Contact-28 ”処刑人”ヲ退ケヨ(前編)
大変お待たせしましたッ!
1日遅れですが・・・(汗) 何とか一週間で挙げられる事ができました・・・。
後、今後は、「一万字前後」以内で物語を納めれば小気味よく投稿及び、読者の皆さんもお読みできると思ったので頑張って執筆していこうと思います。
なので、今回は1話で収めようとすると「二万字以上」になりそうだったこの話を、試験的に「前後2話」でお送りしていこうと思います。
〜 パァァァァンッン!!! カビッシャァァァッ!〜
「ギィィヤアアァァァァァァァァァァァッ!?」
何故だ・・・ッ!? 何故、崇高かつ高潔な貴族である私が・・・こんな滓のような罪人の前で、痛みに悶え苦しまなくてはならないんだッ!?
あの罪人が持つ”魔道具”は、ただ耳障りな音を出すだけの屑なハズだろう・・・ッ!?
N:男は理解できなかった・・・。
戦争で落ちぶれたデシィード家・・・幼いながらもその再興のため、王立学院をトップの成績で卒業し、帝王学や経済学を修めてきた。なのに、向上心のない愚図な父親をの性で再興ならず、泣く泣く手に掛け・・・今日に至るまで”他領の50倍近い税金”を搾取して払い続け、突発的な魔物の大侵攻には即座に”鞭打ってでも領軍を派遣”し、愚民共に嫌われ、疎まれ続けようとも・・・何れは公爵になれると信じて王家の繁栄に貢献し続けたというのに・・・ッ!
望めない出世に手を差し伸べてくれた帝国に報いるために、”一万の奴隷”と偶然入手できた、”豊穣の秘宝”を手土産に、栄華極まる帝国貴族の一員になるために今日まで忠臣を演じ続けたというのに・・・ッ!
ここまでの血の滲むような努力をしてきた私が・・・ディシード家の当主である、この「モバリティア・ディシード」が・・・! 何故ッ、再び地を這い回るような屈辱と苦しみを受けなくてはならないのだッ!
そう! 私がこのような場所で死ぬ運命に陥るなんて有り得ないのだーーーーーッ!
・・・もう、とにかく・・・私が”実況するだけでも反吐が出そう”な事を、ボスが撃ち出したSAAによって、「右耳」を失い、痛みの余り部屋の床でのた打ち回ている”出世に飢えた豚”は思っていた・・・。
「き・・・貴様・・・ァッ! 私を誰だと思っているッ!?
私に何をしでかしたかは・・・分かっているだろうなァァァッ!?」
「あァ・・・分カってるサ・・・。
オ偉いお貴族様に不相応な、出来損ないの”耳”があったモんで、撃ち除いて上げただケですヨ・・・。(眼が据わり・・・影が落ちながら)」
「な・・・何ィ・・・ッ!?」
「トころで・・・二つ聞きたイ。
オ前らが、商会に”暗殺者”ヲ差し向けた・・・。それは会ってるヨナ・・・?」
「フ・・・フン、それがどうした?
高潔なる貴族である私が、暗殺者なんぞを雇って薄汚い商会に差し向ける事に、何の利益があるというのだ? (動揺してるのか、視線が安定しない中でヨロヨロと立ち上がりながら・・・)」
「・・・最後の質問・・・。
アンタは、この人達ヲどう思ってイる・・・? 人間から見て、エルフ達などヲどウ思う・・・?」
「・・・フン。本来なら、高潔なる貴族である私に傷を負わせた時点で、罪人である貴様が質問するなどおこがましいにも程があるが・・・
答えてやってもいいぞ? 貴様がそこの”2つの物”をこちらに引き渡し・・・おとなしく処刑台に上がるのならなぁ・・・?」
「・・・そうか・・・分かっタ。
安心シタよ・・・お前が”獣以下”としか思えないようなこのエルフ達よりも、価値ノない選民思想の下衆野郎だって事がナ・・・」
「・・・ハァ? 何を言っている? 私は崇高かつ高潔なる貴族だぞ?
