EPILOGUE - 2P 蝶ノ聲
一ヶ月近く、大変お待たせしましたッ!
(”しっかり書かなきゃ病”の性で、どうしても長くなる……ッ!)
「ゼルダの伝説 夢をみる島」……2019年現在、26年の時を経てSwitch版が出て初めてプレイしましたが、携帯ゲーム機のGBの作品とは思えず、時にサクサク、時に四苦八苦しながらやっと最近クリアしました。
昔のCM内容のおちゃらけパッパさと、今回の島の住人達のノホホンノーテンキぶりとは裏腹に……実は、勇者の目的はいつも本当に正しいのか? ……と考えさせられ、切ないエンディングを迎えました……。
だからってもんじゃあないですが……今回の話はそれをチョッピリ意識した話になっています。
楽しい夢、悲しい夢、辛い夢などなど……様々な夢があれど、どんな世界でも最後には必ず色んな現実に、立ち向かって行かなくっちゃいけないんだなぁ…とも思いましたね……。
ハイラルは滅びようとも……時を越えて……勇者達は何度でも立ち上がる……!
頑張って諦めずに生きていけば、誰だって勇者になり得るんですよ。
人生って”魔王”に、誰もが立ち向かってるんですから……!
1 Days later……
14:12 PM
領主館 第二庭園
〜ザッ――ザッ――ザッ――ザッ……〜
……三匹の豚が処刑された翌日、街から粗末な麦粥やパンを作る匂いが少なくなった、昼過ぎの事だ。
領主館の裏庭、ボス達が極めて変なハーフエルフの暗殺者と死闘を繰り広げた――奇妙な植木が入り混じり、乱立されたその庭の中で――彼女、リフィルはその中央辺りにぽっかりと円状に空いた場所へと、緩やかに歩みを進めていた……。
〜ザッ――ザッ――ザッ――ザッ……スッ……〜
……そして、彼女はある物の前で歩みを止めると、その前に崩れるように座した。
それは、不自然にぽっかり空いた庭中央に、新たにこんもりと積まれた”小さな土の山”であった。
……お母さん……。
……彼女は、その土の山を見つめながら――心の中で小さく呟いた……。
……そう、それは彼女の母親が眠る……名もなき小さな墓……古風に言えば、土饅頭であったのだ……。
……少し、時は巻き戻る……。
三匹の豚が処刑された後、領主館に戻ったリフィルは祝いの食事も摂らず……すぐに自身に割り当てられた部屋に戻り……終始、部屋の奥隅でドライゼ銃を抱きしめながら、蹲っていたらしい……。
数時間経っても、食堂に現れない事を心配したボスは、彼女の部屋へと行き――部屋の隅に体操座りのように蹲っていた彼女に声を掛けた……。
しかし、数十分経とうが彼女は一向に喋らなかったのだ……。
だが、ボスは開けっ放しにしてた戦闘糧食の”まぐろ味付け缶”が、腐らないかと心配するのを、必死に押し殺しながらも、懸命かつ優しく……彼女が喋るまで粘り強く問い質し続けた。
……問いただす事、およそ一時間後……ようやく、腕の中に顔を突っ伏していた彼女は顔を上げ……物憂げに「コール」のスキルを用い途切れ途切れに一言、喋ったのであった……。
『……兄さん……お願い……お母さんのお墓を作って……』
……それを聞いたボスは、「……わかった」……と呟き、部屋を出て行った後……食べ疲れてウトウトとしていたオルセット達を何とか連れて、数時間……。今現在、彼女が目の前に座する墓を作り上げたと言うワケだ。
その際、ボスは”カルカ”か”ダース”に頼んで、立派な墓石を立てようとしたが……リフィルに加え、ラフィルが頑なに拒んだそうだ……。
……何故かって? それは、この後の彼女の行動を見てもらえれば、分かるであろう……。
〜ゴソ……スッ、ピッ……スッ……ザクッザクッ……スッ、ポトッ……ザザッザザッ……ポンポン……スッ……〜
……ウン、擬音だけでは分からないな……。ちゃんと説明するので心配しないで欲しい……。
まず、リフィルはその小さな胸の谷間に隠していた――これまた小さな袋を取り出すと……その中に入っていた、レンズ豆とほぼ同じ大きさの”種”らしき物を取り出していた……。
これは……彼女が母親と最後の別れの間際に、隠し持たされた物だ。
その種を……彼女は母親が眠る土饅頭の中心へと、優しく土を掻き分け――小さな穴を拵えた後にそっと……植えたのであった……。
そして植えた後……彼女は陰陽術師が印を切る時のような……”小指と薬指以外をまっすぐに伸ばした”右手を胸の間に寄せ……見えない両目を閉じ……まるで、眼前の母親の冥福を祈るような事をしているのだ……。
まぁ……要するに、彼女は「エルフ式の墓作り」をしたかったのであろう……。
……お母さん……。
……ここまで来るのに……彼女はどれだけ辛い思いをしたのであろう……。
……どれだけ、己を殺し……襲い掛かる敵を殺し続けたであろうか……。
……それは、如何なる偉大な魔法を持ってしても……彼女自身しか知る由はないであろう……。
〜……スッ……チャキッ……ガッ……カッ……スッ……〜
……? 何を思ったのか、心の中で再び母親の事を呟いた後……リフィルは、何故かこの墓前前まで一緒に運び、彼女の右側に置いていた「ドライゼ銃」を手に取ると……徐に、ボルトハンドルを操作し、チャンバーを開放させた。
そして、自身のパレオ風の巻きスカートに付けられた”弾薬ポーチ”から、ドライゼ銃の弾である紙製薬莢を1発……取り出すと、軽く右手の中で転がすのを物憂げに見つめた後、それをチャンバーから銃身へと押し込んだのであった……。
……彼女は、どこかに敵が居るのを察知したのであろうか……?
