1/4
藤原之歌
無花果:
・秋の季語。
・花無しとは名乗るものの、実の中に小さな花を沢山咲かせるそうです。
・調べると色々面白かったり。
「藤原や、ああ藤原や、藤原や」
藤原妹紅は戦慄した。季語は何だとか、人の名前を大々的に詠うなとか、そんな事にではなく。弾幕勝負の最中に遠い目をして自分を見下している蓬莱山輝夜に、その遥か後ろで笑っている月に。
お互いに残っているのはラストスペルのみ。幾度となく見た景色だ。藤原妹紅は勝てない。分かり切っている決着に、それでも彼女は挑み続けた。
「無花果の花や、いつかは咲かむ」
藤原妹紅は土の上に転び空を仰いだ。