Contact-25 ¨豚ノ強行¨ヲ阻止セヨ
大変お久しぶりな”戦闘回”です。
ですが、そろそろストックが尽き・・・ゲフンゲフン・・・。
・・・はともかく、もうちょっとで、早めの更新ペース期間は終わるので、皆様・・・ご了承お願いします・・・。
ただ・・・ひとつ言えるのは、エルフ姉弟の”覚悟”が完了した時・・・嫌という程の「戦闘回」が続きますので、どうか長い目で・・・お願いしますッ!
N:ボスが武器屋「アーマート」から離れようとした数分前・・・
ここ北西の城壁近く、武器屋からそう遠くもないところに存在する寂れた庭園のような”小さな広場”で、数人の兵士に囲まれながら揉め合っている二人の人物がいた・・・。
「な・・・なんだよ・・・来るんじゃあねぇよ!」
「べェィべェ~
そういうなって~子猫ちゃ~ん、恥ずかしがる事はないんだ~よ?」
「な・・・何言ってやがんだよ!
オレは”男”だぞ! なんで男のオレがお前みたいな”ブタ野郎”に付いて行かなっくちゃあならないんだよッ!?」
「ノン、ノン・・・恥ずかしがらないでぇ~。
そんなの~関係なぁ~いんだ~よ~?
キミみたいなエンジェルのような美しさを持つカワイ子ちゃんならぁ・・・
べェべェべェ~ボクチンは分け隔てなく、優しくしてあげるのさ~」
「ヒッ!?」
「それに・・・どの道・・・ボクチンの事を”ブタ野郎”なんて言った君は〜、ボクチンと〜、一緒に行かないと〜・・この街から”消える”事になるんだ~よ?」
N:そう言った男は、両手を合わせた後・・・”とんぼのめがね”・・・と目に直接は当てなかったが、両手をその手の形で離していくと、青白く発光する鞭が男の両掌から現れてゆく・・・。
「(何回か、鞭を地面に叩きつけつつ)
さぁ・・・どうする~? モチロン・・・
カワイ子ちゃんで、賢いキミなら・・・どうするかは分かっているよね~?」
「(ギリッと歯ぎしりをした後・・・)
・・・この街に・・・死んで詫びろ・・・ブタ野郎ッ!」
N:そう言った彼は、ポケットに突っ込んでいた右手を男の目の前で鋭い右フックのように払うッ!
すると・・
「ブフゥヒィィィィッ!?」
「アリウスト様ァッ!?」
「どけッ!」
N:ブリ・・・失礼、よりヤバしな色狂いが発覚したあのッ! ”アリウスト”の顔面にッ!
何かの”白い粉”がブッ掛かり、一瞬怯んだ隙に愛の告白を迫られていた男は、兵士達の隙間を抜け一目散に逃げようとするッ!
「プッ! ・・・ッざけるなぁぁぁぁぁ!」
N:だが、
「そんな白い粉なんてッ! ボクチンとキミの愛の前では無力ッ!」
・・・と、恐ろしい幻聴が聞こえて来そうな執念をブリ・・・ウストは、一瞬消えかかった右手の鞭で振るい語るッ!
〜ヴィシィィィッ!〜
「ッ!? うわぁぁぁぁぁッ!?」
N:○者の皆さんが思った以上に、彼・・・は叫んでいるのだが・・・それが絶叫コースタークラスに叫んでいると容易に想像できない事は、無理もないであろう。
なにせ、彼は兵士の包囲網を抜け、広場の中央にある”噴水”に差し掛かった時、ブリ・・ウストが鞭を放ったのに気づく!
ドッチボールでボールがこっちに飛んでくると分かった時・・・誰だって一瞬は”誰かの後ろに!”
・・・とそんな”悪魔の囁き”を聞いてしまうだろう・・・。
そんな彼も同じ・・・とっさに噴水の後ろに滑り込み回避しようするッ!
〜ブゥッコォォォン! ザザッザァ! ガシャゴシェガシャゴショォォ! ズザァァァァ!〜
しかしッ! それが確実なモノとなるのは”現実の地球”での話ッ!
無情にも彼に待ち受けていた運命は・・・残酷無慈悲に近いモノであったのだ・・・。
〜ブゥゥンッ!〜
N:一瞬・・・ほぼ一瞬・・・!