〜……スッ……カッ……ガッ……ガッ……チャキッ〜
……そして、再びボルトハンドルを操作し、飛び出たファイアリングピンを押し戻して発射準備を終えると、その銃口を……えッ?
……ごめんなさい……。
や……やめて……ッ!
……ごめんなさい……!
やめて……やめて……ッ! リフィル……ッ!
……ごめんなさい……ッ!
お願いだからやめてェッ! 今すぐその口に入れた銃口を……ッ!
〜 プパァァァァァァンッン!!! 〜
〜ダッダッダッダッダッダッダッ……バンッ!〜
「おいッ! リフィルッ! どうしたッ!? 何があったんだ!? ……ッ!?」
ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ……
……ホッ……。
裏庭から発せられた1発の銃声……少量の昼食しか食べず「1人にして欲しい」と言う事を、リフィルから聞いていたボスは、この銃声を聞いた途端――自身が先日に聞いた”リフィルの声色”から来る嫌な予感じゃあないでくれ……と切実に願いながら、二階の自室から裏庭へと駆け下りていった……!
そして、体当たりする勢いで開けた扉の先には――失意……失意体前屈の状態で、大粒の汗をダラダラと流し、過呼吸となっていたリフィルの姿があった……。
パッと見、周囲に敵影は見当たらず、彼女自身に何かがあったとボスは早計しそうになっていたが……”領主軍の確認していない残党”の可能性を改めて考えると――ズボンのポケットに入れていたSAAを構え、植木の影や、裏庭の囲いの上などに細心の注意を払いながら、彼女の元へと早足で進んで行った……。
「おい、リフィルッ! 何があった!? どっかに敵でも居たのかッ!?」
『……』
〜……スッ……チャキッ……ガッ……カッ……スッ……〜
……しかし、リフィルは失意体前屈から上体を悠長に起き上がらせると、自身を背に守りながら語りかけてくるボスに対し、一言も「コール」で発さず……項垂れたまま、再び両手に取った「ドライゼ銃」のチャンバーを開放させる……。
「ッ! どっかに敵が居るんだな? リフィル! 敵はどこに居るんだッ!?」
『……』
〜……スッ……カッ……ガッ……ガッ……チャキッ〜
……しかし、彼女は相変わらず、黙り項垂れたまま……再び巻きスカートに突いた弾薬ポーチから紙製薬莢を取り出し、チャンバーから銃身へと押し込み、ボルトハンドルと飛び出たファイアリングピンを操作して発射準備を済まさせた。
一方でボスは、彼女が「ドライゼ銃」に弾を込め終える音を聞いて、周囲のどこかに敵が潜んでいる事を半ば確信しながらも――ずっと彼女が”無言”だった事が気になり、SAAを構えたまま……ふと、目を向けると……
「ッ!? な……何をしているんだッ!? リフィルッ!?」
……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……!
――リフィル……。
〜ガッ、ググググググッ……〜
「おいッ……リフィルッ! やめろッ……!
今すぐ……その……口に入れてる銃を……放せェェ……ッ!」
……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……!
――やめて……。
〜ググググググッ……〜
「やめろ……ッ! リフィル……ッ!
自殺なんて……バカな事を考えるな……ッ!」
……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……!
――お願いだから、やめて……。
〜ググググググッ……〜
「考え直せ……リフィルッ!
何で……こんな所で……死ぬ……必要が……あるんだ……ッ!?」
……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……!
――お願い……! やめて……ッ!
〜ググググググッ……〜
「頼む……リフィル……ッ! 力を……手に力を入れるのを……やめろ……ッ!」
……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……!
――それ以上……。
〜ググググググッ……グッ……〜
「ッ!?(マズイッ! 引き金がッ!?)」
――それ以上……もう……
……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……!
