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ヒーローズカースト  作者: 明智
11/15

乙女の力は……?

 紘太郎は冴えない顔をしながら、学校の帰り道を背を丸くしてとぼとぼと歩いている途中であった。アトランティスのミッションも手伝いをした日からというもの、それ以来ミッションは一度も受けていない。バングルの整備不良と言えば聞こえは良いが、彼のスーツは故障したのだ。

 出力最大はもとより長くは持たない。それを十分以上も使用し続けた結果である。肉体、スーツともに酷使した。

 新調した脚部強化。性能に期待し過ぎたせいか、激しく損傷し修理に出している。翌日には修理が完了し、普段通りの生活に戻る。

 紘太郎はこれから暇な残り時間をどうすればいいか大体頭の中で計画していた。帰って買い物に行って、それからご飯を作り、食べてバラエティー番組でも見て、寝付けば最高なのだがつい最近、紘太郎に新たな行動が増えた。

 トレーニングもそのうちの一つなのだが、もう一つ。するべきことがある。

 それは――。

 簡単な手伝いなのだが、周りから見れば大変羨ましがられることだ。アトランティスの性格を直す練習。紘太郎も見て分かるほどに、これは単なるデートではないかと思い始めている。

 彼自身そんな気は全く無い。彼女は立派な尊敬できる先輩だ。そんな彼女の手伝いが出来るのは正直喜ばしいが、四六時中彼女と話しているとどこにでもいるカップルのそれにしか見えない。

 ついには二人は深い仲なんじゃないかと、噂を(ささや)かれるようになってしまった。嫌でも注目をあつめてしまうカップリングに学園はこの噂でもちきりだ。

 忍が慎也に任せていた人を助けるダークヒーローの噂もこの、規模の大きい噂の前になす術もなく飲み込まれていた。

 忍本人はあまり気にはしておらず、お前だけでも世話が焼けるのに、他も奴も手伝える余裕なんてねぇよ。と、口角を上げ悪者よろしくの笑顔をしながら言い切られた。

 今日も、アトランティスの相手と噂の火消しに、バングル云々のせいでめっきり疲れてしまった。

 身体的と精神的の両面で怠さを感じながらも、歩き続けていると見たことがある人影が遠目だが判別できた。

 あれは、徳一郎。

 ミッションを受けているとしたらなんら珍しいことではないが、彼は放課後特に今日の曇り空から察するに、トレーニングルームでみっちり身体をいじめぬいていると思っていたが、紘太郎の予想はどうやら外れたらしい。

 しかも、誰かと言い争っているようだ。温厚な彼が誰かに対して、怒号に近い言葉を言っている。尋常ではない空気を感じ取った紘太郎は徐々に進む歩を速め、彼に近づく。 

「おい、どうしたんだよ?」

 彼の肩に手を当て、叫んでいた相手を見てみるとそこには華奢な女の子が下を俯きながら徳一郎の前で小さくなっている。

 涙で潤む瞳、黒ずんでいるスーツのジャージ。彼女の後ろで煙を上げている車、電柱にぶつかってしまったようだ。栗色の髪はツインテールでまとめられ、一切紘太郎の方を向かない。小さく震えている。

「紘太郎、どうして?」

「帰る途中で、お前の怒鳴り声が聞こえたから。気になって来たんだ。お前が珍しいな、怒るなんてしかも女の子に」

「あぁ……、気にしないでくれ。俺とこいつの問題だから」

「だからって、そんなに怒ることじゃないだろ? 事情があるのは重々分かってる。だけど落ち着いた方がいいって」

「ごめん。俺もちょっと熱くなって。ごめん、(あい)

