Contact-35 ”大乱闘”ヲ切リ抜ケヨ
大変お待たせしましたッ!
一ヶ月近くお待たせしてしまい申し訳ありませんッ!
そして、遅らせながらも・・・明けましておめでとうございますッ!
唐突な話ですが、これの投稿日の”一ヶ月近く前”に「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」が発売されました。
これを開発指揮された「桜井政博」さん・・・本当にお疲れさまです。
(まだ、1年間のDLC開発には本当に御愁傷様です・・・としか言えないのが歯痒いですが・・・! (泣))
任天堂様や、他社様、そしてDLCキャラも含めた、スマブラ至上最大のッ!
総勢”75人”ものキャラクター達がゲームという世界の次元を超えて”拳を交え合う”・・・!
本当に何度もお疲れ様としか言いようがありませんが、私もその開発期間に”ゲームクリエイター”と成れていたら・・・私も開発に加わりたかったです・・・!
そして・・・自身のキャラも参戦させたかったです・・・!
今話の”大乱闘”と入れたタイトルは、そんな私の”スマブラ”への思い出と、桜井さんへの敬意、そして何れは時を超えて私も開発に加わり、自身がディレクションしたゲーム作品のキャラも参戦させるッ! という意気込みも込めて・・・この場をお借りし、お贈りしたいと思います・・・!
桜井さん・・・!
貴方の最後の(スマブラ)開発かもしれない・・・今世紀最大の”スマブラ”をありがとうございましたッ!
>Villain<
「へっ、なんだその石っころは? そんなのでオレ様の盾が壊れるワケ・・・」
〜カッ、パアァァァァァァァァァンンッ!〜
「なん・・・だッ!?」
N:支給された盾を使わなかった罰でも当たったのか・・・
ボスによって投球された、熱せられた鉄の如く真っ赤に発光していた”石”らしき物は、目標にブチ当たると・・・粉々に弾け飛び、防いだ彼らの視覚と聴覚を奪った・・・ッ!
「目が、目がぁ〜!」
「何だよ!? 何が起きてんだよッ!?」
「あぁッ!? なんか言ったかッ!?」
N:天空から没落したどこぞの大佐が混じっていた訳じゃあないが、ボス達と最も近い位置でその一撃を防いだ冒険者一個中隊は、至近距離にいた数人は気絶してしまうなど・・・予想外の事態に軽く阿鼻叫喚であった・・・!
「アァァァッ!? 耳がァ・・・! (右耳を抑えながら、激しく悶える)」
「くッ・・・また姑息な手を・・・ッ!
(両腕で眼前を防ぎながら)」
「・・・(涎を垂らしながら失神中・・・)」
N:おっと、一人余計な豚が描写に入ってしまったようだ・・・失礼。
・・・エッ? いい加減変に描写を続けて勿体ぶらせず、<ボスが投げた”物”>はなんなのか教えろって? ・・・焦るでない、今ッ! 説明しよう!
ボスが投げた物・・・それは<燧石>であるッ! いいか・・・<燧石>であるッ!
・・・ハァ、「何それ、美味しいの?」的な質問防止のために言っておくが、又の名を<火打石、フリント>ととも言う・・・っと。
・・・で、何でこう言うのかと言えば・・・ある実例を紹介しよう。
唐突な話だが、アメリカ海軍の特殊部隊”Navy SEALs”の隊員は100円のガスライターや、ジッポー式のオイルライターを改造・・・内臓されている「フリント」を熱し、それを地面に投げつけて即席の”閃光装置”として使う事があるらしい・・・。
(イメージが湧かない○者の諸君は、「カメラのフラッシュ」を想像して欲しい。それに"破裂音"をプラスして、メチャんこ強力になった物と思って欲しい・・・)
これを3日間の内、射撃訓練後の休憩中に誤ってフリピスを焚き火に落とし・・・お約束にも"Bang!"させてしまっていた”オルセット”を見たボスが、昔”軍事雑誌”で読んでいた事を思い出し、実行したというワケである・・・!
勿論、敵と見定めた相手に容赦ないボスさんは、”燧石”を熱するのに落とした”オイルライター”用・・・なんてチャチな物ではなく、今までに出してきた”フリピスの着火装置に使用されてる大振りな燧石”を贅沢にも3つも使用して・・・登場からあの言い合いの間に、3つ共をずっと炙り続け「即席閃光手榴弾」と化してから投げつけた・・・! というワケだ。
因みに・・・まだギリギリ朝日が登らず、数もあるが、スキルから出した影響なのか・・・”100m”程離れている”3豚”や”その私兵達”にも”閃光”や”炸裂音”が届く程、強力な物なっていたのである・・・ッ!
「ッ!? いないッ!?」
「奴ら、どこ行ったんだッ!?」
「おいッ! 誰か”回復魔法”を使えるヤツいないのかよッ!?
この耳に残る音をなんとかしろよ!」
N:そして目眩しの後、為べき事は大方”姿を晦ます”事であろう・・・。
ボス達の姿は、彼らの背後で登り始めていた朝日に、まるで溶け込んでしまったかのように、いなくなっていた・・・ッ!
当然、冒険者達は前述のように戸惑うしかないワケだ・・・!
「も・・・モバリティアァァァァァ様ッ!」
N:一方、3豚がリアクションを示すよりも早く、彼らの背後・・・領主館の方角から、パッとしない見た目のハゲ頭の男が慌てて赤き豚に走り寄り、跪くのであった・・・。
しかし・・・どこを走ってきたのであろうか? 彼のパッとしなさを更に引き立てている”質素な市民風の服”には、幾重にも”木っ端や木の葉、泥に塗れていた”・・・!
「誰だ!? このような非常時に私を呼ぶ者はッ!?」
「わ・・・私ですよッ! ゼェ・・・ゼェ・・・。
伝令兵の”ヤン”ですよッ!」
N:誰だコイツは? と思う○者の諸君。
実は、あの狩猟小屋の戦いで実際に居た敵の数が、「101人」だったと言ったら・・・信じるであろうか・・・? そして、コイツは赤き豚が、戦力分析のために”秘密裏に放った”斥候だと聞けば・・・どう思うであろうか?
とやかく・・・この男は、赤き豚の前で跪き、荒い息で報告しようとしていた・・・!
「あぁ・・・お前か。で? 私に何の用だ?」
「な・・・何を惚けた事を言っているんですかッ!? まだ間に合います! 兵を引いてくださいッ!」
「・・・貴様こそ何を抜かしている? 兵を引け・・・だと?
(静かに怒気を孕んだ声で)」
「あ・・・あの森から堂々と・・・この街の入り口から”門番を殺して”入ってきたあの4人組と戦っているんですよねッ!? 悪い事は言いません! 今直ぐ兵を引いて領主館にお戻り下さいッ!」
「・・・其れ程なのか? 貴様の仕事を放棄してまで、私に異議を唱えなくてはならない程な・の・かッ!? (最初は冷静そうに聞いていたが、最後の方で苛ついたように怒鳴る)」
「ひッ!? も・・・申し訳ありません! ほ・・・報告しますッ!
(挙動不審に、跪いたまま”目”や”首”が小刻みに動く・・・!)
・・・こ・・・この状況は・・・」
「この状況は・・・なんだ?」
「こ・・・この状況は・・・! (体が震え出し、冷や汗が流れ始める)」
「だから・・・何だ!? この状況とはッ!?」
「ひ・・・ひじょ・・・非常に・・・不味いのですッ!」
〜 プパァァァァァァンッン!!! パキャァァァァンッ! 〜
「ッ!? (×無数)」
N:彼らにとっては・・・その叫びが”原因”だとでも思ったのであろう・・・。
青き豚の傍で捕縛された男女を、股を通して繋がれた”鎖”が唐突に砕け散ったのであった・・・!
繋がれた前列に居た男は、鎖が砕けた瞬間ッ! 彼から見て左側にあった、”路地裏への入り口”へと飛び込もうと走りだすッ!
「ッ! 逃すかァァァァッ!」
~ ブゥゥオォォォンッ! ガキイィィィィィンッ!~
N:・・・がッ! 彼が目指した入り口から入れ違いに飛び出し、逃げる彼に振り下ろされる凶器を受け止める者がいた・・・ッ!
「ッ!? お前は・・・ッ!」
「今度こそ・・・ブッた斬ってやるからな・・・ッ! クソ人間ッ!」
N:柄と共に剣の刃もグリップして、”両手”で攻撃を防いでいたラフィルは、力任せに青き豚び大剣を撥ね除け、そのまま柄を持っていた右腕を大振りかつ時計回りに振ると、片手での豪快な”逆袈裟斬り”を喰らわせる・・・ッ!
しかし、さすがは腐っても”元・王国近衛騎士団”の肩書きを持つ男故か・・・
押しのけられた勢いを活かし、そのままバックステップでギリギリ躱したのであった・・・!
彼・・・イヤ、奴に、顎髭が生えていたら確実に撫でた一面が剥げていただろう・・・! それぐらいの速さと鋭さを持った一撃であった・・・!
