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新しいダンジョン作り(強化&改築)

「やることはこれしかないよな!」


 ――ダンジョンの直接強化。


 投資の効果が出る前にダンジョンを改築したり、強化する。

 直接投資に近いものだった。


 それはすぐに効果が出る。


 それだけに慎重に選択する必要がある。

 この成功と失敗が、ダンジョン経営に直で影響を与えるからだ。

 失敗すると、上級パーティにボコボコにされて終わるわけだ。

 ストレートな戦力増強ともいえるものだった。


 次の直接強化のポイントを考えるとき。

 伝崎は経営者として、このような基準を念頭に置いていた。


 1 何に使うか。

 2 なぜ使うか。

 3 どんな効果があるか。

 4 冒険者の反応を見て、次にどう生かすか。


 この4つのポイントをしっかりおさえれば、失敗しても次に生かせる。

 これらは経営でも生かせる考え方だが、普通に買い物するときにも使える考え方だった。


 いわゆる。


『PDCAサイクル』


 Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)


 この四つの流れを繰り返すことで、業務を継続的に改善していくことができる。

 品質管理に使われている基本的な考え方だが、経営や業務改善にも使えるものだった。


 一部ではすでに時代遅れの考えと言われているが、実際には超有名企業がいまだに使っていて、使いようによっては有効だった。


 計画を立てるときに、本当に重要なのは情報収集だった。

 PDCAサイクルがよく失敗するのは、計画(Plan)の時点で間違っている場合。

 達成不可能、状況に即してない、ということがある。


 その問題点を解決するために、「OODAループ」というものがある。


 見る(Observe)

 分かる(Orient)

 決める(Decide)

 動く(Act)