この私が、罪人である貴様に”苦しみのない”慈悲ある処刑を提案しているのだ。
愚民でもある貴様が、普通は泣いて喜ぶ程のこの”破格の提案”を、敬うべき貴族であるこの私が・・・」
「・・・最下位、権力ナシの”男爵”ガか?
しかも汚職まみれの、クズ野郎のドコを敬えってんだヨ・・・ッ?」
「ッ!?」
「エラく待った気もするが、言わせてもらおうか・・・?
・・・アンタらにとってハ、亜人達は人間よりも劣っているカモしれなイ・・・
ダがな・・・誰が、劣っているカらって、人の”死に様”や”生きる尊厳”ヲ・・・馬鹿にしていいって言われたかァァッ!? アァァァッ!?
誰に言われたんだッ!? このお我貴族野郎がァァァァァッ!?」
「ヒィィッ!? (尻もちをつき、負傷した耳を抑えながら近くの壁まで尻を着いたまま後ずさる)
し・・・死刑だッ! き・・・貴様なんぞ・・・ッ!
即座にこの場で・・・ッ! し・・・死刑にッ! しょ、処してやるゥ・・・ッ! (震える手で指を指しながら)」
「やってみろッ! (銃口を豚の眉間に合わせながら)
テメェがオレ達に手を出した瞬間ッ! テメェを絶望の淵へブチ込んでやるッ!」
「ふ・・・フン、罪人の貴様らが粋がれるも今の内だ・・・。
(入口に震える手を掛け、何とか立ち上がりながら・・・)
おっ・・・おいッ! ヴァイオッ! この罪人共の死刑を即刻、執行しろッ!」
N:未だに暗闇が入り口を支配する中、一つの”大きな影”が”ザザザザッ・・・ザザザザッ・・・”と、何か非常にヘヴィな物を引きずる音を響かせながら・・・”豚”と入れ替わりに入ってくるのであった・・・。
ボスは、逃亡しようとする豚に狙いを定めようとするが、現れた影の人物に射線を阻まれてしまい止む無くその人物に警戒を向ける・・・。
「ハァ・・・。他ニモ人が居たのカ?
他人ノ命をドうコウするにモ、他人任せカヨ・・・って・・・ッ!?
お・・・おい・・・ウソだろう・・・ッ!?」
N:余りにも小物としか思えないような”豚”の振る舞いに、呆れつつもさらにボスの怒りがヒートアップしそうだったのが・・・照らされた部屋の中でもより明るい中央からボス側へと、入ってきた影の人物に浮かび上がった人相は、思わずボスが”怒り”を忘れてしまう程の・・・ありえないハズの輩であったのだ・・・!
「・・・かしこまりました、兄様・・・」
N:そう・・・あの”処刑場”で、ボスのSAAによって敗れたハズの”青い貴族服”の男・・・”ヴァイオ・ディシード”であったのであるッ!
これには、流石のボスも・・・
おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいッ!? ありえないだろうッ!?
例えゲームとかでも”序盤”に”不死身っぽい”敵を入れてくるなんて、理不尽だろッ!?
N:それを言うと、大抵のチート持ちラノベ主人公も”異世界側”から見れば理不尽極まりない、初見殺しの塊なのだが・・・ボソッ
”銃チート”はまだまだささやかだっつーのッ!
ワケ分からん力とかでの攻撃よりも、”火薬”による”銃の威力向上”はこれ以上望めないとかって、言われてるんだからなッ!? だから”レールガン”とか開発されてんだからなッ!?
N:動揺のあまりなのか・・・何を釈明したいのかよく分からないが・・・
ボスさんよ、入り口・・・随分とゴッツイ鉄格子の”落とし戸”を、あの赤い豚に閉められたようでっせ?
なっ!?