「あぁッ! クソッ! やめろォォッ! リフィルッ!」
〜ググググググッ……ドゲシャアッ! バッ! プパァァァァァァンッン!!!〜
――もう……戻れない人達のために……謝るのはやめて……ッ!
「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……あぁ……クソォッ!」
〜ブンッ! ガッ、カッ、カシャンッ! ズザァァァァ……〜
……ボスは……。
……いえ……ボスさん……ありがとうございます……。
貴方が、リフィルを思いっきり蹴ってしまったとは言えど……娘を死なせない為でしたから……。
貴方が気に病むまではないですよ……。
……ドライゼ銃を奪い取った勢いで、地面を軽く転がってしまったボスさんは、持っていたドライゼ銃を遠くに投げ捨てると、お腹を蹴られて少し咳き込んでいる彼女に向かって……残念そうな声を上げました……。
「……失望したぞ、リフィル。
オレは……オレは、オマエに……自殺させるために、銃を渡したんじゃあないッ!」
『……』
「答えろッ! リフィルッ! 何でこんなバカな真似をしようとしたッ!?」
……ボスさんが叱るように強く訴えかけても……リフィルは、蹴られた上体だけを起こすと……両指の甲を軽く地面に着け、項垂れたまま――土饅頭の方を向いていた……。
そして……彼女は、震える右手をゆっくりと上げると――首右側面の頚動脈に中指と人差し指を当て、ゆっくりと……儚げな声でボスさんに自身の思いを伝え始めた……。
『……私は……』
「ん?」
『……私は、覚悟をしたハズなのに……!』
「……覚悟…か?」
止めどもない……悲しみ一色に染まった声……。
ボスさんの怒りは瞬時に四散し……只々戸惑い始めていた……。
『私は……兄さんに誓いました……。
……<理不尽な”死”のない世界を望むために……私は戦う>……と……』
「……そうだな」
『その前から……私はずっと……夢を見ていたんだと思います……』
「……夢……?」
……夢……?
『……お父さん……お母さん……そして、ラフィル……それらを……ジョジョに……ジョジョに…失って行く……途方もない悪夢……』
「……」
『……でも…あの言葉を言えた時から……悪夢は……一時的に……”夢”に変わっていたんだと思うんです……』
……悪夢から……夢に……?
「……どう言う夢になったんだ?」
『……ほんの一瞬です。……見ていられたのは……』
「でも、ちゃんと見たんだろ? ……だったら教えてくれよ……」
『……非力だった私が……兄さんに力を頂いて……マケットの街の人々を……救う…夢です……』
「……ホラ、ちゃんと見てたじゃあないか? そして、悪夢と共にその夢も”ハイお終いッ!”……って、もう終わってるぞ?」
『……終わっていないんです……』
「……ハァ?」
『……終わっていないんですよ……悪夢が……!』
……ッ!? どう言う事……!? リフィル……ッ!?
『夢から覚めて……気づいてしまったんですよ……。
私は……父や…母が…もう……この世に…いない事や……誓いのためとは…言えど……多くの…多くの命を……! 殺めて来てしまった事を……! この手を血で染めてしまった事を……ッ!
覚悟もした……誓っても来た……筈なのに……! 今も心臓が抉り出されんばかりに……! ……とてつもなく……悲しいんですよ……!』
……リフィル……。
……彼女……リフィルは、ボスさんの方に向き直ろうともせず、只々……次の言葉を紡ごうと必死でした……。
しかし……ここに来て急に止まってしまったんです。
その代わり……ボスさんの脳内ではなく……彼の耳に……しゃくり上げるような息遣いと……彼女の横髪とサングラスから逃げ出すように、ジョジョに滴り落ち始めた……頬を伝い落ちる――彼女の涙を……。
それを見たボスさんは……自身の右手を見つめながら――消沈した声でリフィルに返事を返しました。
「……オレだって……リフィル以上に……この手は汚れているよ……」
『……だから……私と同じ気持ちが……解ると……言うのですか……ッ!?』
「ッ!?」
――マズイ、言葉を間違えたかッ!?