「フッ、所詮・・・野蛮人の一撃など・・・」
~ ブゥゥオォォォンッ! ガキイィィィィィンッ!~
(ダッシュからの斬り下ろし食らわすが、防がれ鍔迫り合いの状態に持ち込まれる)
「言っとくが・・・
テメェら・・・クソ人間はあの人間の甘さで生きてられてんだからな・・・?」
「・・・ハッ、何をほざいてる?」
「言ったまんまだよ。
オレはなぁ・・・! 姉ちゃんや、一緒に居た人間のように・・・テメェらクソ人間には、一切の容赦はしないからなッ! (「テメェら〜」の前は、俯いたまま静かな怒りが込もった声で。その後はジョジョに雄叫びに近い声と口調になる)」
「フンッ、これだから野蛮人は・・・。品性の欠片などお構いなしに・・・」
「後・・・オレは<野蛮人>なんかじゃあねェ・・・!」
「・・・ンッ?」
「オレは”ダークエルフの騎士”・・・ッ! <ラフィル・ホープティア>だッ!」
N:強き意志の込もった雄叫びと共に、彼は鍔迫り合いのまま顔の右側付近までに両腕を上げると”前進しながら右手のみで大剣を受け流し”・・・青き豚の腹を踏みつけ、飛び上がるッ!
この唐突な行動に驚き硬直してしまう青き豚であったが、そんな事はお構いなしに奴の眉間に全力で大剣の柄頭を叩き付けるのであったッ!
さすがの頑丈さを持つ青き豚でも、これには参ったのか・・・大きく後退するようによろめいてしまうが、この後ボスと対峙した際に見せた”助走後、遠心力を付けた右片手での振り下ろし”を、片膝を付いた奴に叩き込むッ!
しかし・・・これまた間一髪で、防ぐのであった・・・!
そして、中々有効打が決まらない中・・・二人は激しい剣戟へともつれ込むのであった!
「・・・ッ! 何をボサッ見ている! 早くあの下劣な野蛮人を仕留めろッ!」
N:こちらもまた、あまりに唐突な事で惚けてしまった赤き豚と、その私兵及び冒険者一行・・・。
奴の掛け声にようやく現状を理解したのか、一斉に雄叫びを上げながら、剣戟をしているラフィルの背後へと殺到するッ!
〜パパパパパパァッンッァァッン!!! キャビキャビキャビキャビキャビキャビッスッ! ゴッ、ドッ、バキャッ!〜
N:・・・しかし、先行した私兵6人は頭を撃ち抜かれ・・・後に続く冒険者3人は、2人は腹を殴られ蹴られ、残る一人は強烈な旋風脚を喰らい全員”K.O”されてしまうのであった・・・ッ!
「フゥ・・・(歩きながら、煙が立ち上る銃口に息を吹き掛ける)
私兵さん達に、冒険者一行さんよぉッ! 幾ら雇い主の命令でも・・・男同士の決闘に”横槍”を入れるなんて・・・無粋過ぎやしませんかねェッ!?」
N:そうおちょくる声を上げるのは、これまた悠々と路地裏から出てきながら直前のセリフを放つ”ボス”であった・・・!
彼は、銃声と共にほぼ一瞬で冒険者3人を無力化させた”オルセット”の居る、冒険者達と私兵一行の中央に向かうのであった・・・。
「グヌヌヌ・・・ッ! 何故邪魔をするッ!?」
「何故って・・・頭沸いてんのか? アンタ?
さっき言った通りだよ、決闘の邪魔すんな・・・って。それ以前に、この程度のザコ共は、オレ達”2人”の相手もできない程に”オツム”も弱いのか?
(左手を腰に当てながら、銃を持つ右手を手前に2度振って、挑発する)」
「ヒィィ・・・!
(冒険者、特に私兵・・・双方の大多数が、ジリジリとジョジョに身を引いて行く・・・!)」
「何を後退りしているのだッ!? 貴様らッ! 怖気づくなッ!」
「だから言ったじゃあないですか!? 非常に不味いって!」
N:総数の「二十分の一」近い戦力が、一瞬で”ヤラレチャッタ”のだ・・・。
動揺しないハズがない・・・。しかし・・・戦場に立った事のない赤き豚には、その意味を理解する事は出来ないでいた・・・。
「ただ少数がヤラレタだけ・・・」それだけの認識なのだ・・・。
「何がだッ!? たったの3人だぞ! 一人が逃げ出したという好機を何故悪手だと言うのだッ!?」
N:この一瞬、ボスは自身の首筋に手を当ててたのだが・・・それをヴィラン勢は気に留めるハズもない・・・。
「モバリティア様も先程見たでしょう!? その逃げたと言うエルフがいない状況! あの鎖が砕け散ったように、ヴァイオ様の私兵様方が殺されて逝ったのですよッ!
私が命からがら逃げ帰って来た・・・あの森でッ!」
「・・・待て、逃げ帰って来た・・・だと?
(跪く”ヤン”にジリジリと近づきながら・・・)」
「ええ、そうですとも! (顔を上げ、近づく彼に恐れつつも嬉々とした表情で)
不幸にもお父上を亡くされた閣下様一同を・・・死なせたくない一心で、私は戻って来たのですよ!」
「・・・(表情に影が差す)」
「モバリティア様、ヴァイオ様、アリウスト様の御三名様が、あの者と対峙していた対峙していたのを目撃したのは、流石に肝を冷やしましたが・・・まだあの者の手に掛かっていない事に安堵しましたよ・・・!」
「・・・(拳を握り、震え始める)」
「は・・・ハッキリと言わせてもらいます。あ・・・あの者達は悪魔ですッ!
これ以上あの得体の知れない魔道具や、鎖を破壊した”不可視の一撃”で、無駄に兵力を減らすのは危険です! あの悪魔の考えは分かりませんが、まだ被害の少ない今の内に引いて・・・!
(焦りや不安などの感情が込もった、早口目の震えるような口調で)」
~グワァシイィィィッ!~
「モ・・・モバリティア様・・・ッ!?」
「・・・生きて・・・だと?」
N:す・・・滑らないのが不思議だが・・・!
表情に影を差した後・・・赤き豚は、スキンヘッドなヤンが喋り終わる辺り・・・影の晴れた時は既に”無邪気に燥ぐ子供を見下す”ような・・・冷酷な目付きに変わっており、彼の発言を<黙れ>と言わんばかりにアイアンクローを唐突に喰らわせたのである・・・ッ!
「・・・私が何故、民から搾取するか・・・分かるか?」
「お・・・お父様を亡くされた・・・御乱心なのは・・・わ、分かります・・・! (締め付ける指を緩めようと、必死にもがきながら)」
「・・・違うな」
「えっ・・・?」
「10年以上・・・無様に私に仕え続けたお前の事だ・・・。
特別に、私の崇高な胸中を教えようか・・・?」
「閣下の・・・胸中・・・?」
「満たされぬのだよ・・・ただ生きていてわな・・・」
「満たされない・・・?」
「・・・一時期は、私も真面目にこの街を発展させようと思い・・・努力したものだよ・・・。
私が街に蔓延る賄賂や横領など摘発し・・・
治安の維持のため、悪漢や魔物相手に街の周辺をヴァイオが奔走して・・・アリウストは、女を侍らす悪癖を持っていたが・・・その愛嬌ある見た目で、街の顔役的な存在になっていった・・・。
しかし・・・私達の目覚ましい活躍に対して・・・王国は何と言ったと思う・・・?」
「・・・大変、お褒めに・・・なられたのでは・・・?」
「・・・ある日、陛下直々の勅命で私達を王城に呼びつけてはこう言ったのだよ・・・。
<何故、敵国にも物資を売っている?>・・・のかと・・・」
「・・・えっ?」
「大なり小なり・・・雨のように戦争が絶え止まないこの世界・・・どの国だって戦争するには”金”が絶対不可欠だ・・・。
勿論、我が王国たりとて例外じゃあない・・・憎らしいからこそのあの返事だ・・・。
・・・しかしどうだ? 自国の生産や商売だけでは、成長できる国力など高が知れる。
・・・この世界で最も国土の狭い王国なら、猶更だとは思わないのか・・・?」
「・・・(固唾をゴクリと呑む)」
「そして・・・ここは”商業都市”だ。
国の重要な財源を生み出す街であり・・・私は、父が昔開拓した国外販路を活かして・・・国力増強のため苦心したというのに・・・陛下は・・・いや、あの愚王は・・・ァァァッ!」
〜ミッ、ミミッ・・・ミシッ!〜
(アイアンクローの握力がジョジョに上がって行く)
「アァァァッ! イテテデデェデェデェデェッ!?
(必死に握る手を外そうと、もがく)」
「それからは、もう国への忠誠心など・・・毛頭ない物になった・・・。
只々感じるこの虚無感を埋めるため・・・仕事以上に、何だってやってきたのだよ・・・!
それでも・・・ここまでしてきても・・・この虚無感を・・・渇きを・・・満たす事が出来なかった・・・!」
〜ブオォォォ・・・!〜
(アイアンクローから、”炎”がほとばしり始める・・・!)
「か・・・閣下! 閣下ッ!」
「”男爵”という・・・認められない爵位な限り・・・私達は生きていようが、死んでいるも同然なのだよッ!」
〜グオォォォ・・・ッ!〜
(”炎”の勢いがジョジョに増してゆく・・・!)
「ファラマ・シージングッ!」
〜ヴォギャンッ! ゴオォォォォォォォッ!〜
「ゴオォォォォアァォォアァァァォォアォォッ!」
N:これは・・・酷い・・・!