「おいッ! クソリティアッ! 逃げるんじゃあねェッ!」
〜 パァァァァンッン!!! ビッシャァッ!〜
N:逃走を図ろうとする”クソリティア”眼掛け、ボスは鉄格子の隙間を縫って奴の右足を狙い撃つッ!
当たった野郎は盛大にズッコケ、数段の”階段さん”にずり落ちながら挨拶を・・・ッ!
「(一瞬、下唇を噛みつつ)・・・ッ痛ゥ・・・!
兄様、ここは危険です・・・。
速やかに死刑を執行しますので、早急にこの場から退避してください・・・」
「よ・・・よくやった! ヴァイオよッ! あ・・・後は任せたぞッ!
フハハハッ! "絶望の淵へと叩き込まれる"のは、貴様らだったようだなぁッ!?
私の"最高の剣"である弟・・・"不死身のヴァイオ"の手によって、悶え苦しみ・・・死に絶えるがいいッ!」
N:(チッ!)ならずか・・・ッ! 庇いやがって・・・ッ!
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやッ!? 悪態付いている場合じゃあないだろうッ!? クソムカつく事言いやがって、お互い腹立たしいのは分かんけどッ! 打開策とかなんでもいいから、ちゃんと実況しとけよッ!?
N:・・・了解ィ・・・。
現れたぶ・・・もとい”ヴァイオ”は、撃たれた際に飛び散った"血"が服の胸部周辺を汚している以外、処刑場に居た時とほぼ変わらずの装いであるようであった・・・。
そしてこっちを向いて・・・と思いきや、奴の意識は階段方面を駆け上がる兄の方にまだ向いているようであった・・・。
複雑ではあるが、これが”善人ッ!”・・・とまだ断定できるなら、敵であろうとも「兄弟愛」ある人物としてささやかながらも称賛を送れる物なのだが・・・辛いッ!
まぁ・・・分からなくもないな。
貴族ながらも、見た目は如何にも”THE・武人”って感じだし、あの何処から持ってきたってツッコミたいのは山々だが、引きずってきた”大剣”は、男であるオレのロマンをくすぐるし・・・。
これで”処刑場”で見た性根腐ったサディスティックさがなければ、オレも好感を抱けたかも・・・
「プッ! (地面に向かって唾を吐きつつ、肩に大剣を乗せる・・・)
やっと、あのクソ兄者も行きやがったか・・・。
さて・・・カス罪人・・・? 俺様をあの処刑場で汚い愚民共の前で、恥かかせたんだ・・・嬲り殺される準備はできてんだろうな・・・?」
N:・・・・・・ハァ? (×2)
いや・・・なんで、驚愕がシンクロすんだよ!? こんなコンビ(?)プレイいらないだろッ!?
N:いやいやいやいやッ!
偶然だ今のは偶~然ッ! ”偶然のシンクロさ”で、私は悪くないんだ、うんっ!
さて実況に戻ろ・・・
「おい・・・カス罪人?
何、さっきから何ボーっとしてやがんだよッ? 俺様の質問に答えないとはいい度胸だなぁ?」
「るせェッ!
大体なんだよッ!? さっきまでの”貴族”らしさはどこ行ったんだよッ!?