 先に状況を見て、わかってから、決めて、動くというものだ。

 徹底的に観察して、情報収集を先にすることを重視している。

 そこから決断するというもの。


 アメリカ空軍の大佐が考えたものだけに、柔軟かつ素早い判断が求められる戦場でよく使われる考え方だ。

 ダンジョン経営は、経営と戦場の要素を二つとも兼ね備えている。


 この二つの考え方を応用する必要があった。


 より本格的に経営を進めていく上で、この二つの考え方を伝崎は意識的に応用することにした。

 経営の創立期は柔軟性が求められるから、無意識レベルでそれをやることはあっても、実際の場面ではあてはまらないことが多い。


 今は、よりこの二つの考え方を堅実に実行できる。

 手堅い経営手腕を発揮できるだけの状況になってきていた。


 経営にはいくつかの局面というものが存在しており、創成期、発展期、安定期、衰退期でやるべきことが違ったのである。

 今、発展期に入っており、伝崎は自分の考えを早変わりさせていた。


 応用できるものは積極的に応用していくべき。

 ただし、その考え方にとらわれて失敗してしまうようでは意味がなかったが。


 伝崎は洞窟の壁を黒板のようにして、二つの考え方を示して書き上げていた。


「という考え方があってだな」


 妖精のオッサンと獣人キキと軍曹が座って聞いていた。

 その三人の中で、妖精のオッサンが片手をあげて起立する。


「つまり、あれかい? リサイクル的な」


「ちがう」


「なら、あれかい? リサイタル的な」


「ち、が、う」


 ――伝わってねぇ。


 いや、だから、うーんと説明しようとしたが。

 伝わろうが伝わらなかろうが、試しに実行実践あるのみ。

 形になれば見えてくるだろう。


 獣人のキキが手をあげたので、伝崎は先生っぽく指名すると彼女は立ち上がって話し始める。


「2番目の考え方は戦いとかに似てると思った。よく見てやらないとダメだから」


「キキ、お前は賢いなー! わかってるわかってる。2番目のOODAループって考え方は空軍の大佐が戦場で使うために考えたからな」


 伝崎はキキに近づいていくと、よくできましたとひたすら頭をなでてやる。

 キキは嬉しそうに目をつぶって、ちょっとくすぐったそうにしていた。

 しまいには彼女を持ち上げて、シンデレラのようにぐるぐると回転させていた。


「お前となら心中してもいいぞ!」


 伝崎はあくまでもこのダンジョン経営という観点で、そう言ったのだが。

 獣人キキは、顔を真っ赤にしながら別の意味で解釈しているかのように、恥ずかしそうに言うのだった。

 獣耳まで赤くして。


「デンザキ、、、言い過ぎ」




「やっぱ、なかなかいないよな」


 洞窟への夜闇の帰り道、伝崎はすこし疲れた様子で独り言を漏らす。


 情報を集めるために王都に行って上級パーティを探したが、なかなかいなかった。

 下級パーティはそこらにいるが、上級パーティはレアなのだろう。

 上級パーティは難関ダンジョンに潜っていることが多く、王都近くにはゆっくりと滞在してないみたいだった。


 エリカ・ビクトムにもお願いして、彼女のダンジョンで上級パーティの戦いぶりを見せてもらうとしたが、2、3日来ないこともあるそうで今日は見当たらなかった。

 さっきの二つの考え方を元にするなら、もっと情報収集をしたいところだが。


 調べている間に、3月15日の朝から夜になっていた。

 それでも、ただの洞窟(もとい進化の洞窟)にまったくパーティが来る気配がなかった。

 ダンジョン評価の調整期間は、もしかしたらもうすこし続くかもしれない。


 好都合だ。

 今の間にダンジョンを作り替えていこう。


 上級パーティの情報がちゃんと収集できていなくても、先に強化をしておく必要がある。

 来てから強化しているようでは、まったく間に合わない。

 ダンジョンをひたすら攻略されてから、はい、やっとわかったでは遅かった。


 そうなったら、財宝もすべて奪われてしまうだろう。

 やはり、思うのは。


 ――あくまでも考え方は考え方に過ぎず、実際にできるとは限らない。


 その場で生きた決断を下すことができるのが優秀な経営者だと伝崎は考えていた。


 サンプルはある。

 今は大弓士ライン・ハートを上級冒険者の基準にして、戦略を組み立てるのがセオリーとして正しいだろう。

 一を聞いて十を知る、という言葉があるように、ライン・ハート戦が多くのことを物語っていた。

 一を聞いて十を知るどころか、一を聞いて百を知らなければダメだ。


 それが経営。それが戦略。


 ――彼から読み解く。


 情報を充分に集められるときは、そうすればいい。

 でも、そうじゃない場面では、少ない情報から答えを導き出せる分析力を要求された。


 ――彼を知り、己を知ればなんとやらだが。


 彼を知るということは、サンプルを分析して基準にするとして。

 己を知るということは、自分のダンジョンを十全に調べるということでもあり。


 ダンジョンの強化ポイントを探るとしても、改めて洞窟内を見て回りたいと思う。

 冒険者が来る気配がないので、その間にやれることをやる。


 どんなダンジョンを作るべきなのか。

 その理想の形を探し出す。




・伝崎真、謎の学園○○シミュレーションを始める


 俺の名前は伝崎真。二十代後半だ。


 おっと、今住んでいるところは学園寮ではなく、ダンジョンだ。

 そのダンジョン内を見て回ると、アンデットモンスターがやけに整列して常時訓練してるじゃないか。