・・・赤き豚が発動した魔法は、握り潰さんと力が入るヤンの顔面に、爆発したかのような炎が飛び散り・・・頭の穴という穴から"火柱"が噴出しているのだ・・・!
そして聞こえたであろう? その悲痛の叫びが、吹き荒れる火柱に掻き消されてゆく音を・・・!
「・・・モ・・・・バ・・リ・・・サマ・・・!」
〜バタンッ!〜
(糸の切られたマリオネットのように、前のめりに倒れる・・・)
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・よく聞けェ! 愚民共ッ!
(尻込みする冒険者や私兵達の方を向いて胸の前で右腕を、大きく払い・・・)
貴様らが契約を破棄するというのならば・・・この愚かな忠臣のように、貴様らも塵一つッ! 残さなんばかりに焼き尽くしてくれるッ!
あの悪魔共を殺せッ! 私を公爵まで持ち上げろッ! さもなくば・・・貴様らに待ち受けるのは”地獄”のみだッ!」
「ヒウイィィィィィィィッ!? ×無数」
N:進もうとも死地・・・逃げ帰ろうとも死地・・・。
そんな未来しか待ち受けない憐れな兵士君達は、右往左往するばかり・・・!
その一方で、ボスは何故か、被っていたキャトルマンハットを、深く被り直すのであった・・・?
・・・ッ! しかし・・・被り直した僅かに見える彼の目元は・・・今にも血が噴き出さんばかりに眉間にシワを寄せ、とにかくドスの効いた低い声で、静かに赤き豚に語りかけるであった・・・!
「言わせてもらってすまないんだが・・・いつまで俺らもッ、待たせる気だよ・・・?
胸怒糞いモン、見せ付けやがって・・・よォォォォォォォォッ!?
(「胸怒糞」以前は、俯いたまま帽子のツバに、口元以外の表情が隠れた状態で、静かに語る・・・それ以降は、ジョジョに怒りを爆発させて行く・・・!)」
「黙れェェェッ! 悪魔共がァッ!
貴様らだろうがァァッ! 私の崇高なる計画を台無しにしてェッ! ここまで追い詰めた貴様らが悪いだろうがァァァッ! このような不幸に追い詰めたのは、貴様ら悪魔の仕業だろうッ!? (若干涙声になりつつも、叫ぶ)」
「テメェらが”幸せ”か”不幸せ”になるかなんて、どうでもいいんだよッ!
オレが言いたいのはッ! テメェらの下らない計画のために・・・一体何人の罪なき人を殺してきたッ!? テメェらみたいなゲス野郎でもッ! 慕ってきた家臣をッ! 仲間をッ! 一体、何人手に掛けて来やがったんだよッ!?」
「罪人が罪人であるならばッ! 愚民は愚民だッ! 我ら貴族に従って当然の事だッ!
そのような常識紛いの愚問を私に聞くんじゃあないぞッ! この悪魔がァァァッ!」
「・・・答えられない程、殺ってきた・・・って捉えていいんだな?
(静かにだが、ドスの利いた声は継続)」
「・・・貴様のような悪魔に、誰が答えるかァァッ!」
「・・・分かった。それじゃあ・・・(何故か、後ろを向く)」
「ッ! 今だッ! 掛かれェェェッ!」
N:突然の赤き豚の号令の下・・・形振りかまっていられないと判断した、私兵の一人が雄叫びを挙げながら突撃して行くが・・・
〜パァッンッァァッン!!! ブォォォンッ! ゴギャアッ!〜
N:よくもまぁ、学習しない・・・と言いたいが、流石にこれは予測できなかったであろう・・・。
何故なら、まず今まで発砲した描写のない”オルセット”が、接近する私兵の脚に右片手で、弾丸をブチ込んだのであった・・・!
それと同時に、ボスの手が黄色く光ると・・・その光を振り払うかのように”左片手のみ”かつ、”裏拳に似た要領”で大振りに一回転し、素早く屈んで躱す彼女の頭上を通ったかと思えば・・・転倒し、まさに今顔を上げようとしていた私兵の頭上に、遠心力を付けた一撃を叩き込んだのであるッ!
そして叩き込んだ後に、光が散り・・・現れたのは、全身が鋼鉄製の、「大型スレッジハンマー」であった!
無論・・・その兵士の生死はかと言えば、叩き込んだハンマーヘッドが柄の近くまで、兜ごと陥没していた・・・と言えば、想像に容易いんじゃあないだろうか?
とまぁ・・・チョッピリ大掛かりに兵士を倒したボスは、メリ込んだハンマーを引き抜き・・・肩に担ぎながら、右手で持っていたSAAを赤き豚に向けて叫ぶッ!
「こっからはもう、容赦はしないからなァァッ!
(目が見開き、溢れんばかりの怒りを爆発させながら叫ぶ)」
「(一瞬身を引いてしまうが・・・)
クッ・・・かっ、掛かれッ! 掛かれェェッ! あの悪魔を殺せェェェェッ!」
N:余りの勢いに気圧された彼の僕達は、もうどうにでもなれ! ・・・と言わんばかりに、包囲する”オルセット”と”ボス”目掛けて次々と突撃して行く・・・ッ!
「これが正しい選択だったのか・・・?」それは一部を除き・・・冒険者、私兵達の僕一同は永遠に知る事が出来ないであろう・・・。
>Hero<
N:ほとんどのラノベでは、あまりのチートさ故に、お粗ま・・・ゴホン、ハリウッドセレブが好んで食してしまいそうなぐらいに”あっさり”とした、走り書き的な戦闘描写が多かったりするが・・・。
この物語ではそのような物は目指しませんッ! とは言っても、この後の残る<190人>を詳細に書いてしまうと・・・書籍化時、”広辞苑(こう○えん)”クラスに近い厚さになってしまいそうなので、この後は・・・<DIEジェスト>ッ!
数名の鮮やかな散り際をお送りした後、描写されない哀れな敵君達は・・・どうか○者の諸君の想像によって、ボス達を動かし・・・華麗かつスタイリッシュにッ! 彼らを”ボッコボコ”にして欲しいッ!
「死ねェェェッ! 悪魔共ォォォッ! ×無数」
「行くぞ! オルガッ!
(”私兵”の方を向きつつ、横目に)」
「うんッ! 任せてボスゥッ!
(”冒険者”の方を向きつつ、横目に)」
N:<Round1>ッ! Fightッ!
〜カアァァァァァンッン!〜
(ゴングの鳴る音。ボス達には聞こえていない)
<DIEジェスト>
1:冒険者
(無力化。背中を切りつけようとしたが、ボスの”振り向き腹パン”によって一撃)
2:私兵
(射殺。1の冒険者に続き、背後からの奇襲を行おうとするが・・・剣を振るよりも早くオルガと交換したフルリロード済みの”SAA”よって眉間付近を撃ち抜かれる)
「どうしたッ!? オレらを倒すんじゃあなかったのかッ!?
(彼女と背中合わせになりながら・・・)」
「ヒィィィッ!? ×無数」
「掛かって来ないなら・・・オレらからやらせて貰うぞッ!」
3、4:冒険者 5、6:私兵
(3:無力化。気絶。冒険者の群れに突っ込んでいった”オルセット”の「跳び蹴り」を喰らい、転倒して気絶。
4:無力化。3の真後ろに居たため、「3の冒険者にぶつかり」気絶。
5:殴殺。冒険者の群れに突っ込んでいった”ボス”のハンマーによる”突き”喰らった後、「全力の振り上げ」によって、私兵君は、顎が粉微塵になるのを感じながら、もんどり打って倒れる。
6:殴殺。左側から斬り掛かってくるが、ボスは後方に”スウェー”して躱し、短く持ったハンマーで「袈裟振り」に頭を殴りつけるッ!)
「オラァ! どうしたッ!? テメェらは不意打ちしか、できねェのかァッ!?
(挑発的な手招きをしながら)」
「クソォォォォッ!」
〜ガキィィィンッ!〜
「ッ!? う・・・嘘だろッ!? お・・・オレの全力の一撃を・・・」
「ふ・・・フンッ! 遅いッ!」
7:私兵
(殴殺。懲りずに背中を斬りつけようとしたが、ボスが振り向かずに、頭上でハンマーを両手で持って”ガード”し、「遅いッ!」の掛け声と共に押しのけた瞬間、「振り下ろし」によって一撃で倒すッ!)
あっ・・・危ねェ〜! スキルの影響なんだろうが・・・ハンマーが頑丈で助かった〜ッ!
噛ませ犬な発言が気になったが・・・壊れないかヒヤヒヤしたぜ・・・おっ?
10、11、12、13、14:冒険者
(10:無力化。オルガの”三角飛び”の踏み台に「腹を蹴られ」、そのまま地面に頭を打ち付け気絶。
11~12:無力化。彼女を”11”と共に包囲しようとしていたが、三角飛び後の「飛び回し蹴り」を顔の側面に喰らって、ダブルノックダウンッ!
13:無力化。彼女が着地した瞬間を狙って、背後から襲いかかるも、彼女の”足払い”を喰らい・・・バック宙からの「ニードロップ」を腹に喰らい、気絶ッ!