急に”ヤンキー”みたいになって、尊大で威厳ある感じのボスを期待していたのに何だよッ!? この肩透かし感はッ!?」
「あぁ? ヤンキーとか、ボスとか、訳分かんねェ事を言ってやがんが・・・そっかぁ~やっぱお前もそう思うかぁッ! (「そっかぁ~」辺りから何故か、ジョジョに”嬉々”とした声色で)」
「・・・ハァ?」
「俺様さぁ~人を甚振って、甚振って・・・嬲り殺すのが大好きなんだよッ! でもさぁ~いつもこんな感じでいたいのにィ〜俺様ってェ〜貴族じゃん? それをあのクソ兄者がマナーだのなんだのってうるさいのなんのだから、渋々あんな風な固ッ苦しィ〜”お貴族様”を〜演じてるワケェ~。
最初は嫌だったんだけどさ~ある日ィ~これから拷問フルコースに罪人を掛けてやろうとした時ィ〜・・・思わずフッと、この”素”が出っちゃったらさァ~ククッ・・・そいつの目がビックリしたのなんのって・・・クククッ・・・傑作なくらい間抜け面でサァ・・・ッ! クハハハハァァッ! 以来、こうしてやってんのよ~ッ! そうした後さぁ~・・・嬲るとなぁ~・・・これまたイイ~声で鳴いてさぁ~・・・これが最ッ高ッにッ! 堪らないんだよ~。
解るか? なぁ・・・解るかぁ!? わ・か・る・かぁ~?」
「・・・(呆けていたが、ジョジョに目が据わりだす・・・)」
N:ここで珍しくもボスと”同じく”思っていた私の感情をあえて言わせて貰おう・・・。
<なんだ? このガキは・・・ッ!?>
人をまるで”おもちゃ”のように扱っている無邪気さ・・・。他に例えるなら、そう・・・豊かな森や草原の中・・・小さな生きものや昆虫を見つけ出しては、千切っては笑い・・・千切っては笑い・・・命を奪う事の”意味”を知らずに遊び続けて、そのまま大人になったかのような・・・この幼稚さ・・・。
こんな奴の”おもちゃ”に・・・今までこの街に住んでいた人々の”命”は弄ばれ続けていたのかッ!? こんなクソガキ以前の畜生にッ!?
・・・そんな彼の胸中に・・・あまりの肩透かし感に、思わず消え燻ぶり出していたあの燃えたきる”怒り”が・・・ッ! あの赤い豚以上にッ! 再び燃え上がってきたのであるッ!
そして・・・未だに自分自身に関しての講釈を垂れ流していた奴に対し、もう聞く気の欠片すらないボスは、抱えていたリフィルをそっと床に寝かせた後、SAAをジーンズの右ポケットに戻す・・・そうしてまだ口を閉じず、ベラベラと講釈をヒートアップさせてきた奴が"上を向いた瞬間"を狙って、ボスはSAAを抜き放つッ!
〜パパパァッンッァァッン!!! ビビビッスッ!〜
N:リボルバーの連射テクニックである”ファニング”で、上を向き切った奴の顎・・・恐らくは貫通寸前で人体の急所であろう”脳幹”や”頸椎”辺りに当たるよう狙って残る全弾”3発”を念入りに撃ち込んだのだったッ!
撃ち込まれた奴は、軽く仰け反った不自然な状態のまま動かなくなっていたのだ・・・。これは・・・
恐らく・・・やってないと思うな・・・。
N:やめろォッ!? それでもフラグになるッ!
相手は”不死身”の”スキル”か”特殊能力”持ちなんだ・・・。
決定打になるような攻撃後でも、最大限、警戒を怠らないよう、するに越した事はないだろう?
それよりも・・・早くここからの脱出手段を確保しないと・・・ッ!
N:そう思ったボスは、奴に充分な注意を払いながら”コール”のスキルを発動させる・・・!