 藍と呼ばれた彼女はコクリと頷く。

「まずは、なんでこんな状況になったんだ? それにあの車はえっと、藍ちゃんのミッション中に?」

「俺が説明する。こいつのスーツは腕力、脚力強化のスーツなんだ。違法駐車の車を片付けようとしてこの有様」

 一体どうしてこうなったのかは、割愛されたが大体の事は把握できた。どうして車が壊れるまでに至ったかは本人に訊いてみないと分からない。

「脚部とか腕力を強化したとしても、ここまでならないだろ普通。藍ちゃんのスーツは見るからにD級だし、スーツの故障か?」

「いや、そうじゃないんだ。正確に言うなら、藍の場合はC級に近いD級なんだ。それでほとんどのポイントは俺がどんなに言っても、その強化に使ったんだ」

「そうなのか? それで二人の関係は?」

 紘太郎以外の二人は顔を見合わさせて、彼に関係を話し出す。

「俺と藍は幼馴染なんだ。幼稚園も、小学生、中学生、高校生まで一緒なんだ。生まれた病院も。こいつは昔から人に迷惑かけて、大変だったんだ。今になってもそれが直らなくて」

 彼女と徳一郎は昔からの幼馴染で、生まれた病院も同じでベットも隣。小、中、高と同じ学校に進学して彼と一緒に大体の人生を過ごしていた。

 名前は、雲母(きらら)(あい)。身長は一五〇センチ、栗色のツインテールが特徴的で紘太郎とはまだ口をきいていない。

 脚部、腕力に全てのポイントを費やし徳一郎の話を聞く限りこういった事故をたびたび起こしているようだ。スーツの姿は紘太郎と同じくジャージ姿で、徳一郎いわくC級に近いD級らしい。

「ほら藍、車を片付ける前に依頼主に謝りに行くよ」

「分かった。でも、わざとじゃないの。それだけは信じて」

 初めて聞いた彼女の声は、可愛らしくどこかのアニメに出てきてもおかしくないと思えるほどだった。

「わざとだったら大事だよ。取り敢えず、生徒会には俺が説明しておくから。多分、ポイントはまた引かれるけど、しょうがない。ここの片づけは生徒会に任せておこう」

「うん」

「生徒会には俺が連絡する。徳、藍ちゃん。依頼主に謝ってきな」

「ありがとう、紘太郎!」

 彼と彼女は急いで依頼主の元に向かっていった。

「さて、どうしたものか……」

 コホンと咳払いをして、紘太郎は携帯を取り出して忍に連絡を入れる。

「んだよ、こっちは今ゲーム中なんだよ! で、なんか用か?」

 忍についさっきまで目の前で起きていたことをありのままに話した。彼女は終始面倒くさそうに、ゲームをプレイしたまま聞いていた。

「それで、どうして私に連絡するんだ? 生憎、力仕事は嫌いでね」

「生徒会に頼んでくれませんか? 忍さんに頼んだならきっと上手く立ち回ってくれるかなって。お礼に美味しいお菓子買いますから!」

「お前、私はただの便利屋じゃないからな。ったく、分かった。烏森にそのことを話してみる。きっと適当な奴を派遣すんだろ」

「ありがとうございます」

 

 通話を切って、ポケットにしまう。そして煙を上げている車に近づいてみる。フロント部分が完全に壊れており、これではもう動くことはないだろう。

 電柱の被害はそれほどに酷くなく、何事もなかったようにただ立っている。ミッションの内容を確認してみると、違法駐車の撤去と書かれている。

 どういった経緯で車が大破してしまったのか、理解に苦しむが彼女の性格は徳一郎に聞いた通り、やり過ぎてしまうらしい。

 それも一度だけではなく、二度三度と繰り返していた。彼女は力系統の強化にポイントを使ってきた。決して悪いことではないが、いかんせんスーツに振り回されているような気がしてならない。