14:無力化。13がやられた直後、果敢にも正面から襲いかかって来るが、彼女の”SAA”を脚に喰らいもんどり打ってしまう。
その後、上半身を起こした所で、彼女の低い姿勢からの「後ろ蹴り上げ」を顎に喰らって、気絶。)
「オルセットも頑張ってるなぁ・・・!」
〜 プパァァァァァァンッン!!! ビッシャァァァァッ! ・・・ぐらっ・・・バタンッ!〜
「な・・・なんだ?」
『兄さん! 気を付けてください! ”弓兵”に狙われていましたよ!』
15:私兵
(射殺。私兵の中に紛れ、何故か棒立ちし始めたボスを射抜こうと狙うも、事前に察知したリフィルによって”右脳→脳幹”の順に弾丸が貫通し、糸が切れた”マリオネット”のように倒れる)
『ウェッ!? (周囲を見回すと、私兵の軍勢の中に一部、騒いでいる箇所を発見する)
あぁ・・・助かった。 ありがとな、リフィル』
『・・・兄さん、オルガさんが心配であれば・・・行ってあげてはどうですか?
私兵の方は、私がラフィルに指示を出しつつ、何とかやりますから・・・』
『いや、そうはしたいが・・・そうにも行かねェ・・・。
ただでさえ、あの不死身なサド野郎が、こっちに乱入してくるだけでヤバイんだ・・・。
ラフィルにアイツを抑えてもらっている間、できる限りこっちだけで私兵を討ち倒して、冒険者も無力化していかないと・・・!』
『・・・分かりました。でも・・・』
〜 プパァァァァァァンッン!!! ビッシャァァァァッ! ・・・ぐらっ・・・バタンッ!〜
16:私兵
(射殺。騒ぎの様子に夢中になるボスの背後を、ソロリソロリと・・・静かに近寄り、首目掛け両手で長剣を突き刺そうとしてくるが、これまた事前に察知したリフィルによって”前頭葉上部→脳幹”の順に弾丸が貫通し、倒れる)
『もっと、周囲を警戒してくださいね? 兄さん』
『・・・ハハッ、いつからそんなに強かになったんだ?』
『・・・冗談ばっかり言っていると、また狙われますよ? (少し拗ねたような口調で)』
『ハァ・・・了解。
リフィルも、あんまり同じ場所に居続けないよう、心掛けるんだぞ?』
『フフッ・・・了解しましたよ、兄さん。 (チョッピリ嬉しそうな口調で)』
「・・・やれやれだぜ。オレも頑張んないとな・・・!」
「ウアァァァァァァァァァッ! (突然、冒険者の軍勢からボス目掛けて、飛んでくるッ!)」
「ウワァッ!? (上半身を逸らしてギリギリ避ける)・・・ブねェ〜ッ!」
17、18、19、20、21、22、23、24、25:冒険者
(17:無力化。"後ろ蹴り上げ"後、左右からの挟撃に見舞われるが、これをバック転で回避する。着地後、素手の方が良いと思ったのか、SAAをベストの内ポケットに戻す。
その後、襲ってきた冒険者の横斬り、袈裟斬り、縦斬りを躱すと、最後の振り終わりを狙って両手で武器を持つ手首を押さえ、右手で顎を狙った”掌底”を喰らわせるッ!
そして、そのまま彼女から見て、敵の首、右側面を掴み・・・”大外刈り”の要領で態勢を崩して、掴む手首を支点に後方に投げ飛ばすッ!
18:無力化。挟撃してきた17の相方。しかし、先に攻撃した相方が何をされているのか理解できず、そのまま”一文字状”に横回転しながら、投げ飛ばされてきた「相方の踵が頭にヒット」し、気絶ッ!
19:無力化。無謀にも正面から素手で殴りかかってくるが、彼女の冷静な”金的蹴り”喰らい、前屈みになった所を、顔面に「後ろ回し蹴り」を喰らい、ノックダウンッ!
20:無力化。再びこの者も素手で襲いかかるが、やや狡猾。
蹴り終わりを狙って背後から彼女を羽交い締めにし、他の者達に袋叩きにしようと呼びかけるも・・・憐れ、人間と獣人とじゃあ比べ物にはならず・・・! それ以前に容易く彼女に振り解かれると同時に、「振り向きながら頬を殴られ」・・・錐揉み回転しながら地面に崩れ落ちる・・・。ッ!? しかし、それだけじゃあ終わらず・・・!?
21~25:無力化。突然、怒りの咆哮を上げ始める彼女に為す術なく倒される・・・。
具体的に何をされたかと言えば、20の者の脚をむんずと掴み・・・そのまま「ジャイアントスイング」で、この5人を薙ぎ倒して行ったのであるッ!
・・・因みに余談だが、どうやら彼女が”羽交い締め”にされた際・・・・
「だっ、大丈夫ゥ〜ッ!? ボスゥ〜!?」
「大丈夫だ〜! そっちはどうだァ〜? オルガ〜!?」
「うんッ! 大丈夫だよ〜!
・・・あっ、でも〜いきなり<胸>を触られて〜ビックリして〜、ボスの方に投げちゃったんだ~。ゴメンね〜! ボスゥ~!」
「・・・よしッ! 分かったァ〜ッ!
こっちで対処して置くから安心しておけ〜! オルガ〜!」
「? (一瞬、首を傾げる)
うん! 分かったよォ〜ボスゥ〜ッ! ここはボクに任せて〜ッ! (何故か手を振る)
さてとッ! (冒険者の軍勢の方に向き直り・・・仁王立ちしながら)
次は誰かなッ!? この"勇敢なオルセット"とッ、戦うって冒険者はッ!?」
「(直前のセリフとほぼ同時進行に)・・・ハハッ。さ・て・とッ!
おい・・・テメェ・・・ッ! (近くで倒れる冒険者の胸倉を掴み上げる・・・!)オレの仲間の<胸>を触ったんだんってなァ・・・? アァァァッ!?
「な・・・何の事だよ・・・? (朦朧とする中で)」
「テメェらの常識なんて知ったこっちゃないが、いいか? (人差し指を鼻に突き付け、ツンツンしながら・・・)オレの仲間である以前になァ・・・戦闘中にも関わらず、レディに対して失礼な事してんじゃあねェよォッ!」
「んな事・・・知るかよ・・・! 女なんてモンは・・・」
「知・る・かァァァ~!? (両手で胸倉を掴み直して、頭突きを喰らわせながら)
んじゃあ・・・! テメェがこの後どうなろうが・・・オレが知ったこっちゃあァ、なくて良いよなァァァァッ!?」
~ブオォォォンッ!~
(胸倉を掴んだまま一回転した後、背負い投げるッ!)
「またかよォォォォォ~ッ!? ブフォアァァァッ!?」
17:冒険者
(17:(改めて)無力化。激突した私兵を数人転倒させながら・・・今度こそ、気絶ッ!)
~ガンッ! バッ! カチ、シャッ、シャコッ、カチッ、パァァァァ、フォンッ! フォフォフォフォフォフォンッ! ジャキッ!~
(スレッジハンマーを地面に立つよう軽くメリ込ませた後、先程撃ったSAAをリロードする。
そして、もう一丁のSAAを供給して、2丁を頭上でガンスピンさせた後に構える)
「12発だッ!」
〜 パァァァパァァァパァァァパァァァパァァァパァァァ
パァァァパァァァパァァァパァァァパァァァパァァァンッン!!! 〜
26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37:私兵
(26~37:射殺。何れも1発1発の命中箇所に誤差はあるが・・・概ね、頭や首の急所部分を撃ち抜き、数名がもがきながら失血死する・・・)
「オルガッ! (上半身だけを振り向かせ、彼女に呼びかける)」
~ブオォンッ! フォンフォンフォンフォンフォン・・・~
(冒険者の軍勢内にいるオルガ目掛け、2丁のSAAが宙を飛んで行き・・・!)
38、39、40、41:冒険者
(38:無力化。素早く近づき、右ジャブ→左フック→「右裏拳」でノックアウト。
39:無力化。スカウト職の冒険者からの矢を、彼女の”直感”で察知、近くにあった”壁”を蹴り上がってギリギリ回避。
そして、そのまま落下し壁の近くに居た冒険者の頭目掛けて、「鉄槌打ち」を喰らわせ、地面に叩きつけるッ!
40:無力化。39での同じ冒険者からの矢が正面から放たれ、それを右斜め方向に”飛び込み前転”する事で回避。
前転した先に居た冒険者に”右膝蹴り”を喰らわせ隙を作らせた後、柔道の”朽木倒”で仰向けに転倒させ、掴む脚をスイングして投げ飛ばすッ!
41:無力化。39、40で射ってきたスカウト君。まさか自分を狙っていたなんて思わず、投げ飛ばされた40の冒険者とゴッツンこして共に、ダブルノックダウンッ!)
「フゥ・・・ッ! (飛んでくる”SAA”に気付く)
リロード済みだよォ〜ッ! ボスゥ〜ッ! 」
~ブオォンッ! フォンフォンフォンフォンフォン・・・パシッ! ~
(飛んできた”SAA”と入れ違いになるように、所持していた2丁のSAAを投げる)
「この野郎オォォォッ! フォゴォッ!? ×2」
〜 ググンッ、パパァッンッァァッン!!! 〜
42、43、44、45:私兵
(42、43:射殺。銃がない隙を突いて、43と共に再び挟撃を仕掛けるも、後”0.5m”という所でボスが”SAA”をキャッチ。
軽いガンスピン後、”二人の口に銃口を突っ込んで”強引に左斜め前、右斜め前に動かした後・・・「口の中で発砲」ッ!