彼を掴んだ瞬間、噴水を透過した鞭がしなったと思うと、中央の彫刻された柱を粉微塵に粉砕・・・。
その次に近場の針葉樹のような樹木に叩きつけられ、高速エレベーターならぬ高速”ムチベーター”で、樹木がハゲてしまうような勢いで”8m”近い高さまで、上げられ・・・。
・・・後はこの後の”音”の通り・・・。
〜ドゥダァァァァンッ! ・・・・・・・・・・ガラァ・・・〜
「カハァ・・・ハァ・・・・・ハァ・・・・」
「べェ・・・べェべェ・・・・・べェべェべェ〜
これでぇ〜分かった〜? ねぇ〜分かった〜?」
「ヒュア・・・・ヒュハァ・・・・・・ハァ・・」
〜ピチャ・・・ピチャ・・・ピチャ・・・〜
「あんりゃ〜? やりすぎちゃったかな〜?」
「ヒュ〜・・・・ヒュ〜・・・・・・・・・・」
「・・・ザンネ〜ン。
これでもまだ生きていたら、チャンスをあげようと思ったのにな〜べェべェべェ〜」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「でもね〜安心して・・・? ボクチンもビックリなんだけど・・・思った以上に・・・キミの事・・・気に入っちゃったみたい・・・!
だから〜そんなにボロボロになったとしても〜ボクチンが・・・キミを可愛がってあげェ〜るからねぇ〜特別なコースで・・・もっと、もっと、も〜〜〜っともねッ!
べェべェべェべェべェべェ~・・・んぅ?」
N:なっ・・・なんという”○体蹴り”・・・!
「地獄のムチベーター」コースで彼のライフはもう十分に”零”に近いハズなのにッ!
それなのに・・・ミノムシのように鞭で逆さ吊りにされた挙句、彼の体が揺れた際に、彼が着ていたみすぼらしくダボっとしたチェニックから、キラリと垂れ下がった”何か”にもめざとく反応するだなんて・・・!
「(目の前で揺れる”何か”を左手に取りつつ)
べェべェべェ~? なんだコレぇ〜?
・・・一介の下々(しもじも)がなんでこのような値のありそうなものを・・・・・おっ、おおぉォウッ!?」
N:彼が首からぶら下げていたもの・・・それは、”ロケットペンダント”であった。
ただ、19世紀辺りに盛んに生産され現代では「アンティークジュエリー」・・・美術品として取引されるような豪華な装飾が付いたモノではなく、一切の装飾のない・・・だが恐らく”純金”製の質素かつ簡素なモノであった。
ただ、コレを語るよりも問題なのは・・・その”中身”である。
「ムフォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!
な・・・なんて・・・美しい! これぞボクチン
が望むエンジェルッ! いやぁ、正しく・・・
ディエスゥッ!」
N:そこに描かれていたのは、誰もが一瞬ため息をつきそうな見紛う事なき”美女”が描かれていた・・・。
意思の強そうでありつつも、優しさが感じ取れる緩やかな”吊り目”・・・
その微笑をより強調させるふっくらとした”唇”・・・。
そして・・・艶やかに流れる彼女のダークブラウンのロングヘア・・・。
・・で特徴的な部分は終わりではなく、そのトップから揉み上げにかけて見事な形をした胸の上に掛かる髪の間に挟まるように輝く・・・私達がどこかで見たことがあるような”金色のエンブレム”が彼女を最も印象付けていた・・・。
「ブべェべェべェ~! いいもん見つけたな〜
これは早速・・・エンジェルちゃん達を摘みつつ・・・今晩の”メインデッシュ”に・・・ッ!
・・・あっ、あれっ?」
N:これぞ”豚に真珠”ならぬ、”ブリウスト・クオリティー”・・・! 金や人、思いやりよりも自身の<股の間>を重視する思考感覚であるッ!
「誰も見てない内に・・・」は、見張りの兵士達がチラ見している時点でアウトだが、彼はそそくさに至高の”おかず”を懐に仕舞い込もうとする・・・。
だが、唐突にチワワにでもなったのか、ロケットを引き千切ろうとしても取れない奇妙な現象に・・・?