 ダンジョン内はすごい手狭になっていて、真ん中の財宝に圧迫されるように部隊も壁際に追いやられそうな雰囲気があるというか。

 改めて外に出て、ダンジョンの入り口から狭い一本道をすーっと抜けていくと、広場があって、そこに攻撃部隊が一極集中しているわけで。


 最初の一本道の通路は、二人一緒に通れるのがやっとという狭さだ。

 ダンジョンマスターのお仕事で、このダンジョンをどうやって改革するのかを考えないといけなくて。

 この一斉攻撃をより生かす構造を考えるとして。


 広場を見てみると。

 小悪魔リリンがスケルトン部隊と音頭をとって、踊っている様子が見て取れた。

 彼女のピンク色の地毛は、そんじょそこらじゃお目に掛かれな。


「伝崎様も一緒に踊りませんデスかー?」


 幼馴染ではない。

 魔王の副官がダンジョンで戦ってくれているということに感謝しかない。


「ガメちゃん……そこだよ」


 獣人キキがゴーレムの肩の上に乗って、あふれた宝の山を真ん中に集めようと指示を出して頑張っている。

 彼女は獣人奴隷として売られていて、それを買って仲間になってもらったが。


 決して幼馴染ではない。


 このダンジョンに幼馴染という属性を持つ存在はいなかった。


 ダンジョンを強化・改築するにしても、ダンジョンの性質を深く理解する必要がある。

 これからどうするのかの参考材料として、仲間に聞き取りをしたいと思っていた。


「あれは……」


 獣人キキから、美しい蒼色のアウラが立ち上っている。

 その輝きたるや目を見張るものがあり、ゴーレムの肩の上辺りだけがそんじょそこらの絶景よりも美しいではないか。


 やっぱり、キキがすごい目立ってる。


 アウラの輝きが人一倍あって、どこ見ててもキキに目が行く。

 すごいオーラを放つ有名人みたいな雰囲気がばりばりあるというか。

 やっぱ輝きが違うし、彼女が気になって仕方がない。

 髪の毛も真っ白になってしまってるし。


 しかし、今までちゃんと話してこなかったなと。

 妙な距離感を維持してたというべきだろうか。


 時間があるし、じっくり話してみるか。

 見えてくるものがあるだろう。


 彼女を校舎裏ならぬ洞窟裏(ダンジョンの外の洞窟の裏の森辺り)に呼び出した。

 二人きりの状況を作ったのである。

 ただし、妖精のオッサンと少女はポケットの中にいた。


「キキ、なんかしてほしいことあるか?」


 そう問いかけると、キキはうつむき加減にすこしうなづく。


「うん……」


 彼女の真っ白になった髪を見下ろしていた。

 たぶん、あんまり洗ってないと思うが、驚くぐらいのキューティクルというか、さらっさらのさらっさらで白く綺麗だった。

 単なる白髪のそれとは違う、つやがあった。


 キキはうなづいたきり黙っていた。


 察しろということだと思うけれど、何をしてほしいというのだろう。

 ここで察することができれば、好感度ならぬ友好度が上がる。


 キキは上目遣いで、ちょっと申し訳なさそうにちらちら見上げてきた。


 1 もう一度聞く

 2 なでてやる

 3 怒ってダンジョンに戻る


『2 なでてやる』


 がしがしとキキの頭をなでてやる。

 キキは嬉しそうに猫耳をぺたんとさせて目をつぶっていた。


 好感度が3上がったような気がする。

 なでるのはタダだから、いくらしてよかった。


 なで終えると、もう一度聞いてみる。


「キキ、欲しいものあるか?」


「……ほしいものは」


 キキは上目遣いで、頭をなでてほしそうにしている。

 なでられるの好きだなと思いつつ、今度は優しめに頭をなでてやる。

 キキは照れくさそうに両拳を握って、頭をなでられていた。


 好感度が3上がったような気がする。


 キキの猫耳がぺたんとなったり、きゅっと立ったりする。

 ザ・猫耳という感じで頭の上に耳がついていた。


 妙に気になって、あえて聞いてみる。


「その耳、触っていいか?」


 キキはあきれた様子だが、まんざらでもない感じで言う。


「……仕方ない」


 その無防備な猫耳を差し向けるように、頭を突き出してきた。

 これはもう一生に一度の猫耳、ケモノライフのようなもので遠慮なく触るしかなかった。

 ぱっと両手で触ると、猫耳の裏側の毛に手が沈み込むようになる。

 ふわりとした心地があって、それをすこし動かすと。


「くふふふ、もうダメ!」


 キキが思い切り両手を突き出して、猫耳を触っている手を払われる。

 好感度が1下がったような気がした。


 キキはかしこまった様子で言う。


「今日のデンザキ、なんか変」


「ああ、なんつーか改めて交流したいなと思ってな」


 ぐぅー、とキキの腹が突然鳴って、彼女は恥ずかしそうに腹を両手でおさえると背中を向けた。

 腹が減っては戦はできぬ、というだろう。

 生理現象だから何も悪いことではないと思いつつ提案する。


「食いたいものがあったら食わしてやるぞ」


 その提案にキキはうつむき加減に黙っていた。

 いつも頑張ってるから何でも食わしてやるよ、という言葉をかけると。

 キキは顔を真っ赤にしながら正直に白状した。


「肉……食べたい」


「ああ、獣人だから案外と肉食なんだな」


 猫耳だから雑食っぽいが、元は肉食っぽいしな。

 肉は肉でも色々あるし、より詳しく聞いてみる。


「どんな肉食いたい?」


「リックル鳥の骨付き肉」


「いいぞ! 今から買ってくる」


 王都で素早くリックル鳥の骨付き肉料理(時価、一個1500G前後)を買い集めていく。