44、45:射殺。42、43の討たれた方向先から弓矢をボスに当てようとしたが、偶然にも撃ち抜かれた二人がボスの”盾”になり、放った矢が防がれる光景にマヌケ面を晒している間に、髄液塗れの鉛弾に頭を撃ち抜かれるッ!
「・・・(ハンカチをポケットから取り出し、2丁の”SAA”の銃口付近に付着した”血”や”汚れ”を手早く拭き取って、ハンカチをポイ捨てした後・・・)
まだまだ・・・終わりだと思うなよッ! (2丁の”SAA”を構え、叫び凄む)」
<DIEジェスト、終了・・・!>
<About the same time · · ·>
・・・凄いです・・・兄さん・・・!
私の警告から・・・あのような機転で、一度に4人も還してしまうなんて・・・!
N:ここはマケットの大通り・・・。
その中のとある民家の”屋根の上”で、彼女は・・・ボスの活躍を感じ取っていた・・・。彼が「即席閃光手榴弾」が投げ付け隙を作った後、彼女は素早く街の路地裏へと潜り込み・・・隣接した民家の間を蹴り登り、その優れた聴覚と索敵能力を駆使し逐一、敵の動きを監視していたのだ・・・!
・・・しかし・・・あの時・・・兄さんが私の狙撃を止めたのは何故でしょうか・・・?
狙撃手は、存在を知られてはいけないハズ・・・なのに・・・止めてまでも、あのヤンさんという人の惨状を・・・見る必要があったのでしょうか・・・?
・・・焼かれ・・・苦しんで行くなら・・・私の手で・・・還せていたら・・・
リフィー! 2時の方向! 斜め後ろからボスを狙っているよ!
ッ!?・・・ありがとうございます・・・アラナ・・・
スゥゥゥ・・・・・ハァァァァァ・・・・・・・ッ!
〜 ぐぐグッ! プパァァァァァァンッン!!! ビッシャァァァァッ! 〜
ハァ、ハァ、フゥ・・・
〜 チャキッ、ガッ! カッ! 〜
N:勿論、DIEジェスト中でもあったように、ボス達への”支援狙撃”も忘れてはない・・・!
一度ボスとのコール中に言いそびれたしまったが、悲鳴や怒号が飛び交う中・・・彼女は的確に不意打ちを仕掛けようとしたり、死角から彼らを射ろうとした者達を「ジャマ・すん・な!」・・・と言わんばかりの”一撃一殺”な的確さで、確実に私兵達を還していたのであった・・・!
・・・まぁ、それ以前に彼女がそんな口調で話すハズがない・・・! と信じたい・・・。
・・・ッと、毎回オモうけど〜、スッゴイ音だよねェ! リフィー!
アラナのオ○ラよりも、ウルサいんじゃあないかなあッ!?
ちょ、エ〜ナァッ! なんで僕が○ナラなんてしたのさッ!?
ていうか! 僕達”風の精”が、人間達みたいな○ナラなんてできないだろうッ!?
え〜? だってェ〜マエネてるトキィ〜アラナの方からブァ〜ッて!
スッッゴイ! オナ○みたいなクサいニオいが〜ワタシの所にィ〜来たんだよォ〜?
それ僕じゃあないから! クシャミはしたけど・・・僕じゃあないからねッ!?
”オナラ”じゃあないからね!?
・・・楽しんでいる所を申し訳ないのですが・・・二人共、お願いですから集中して下さい・・・!
私は・・・兄さん達を死なせたくないんです・・・・!
ご・・・ゴメンね! リフィー!
すぐに戻るよ!
ありがとうございます・・・エナ・・・アラナ・・・。 (左下に首と意識を向け・・・)
・・・カルカさんは、まだ無事のようですね・・・良かった・・・!
それと、ダースさんは・・・なんとか商会に逃げ込めたんですね・・・良しッ!
N:リフィルが初撃に命中させたのは、”二人を繋ぐ鎖”のみ・・・。
つまりは、犬のリードのように、持ち手の鎖は撃ち抜けていなかったのである。
無論、彼女がその気になれば、前方の惨状に対し、青ざめた表情で震えながら鎖を握る兵士君を、い・つ・で・も、撃ち抜く事は可能だが・・・それ以前にボス達が倒されてしまってはならない・・・ッ!
そんな、未だ鎖に繋がれ、囚われの身になっているカルカの事も、彼女は気に掛けていたのであったのだが・・・。
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・!」
N:そう、気に掛け過ぎていなければ・・・。
「よくも・・・よくも仲間をォォォォォッ!」
リフィー! 後ろ! 後ろぉぉ!
ッ!?
N:彼女も・・・精霊達も・・・「伏射」の状態からでも即座に対応できていたのだが・・・!
〜ブオォォン! ゴロン! ガキュインッ!〜
(振り下ろされる”片手斧”を伏射の状態のまま横に転がる事で回避するッ!)
「逃げんなァ! クソッタレェ!」
クッ!
ゴメン! ゴメンね! リフィー!
大丈夫ですよ・・・エナ。
一つ数える、息を吸う・・・一つ数える、息を吐く・・・ッ!
(仰向けに、立てた右膝の上に銃口乗せるようにして、素早く狙いを付け・・・)
〜 ググッ! ・・・スカッ 〜
ッ!? しまった・・・!
N:殺られた仲間の恨み、晴らさんと・・・密かに背後から迫ってきた”私兵”に反撃しようとする彼女であったが、それは失敗に終わる・・・!
何故なら、弾込めを怠ってしまっていたからだ・・・。
繰り返すようで申し訳ないが・・・彼女が使うのは1840年代、世界初のボルトアクションライフルである。
脱着式弾倉? バナナマガジン? 50発入るドラムマガジン? ・・・そんなものなどない。
入るのはただ<一発>。それが・・・単発式、「ドライゼ銃」の宿命なのである・・・!
リフィー! マホ~! 早くマホ~使って!
だ・・・駄目ですよ! エナ! この”銃”が正体不明の攻撃になってるからこそ、兄さんを助けられているんです・・・! それに・・・無暗に魔法を撃てば、感知する人間や、追加の弾を出すための魔力が・・・!
「逃げんなよォ! この野蛮人がァ!」
〜ブオォォン! ゴロン! ガキュインッ!〜
(再び、振り下ろされる”片手斧”を伏射の状態のまま横に転がる事で回避するッ!)
リフィー! 早くマホ~! ワタチにマホ~をッ!
エナ・・・! ごめんなさい! 今はあげられないんです・・・!
は・・・早く・・・、早く・・・弾を込めて・・・!
(パレオ風の巻きスカートに付いた弾薬ポーチに、震える手を伸ばす・・・!)
〜ブオォォン! ガキュインッ!〜
(弾薬ポーチ傍の床に、片手斧が投擲される・・・)
ヒッ・・・!?
「チッ、外したか・・・だが、おかしな真似をしでかすなよ・・・? 野蛮人がぁ・・・! (斧を拾いに、にじり寄る)」
ア・・・アアァ・・・! (仰向けから上半身を起こし、後退り始める・・・)
リフィー! リフィー! しっかりして!
N:彼女はこの状況に、ある一つの光景を思い出してしまっていた・・・。
罵しられ・・・絶えず罵声が響き・・・執拗に自他共に痛めつけられる・・・。
あの時・・・あの場に居た・・・その一人が行った事とよく似ているのだ・・・!
・・・ボスによって力を得たとしても、彼女の拭い切れぬ過去は・・・トラウマは・・・彼女の心をまだまだ蝕み続けていたのだ・・・!
リフィー! エナ! どうしたッ!? (下方の乱闘場から飛んで来る)
アラナ! アラナ! リフィーを助けて!
ッ!? (にじり寄る私兵に気付き・・・)
リフィー! 早く僕らに魔力を! 魔法を使うんだ!
「・・・・ッ! ・・・・ッ! (口を動かし、何かを喋ろうとしていた)」
リフィー! 早く魔法を! ・・・ッ!?
(口が動き続ける彼女の思念を、アラナが読み取ると・・・?)
兄さん・・・ッ! 兄さん・・・ッ! 助けて・・・ッ! 兄さん・・・ッ!
リフィー! しっかり! もう君は、あの時のように無力じゃあないだろう!?
「(斧を引き抜きながら)ンァッ! ・・・やっと引き抜けたぜ・・・。
さて・・・? さっきから口をパクつかせて何してんのか知らねェが・・・仲間の仇だ・・・!
死ねェェェェ! 野蛮人ッ! (天高く斧を振り上げ・・・一気に下す!)」
ウィド・ラビジッ!
〜キュォォン! パアァァァンッ!〜
(リフィルの目の前に飛び出たアラナから、小さな空間の歪んだ塊が斧目掛けて発射され・・・斧にヒットした瞬間、弾け飛び、振り上げた位置まで斧を押し戻すッ!)
「ウオォッ!? (一瞬、仰向けに倒されそうになるが、踏ん張る)
何を使いやがった!? テメェッ!」
ぐッ・・・!