「・・・・る・・・な・・」
「ベウェッ!?」
「そんな・・・汚らしい・・・手で・・・
ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・取るなァァ!」
N:ロケットが彼の意識を呼び覚ましたのか・・・
はたまた、自身に鞭打ってでも奪われたくないものなのか・・・気絶したも同然であったハズの彼は辛うじて意識を取り戻し、必死にロケットのチェーンを握りしめながら、眼下にいるブリウストを睨めつけていたのだッ!
「プギュウィィィィィ! やっぱや〜めたァッ!
こ〜んな汚らしいドブみたいな下民は殺す!
ブッ殺す! ブッ殺して取り消しィィィィッ!」
N:地団駄を踏みつつ、駄々っ子の如き暴言吐き散らしながら、ブリウストは再び彼を叩き付けようとムチベーターを急上昇させる・・・!
だが、しかしッ!
〜ザッザッザッザッザッザッザッザァッ!〜
N:ブリウスト目掛けて、両足を揃えつつ飛び上がる、一つの影があったッ!
ソイツはッ!?
「いい加減にしやがれッ! このッ! クソ豚野郎ォォッ!」
〜ドゥ、バッキョンッ!〜
N:振り向いた顔面へと強烈な”ドロップキック”をブチ咬ますッ! 我らがボスであったッ!
「ポッ、クゥギャァァァァァァァッ!?」
〜ポコロゴロゴロゴロゴロゴロ、ベゲシャアッ!〜
「アリウスト様ァァァァァァァァッ!?」
N:大玉転がしよろしく、崩壊した噴水へと、本日2度目の
”ストラィィィィィィィィィィィィィクッ!”
・・・を決めたボスは、何故か上空をどこか遠い目で見ていた・・・。
・・・今は、アンタの事を思い懐かしんでん場合じゃあないんだ・・・・よっと!
N:・・・マジメ路線で言えば、ムチベータから解放された”彼”を、見事に”お姫様抱っこ”でナイスキャッチ! ヒュ〜ヒュ〜! ・・・としているのであったッ!
「(・・・お前の”マジメ”は、何基準なんだよ・・・おっと、それよりも!)
おいッ! しっかりしろ! おい!」
「・・・」
「・・・(ステータスをチェックする)クソッ、”MP 5”しかないって・・・オレの魔力回復速度、遅すぎやしないか・・・?
・・・とりあえず、さっさと戻って・・・」
「止まれェェ!」
N:安全な場所への一旦退避を考えていた、ボスの行先を”待ってました!”・・・と言わんばかりにぐるっと取り囲む、6人の兵士達・・・。
この状況下、大体の人は驚いて身動きが取れず何が何だか解らず、半ば空いた口が塞がらないであろう・・・。
「今すぐ、武器を捨てて大人しく床に伏せ・・・って、何をしているッ!?」
「・・・何って、伏せる気も、捨てる武器もネェから・・・っと! こうやって重傷者の担ぎ方を変えてんだよ」
N:・・・そう言ったボスのやっていた担ぎ方とは、アメリカ軍などで、人命救助などを行う際に使われる、「ファイヤーマンズキャリー」と呼ばれる運び方である。
うつぶせまたは正対した相手の”腋の下”から自分の首を差し入れた後、肩の上に相手を担ぎ上げ、担ぎ上げた”相手の右腕と右脚”を、”自身の右腕”で固定する。
こうする事で、反対側の手は空いた状態になるので、戦場でなら負傷した味方を運んでいる最中に敵に襲われたとしても”ハンドガン”などの片手武器で自ら対処が出来たり、日常でならスマフォを取り出して「119」に電話を掛ける事が、可能となるのだ。
・・・<片手が自由になる運び方>って言えばいいんじゃあないか・・・?
後、なんで運び方と、「119」をお前が知ってんだよ・・・?