 危険だと理解していたら、制御をするのがセオリーなのだがどうしてそうしないのだろうかと紘太郎は顎に手を当て考えていた。

 ポイントはかかってしまうが、しかしそれも些細なポイントだ。恐らく五百ポイントもあれば装備できるだろう。

「紘太郎くん?」

 不意に名を呼ばれた。振り向くと、アトランティスと縫千花がこの状況を不審に思いながら立っていた。

「先輩! ってことは先輩方が?」

「うん。烏森くんに頼まれたから、瀧子ちゃんと一緒に来たの」

「それで……相馬くん。この状況を説明してくれるかしら? 事前にミッション受注者を確認したんだけど、雲母藍ちゃんね?」

 縫千花がデバイスで、ミッションの受注画面を紘太郎に見せながら尋ねる。

「はい。俺はたまたま通りかかって、徳……いや、葉羽徳一郎がそこにいて。俺も彼に説明してくれました。違法駐車を撤去しようとして、こうなったみたいです」

「なる、ほどね。こうなっているのは聞いていたけど。分かったわ。アトラちゃん、この車をどかしてくれる?」

「分かった。紘太郎くんも瀧子ちゃんもちょっと離れてて」

 アトランティスの指示に従って、二人は少し距離を開ける。彼女は祈りを捧げるように変身し、光の中から現れた。

「縫千花先輩、どうしてアトランティス先輩が?」

「まぁ見てなさい」

 両手を創り出した水で車を包み込み、水の膜で車を持ち上げる。

「すげぇ、どうやって?」

「水の中は一種の無重力状態。それでたまには重たい物を持ち上げるのよ。火災現場では、ビルの天井とかが転落してくるから。それようね。さぁ後は私の出番ね」

 続けて縫千花が変身し、鞭で電柱や車を元に戻す。どうやら彼女のスーツの性能は無機物も直すことが出来るようだ。

「はい終わり。事後報告は私がしておくからアトラちゃんは噂の彼さんと一緒に帰ってもいいわよ?」

 フフフと冗談交じりに、色っぽく笑う。

「もう! そんなんじゃないよ!」

 アトランティスが両手を上げて、彼女に詰め寄って顔を赤くしながら必死に否定している。まさか生徒会まで噂が広がっているとは。と紘太郎も恥ずかしくなってきた。

「じゃお二人さん、仲良くするのよ」

 手を上げて、最後まで彼女をからかいながら縫千花はその場から立ち去った。

 ほぼ同時に依頼主に謝りに行っていた徳一郎と藍が帰ってくる。俯く彼女を見て察するにこっぴどく叱られたようだ。

「で、どうだった?」

「怒られたよ。そこまでやる必要はないって。頭下げて許してもらったけどね。藍も、これに懲りて俺の忠告を聞いてくれ」

「聞いてるよ……」

 小さく呟く。紘太郎も徳一郎も聞き逃した単語を、アトランティスだけは聞き逃すことは無かった。

「ねぇ、雲母さん! ちょっと私とお買い物しない?」

「え!?」

「いいから、紘太郎くんはその子と一緒にどっかに言ってて! 大丈夫、この子は私が何とかするから」

「そういうことだったら、分かりました。徳、行くか」

「え、大丈夫なのか?」

「大丈夫、あの人はなんてたってS級だから」

 アトランティスが藍の手を引き、紘太郎は徳一郎の肩に手を当てて背中を押すようにそれぞれ歩き出す。


*****


「それで、藍ちゃんはどうして徳一郎くんの忠告を聞かないの?」

 鴇デパートの四階。この階の一角はカフェになっており、大猛学園の女子生徒からの人気を誇る。今日も多くの人がいる中、日ごろの疲れを癒しに来たり、他愛のない会話を楽しんだり、自分たちの恋の話を和気あいあいと話している。