・・・ッ! アラナ・・・? 貴方・・・もしかして魔法を・・・!?
(正気に戻るリフィル・・・。しかし、彼女の眼には、普段の緑色から・・・赤く点滅し、苦しそうな声を上げるアラナが見えていた・・・)
・・・ハァハァ・・・僕が使いたくて、使ったんだ・・・。
・・・君が動かないのなら・・・次は強力なのを使うよ・・・!
やめて! アラナ! そうしたら・・・アラナが死んじゃうよ~!
リフィー! ここは僕に任せて・・・早く逃げて!
N:・・・今ここで、トラウマに支配されたままの彼女であれば・・・”兄さん”に一言礼を言った後、そそくさと別の屋根へと逃亡していたであろう・・・。
だが違った。少なくとも・・・今は、ここに居るのは昔の彼女ではない・・・!
「近づかれたらコレを使え・・・ナマクラな剣よりも軽いし、ずっと頼りになる代物だ・・・!」
アラナの勇敢さを目にし、脳裏に蘇るボスの言葉・・・。
彼女の手は、自然に巻きスカートの裏側・・・腰とベルトに挟まれた、ボスから託された物を握り締めていたのだから・・・!
そして・・・掴み出したのは、てるてる坊主状に似た方法で、何かがを詰め込まれた・・・奇妙な”バンダナ”であった・・・!
~フォンフォンフォンフォフォフォフォフォ・・・!~
「ハッ? 何だソレ・・・」
ごめんなさいッ!
~ザッ! フゥオォォンッ! ボギャアッ!~
「グ・・・アァァ・・・オワァァァ・・・
(カウボーイの投げ縄のように回転させたバンダナが、相手の蟀谷を陥没させるッ! 殴られた私兵は、掠れたような声を上げながら・・・千鳥足のようにフラフラとよろけた後、屋根の縁を踏み外し・・・?)」
~ヒュゥゥゥン・・・ゴギャッアァ!~
(仰向けに空中に放り出され、頭から地面に激突・・・! 首は、根元から見事な”L字”型に曲がっていた・・・!)
「おい! 誰か落ちたぞ!?」
「あの上に誰か居るのかッ!?」
N:魔法に発砲・・・奇跡的にどちらも気づかなくとも・・・流石に昼間に近づく明るさの中、民家の屋根から人が落ちれば・・・嫌でも気づく者はいるだろう・・・。
「敵に気づかれてはいけない」・・・それがスナイパーの鉄則である彼女なのだが・・・
~ヌトオォォ・・・~
(顔に付いた”返り血”を指で触り、意識を向けてしまう)
リフィー! しっかり! もう敵はタオせたよ!
リフィー! 別の屋根に移動しないと不味いんだろうッ!?
ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ・・・!
( 動悸が激しくなり、過呼吸の状態に・・・!)
N:一つ、銃の利点を挙げよう。
それは、<直に人を殺した感覚が少ない>事だ。
銃は”飛び道具”だ。それ故、必然的に離れて敵と戦う事が多い。
殺すのは、引いた”引き金”ではなく・・・発射された”弾丸”である・・・。
そして・・・脳幹や脊髄など、急所に当たれば「断末魔を挙げず・・・返り血を浴びる事無く・・・殺害できる・・・」。
この<殺しを自覚しにくい武器>は、現代で大人に満たない者が起こす”乱射事件”や、手軽に”力”を得れる事から”テロ”に使われる事から問題視されるが・・・彼女はこの利点があったからこそ戦えたのだ・・・!
貫く「銃弾」は忌避感を誘う”殺しの感覚”から・・・。
耳をつんざく「銃声」は悪夢を呼び覚ます”断末魔”から・・・。
隔てる「距離」は戦意を喪失させる”返り血”から・・・
銃だからこそ・・・スナイパーであったからこそ・・・近接戦闘においては、非力で未熟な彼女でも戦えたのである・・・!
そう・・・狩りのみで、本当の戦闘の感覚を味わった事のない彼女は・・・
兄さん・・・! 兄さん・・・兄さん・・兄さん・・兄さん・兄さん・兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さんッ・・・!
N:・・・思いの間隔が狭まって行くに連れ、”震え”が増して行く・・・血に塗れた右手・・・。
リフィー! リffwii~!
リffwii〜! sikkarwiisiteweyo~! ruwiffui〜!
N:自責の念に、押し潰されて行く・・・彼女の感覚・・・!
「おいッ! 何人かこっちに集まれ! あの”不可視の一撃”を放っている奴が上にいるかもしれん!」
「それは本当かッ!?」
「おいッ! 早く路地裏に行けッ! 屋根に登るんだッ! 急げ! 急げェェッ!」
N:容赦なく迫りくる・・・破滅への運命・・・!
兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん・・・兄さん・・・ッ!
〜 パパパパパパァァァンッン!!! ・・・ドッ、ドドドッ、ドドサッ!〜
『・・・orissirakk! orissirakk!』
・・・兄・・・さん・・・?
『・・・い・! しっk・・・し・! リ・・ルッ!』
・・・兄さん・・・!
『おいッ! しっかりしろ! リフィルッ! 何があったッ!?』
『(震える左手を、何とか頚動脈に押し当て・・・)
兄さん・・・! 兄さん! 兄さん! 兄さん! 助けてッ! 助けてよッ! 兄さんッ!』
『お・・・おぉ落ち着け! 落ち着け! リフィル! 深呼吸して落ち着くんだッ!』
『・・・ハッ! ご・・・ゴメンなさい・・・兄さん・・・!
ひ・・・一つ数える・・・い・・・息を吸う・・・! 一つ数える・・・息を・・・』
〜 パァァァンッン!!! 〜
ヒッ!?
『・・・安心しろ、二人共。まだオレは、やられちゃいねェよ・・・』
『良かった〜ヒヤヒヤしたァ〜!』
『それよりもリフィル、落ち着いたか?』
『は・・・ハイ・・・何とか・・・(手の震えは未だに収まらない・・・!)』
『よし、リフィル! 何があったんだ? 詳しく教えてくれ』
『・・・(横座りの状態で、俯き・・・目に影が出来ていた・・・)』
『・・・どうしたんだ、リフィル? 何があった・・・』
『ボスゥ! 後ろから来てるよッ!』
『クソッ!』
〜 パパァァァンッン!!! 〜
『ハァハァ・・・後”三発”かァ・・・オルガ! リロードは終わったかァッ!?』
『ハッ! フッ! ハアァァァァッ! ・・・とっ、ゴメン! ボスゥ!
グッ、ハッ! (攻撃を捌き、蹴り返す)攻撃が激しくて・・・オリャッ! (カウンターを決める!)
まだ終わってないッ!』
『リフィル! 何かあったのなら、早く報告してくれ!』
『・・・あ・・・ありません・・・』
『ハッ!?』
『な・・・何もありませんでした・・・大丈夫です・・・兄さん・・・狙撃は・・・続けます・・・から・・・安心して・・・(声の震えを精一杯抑えようとしたような口調)』
『できるかァッ! 何、嘘を吐いてんだ! リフィル!?』
『・・・えっ?』
『そ~だよ! リルちゃん! だったら何でリルちゃんのいる建物から、人が落ちたの?
おっと・・・オリャ! (突撃してきた敵を柔道の投げ技で、投げ飛ばす!)』
『それは・・・私が・・・突き・・・・落とし・・・て・・・』
『・・・リフィル、正直に言っている奴なら・・・そんな動揺した声は出さねェよ・・・ウワァっとッ!? オラァッ! (不意打ちしてきた相手を転倒させ、全力で頭を踏み抜くッ!)』
『ッ!? そ・・・そんな・・・私の事は・・・心配せずに・・・』
『「不安」って爆弾を抱えた仲間を、放置できるかァッ!?
(「かよッ!?」~辺りで同時に、迫ってきていた敵の顔面に”正拳突き”を噛ます!)』
『ッ!? (サングラス奥の瞳が大きく見開かれる)』
『いいか? リフィル、それがお前自身の問題でも・・・それで動揺し続けるなら、オレ達が”明日”を生きていられるか分からなくなるんだ・・・。
些細なミスで、この街全員の命が失われるかもしれないんだよッ!』
〜 パァァァンッン!!! 〜
『ッ! 兄さん!?』
『だからなぁ! リフィル! お前はオレらを信頼してくれたんだろッ!?