……慰めようと語ったボスさんの胸中は、その一言で溢れ返っていました……。
『母を失った事以上に……! この胸を抉る痛みを……ッ! 貴方は解ると言うのですか……ッ!?』
――脳内に響く声が、ジョジョに荒み始める事に……ボスさんは動揺し始めてました……。
「……違う、違うんだ! リフィル! オレはお前を慰めようとして……ッ!」
『……いや、いいです……もう、いいんですよ……兄さん……』
「だから、違うんだよ! リフィルッ!」
『……もう、いいですよ……兄さん……もう……無理に解ろうとしなくて……』
……リフィル……お願い……落ち込んで行くばかりでなく、ボスさんの意見に耳を傾けて……。
――私の言う事が届く筈もなく……ボスさんの声を聞いたリフィルは、途端に冷め、理解したような声で彼の返答を押し止めた後……彼女の気分と共に彼女の体もより俯いて行き……ボスさんも次に紡ごうとした言葉を、思わず飲み込んでしいました……。
『ずっと……強がっていたんです……。
只々……目を向けないようにしていたんでしょう……。
あるいは……戦い続ける事で……忘れてしまおうと思っていたのでしょう……』
「……」
『結局……仇を討てても……この悪夢から覚める事はなかったんです……。
家族を失っていく以上に……この胸が痛んでいるのですから……』
「……」
『……だから、このまま悪夢を見続けるくらいなら……一層の事……もう……永遠に眠りに就こうと思い……二度も試したわけですが……情けないですよね……。
痛い…痛い……言っている癖に……覚悟できず……二度も失敗しているんですから……』
……辛い、辛い……ただひたすらに辛い……!
自ら地獄に向かい誤るリフィルを……語り見守る事しかできない私が……途方もなく辛いッ!
〜スクッ……〜
『……だから……兄さん……今までよくしてもらった上で……申し訳ないのですが……最後のお願いです……。私を……』
〜ザッザッザッザッザッ……〜
『この……終わらない悪夢に苦しむ……私を……』
この腕で抱きしめられない私が……ッ!?
〜……ギュッ……〜
『……ッ!? えっ? ちょ、ちょっと……兄さんッ!?』
ッ!? ちょ、ちょっと!? ボスさんッ!?
な……何で急に……リフィルを……娘を抱きしめたのですかァッ!?
「……”兄さんの持つ銃で、眠らせてくれませんか”……だろ?
言いたかった台詞は?」
『ッ!?』
ず……図星を突かれたように、リフィルは掛けているサングラス越しに、目を見開かせました……。
その後に続くボスさんは、重く……非常に真剣味を帯びた声で言葉を
「……バカ野郎…リフィル、例えお前がこの後拝み倒そうが……オレがお前に向ける”銃口”や、”凶器”は一切ないと思え……ッ!」
『……どうして……どうしてなのですか……ッ! 兄さん……ッ!
何故……私が……この悪夢を……見続けなければならないのですか……ッ!?』
「……もう、我慢するなよ……!」
『……えッ?』
「リフィル……お前と……ラフィルは……ッ! もう自由なんだ……ッ!
もっと……自分自身が生きる事に……ワガママになって良いんだよ……ッ!」
『ッ!?』
……私も、娘同様……考えた事もありませんでした……。
エルフは排他的とは言えど……全ては自然のため……世界のため……。
そう……”誰かのために”を、優先して生きていく種族でしたから……。
どんなに位が高く……驕り高ぶろうとも……
エルフの心の奥底にある考えは、皆同じな筈です……。
「もう……リフィルの言う悪夢は……オレら傭兵団で終わらせたんだ……。
だから……その痛みは……もっと別な物のハズなんだよ……リフィル……」
『……では、何だと言うのでしょうか……この痛みは……?』
「えッ? ……それは……それは、お前が”優しさ”を忘れていない……立派な証拠なんだよ!」
……触れ合う横顔を外に背けながら、リフィルは語ります……。
『……私は捨てきれなかったのですよ……? 覚悟もできないような…半端な戦士になったからこそ……今この胸が痛むのであって……』
「……誰が、お前の優しさを”捨てろ”って言った?」
『えッ……?』
……背けていた顔を戻し、思わず再び目を見開いてしまうリフィル……。
「それに‥…最初に撃ったのが、女性や子供じゃあなかっただけマシだ」
『……じゃあ何ですか……? 男だったら、撃っていいんですか……!? 殺めていいのですか……ッ!?』
「……あぁ、男は……戦うために生まれて来るものだ……」
『兄さん……貴方って人は……ッ!』
「……だが、命を産み育てるって事では……女性も、男以上に戦っている物だ
……!」
『……』
「生きている以上、誰しもが何かと戦っているんだよ……。
戦って……戦って……何度も何度も乗り越えて行くのが――人生って奴だ……」
……ボスさん……貴方は、本当に……”ダイガクセイ”と言う方なのでしょうか……!?
只々……勉学に励んでいた平民と言うよりも……まるで……本当に――数多の死線を乗り越えて来たような……屈強かつ老練な……戦士のような精神を感じますよ……!
19年という短い時間を感じさせないと言うか……。
”体”と”精神”が無自覚に不釣り合いと言うべきか……!