N:それは、私が・・・
「おいっ! お前達ッ! いつまでこちらの命令に従わずにそこで突っ立ているつもりだッ!?」
N:・・・
「・・・ハァ・・・いやっ、すまない。
チョッピリ考え事をしていただけだ。
ど〜ゆう命令だったかは忘れちまったが、今から家に帰るから、そこ・・・どいてくれないか?」
「貴様・・・我々が誰かと知ってその口を利いているのか・・・ッ!」
「・・・あぁ・・・分かってるよ。
仕える主の暴走も止められず、汚職をしたら、”この街のためだ!”・・・って偽善をほざき・・・この街の現状を変えようとも努力しない・・・
そんな職務怠慢、能無し兵士供のリーダーがアンタだろ? マケットの兵士長さんよ?」
「な・・・なんで、分かって・・・?」
・・・分かって当然だよ・・・
ほとんど会う奴には「スキャン」をするようにしているからな・・・
因みに、兵士長の「能力値の平均」は大体”3.0”ってとこだ。
・・・嘆かわしいよな・・・大体”5.0”ぐらいしかオレと変わりがないってのは・・・
「兵士長さんよ・・・一応、警告しておく。
今すぐこの包囲を解いてくれないと・・・恐らく、クビが飛ぶぞ・・・?」
「げ・・・下民が! 私の職にとやかく言う権利など・・・!?」
「・・・ハッ? 何言ってんの? そのクビじゃあねぇよ。(左手の親指で、首を突きながら)
”こっち”のクビ《・・》だよ?」
「グヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌッ・・・・・・・」
「・・・いい加減にしてくれないか? こっちは、誰かさん達が見捨てていた性で、重症患者を抱えこんでんだ。悪リィけど、さっさとどいてくれないと・・・」
「責任は私が一任するッ!
総員ッ! 掛かれェェェェェェェェェ!!!」
「・・・煽り耐性、無さ過ぎだろ・・・」
N:・・・見事・・・見事にッ! 私の鬱憤を晴らしてくれた彼に、私は・・・私は・・・猛烈にッ! 強烈にッ! 激烈にッ! 賛美を送りたいッ!
〜ガシャァァンッ!〜
「何ッ!?」
いいから、勝手に実況していてくれ!
N:これは失礼ッ! この数秒間に何が起こったかと言うと、6人の兵士長を含めた全員が装備していた、やけに豪華な装飾の槍を一斉にボスの居た包囲の中心に突き出したのだ!
普通なら八方塞がりに思えてしまう状況だが、ここで我らがボスは”兵と兵との間”目掛け、”回転しながら”素早いステップ回避で躱したのだッ!
それだけじゃあない・・・。
〜ゴッガシャァァンッ!〜
「マルタッ!?」
「か・・・兜を被っているのに・・・殴り飛ばしてきただと・・・!?」
N:ボスが行っていた”回転”は、ただスタイリッシュさをより演出させるためのモノではなかった。
体を縦にする事で、槍が当たる表面積を狭くする上に、回避した先にいる邪魔臭ェマルコを”裏拳”で殴り飛ばす”勢い”をつける事にも、必要であった”合理的”な動きだったのだ。
〜スポンッ! ゲシャアァァ!〜
「フットォッ!?」
「嘘だろ・・・槍が・・・!」
N:だが、ボスの”合理的”な動きは続いていたッ!
回転により体に大きな”捻り”を裏拳の後にも残していたボスは、剣道などで攻撃を決めた後にそのままの姿勢をとる”残心”のように、殴りきった後の姿勢を維持していた・・・。
そして、その拳の近くまで伸びていた槍の”矛先の根元”をむんずと掴み、”円盤投げ”の如く、体の捻りを生かして勢いよく奪い取ったのだッ!
もちろん、抜いた勢いに連れられた”オマケ”の処理も抜かりなく、ボスは抜ききった体勢から振り向きつつ、”左前蹴り”でオマケさんへと丁重なご退場を願ったのであったァッ!
「”バンデット”ッ!」
〜スリャリャリャ〜ン〜
N:チョイとマヌケっぽくも聞こえる音と共に、奪い取った槍が”紫色”に輝いたかと思うと、その輝き
が消えた瞬間、光と共に槍は消えていた。
「・・・(ステータスをチェックする)
クソッ、”MP 15”・・・1本、”10”だけって・・・シケてんな・・・。だが・・・」
N:振り返るボスの視線の先には、いつ包囲を解いたのか兵士長とその裏に隠れ、今にもチビリそうにブルっている残りの3人の兵士であった・・・。
「た・・・隊長! これからどうするんですか!?」
「どうするもこうするもッ! まずはお前らッ! オレの後ろに隠れるんじゃあないッ!
