ゾンビニ! 五話
日が登る頃には自衛隊の工兵部隊がやって来て、コンビニの駐車場に非常用のフェンスを張り巡らせ、入り口部分に仮設ゲートを設置し、とりあえず営業はできる状態にしてくれた。もしかしたら有給休暇でも取れるかなと密かに期待していた聡は一つも嬉しくなかったが、店長はとても喜んでいる。
その間他の隊員は屍体をトラックに積み、近くの公園に何度も往復して運んでいった。屍体は少数ならば駐車場の端に積み上げておけば清掃局が定期的に火葬場に運び、処理してくれるのだが(心情的なものなのか、利権的なものなのかは聡にはわからないが、そうしておかないと変に騒ぎ立てる団体がいるのだ)、何百もの屍体はさすがに処理しきれないので、公園に穴を掘って焼却するようだ。しばらくこの周辺は臭くてかなわんだろうなあと聡はうんざりした。
商品の搬入を終えた豪と金城ミコトが、配送センターに帰ろうと車に乗り込むのを、聡は入り口近くで見ていた。そして豪がスマートフォンで何処かに電話を掛けて、はじめは普通にしゃべっていたものの、なにやら通話相手と言い争いをはじめたようだ。時々金城もそのスマートフォンを豪から受け取って通話に加わっていた。
長い間通話した後で、金城が怒った様子でトラックから降りてきて店内のトイレを使い、帰り際に不満げな様子で聡に話しかけて来た。
「ったく、上の連中の頭の固さには参るわ。せっかくこのゾンビ発生の解決方法を提案してあげているのに、お前らは何様だ、そんなのは自衛隊に任せとけって。自衛隊が自由に動けないから私たちで解決しちゃおうって言ってんのに」
「え、金城さん、解決方法なんてわかるんっすか?」
「まあね。実際汚染地域に足を踏み入れてみて、ようやくゾンビ発生の原因に確信を持てたわ。原因がわかれば対処方法は自ずと導きだされるものよ」
金城ミコトはにっこりと微笑んだ。さすがはアイドル、思わずみとれてしまうほど魅力的な微笑みだ。しかし聡にはその可愛い笑顔になぜか不安を感じた。
「ねえ、あなた。世界を救うヒーローになる気はない? お金は出ないけど」