『……』
「それに……オレの世界では”二兎を追う者は一兎をも得ず”って、諺がある……」
『……』
「”欲張って二匹の兎を追い求めよう物なら……何も得られずに狩りは終わる”って意味だ。
……リフィルが追い求めようとした兎は”街の平和”と”悪党共の命”って所だろう?」
『……』
「リフィル……お前の優しさは本当に凄いよ……お前の命を狙おう者にも、その優しさを掛けられるなんて……まず、オレには出来ない。ラフィルや、オルセットだって出来ないだろう……。
ホント、凄い事だよ……」
『……』
「だけどな、その兎を選ぶ選択も、また人生で大事な所なんだよ。
ギロチンを動かしたカルカが良い例だ。彼女は動かす前に”兄とは思った事はない”って言ってたが……もしかしたら、心の奥底のどこかじゃあ”殺したくない”ってお前と同じように思ってたのかもしれないぞ?」
『……』
「……それでも、彼女は動かした。
じゃあ、それは何故か……? 彼女にとっては、”街の平和”が最も求めたい兎だったからだ。
――彼女だって、選択したんだよ……」
『……』
「……だから、リフィル……お前も選ばなくちゃいけない……誰しも二兎は追い続けられない……!
……今、オレのズボンのポケットに入った銃に、その左手を”伸ばす”か、”引っ込める”のか……? よく考えて決めてくれ……」
ッ!? 私とした事が気づきませんでした……。
今まで密着して来て……リフィルが俯き無言でボスさんの言葉に耳を傾ける中……。
彼女の胸に、ボスさんがいつも”緊急用”にと、上着の裏地の左右の収納に入れている”フリントロックピストル”の硬さは既に伝わっている筈でしたが……。
……よくよく考えれば、彼女がまだ考えを改めないようなら……そっちに手を伸ばすのが自然でしたね……。
『……(銃に伸ばす手をゆっくり引っ込める)』
「良し……それじゃあ……」
『(ボスの胸に顔を埋めながら)……殺してください……』
「……えっ?」
『私を……殺して……ください……兄さん……!』
――ボスさんは、突進するような勢いで、リフィルの両肩に掴み掛かりました……。
「バカ野郎ッ! 何を言ってんだッ!?」
『……私は……私は、もう……耐えられないんです……!
私は……兄さんに誓いましたが……これ以上……私の性で誰かが死んで行くのを感じるのは……もう耐えきれないんです……ッ!』
「……分かってる、お前の優しさが凄いのは分かっているよ……だけどなぁ!」
『……私が初めて……人を殺した日から……ずっと……毎晩……夢を見ているんです……』
「……?」
……ハァ……。
今度は何の夢なんですか……リフィル……?
『……もう目は見えない筈なのに……見えるんです……輪郭だけじゃあなく……色が……その姿形が……鮮明に見えるんです……! 私に撃たれた瞬間……飛び散る血や、肉片……その姿を見て悲鳴を上げる敵の人達が……その幻影が……! 撃った数だけ……増えていってるんですよ……!』
「……」
『……兄さん……これが……”ピーティーエスディー”……と言う物なのでしょうか……?
物凄く……怖いんです……! 私が…私じゃあなくなりそうで……! だから……自分を……罰しようとして……でも…それがダメで……! だから……兄さんに……!』
……ごめんなさい……リフィル……。
私が……軽率な事を……言ってしまって……。
「バカ野郎……」
『ッ!?』
……そう言うとボスは、彼女の両肩に置いていた手をそっと背中に回しながら、彼女を優しく抱きしめました……。
「それじゃあ……リフィルの母さんが、お前たち二人を逃した意味がなくなるだろ……ッ!」
『……私が死ぬ事は……』
「それがお前の母さんが望んでいた事なのかッ!?」
『ッ!?』
「……親はなぁ、子供を守るためだったら命を懸ける事が出来るんだよ……ッ!
どんなに苦しかろうが……命を捨てる事になろうが……守りたいと必死になるんだよ……ッ!
オルセットから部分的に聞いたが……ラフィルに抱え大筒を持たせる際、一番分かっていたのは賢いお前だろ!? リフィル……ッ!」
ボスさん……ありがとうございます……。
でも……貴方は本当に、”ダイガクセイ”という方なのでしょうか……?
『……でも……私は……』
「それになぁ……オレだって……本当は、怖いんだよ……」
『……?』
……怖い?
「オレは……この異世界に来てから変な所があってな……?
戦っている時は……余程の事がない限り、感じないんだよ……恐怖をな……」
『……恐怖を?』
「あぁ……。
だが、戦闘中、少しでも気を緩めたり……戦闘後になると……こう……胸の中に物凄くモヤモヤした……変な物が出てくるのを、最近感じるようになったんだよ……」
『変な物……?』
「あぁ、これがオレには何だか分からない……。
恐怖なのか……オレの中に巣食う化け物なのか……分からないから、必死に抑え込んでんだよ……。
敵をおちょくったりしてな……」
……そんな事が……。
『……ラフィルの時も……ですか?』
「あぁ、似たようなモンだ……。
ホント……怖かったよ……斬られる以上に、いつ自分がラフィルに銃を向けないかと……怯えながらな……」
……やっぱり、素は普通の”ダイガクセイ”なのでしょうか……?