お前らは勇猛なる”兵士”としてココにいるだろッ!?」
「し・・・しかしッ!」
〜ザッザッザッザッ! ドゥゲシャアァァァ!〜
「レバァァァンッ!」
〜フォンフォン、パシッ!〜
「”バンデット”ッ!」
〜スリャリャリャ〜ン〜
N:あの有名な「ダチョウの3人組」・・・とまでは言わないが、後ろにいた3人の兵士が前に出ない性で、兵士長はボスの飛び蹴りをモロに喰らい、その際宙を舞った彼の”槍”はボスの魔力になったとさ〜。
「・・・で? まだオレを連行する気があるのか?
兵士さん達よぉ・・・?」
「ヒィィィィィィィィッ! ×3」
N:普通、よくありそうな展開ならば、ここで吹っ飛ばされた”兵士長”と”ボス”を何度か「見比べて」から逃げ出すモノなのだが・・・やはり彼らは一兵卒。
そのような事を見せる素振りは微塵もなく、持っていた槍を放り出して、一目散に逃げ出すのであった・・・ナサケナイ・・・。
・・・さて、ツッコミよりも担いでいる重症患者の方に、気力を回すとしますか・・・。
久々にコッチが語る気もするが、さっき逃げた兵士達が落とした”槍”を回収し、「バンデット」と、武器の数分だけ呟き、ようやく「メディケア」に必要な分だけの”MP”を貯めることができた。
「よし・・・”メディケア”」
~ホワワワ~ワァ~ン~
その一言と共に、体の中から幾分かの力が抜けた感覚を感じると、担いでる彼を支える右手から彼に向かって”何か”が流れて行くのを感じていた。
・・・最初と比べれば、随分と感動が薄れちまったが・・・チョイと疲れるも、この「魔法を使ってる!」・・・って、感じがなんともロマンがあっていいもんだな・・・。
「・・・後は、適当な木の木陰辺りに寝かせて・・・」
「ポギャアァァァァァッ!」
〜ブォォォォンッ!〜
「アァァァァァァァァッ!?×3」
「ッ!? アブねッ!」
〜ドゥンガラガッシャァァァァァンッ!〜
N:少し主導権を渡してしまったが、木の木陰で「お楽しみタイム」を画策していたボス目掛け、先程逃走したはずの一兵卒君達が、怒涛の勢いでセットになってブッ飛んできた事は言っておこう!
・・・説明になってねぇ〜よ・・・。
俺目掛けてあの3人が”投げつけられた”とだけ、言えばいいだけの話だろ・・・?
後、別に俺がコッチで喋っても別にいいだろ・・・?
N:・・・それよりも、あの起きた「クソ豚」はどうもしなくてよいのか?
そんなん解ってるわッ! しれっと話逸らすなッ!
「ブベェェェ・・・。
おまえかァァ? おまえが、ボクチンを殴り飛ばしたのかァァァ? ボクチンを”誰だと”解ってやったのかァァァァァ!?」
N:酷く弛んだ”腹”を弾ませながら、ボス目掛けて怨嗟の声をジョジョに漏らしてゆく「クソ豚」・・・。
しかし、非ジョ〜にッ! 遺憾ではあるが・・・ボスを”殺ろう”とするその”スゴ味”は、綺麗に”顔面へとプリント”されたボスの「二」の文字足跡が、クッキリと残っている性か・・・ププ・・・。
重要なので、もう一度言うが・・・非ジョ〜にッ! 遺憾なのであるッ!
・・・その慇懃無礼っぽい口調が、オレから見れば”ヤメろ”って意味を含めて遺憾だよ・・・。
まぁ・・・それよりも、あのクソ豚対しては躱した時に、木の木陰に置いてきた”彼”以上に「ふざけんな」・・・って、思う事があるからな・・・ッ!
「蹴り飛ばした事も理解できてねェのか? ブタ野郎・・・?」
「ポギィ!? 今なんて言った!? ねぇッ! ボクチンの事、な・ん・てッ! 言ったんだい!?」
「・・・質問を質問で返すようで済まないが・・・オレの質問に答えたんなら、もう一度言ってやる」
「・・・ベェェェェ・・・苛だたしい事この上ない下民だけど・・・
ベェベェベェ〜いいよ〜ボクチンだって、アニィの弟だからねぇ〜。たまにはァ〜汚い下々の事柄でもォ〜耳に入れなきゃダメだろうしね〜。
ベェベェベェ〜偉い、偉い。ボクチンって偉いよね〜」
「・・・それで? 偉いアリウスト様は何で”部下を武器のように投げ飛ばした”のでしょうか?」
「偉いよねェ〜? ねェ〜偉いよねェ〜!?」
「・・・偉いですよ」
「ベェベェベェ〜! そうそうッ! 汚い下々はそうでないとッ!