『・・・オルガ! 聞こえるかッ!?』
『どうしたの!? ボスゥ!』
『商会の壁に書き殴られていた”血文字”のメッセージ・・・
あれはやっぱ”罠”だった・・・』
『えッ!? じゃあ・・・”リルちゃん”と”ラル君”はッ!?』
『”リフィル”は無事だ。”ラフィルのバカ”は、見つけられてない・・・。
恐らく、まだどこかに監禁されてる』
『そっか・・・(残念そうにシュンとした声色で)
でも・・・なんでリルちゃんを攫ったんだろ・・・?』
『恐らく・・・犯人の炙り出しだろうな・・・』
『炙り出しィ?』
『処刑場であの”親子”を助けた事と、エルフ姉弟を生かした輩の顔がハッキリと特定できなかったから・・・オレらを探し出す事ができなかった・・・。
オレらを見た奴が居ても、会う度に始末してきたから結局分からず仕舞い・・・。
だから、暗殺者なんかに姉弟二人を探し出させて、オレらを誘き出す”餌”にしたってところだろうな・・・。
じゃあなきゃ・・・二人の抹殺が目的なら、リフィルを"攫うだけ"で後は"なにもしない"なんて事事態・・・あり得ないだろうしな・・・』
『暗殺者ァッ!? ボスゥ! 大丈夫なのッ!?』
『会ってたら、今頃連絡できてねぇよ・・・』
『・・・ハハハ・・・笑えない冗談だよぉ・・・ボスゥ・・・』
『すまん、すまん・・・。
けどまぁ・・・気になるのは、暗殺者が不気味なぐらい屋敷内で殺れるチャンスがあったのに行動を起こさなかった が懸念事項だな・・・ここから出られたら・・・ってそうだッ! オルガ!』
『どしたの? ボスゥ?』
『今、オレとリフィルは監禁されてんだ! 入口が鉄格子で閉められていて出ることができないッ!』
『じゃあッ! ボクの出番って事ッ!? (嬉々とした声で)』
『あぁ、そうだ。今から場所を・・・ッ!?』
~ ブゥゥオォォォンッ! ダッ! ガァシャバキャアァァァンッ! ズザァァァァ!~
「危ねェッ!?」
「・・・俺様が喋ってやってんのに、急に攻撃してくるとは・・・
舐めてんのかッ!? アアァァァンッ!?」
N:異世界だからこその再生力だろうか・・・。
人体の急所に撃ち込まれ、”絶命は避けられないハズ”なのにも関わらず・・・奴は・・・”不死身のヴァイオ”は仰け反っていた状態から、銃弾のお返しと言わんばかりに、片手で”右から左”に大剣で勢いよく薙ぎ払い、周囲の拷問具を粉砕しながら、ボスを横に真っ二つな”ボンレスハム”にしようと仕掛けてきたッ!
しかしッ! そこは我らがボスッ! 大剣による”空気が切り裂ける音”を耳にし、間一髪の所でその場からバックステップで飛び退き、大剣の一撃を躱す事に成功したのであったッ!
『ボスゥ? 何かあったの? ボスゥッ!?』
「(スマン・・・オルガ、ちょっと待っててくれ・・・ッ!)
随分と早いお目覚めだなぁ? お休み前の、鉛玉が足りなかったか?」
「あぁ・・・”返り血”よりも不味いモンを食わされたんだ。
起きて当然だろ・・・カス罪人がぁ・・・ッ! ペッ!」
~キンッキンキキンッ! カラカラカラカラカラ・・・~
N:再び奴が、唾を吐いたかと思えば・・・初めのツバでは聞こえなかった奇妙な”金属音”がボスの耳に届くのであった・・・。
ふと、彼が目を向けてみると・・・口から撃ち込まれたハズの"SAAの弾丸"が"3発"全てが吐き出され・・・それを見たボスは滲み出ていた”冷や汗”が更に溢れ出すのを感じていた・・・。
<最早・・・コイツを倒すのは現状、不可能に近い・・・ッ!>
脳裏に駆け巡るこの考えと”倒しきれない”事実に、彼はかつてない”危機感”と”緊張感”を抱き、<どうすればこの場を切り抜けられるか?>・・・という事に懸命に頭を捻らすのであったッ!
だが・・・しかしッ!
「まぁ・・・良い。
ここは地下な上に、”ウィドラート級”の拡声魔法を使っても届かない”ウィドラマ級”の防音魔法が掛けてあるんだ・・・。
叫んで喚いて助けを求めようと幾ら考えようとも・・・ククッ・・・俺様に嬲り殺される運命は、絶対に絶っ・・・~~~~~~~~~~~~~〜〜〜〜〜対に! 覆られないんだぁぁぁぁよぉぉぉぉぉぉッ!」
「・・・フンッ、(連絡が取れている事にほくそ笑みながら・・・)
案外こんな絶望的な状況だからこそ・・・逆に、運命はオレに微笑んでくれるかもしれないぜ?」
「・・・(嬉々としていたのが嘘のように、眼が据わり)
お前みたいな”罪人”は初めてだなぁ・・・?