『……』
「これでもダメか?」
『……いえ……やっぱり兄さんは凄いな……って』
「……そうか」
『こう……割り切れると言うのでしょうか……。
それに比べると……未だにこの優しさや、母への未練を持っている自分が……惨めに思えてきて……』
「いや、だからその”優しさ”を捨てろなんて、オレは一言も言ってないぞ?」
『……え? でも……さっきの話じゃあ……』
「”優しさ”を捨てれば、誰だろうと”屑”に成り下がる……。
あの三匹の豚供がいい例だ。リフィル……領民達に優しい言葉すら掛けた所を、お前は見たことあるのか?」
『……いえ、残念ながら……なかったですね……』
「だろ? そして、今もお前の良い優しさが出て来てた」
『あっ……』
「忘れるな? その優しさを……」
『……』
……いいなぁ……羨ましいですよ……リフィル……。
貴方は、”お父さん”と”ラフィル”しか異性と言うもの知りませんから……。
まだ無自覚でしょうが……私だったら、人間なのに……今ので既に気になり始めそうですよ……。
そんな人間の殿方と……これから冒険の旅に出られるのかもしれないと思うと……本当に羨ましいですよ……。
「それになリフィル……。
お前が……いや、お前達が、母親や父親を忘れてなければ、完全には死なない」
『……えっ?』
「ある医者が言ってたんだ、”人はいつ死ぬのか?”って。
拷問で殺された時? 違う。不治の病に侵された時? 違う。
助ける手が間に合わなかった時か? ーーたぶんそれも違うと彼は言うだろう……」
『……』
「そして彼は否定し続けた後、こう言ったんだよ。
”人に忘れ去られた時”だって……」
『……ッ!』
「だから……お前達が、いや……オレ達が忘れない限り、お前達の両親は本当の意味で”死”を迎える事はない。お前達の記憶で、心の中で抱き続ければ……いつでも、お前達の傍に居てくれるハズだ……」
……頑張って……お願いはしてみるけどね……。
『……』
「殺してきた人達の事も思うなら、殺してきた数だけ……その人達の代わりに生きろ。
それこそ……殺してきた人達の手向けになる……」
『……』
……ボスさん……。
「……元気にならないか……ハァ……これでもダメか……いや、すまないな。
本当に生きた医者じゃあない奴の言葉なんて言っても……仕方ないか……」
『本当に……生きていない……?』
「あぁ、コレは……これは、漫画のキャラの台詞だよ。あ〜創作物の、登場人物のな?」
『……』
……別にお願いしようかな……?
この後逝く前に……その”マンガ”って創作物を……。
「……軽蔑したか? 自分の言葉に自信を持てない奴だ……って感じに」
『……』
「……あぁ、そうさ。所詮、オレはチート紛いな力を持った……本当はただの一般人さ。
生前は友人も碌に出来なかったような、沢山の”漫画”や”ゲーム”が親友や恋人だったような……クズのオタク野郎がな……」
『……』
「……所詮、今までの言葉も、伝説の英雄のような偉業を成し遂げてきた登場人物達を……只々、真似てきただけだ。”虎の威を借る狐”……つまり、全部嘘っぱちでクソッタレな戯言が、たまたまたまたま、上手く噛み合って、ここまで生き抜いてこれただけなのさ……」
『……』
「だから……オレを”兄さん”なんて呼ばないでくれよ、”ボス”って期待しないでくれよ……!
これ以上……お前達を素人のクソッタレな考えで、犬死させるような目に合わせたくないんだよ……!
オレはただの”ボウ……”あァァッ!? クソッ! 頭がッ! 何で言えんねェだよッ!?」
……やだ、私には待っている人が……じゃあなくて……ッ!
……勝手に私が惚気始めている間、ボスさんが……自身が呼ばれている”敬称”に……その重さに……今まで押し潰されそうになっていただなんて……!
……リフィルに泣き顔を見られない事が良いのか……彼の泣き度合いは、益々荒れて行くばかりでした……。
「……良いよ……ホラ、罵れよッ!
お前ら、姉弟の力目当てに……約束も守りきれず……まともな銃火器無双も出来ず……最後の最後には、惨めにお前の弟に助けられた……! そんな、みっともない男に助けられたんだぞッ!?」
『……』
「ホラ、どうしたんだよッ!?
オレはお前の自殺でさえも、まともに止めきれなかったんだぞッ!?
お前の弟に……軽く捻り殺されそうになった弱い人間なんだぞッ!?
何処に頼れる要素があるってんだよッ!? ……異世界で、ボッチにはなりたくなくなったけど……オレは頼られる器じゃあないんだよッ!」
『……』
「ホラ、行けよッ! 行っちまえよ! オルセットと仲良かったんだろ……?