んじゃ〜”質問の答え”ねぇ〜
簡単な話ィ〜あいつらが”使えない”からだよォ〜」
「・・・使えない? (怒気が篭もりつつも静かな口調で)」
「そ〜だよぉ〜? キミみたいなボクチン達を”敬えない”奴らを捕まえてぇ〜
罰したり〜ボクチン達の所に連れてくるがぁ〜仕事なのに〜それができない”悪い子チン”だからねぇ〜
ベェベェベェ〜だから・・・最後は役立てるようにしてあげたんだよぉ〜
ねぇ〜偉いでしょ〜?」
「・・・ちなみに、役立てるようにしなかった場合は?」
「・・・2度も質問なんて・・・って言いたいけどぉ〜今のボクチンは機嫌がいいしィ〜偉いからねぇ〜
モチロン、明日の公開処刑か”青の”アニィの所に送るだけだよぉ〜」
「・・・なるほど・・・分かりましたよ・・・」
「ベェベェベェ〜それじゃあ・・・最後のチャンスだよぉ・・・
ボクチンの事ォ〜”な・ん・て”言ったんだぁ〜い・・・?」
「・・・こう言いましたよ。
”救いようのないクソ豚野郎”・・・って。」
プ〜〜〜〜ッククククク・・・ッ!
失礼・・・ククク、余りにも・・・”クソ豚・・・野郎”の呆けた・・・一瞬古墳時代に製作された埴輪にも等しい、”マヌケ面が・・・なんともスカッと・・・!
・・・静かにしろよ・・・! できるならさっさとあのクソ豚供に、銃声の響く”SAA”じゃあなくて、サプレッサーの使える「エレガナンM1895・リボルバー」が手元にあったら、とっくの昔に頭にブチ込んでやってんだよ・・・!
だが・・・ここじゃあない。そんな”全治百年”にも満たないような生温い事で、パッと終わらせるもんじゃねぇ・・・!
例え、あったとしてもココでオレがあのクソ豚供に、引き金を引くべきじゃあないんだよ・・・。
「き・・・聞き間違いだよねぇ〜?
”クソ豚”なんてぇ〜ボクチンみたいな”敬われる”立場の人がそんな事ぉ〜」
「はっ・・・? 何寝ボケた事言ってんだよ?
お前みたいな”クソ野郎”のどこに”敬う”要素なんてあるんだよ?」
「・・・(ポカ〜ン)」
「(左手を広げ、右手で一本ずつ指を折りながら)
誰もが顔を顰める不潔な街・・・汚職を平然とやろうとする兵士達・・・生気のない、公開処刑ぐらいしか娯楽のない町民達・・・平気で強姦紛いの事をやろうとする領主関係者やらと・・・
オレはしがない通りすがりの旅人だが、そんなオレでも後一時間ぐらい愚痴を言える程に、この街は”腐ってる”と思うんだが・・・?
これでもアンタ・・・いやお前ら”クソ供”は、”敬える”事をやっているって言い張れんのか? なぁ?」
「・・・ぷ・・・ぷ・・・ぷ・・・(ワナワナと俯きつつ震えている・・・)」
「・・・たぶん、あの「兵士長」のように残っていた”良心”に耳を傾ける気もないんだろうが・・・
オレが最も嫌いな事は三つある・・・。
一つ目は、人の事を”人として扱わない”事・・・
二つ目は・・・」
〜ビュンッ! パァァァンッ!〜
N:唐突にボスの元へと飛来した”青い何か”がボスを襲うッ!
だが、元々ボスの第六感が異常だったのかと思えてしまうように、ボスは僅かなサイドステップで頰に掠める程度で済ませるのであったッ!
「プッ殺すッ! プッ殺すッ! プッ殺すッ! プッ殺ォォォォォォすッ!」
「・・・やっぱ、”ブタ”には、何を聞かせても理解できないよな・・・」
N:そう言うと、ボスは左頬に滴る血を右手の甲で拭い、残っていた魔力のほとんどで「タフネス」を発動させるッ!