だったらとことん信頼しろッ! 不安や心配をオレらに打チまけてッ! 迷いをブッ飛ばせよッ! 今朝の狩猟小屋のようになぁッ!』
『・・・兄さん・・・! (僅かに声に明るさが戻る)』
『よしっ、落ち着いたか? じゃあ改めて聞くが・・・』
~ヒュウゥゥンッ! グサァァッ!~
『グアァァァァイッ!?』
『兄さんッ!?』『ボスゥッ!?』(ほぼ同時に彼の脳内に声が響く)
『ガアァァァァッ・・・ンタァッ! ハァ・・・ハァ・・・大丈夫だ、二人とも・・・
軽く・・・肩に矢が掠っただけだ・・・』
『ボスゥ! リルちゃんに「ウソを付くな」って言ったそばから何言ってんのッ!? ボスゥ!? 肩の傷が・・・!』
「野郎ォォォォォォォッ!」
〜 パパァァァンッン!!! カチッ! 〜
『チッ、弾切れか・・・! ・・・安心しろ、リフィル。
撃つ弾がなくなっても・・・オレァは簡単にくたばるタマじゃあねェよ・・・!』
『な・・・何言ってるんですか・・・? (動揺しているが、心配の気持ちが込った声)』
『そ~だよ! ボスゥ! 後チョットでリロードが終わるからァ! そんな諦めるみたいな・・・』
『オルガは戦いに集中しろォォッ! (何かを引っこ抜く音がする・・・)
行くぞォォォォ! 戦いはまだまだ、これからだからなァァァァァッ!?』
N:数分後・・・今だ手の震えが止まらないまま、顔を上げた彼女は、酷く後悔した・・・。
精霊達が映してくれた光景の先に・・・”スレッジハンマー”を片手に数十人と格闘しているボスの姿が映る・・・! しかし、彼女にとって重要なのはそこではなかった・・・。
・・・見えないのだ。
あのボスが吐いた”優しい嘘”の先・・・彼が奮闘し、自身のミスを庇おうとして苦しんでいる表情が・・・精霊達が映し出す”風の輪郭”だけでは・・・読み取れないのだ・・・! 自身が盲目となったが故に・・・!
そして・・・彼女は人生で初めて自身に対し、激しい”憤り”を感じたのであった・・・!
何故・・・あの時に耐え切れず、現実と向き合う”目”を捨ててきてしまったのか・・・!
何故・・・あの時に、誰かのために流す”涙”が枯れ果ててしまったのか・・・!
何故・・・あの時の”恐怖”を・・・枯れ果てた木に永遠なる未練を残すかのように、いつまでも抱き続けているのか・・・!
そう思った後・・・彼女は今だ、震えの止まらない右手を抑えつけるかのように、左手で右手首を握りしめる・・・! それはもう・・・脈が止まらんばかりの勢いで・・・!
一つ数える・・・息を吸う・・・。
一つ数える・・・息を吐く・・・!
N:「止まれ・・・止まれ・・・!」そう思い続けながら・・・
ボスから教わった”呼吸法”の後・・・彼女の右手は、止まる・・・!
そして・・・顔を上げた彼女は、今度こそ”迷いのない”表情となっていた・・・!
〜 チャキ・・・スッ・・・ササッ、サッ、ググッ! カッ! ガッ、ガッ! チャキッ 〜
N:傍に取り落としていた「ドライゼ銃」に、落ち着いて弾を込め・・・流れるように「伏射」へと移行する・・・!
しかし、その動作を彼女は一切見ることなく、彼女の意識はボスの周囲へと注目されていた・・・!
「放せッ! このッ・・・放せッ!」
「ボスッ! ちょ・・ちょっとッ! どいてよ! どいてってばッ!」
N:負った怪我が仇となったのか・・・ボスは、数十人の頭を「回転振り」で一気にスレッジハンマーでカチ割った際に、背後から羽交い締めにされ・・・オルガは、その姿を見て一瞬立ち止まってしまった隙を付け込まれ、数十人の冒険者が一斉に、”鏡餅”状に伸し掛かって来た事により、身動きが取れなくなってしまう・・・ッ!
・・・ブラコン騎士様? 言わずとも、まだまだ青き豚の足止め中である・・・。
「弓兵隊、構えッ! 一気に撃ち込んでやれ!」
「ちょッ!? それはないだろ!? 意趣返しにしてもそれはないだろッ!?
てかッ! どっから出てきたんだよッ!?」
N:飛び交う罵声に怒号・・・! 討たれた仲間の仇と言わんばかりに、私兵達はボスを取り囲み・・・ボスの向かい側で弓を引き絞る、総勢”12名”の弓兵隊が、血走った目で彼を射殺さんと待機していたのだ・・・ッ!
身動きの取れぬ二人だけでは、まさに絶体絶命のピンチ・・・ッ!
スゥゥゥ・・・ハァァァァァ・・・・・・・・ッ!
「撃てェェェェェェェッ!」
〜 ぐぐグッ! プパァァァァァァンッン!!! ビッシャァァァァッ! 〜
N:その時ッ! コンマ数秒差で、リフィルのライフル弾が、ボスの蟀谷を掠め・・・ピッタリと彼の頭にくっ付き、僅かに露出していた私兵の「左眼球」を貫きッ、一瞬! 拘束が緩むッ!
「ウアァァァァァァァァァァッ!?」
ッ!? チャ~ンスッ!
〜 ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュ〜ン・・・グンッ!
グササ、カンカンカン、グサササ、カンカン、グササッ!〜
「な・・・何ィ!?」
N:これは、先程の・・・ッ!
ボスは、羽交い締めにしていた私兵の両腕を、そのまま絡ませ・・・強引に弓兵隊の方に向けッ! 再び盾代わりにしたのであった!
そうして、放たれた”12本の矢”は彼に当たる事なく・・・虚しくも、ある矢は私兵の体に突き刺さり、ある矢は装備していた”青銅の鎧”に弾かれてしまうのであった・・・!
〜 チャキッ、ガッ! カッ! ・・・スッ・・・ササッ、サッ、ググッ! カッ! ガッ、ガッ! チャキッ・・・ググッ! プパァァァァァァンッン!!! チュウィィィィンッ! 〜
「ヒィィィッ!? なんでこっちに”不可視の一撃”が来るんだよォッ!?」
N:迷いのない・・・先程よりも手早くリロードしたリフィルは、”むさ苦しい鏡餅”がある”周辺の地面”に向けて発砲したッ! すると・・・今まで私兵の方にしか撃たれて来なかったのを見ていた冒険者は、唐突に来る”警告”に恐怖し・・・蜘蛛の子を散らすように、オルセットの上から次々と離れて行く・・・!
その一方・・・なんとか仰向けに向き直っていた彼女は時折、SAAのリロードをしながら、何とか脱出の機会を伺っていたのだが・・・!?
「グギギギ・・・! んっ?
(必死に踏ん張って、両足で伸し掛る冒険者の軍勢を押しのけようとしていたのだが・・・)」
「・・・へっ!? (憐れ・・・彼女の両足の上に取り残されていた・・・!)」
「ヘェへェ〜ンッ! (悪戯な笑みを浮かべる・・・!) チャン・・・スッ!」
「ウワアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・ッ!」
N:憐れ・・・憐れ、トアル冒険者君は彼女の驚異的な脚力によって・・・空へと”バンジー”して行くのであった・・・!
バンジー後、飛び起きた彼女はボスの方に向き直り・・・!
「お待たせ〜ッ! リロード済みだよ〜! ボスゥ〜ッ!」
N:彼女がチマチマと、攻撃の合間を掻い潜りながらリロードした2丁のSAAを投げるのであった・・・! ・・・逆バンジー君? あぁ、それなら・・・彼女の元へと自由落下した後、ご丁寧に彼女の「回し蹴り」を喰らい、野次馬と化していた冒険者の集団へと”シュゥゥゥーッ!! 超! エキサイティン!!”・・・されていたとだけ言っておこう・・・。
~ フォンフォンフォンフォンフォン・・・バシッ! ゲシッ! ~
(飛んできた”SAA”をキャッチ、羽交い絞めしていた私兵を蹴り飛ばしながら向き直り・・・)
「待たせたなァ・・・? お返しの"12発"だッ!」
「クッ・・・! 怯むな! 弓兵隊構・・・!」
〜 パァァァパァァァパァァァパァァァパァァァパァァァ
パァァァパァァァパァァァパァァァパァァァパァァァンッン!!! 〜
N:・・・”えられません”よ・・・!
銃弾の発射と連射速度を舐めて貰っちゃあ困り・・・ますッ!
そんなワケで、即席(?)な弓兵隊の皆さんは・・・隣に居る同僚が次々と、地に伏して行く光景に恐怖しながら・・・引き絞り切る者なく、全員が頭の各所を撃ち抜かれてしまいました・・・っと!
・・・おやおやァァ? 何やら弓兵隊に支持を出した人が急に両手を挙げてェ・・・
「こ・・・降参だ! もうやめてくれ!」
「降参? どういう風の吹き回しだ?」
「お・・・お前たちみたいな化け物と戦うなんて思ってもみなかったんだよ! (私兵全体が頷く)
た・・・頼むからやめてくれ! オレ達を殺さないで・・・」
「イ・ヤ・だ・ねッ!」
「エェェェェッ!? ×無数」
N:即答・・・! 驚愕の余り、一斉に顎が外れんばかりに口を開ける”ヴィラン・ザコ勢”・・・!
・・・そして訪れる静寂に、これは有難いとボスは「コール」を発動させる・・・!
『助かったぜ、リフィル・・・!
・・・で? 何が心配だったんだ?』
『・・・ありがとうございます。えっと・・・』
『正直に言えよ? 嘘は聞きたくねェからな・・・?』
『・・・兄さんは・・・直接・・・人を手に掛けて・・・怖くないんですか・・・?』
『手に掛ける・・・? リフィルの言う・・・”還す”って事か?』
『ハイ・・・そうでなくても・・・私は・・・誰かの悲鳴や・・・”死”に繋がるような音を聞くだけで・・・あの頃を・・・あの地獄を・・・思い出して・・・ッ!