お前ら姉弟はもう自由なんだから……こんな弱っちい人間様を置いて……どっか行っちまえよッ!」
『……』
〜……スッ……〜
「……オレは……オレは何とか……お前達が行った後に……1人で……1人で生きてみせるから……」
……どうしよう……本当、娘と一緒に……ボスさんをこの手で慰め……ッ!?
〜……ギュゥ……〜
「ッ!?」
『……それでも、貴方が居てくれたからこそ……私達は助かった。
……オルちゃんも含めて……貴方に会えたからこそ……私達は生きる事が出来た……』
「や、やめてくれ! オレは……オレは……他人の言葉ですら、お前を励ます事が出来なかったんだよ……ッ!
オレは……オレはただのクソッタレな一般人の――”ボウ……”あァァッ!? クソッ! 何で言えねェだよッ!?」
――ボスさん……そんなに、自身を責めないで……。
私の死に涙を流してくれて……娘達に見返りもせず、命懸けで助けてくれた……。そして、貴方は一つの街まで救ってしまった……!
……英雄じゃないと……貴方は言うけれども……。
少なくとも、私は……貴方が堕ちた罪人だなんて、決して思わない……!
直接……お礼を言えない今……どうお礼をすればいいのか……迷ってしまう程なのに……!
『……決めました。私……兄さんの仲間になりたいです……』
「ッ!? おっ…おいッ! さっきも言っただろ……!?
オレの素人指揮で、お前らを犬死させたく……」
『……だからこそですよ』
「えッ?」
『だって……こんなダメダメな英雄さんじゃあ……。
”やめろ”と言われても……助けたくなっちゃいますよ……』
「……ホント……英雄って……呼ぶの……やめろよ……」
……ホント、ダメダメな英雄さんですね……。
強がっても、そのポリポリと掻いている仄かに赤くなった頬は誤魔化せませんよ?
……と言うよりも、アラナ君とエナちゃんを介して……恥ずかしがってる姿が、リフィルに丸見えですよ?
……ほら、貴方の見えない所で……娘がクスリと微笑を浮かべて話そうとしていますよ……?
『それに……ただ自由になって生きていくだけじゃあ……兄さんへの恩は……到底、返しきれませんから……』
「……お互い、バカやらかしたもんだな……」
『……本当、すみませんでした……』
「いや、オレの方こそ自暴自棄になってすまない……。
――ありがとうな……リフィル。改めて、歓迎するよ……」
『……はいッ! 宜しくお願いします! 兄さん!』
……フゥ、一時はどうなる事かと思いましたけど……丸く収まった様で良かったです……。
そして……この状況……! これは私も、全力で祝わないといけませんねッ!
〜ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……〜
「なななななななな、何だッ!? この地響きはッ!?」
『なッ、何ッ!? 何でしょうかッ!?
私が故意に自然に帰ろうとして、大地の神が怒られているのでしょうかッ!?』
「とッ! とにかく! リフィルッ! こっちだッ! 退避するぞッ!」
〜ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ピタッ〜
「なっ? 急に……止まった?」
『あの……私に覆い被さるようにするのは何となく分かりますが……。
こう……しゃがむ必要はあったのでしょうか?』
「……オレの世界じゃあ、地震があった時はこう言う風に身を低くする必要があるんだよ」
『……そうなんですか……?』
〜……シュオワァァァァ……!〜
「……おい、周囲の植木が枯れ出して……!? ――次は何が起きるんだって言うんだよッ!?」
『……あの……兄さん……』
「リフィル、このSAAを持っとけ」
『え……? ちょ、ちょっと!』
「敵が出たら、躊躇せずに撃てッ! ……って……えッ!?」
〜……ピョコンッ! 〜
「……なぁ、リフィル……?」
『……はい?』
「あのお墓に種か何かを植えたのは……いつ頃だ?」
『……兄さんに自殺を止めてもらう直前にですけど……?』
「……じゃあ、何で一時間ぐらいしか経ってないのに、もう発芽しているんだよッ!?」
〜……ニョキ、ニョキニョキ……ニョキニョキニョキニョキニョキ……!〜
「……」
『……』
……フゥ〜終わった〜!
……ん? フフッ、ボスさんにリフィルったら……そんなに目を点にさせちゃって……。
私がまだ生きていたら、こんな領主館の数十倍程度の大きさじゃあ済まない大きさに、もっとできるんだからね? えっへん!
「……”豊穣の奇跡”ってのは、マジモンだったんだな……!」
『……?』
――自身の首が痛くなる程、高くまで生い茂る樹冠を見上げながら、感嘆の声を漏らすボスさん……。一方のリフィルは、何かの違和感に気づいたみたいね……?
「……ていうか……コレ、パッと見だけど……縄文杉よりデカくねぇか!?」
『……ッ!? ……嘘……!?』
――フフッ、気づいたかな〜?