そして、あまり描写をする機会がなくて申し訳なかったが、タフネスを使用中の者は、使用者の背後が僅かに陽炎のように青く揺らめいている。
ただ、それだけを使用していては、ボスが握っていた拳に風が纏わり初めているのは、説明できないであろう。
「正当防衛兼、コイツの威力を試させてもらうぜ、クソ豚ァ!」
「オマエはッ! 絶対ッ! プッ殺ォォォォォォすッ!」
N:最早、野獣・・・いや、怒る「オーク」に成り下がったクソ豚は、狙いなど無用ッ! と言わんばかりに矢鱈滅多に”青い鞭”を振り前わすッ!
しかし、「タフネス」によって強化されたボスの”脚力”と、ボクシングのアウトスタイルに、ジャンプやステップ、ローリングなどを織り交ぜた”回避能力”の前には、幾ら振ろうとも二度、掠める事さえも不可能であったッ!
そしてついに、あまりにも自分の攻撃が当たらない事に痺れを切らしたのか、クソ豚は横一文字に大振り噛ましたのが運の尽きであった・・・。咄嗟のローリングによってこの攻撃を回避しつつ、一気に距離を詰めたボスは、右拳を振り被るッ!
「ブッ飛びなッ!」
「ブびゃぁウブッ!?」
N:ボスの放った”右ストレート”は、ヒットした瞬間ッ! クソ豚の余りの弾力性に即座に押し返された! ・・・と思いきや、ジョジョに・・・徐々にと、デップリとした腹に螺旋状の跡を刻み込みながらめり込んでゆくッ!
「びゃぁウブッブッブッブッブッブッブッ!?」
「”スピン・・・ブロウ”ォォォォッ!」
~ドドドドドドドドッ! ヒュウゥゥゥゥゥ~
「ブッビャーバァアァァァァアアアアア!?」
N:どこぞのゴミ収集車に、ブッ飛んで行きそうな断末魔にも等しい声を挙げながら、クソ豚は錐揉み回転をしながら城壁を飛び越し、さらにその彼方へと消えて行った・・・。
・・・一方、綺麗な勝利を収めたボスはというと・・・
フォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!
スゲーッ! スゲーッ! マホーッスゲーッ!
N:・・・と、殴り飛ばした右手を見つめつつ、一見寡黙そうな表情で物思いに耽っている渋い姿・・・と思いきや、よく見ると他人が見た瞬間、確実に引きそうな程のニヤついた笑顔を浮かべていたのであった・・・。
不粋極まりない心の声を叫びながら・・・シマラナイ・・・。
る・・・ルセェッ!
リアルに「螺○丸」並みの威力を持った技だって分かったんだ! ハメ外すくらい喜んでもいいだろッ!?
N:・・・この街でやること全てを終わらせてからでも、遅くはないと思うが?
る・・・と言いたいが、まぁ・・・一理あるか・・・。
好きなことは、一番最後に味わいたい質だしな・・。
・・・なら、今んとこ最重要人物っぽい彼女には、もうチョイ休んでもらった後・・・この町の事を色々喋って貰うとするか・・・
N:そう思ったボスは、木の木陰にもたれ掛けさせている<彼女>と呼ぶ男の傍へと行き、「スキャン」で再確認したのであった・・・。
~ウィィ~ン、ピピピピピ!~
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〈スキャン結果〉
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名前:カルカ・ディシード
年齢:15歳
性別:女性
職業:元マケット領主令嬢(長女、第四子)
属性:無
<レベル:16>
HP:125/125(VIT:+9)
(タンパク質過多、偏った食事内容であると推測。
軽度の”ビタミン欠乏症”に陥っている模様)
MP:100/100
DE:0
<罪数、罪状>
窃盗罪:21回 軽度
不法侵入:86回 常習ないし重度
危険度=”E−”クラス(近所の悪ガキレベル)
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さっ、こういった”ご都合主義”って奴は、どこまで続くのかな・・・?
読んでくださり、ありがとうございますッ!
(宜しければ、誤字脱字の報告をお願いします・・・)
※<注> この回の”一番下”を見ていた人は、”見て見ぬ振り”をしてくださいね・・・(汗)