兄さんを・・・ラフィルを・・・失ってしまうと・・・!』
『・・・リフィル、それを思い出してさぁ・・・<生きよう>って、思えられんのか?』
『・・・えっ?』
『簡単に忘れらえない辛い記憶だってのは・・・痛い程分かる・・・。
だけどな、それを思い出して微塵にも”生きよう”って思えないのなら、忘れちまえ・・・!』
『そ・・・そんな! 兄さん!』
『奴隷制度なんざァ、クソ喰らえだッ! (中指を立てながら叫ぶ!)』
『ッ!?』
『お前達姉弟みたいな・・・”悲しみ”しか生まない制度もブッ潰したいって、思ってるオレの傍でも・・・まだ不満か? 奴隷じゃあなくなっても・・・やりたい事・・・”生きる希望”って奴を、リフィルは見つけられてないのか・・・?』
『・・・』
『なぁ・・・リフィル、この街を救ったら・・・何かしたい事はあるか?』
『私は・・・』
『ハァ~イッ! ボク、ボスの料理が食べた~いッ!』
『オ・・・オルガッ?』『オ・・・オルガさんッ?』(ほぼ同時に言う)
『ブゥ~! 驚かないでよォ~ボスゥ~!
さっき”SAA”渡して挙げたのに、真っ先にお礼も言わないし~ッ!』
『・・・お前もリフィルに助けられただろ?』
『そうだけどさ~! その前に言ってくれても良いでしょッ!?
じゃあなきゃあ! さっき言っていた、スッッゴイ肉料理! 食べさせてよォ~!』
『・・・感謝してるよ、だけどなぁ・・・今は無理だろッ!?
て言うか・・・その話、オルガは無視して拗ねてただろッ!?』
『迷惑掛けてるんだから、いいジャ~ンッ!
だって、冒険者達はボク一人で戦ってるんだよッ!?』
『あのなァ・・・分かってるけど・・・』
『・・・私も・・・兄さんの料理・・・食べても・・・良いですか・・・?
(少し、怯えたような声で、恐る恐る・・・!)』
『おッ!? リフィルも食べたいのか? オレの料理?』
『・・・はい。最初に助けて貰った際の・・・あの「緑茶」や「赤飯」の味が・・・忘れられなくて・・・(幾分か、穏やかな口調で・・・)』
『あぁ・・・アレはオレ自身が作ったじゃあないんだよ・・・リフィル・・・』
『・・・えっ!? じゃあ誰が・・・!?』
『えぇっと・・・「店で買った物」って言えば・・・分かるか?』
『・・・あぁ、「保存食」・・・みたいな物ですか?』
『・・・よく知ってんなァ・・・』
『えぇ・・・よく、母と一緒に”日の神の気の元”に晒して・・・”清めて”貰っていたんです。
それと似たような物を・・・たまに来る”人間の行商人さん”が売っていたので・・・』
『なるほどなぁ・・・』
『じゃあ、リルちゃん! お肉山盛りッ! そ~ゆ~ボスの料理を一緒に食べようよ!』
『えぇっと・・・それは・・・(言い淀む)』
『肉とかの”動物性食材”が苦手なんだろ? リフィル?』
『・・・いえ、少しだけでしたら・・・』
『無理すんなって。
だったら・・・これが終わった後に、とびっきりの”ビーガン”料理を作ってやろうか?』
『ビー・・・ガン?』
『野菜とかの”植物性食材”だけで作った料理の事だよ。”菜食主義”とも言うかな?』
『・・・他の”自然の恵み”も・・・火を通すと・・・おいしくなるんですか・・・?』
『えッ!?』
『「赤飯」などが・・・初めて、火を通した・・・自然の恵みだったので・・・』
『えッ? じゃあ・・・今まで食べてきた物は・・・全部、”生”でッ!?』
『・・・ハイ・・・人間の兄さんには・・・珍しい・・・ですか・・・?』
『・・・分かるけど・・・肉とかは・・・腹ァ・・・壊しそうだな・・・』
『リルちゃん、スゴイねェ・・・ボスゥ・・・!
・・・ボクはもう、焼いた肉しか食べられないけど・・・』
『・・・お前もかい! オルガ!』
『前、話さなかった?』
『ウェッ? そうか・・・?』
『・・・フフッ、決めました! 私も・・・オルガさんのように、兄さんの”ビーガン料理”! 食べてみたいです!』
『ボクも~ボクも~ッ! お肉山盛り食べた~いッ!』
『分かった、分かった。じゃあ・・・料理な?』
『ウンッ!』『ハイッ!』(ほぼ同時に言う)
『・・・リフィル』
『・・・はい?』
『「生きる希望」・・・見つかったか?』
『・・・フフッ・・・はい、オルガさんのおかげで・・・!』
『・・・そうか』
『・・・兄さんの・・・おかげでも・・・ありますよ?』
『・・・そ~かッ(少し”はにかみ”ながら・・・)』
「お・・・おい! 嫌だッて、どういう事なんだよ!? オレらを見逃してくれないのかよッ!?」
『・・・(侮蔑の目で私兵達を見つめた後・・・)
すまない、オルガ、リフィル・・・もう切るな・・・』
『・・・はい、私も・・・聞こえてましたから・・・』
『料理約束してよ~ボスゥ~ッ!』
「・・・待たせたな。
じゃあ・・・聞くが、お前らは一体、”何人の人を見殺し”にしてきた?
お前らのご主人様の判断を”間違っている”と思わずに・・・一体、”何人の罪なき人を連行”したんだ? エェェッ?」
「な・・・何を言ってるんだよ・・・?」
「じゃあ、”見逃せない”最もな理由をお教えしようか?
・・・おい! そこのヒゲ面ァ! (ビシッ! と指差ししながら)」
「ヒィ!? な・・・何だよ!?」
「お前・・・ここの兵隊をやる前は何をやってた?
(蟀谷に人差し指と、中指を添える・・・)」
「は・・・ははっ、何だよ? そんなの・・・ずっと前からこの街を守って・・・」
「どっかの山中で、23人も強盗殺人しておいてかァ〜? 山賊君?
(クツクツと嘲笑しながら)」
「な・・・何で知ってェェッ!?」
「右端から言おうか? そこのデブは、”食い逃げ”する事18回。 そこの惚けた間抜け面は、”痴漢”する事37回、そして”婦女暴行”が14回ッ! 頰に傷がある奴は、”強姦”する事、実に47回ィッ!
どいつもコイツもッ! 即刻、"ギロチン"か"鉱山"にブチ込むべき、ゴロツキ共ばッ! かりだなァッ!? (各自、指を差しながらジョジョに怒りをヒートアップさせつつ言う)」
「・・・ッ!? (ポカ〜ンと、開いた口が塞がらない)(×無数)」
「こんな”札付きのクズ共”が職をなくして、野に放たれた時・・・世の中、どんなに迷惑するだろうなァ!?
まぁ・・・けど・・・お前らに分からないよな? ”馬・鹿”だろうしィ?」
「・・・ふざけんなよッ!? この悪魔がァ! ×無数」
「いいねェ・・・ちょっと殺りがいがなくなって来たところだし・・・
テメェらクズ共は、そうやって喚き散らして暴れる方が・・・お似合いだなァッ!」
N:お得意の挑発で、暴徒になりかねない輩共の戦意を再燃させたボスは、再びハンマーを片手に、私兵の軍勢へと果敢に突撃して行くのであった・・・!
その一方、「生きる希望」を得たリフィルは、彼を見守りながら・・・こんな胸中に思いを馳せていた・・・。
兄さん・・・私は・・・<料理>だけじゃあなくて・・・
これから先・・・<兄さん達と生きて行きたい>と思えた事が・・・
私が思う・・・本当の「生きる希望」なんですよ・・・。
N:その輝く星を見失わないためにも・・・彼女は引き金を絞って行く・・・!
星を陰らせる、暗雲を立ち込めさせる者達目掛けて・・・ッ!
〜 ぐぐグッ! プパァァァァァァンッン!!! 〜
参考文献
*Amazon.co.jpの書籍情報を引用しています。
書名:アメリカ海軍SEALのサバイバル・マニュアル: 極限を生き抜く精鋭たちが学んでいること
ISBN-10: 4837957765
ISBN-13: 978-4837957768
書名:中世ヨーロッパの武術
ISBN-10: 4775309463
ISBN-13: 978-4775309469
余談ですが・・・もし、未来で、私のゲームキャラクター達が参戦が決定して「異界の傭兵団」も、”有名”になっていたら・・・”色違い”という形で”ボス達”を参戦させるかも・・・!?
(自身のゲームでは、ネタで”とある姉弟”に、クリア後のご褒美として「コスチューム変更」という形でボス達の着ていた服を着て冒険できる・・・という事も構想し始めています。
あっ、ただ・・・リフィルとラフィルの「エルフ姉弟」じゃあないと、言うのだけは言っておきます。
・・・彼らの”服”は登場するかもしれませんが・・・)
また、仕事が変わった影響でしばらくは”週刊連載”は厳しい事は言っておきます・・・。
・・・望む仕事じゃあないが・・・充実した仕事の疲れの中・・・頑張りはしますがァ・・・!
(波紋失踪だけはしないよォッ!?)
後、今回出てきた「バンダナ」など、詳細に書かなかった武器は、後の「Data回」に書いておきますので、ご安心を・・・!