 彼女らもチョコレートパフェを頼み、向かい合っていた。

「えっと、分かってるんですけど。なんていうか」

「理由があるんでしょ?」

 縦に首を振り、頷く。やっぱりかとアトランティスはほっと胸を撫で下ろし、そこから一転し高揚した気分で話を切り出す。

 コホンと咳払いし、彼女の核心を突く。

「ずばり、藍ちゃんは徳一郎くんのことが好きなんでしょ?」

 一気に顔が赤くなり、藍はテーブルに勢いよく顔面を打ち付けた。

「フフ、やっぱりね。忠告を聞かない理由もそこにあるんでしょ? 良かったら私に話してくれない? 女の子同士で。ね?」

 アトランティスは幼馴染の徳一郎ですら、聞き出せなかった事をいとも簡単に引き出した。好きと言う感情があったからこそ、互いに分かり合えるものがあったのかもしれない。

 だからこそ、藍は彼女に心を開いた。

 オレンジジュースを一口飲み、気持ちが落ち着いたところで藍は心の奥に隠していた言葉を吐き出す。

「……小学生の頃、高学年にとっくんがイジメられてたんです。私と一緒にいるのが気に入らないって言われて殴られて、私が助けに入っていじめっ子をやっつけたんです。泣きながら大丈夫って言い張るとっくんを見て、私が守ってあげなきゃって思ったんです」

「だから腕力とかを強化したのね。男の子って無茶しちゃうから、私たち女の子が守ってあげなきゃね。想いは伝えた?」

「いやいや! 無理ですよ。近すぎるから無理だって言われそうで。……怖いんです。先輩もいるんですか、好きな人?」

「いるよ。今も昔も。でも、あっちは全然気づいてないの。私、男運が無くって。気付いて欲しいけど、恥ずかしいの。ネガティブになったりするし、彼が他の女の子と話しているところを見ると、ちょっとだけ妬けちゃうの。だって私と話している時より楽しそうに見えるのよ? 悔しいような、辛いような、悲しいような。最終的には結局私なんて、って思うけど別の日になって笑顔を向けられるとまだ大丈夫だって思えて。きっと誰かを好きになるってことは、同時にその人が怖くてしょうがなくなるんだよね」

 誰かに恋い焦がれる自分を思い浮かべて、馬鹿だなとか思ったり分かっているが誰かを好きになって後悔はしたくない。

 これが彼女の考えだった。

「すっきりした?」

 にっこりと笑いアトランティスは藍に訊く。

「はい。ありが――」


「きゃぁあぁああああああ!!」

 藍の言葉を遮るように下の階から女性の叫び声が聞こえる。いち早く反応した彼女らはホールに視線を向けると、銃を持った男が二人。屈強そうな男は散弾銃、もう一人の細身の男は自動拳銃だろうか。ここから確認できるのはこれが精一杯だった。

 男たちの背負っているバックから、一万円札が何枚も落ちてきている。

「先輩、緊急ミッションの受注画面に銀行強盗の確保が」

「あの人たちね。ここは私がやるしか……」

 そう、でも彼女のスーツは戦闘用ではない。だがこの場で戦えるのは彼女しかいないのだ。どうあっても見過ごすわけにはいかない。

 迷わずアトランティスはミッションを受注し、様子を伺うが一階に取り残された少数の人たちは人質にされている。作戦を立てるしかない。

 水で撃ち出すことで制圧できることは恐らく可能だろう。しかし、水を撃ち出す前に銃弾を発砲されては無傷では済まない。彼女の性能は防弾の適正は最低ランク。一応、弾は通さないが散弾銃や自動拳銃を至近距離で撃たれるものなら想像したくないことになる。