「ッ? どうした、リフィル?」
『……兄さん……この樹……! 世界樹ですよ……ッ!』
「……ウェッ!? 世界樹って……あの……伝説的な……!?」
『……母が模写した本でしか、見た事がなかったのですが……。
ここまで濃厚な魔力を帯びた樹木は……六年以上前の住んでいた所の……遠くから感じていた物と、ほぼ変わりありませんから……ッ!』
「そ……そうか……しかし、ほぼ一瞬でこんな大木になるなんてな……!
後……そう言われれば、コレの見た目は”杉”って言うよりかは……世界樹のモデルになった”セイヨウトネリコ”っぽいよな……? タマゴダケっぽい、葉の生い茂り方をしているし……」
……それでも、数百年の”発芽”と、数千年は掛かる”育成”を経て……ようやく成木する物を――私の力と、この近くの変な植木の生命力を使って……やっと若木ぐらいまで育てるので……精一杯だったんですけどね……。
……二人して、世界樹を見つめたりしながら話してた一方――ボスさんは何か疑問に思ったのか、リフィルの方を向きながら話しました……。
「……ところで、この世界樹……何か、エルフの間で役目とかあったりするのか……?」
『……母からの受け売りですが……サンクチュアリで御神木として祀られ……この世界全ての自然を見守る存在だと伝わっています……』
「……そいつはスゴいな」
『世界樹周囲の自然は……他の自然よりも一層豊かに繁栄するそうです。
それだけでなく……その葉一枚を煎じて飲めば、あらゆる病を駆逐し……滴る朝露は、どんな傷をも癒し……その花蜜は、不老不死をも齎すとも言われています……』
「不老不死ッ!? マジでかッ!?」
『……あくまで言い伝えですよ兄さん。御神木ですから……誰も試した事がないそうです』
「……そうか……」
『……他に、兄さんに有益そうな事を言えば……。
世界樹製の武具や防具は、鋼鉄をも凌ぐ頑強さとしなやかさ……羽毛に迫る軽さを誇り……代々エルフ王家の国宝として大事にされて来たそうです……』
「……そんな大層なモンを……なんで、リフィルのお母さんが……?」
『……恐らく……これは兄さんへの”お礼”……何じゃあ、ないでしょうか……』
「えッ!?」
……そう。
さっき何をお礼すればいいか分からない……そう言ってた私が、悩んだ挙句選んだ”お礼”がコレです……。
『兄さん……宜しければ、何かしらに活用して頂けないでしょうか?
そうすれば……母も……喜ぶと思いますから……』
「……そんな、お礼として使うなんて……」
……遠慮しないでくださいよ、ボスさん……。
貴方は、それだけに値する事を私達にしてくれたんです……。
ですから……この世界樹の葉や朝露を売って、旅の資金にしたり……この木を加工して、ボスさんに合う武器や防具にして頂ければ……。
「……出来る訳がねェだろ……!」
『……え?』
……ええェッ!? ちょ……ボスさんッ! 嘘でしょうッ!?
『兄さん……どうしてでしょうか……? そんな……遠慮せずとも……』
「遠慮以前の問題だろ? そもそも……この世界樹は、素材以前にお前のお母さんのお墓なんだろ?」
『……でも……それでは……』
……そうですよ、それじゃあ私達は何を感謝として、貴方に伝えれば良いと言うのですか!?
「オレはあんまし、神さんを信じちゃあいない質だが……それ以上にお前達兄妹を、逃すために命を懸けた――敬意を表せる程の立派なエルフの墓を、生き残るために使おうと思う程、無粋なゲス野郎に落ちたくはねェんだよ……!」
『ッ! ……兄さん……』
グスッ……ボスさん……! その誇り高さ……眩し過ぎますよ……ッ!
本当に……貴方の冒険に、娘が付いて行ける事が羨ましいですよ……ッ!
「……まぁ、ど〜してもっ言〜なら……。
今はないけど――本当、切羽詰まった状況なんかになった時には……有り難く、何かしらに使わせて貰うよ、リフィル」
『……はいッ!』
リフィルは、無意識に彼の両手を握り締め……その両手を自身の額に当てながら、感涙に打ちのめされていました……。
……本当……本当に、良かっ……
……何してるんですか? アムルさん?
再び、一話で読むには長いため、「EPILOGUE - 2F」と、今回は分けました。
「EPILOGUE - 2P」の”2P”の”P”は、「|"P"requel《前編》」の”P”になっています。
前話の「Last Enemy-37 街ノ”闇”-1」の様に表記してしまうと、
「EPILOGUE - 2 蝶ノ聲 -1」……となり、個人的に”同じ桁の数字”では、見栄えが悪いのではないかと思い、この様にしたとお伝えしておきます……。
(先にですが、後半は「EPILOGUE - 2S」で、”S”は「Sequel」の”S”となってます)