なら・・・これでお前の心をへし折り切れるかなぁ~?」
~ブオンッ! ザッ、ザッ、ズザァァァァ!・・・~
「ブフォォッ!? ゴハッ・・・ゴホッ、ゴホッ!
(数回バウンドした後ボス達の目の前で止まる)」
「・・・ッ! ラフィルッ!?」
N:先程からヴァイオの奴が剣を持たない”左手”に何かを掴んでいたのを、ボスは把握していたが、ヴァイオの人相がようやく浮かび上がった時のように、薄明かりに照らされてるものの周囲の闇と似た色なのか、それが何かまではハッキリと把握できなかったのだ。
しかし、奴が勢い良く左手で投げ渡してきたのは、彼が監禁されてると予測していたハズの”ラフィル”であった事に、彼は内心”安心”と”動揺”を同時に感じていた・・・。
・・・なんにせよ、その見てくれが”ヒドイ”の一言に尽きる・・・彼の母親程ではないにせよ、全身を執拗に殴られたような打撲痕に、無数の擦り傷・・・極めつけは、背中に刻まれた巨大な切創からドクドクと夥しい程の血が流れたのか・・・真っ赤に染まっていたのだった・・・。
「・・・何で・・・こんな・・とこに・・・来やがった・・んだよ・・・ッ!?
クソ・・人間がァッ!」
「・・・突っ込んで行くんじゃあねぇよ・・・バカが・・・
(拳を握りしめながら、くぐもった声で呟く)」
「おっほォォォォォォッ〜!?
イイ〜感じに心折れて来てるみたいだねェ〜? イイよォ〜その絶望感ンンン〜
哀れな罪人と野蛮人のォ〜胸ッ! 糞ッ! 悪いッ! 友情をォォォォォ〜〜〜
この手で叩切れるな・ん・てッ! ゾクゾクしてたまんねェ〜〜〜〜〜〜ッ!」
「・・・罪人がどっちか履き違えてんじゃあねぇよ・・・ド畜生・・・ッ!
今から宣言しておく・・・近い内に、テメェを何十発と殴った後に、必ずテメェら・・・兄弟諸共・・・絶ッ対にッ! 絶望の淵へとブチ込んでやるッ! (SAAを奴の眉間に向けながら)」
「クハハハハァッ!
面白れェ冗談だなぁッ!? まぁ良い、精々、足掻けよォ〜?
”王国近衛騎士団、団長”にまで上り詰めたこの俺様を・・・最後まで楽しませてくれよォ〜ッ?
絶望のォ~~~~!! ひきつりにごった叫び声を聞かしてみせてくれよォ〜〜〜〜ッ! カス罪人共がァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
N:叫ばれる”暴力に飢えた豚”の咆哮・・・逃げられぬ密室・・・
果たして、ボスたちは、オルセットの救援が来るまでに耐えきる事ができるのかッ!?
この血塗られた狂気の拷問部屋から、脱出する事ができるのかッ!?
次回を、乞うご期待ッ!
<近衛>
”君主”や”王”などの権力者の身辺警護を主目的とした親兵。
現代で言えば、大統領や内閣総理大臣、天皇などをテロリストの魔の手から守る”SP("S"ecurity "P"olice)”に近い。
日本SPの資格には、身長174cm以上、柔、剣道、合気道3段以上、拳銃射撃上級、英会話ができるなどの優秀な警官しか選抜されないため、このような”高い技能”を過去の中世ヨーロッパでも求めていたとすれば、軍人にも負けず劣らずか、それ以上の実力を持っている可能性がある。
※2018年9月17日、「大きな影」の「《・・・・》」入力ミスを修正しました。
(申し訳ありませんでした・・・<(_ _)>)