも照らさぬ暗闇の中……。
一つの重い足取りをした、一筋の光を闇夜へと伸ばす者を前に――複数の松明を掲げる軽快な足音達が、その者を追いかけていた……!
〜ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ……ズザザザザ……ッ!〜
――しかし、先頭を走っていた者は見えていた曲がり角の先で、急に足を止めてしまったのだ……!
光が照らす先には、頑丈な鉄格子が道を阻んでいたのだ。
そして、運の悪い事に彼が戻ろうと後ろを照らした先には、先程の松明を掲げる者達が、既に追いついていたのだった……ッ!
「……観念してください、勇者様……」
――第一次世界大戦、アメリカやイギリス軍を中心に使われた「ブロディヘルメット」に似た、使い込まれた青銅の兜を鈍く輝かせる程の眩しさに、思わず左手で光を遮りながら……勇者と呼ばれた者を宥めるように語り掛ける男……。
「どのような手段で、この地下牢から抜け出したかは知りませんが……。
ここにいる事も、貴方方の務めなのです……!」
――地下牢に勇者という一文で、まず真面な待遇とは思えないが……そんな私と似た思いの勇者の発言も許さず、青銅の洗面器を被った看守らしき兵が言葉を続けた……。
「さぁ……明日もまた、悪しき帝国軍と戦うための訓練が待っています……。
我が王国を救うため……下手な考えは起こさず、お逃げになった牢へ戻って頂いて……!」
――しかし、この発言が良くなかったのか……松明の明かりでボンヤリと照らし出されていた、膨よかな男は、僅かに照らし出されていた口元を酷く歪ませた後……!
〜ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!〜
「グアァァァァッ!」「オブッ!?」「ヒギャアァァッ!」
「ダンタインッ! アモスッ! ボルトスゥゥッ!」
……男は、一瞬にして無数の不可思議な光を手元から放ち、”三銃士”っぽい名前の兵士達を含めた数十人を、瞬く間に破裂させた頭や胸から、流れ出た……足元の血溜まりへと沈めたのであった……ッ!
〜ドガッ! ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ……!〜
「イタタタ……チキショウッ! 追えッ! 追えッ!
あの不可思議な魔道具に怯えている場合じゃあないぞッ!」
――そして、包囲していた残り兵士達が怯んだ隙に、眼前に居た兵士を押し除け……道を逆走して行く……! 無数の聴き慣れた助けを求める声が上がる牢屋を横切り、駆けて行く中……彼が目指す先には、冷たい石造りの階段があった。
先程は通り過ぎてしまった階段に対し、悪態付きながら、更に重くなった足取りで駆け上って行く……!
「ゼェゼェゼェ……チクショウッ! こんな勇者なんてやってられるかッ!
僕は……僕は……! 夢にまで見た異世界ハーレムをやってるんだ〜ッ!」
――汗と涙と鼻水を盛大に垂れ流しながら……男は、先ほどから大事に抱えていた”魔道具”と呼ばれた物に付いていた、”小さな箱”らしき物を抜き取り、後方へと投げ捨てると……ズボンのポケットに突き刺していた、同じ”小さな箱”を”魔道具”へと突き刺し、"伸びていたレバーらしき物"を荒々しく引くのであった……。
……その後、男が逃げ出した地下牢の上では、何百回もの”小さな爆発したような音”が闇夜の中で響き渡ったと言うが……逃げた男の行方は、ボスが「城塞都市マケット」を開放した時になっても、一向に見つからなかったと言う……。
過去の時間軸に語られた、この二人の人物達……。
果たして、ボス御一行様である「傭兵団」とは、どの様な関わりを持つ様になるのでしょうか……?
乞う、ご期待下さいッ!