 外を確認するために腰を低くし、窓際に近づくと多くの野次馬と警察、学生ヒーローも集まってきている。

 今すぐにでも突入してきそうだったが、この緊迫した場面。そうやすやすとは事を運ばせてくれない。

「どうしよう……これじゃ何もできない」

「私が、気を引きます」

「ダメよ! 貴方に何かあったらどうするの?」

「でも、ここで何かしないと犯人の思う壺です。ここで動けるのは私たちしかいないんですよ? 誰かが犠牲になってでも確保しないと」

「そんなこと言わないで。犠牲になるって……正義は誰かを犠牲にするために有るんじゃないのよ? 誰も傷つかさせない。ちょっと危ない賭けだけど、作戦があるの」

 耳打ちをし、アトランティスが立てた作戦を伝えた。

「でもそれって」

「大丈夫。私を信じて貴方の力も信じて。行くよ藍ちゃん!」

「はい!」


「んだお前……?」 

 散弾銃を持った犯人が前から歩いてくる一人の少女に目が止まった。制服姿で、黒い髪の気弱そうな女の子。

 両手を上げている。抵抗する意思はないように見える。警戒を解くことはなく、銃を容赦なく構えて狙いを定めた。

 肩で息をし、人を殺す重圧に耐えながら銃口はぶれることなくただ彼女の身体を捉えていた。

「止まれ。でないと撃つぞ。こっちは本気だからな!」 

「――っ変身!」

 アトランティスは変身した瞬間に男は構わず発砲。飛び散る弾丸、前方に水の厚い壁を創り出しすぐさま圧縮。水の壁に弾丸がぶつかった瞬間に威力は貫通しようと暴れ出す。彼女は持てる力を絞り出して勢いを殺す。

 完全に貫通することなく弾は止まる。 

「なっ――!?」

 もう一人の犯人が自動拳銃から弾丸を放とうとするが、二階から飛び降りた藍の奇襲で銃を叩き落される。

「もう一人だって!? くそ!」

 細身の男が抵抗する間もなく変身した藍の強力な拳が犯人の下腹部に食い込む。衝撃は全身を駆け抜けて行って、犯人は沈黙。

 残り一人、相手は散弾銃を持っている。油断はできない。

「このくそが! 死ね!!」

 標的を藍に変えて、弾を排莢して次弾装填(リロード)。中折れ式の散弾銃、次弾装填には少しばかり時間がかかる。

 薬莢を詰め終わる前にしかけたのはアトランティス。圧縮した水を撃ち出し、男の屈強そうな身体に当て、よろめかせる。藍はすかさず散弾銃を蹴り飛ばし、反撃を封じた。

「ぐぅう!」

 左足を軸に蹴り上げた右足を素早く戻し、身体を捻じりくるりと回りながら右足の(かかと)で男の右脇腹を砕く。

「うごぉお!?」

 膝を着き、口から吐瀉物を吐き出す。これにて解決のはずだった。

「どうして、立てるの!」

 服の下には防弾チョッキ。これで衝撃を和らげていたようだ。

「離れて藍ちゃん!!」

 犯人はナイフを取り出して呆気にとられている彼女を斬りつけようとするが、助けようとアトランティスが消防車の放水のように水を放つ。

 激流に押されて、犯人は壁に激突する。

 今度こそ、確保に成功した。

「終わった……」

 彼女が呆けていると、アトランティスが彼女に抱きついて来た。

「怖かったでしょ? ごめんね」

「大丈夫です。先輩、私、とっくんに想いを伝えてみようと思います」

「本当に!? どうしていきなり」

「後悔はしたくないんです。勇気を振り絞って、行ってみます。あっ、来ましたよ。先輩の好きな人も」

「大丈夫ですか、アトランティス先輩!」

 紘太郎が警察の後に続いて入ってきた。アトランティスの肩を掴み、どこにも怪我をしていないか確認する。

「大丈夫だよ、紘太郎くん」

 二人は同時に彼らに視線を向けた。

「大丈夫か藍? 怪我してないか?」

「ねぇ、私とっくんの言うこと素直に聞くよ」

「どうしたんだよ、びっくりするなぁ。それにその呼び方はみんなの前で呼ぶなよ。はっ、恥ずかしいだろ?」

「……大好きだよとっくん。ずっとずっと!」

「へ!? ちょっと、何言ってんだよ!」

 顔を赤くして、目を必死に逸らすがこの想いの言葉はしっかりと徳一郎に届いた。

 これが乙女の力なのだ。

これが恋する乙女の力!

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