 30個(値切って3万G)ぐらいで買ってきて、袋をぱんぱんに詰めながら持ち帰った。


 所持金は1億0583万9432Gになった。


 洞窟の入り口の側で宴を開くようにして、獣人キキは謎の草エプロン姿で待っていた。

 丸太のイスに、鍋があって、キャンプ場みたいな場所ができていた。


 リックル鳥の骨付き肉をキキに渡すと、お嫁さんのように丸太の机に並べていく。

 俺はセシルズナイフを使って、食べやすいサイズにリックル鳥をわけていった。


「いただきます」


 両手を合わせる。


 先にキキに食べるように手の平を差し向けるが。

 キキはまるで人前でがっついて食べるのははしたないと言いたげに最初は遠慮していた。

 意志に反してぐーぐーと腹が鳴るので、我慢の限界に達したのか食い始めた。

 最初はついばむような食い方だったが、徐々に獣人らしく食らいついていく。


 口に運ぶたびに頬を押さえて、幸せそうなのなんのって。

 こんな表情をするのかと。


 キキは手ごろな骨付き肉を差し出してきた。


「デンザキも食べて」


「ああ、ありがたくもらうわ」


 リックル鳥の肉を口の中に運ぶと、それはステーキのような歯ごたえがあって、味付けもシンプルながら丁度よく辛みが聞いていて、噛んでいくと口の中に溶けていく。


「うまいっ。これいけるな」


 後ろから参戦するように、妖精のオッサンも黒騎士軍曹もフルアーマーで参加してきた。

 わいわいがやがやと、みんなで食事をとっていた。

 久しぶりの食卓は満足の極みだった。


 みんなの信頼度・好感度が5上がったような気がする。


 20個くらいのリックル鳥の骨付き肉がまだあった。

 結構な物量で、丸太の机の上に山積になっていた。


 さて、どうしようか。


 1 無理やり食う。

 2 おすそ分けする。

 3 捨てる。


 腹はパンパンだし、おすそ分け先なんて思いつかない。

 すると、キキがリックル鳥の骨付き肉を両手で抱えて、洞窟内にひとつひとつ運び入れていく。


「ああ、キキ」


「これはまた食べるときに食糧保存庫に入れるの」


 キキは案外と蓄えたりするタイプなんだなと思った。

 そういう性格があるとは今まで知らなかった。

 意外な一面。


 この子、しっかりした獣人のお嫁さんになりそう。


 骨付き肉を一緒に運び終えて、洞窟の外の入り口の前で片づけをしていると、ひとつのことに気づく。

 キャンプ場のような作りになっているのに、火が一切なかった。

 どこからともなく出てきた鍋の下にも、火類の跡すらなかった。


 神妙な面持ちになって、一緒に作業するキキに聞く。


「嫌だったら答えなくてもいいけど、今でも火とかは怖いか?」


 キキは丸太の台を拭きながら答える。


「うん、苦手」


「そっかそっか」


「苦手だけど、今は動けるから」


 じわっとあふれ出る感情のようなものがあった。

 温かい気持ちが胸に満たされる感じだった。


 丸太の台を拭く彼女の後姿を見ながら声をかける。


「キキ、お前は本当によく頑張ってくれてるな。ありがとうな」


 キキの頭にそっと手をおいて、またなでる。

 その真っ白になった髪といい、彼女が犠牲にしたものがどれほどのものか感じ入る。

 この時間が永遠に続くものではないと、生命ある者ならばいつか訪れるであろう終わりが。


 いやいやいや、何のゲームだと自分にツッコミを入れつつ。

 本来の俺らしく彼女に頭を下げるつもりで感謝しながら言う。


「人間なんていつか死ぬ。獣人も同じだよな。そんな中でどれだけ生きたーって感じになるかだけだよな。キキは生きてるよ。最高に生きてる」


 キキは振り返らない。

 振り返らずに、そっと言う。


「……私、もっと頑張る」


 健気すぎる。

 このまま放っておいたら、死んでしまいそうなぐらいに命を使い果たしそうだった。

 アウラが強く輝いているということは、それだけ命も燃え上がらせているのかもしれない。


 その真っ白になったキキの頭を包み込むように、自然と抱きしめていた。


「もう十分頑張ってる。これ以上、頑張りすぎなくていいからな」


 キキは幸せそうに目を細めて、まろやかな表情で見上げてきて、うなづく。


「……うん」


 後ろから小悪魔リリンのなんとかソワカという呪いのごとき詠唱が聞こえてきた。

 キキの好感度が3上がり、小悪魔リリンの好感度が5下がったような気がする。


「はぁー、食った食った」


 洞窟の外の森で、ふくらんだ腹をおさえながら座っていると。

 獣人キキが思い出したように歩み寄ってくる。


「デンザキ……」


「ん?」


「スキ」


 キキの方から両腕を広げて抱きついてきて、とっさに片腕で抱きしめ返す。


「ああ、俺も好きだ。ぐぐ」


 小悪魔リリンが離れろとばかりに後ろから首を締め上げてきた。

 キキの好感度が5上がり、小悪魔リリンの好感度が5下がったような気がする。


 キキの顔を見つめながら、その古い火傷の痕を見つめて。

 まじまじと見つめてくる彼女の目を見返しながら、前に約束したことを思い出していた。

 ここまで健気に働いてくれる彼女の約束は守りたい。


 あふれ出そうになる涙をこらえながら言う。


「お母さん、絶対に見つけてやる」


「……ありがと」


 キキは全幅の信頼を現すかのように両手を合わせるようにして、また抱きついてきた。


 後ろで小悪魔リリンのすすり泣く声が聞こえてきた。

 キキの信頼度が5アップし、リリンの憎悪が5和らいだ気がする。


 洞窟内に戻って、ダンジョン計画を頭の中で立てつつ。

 キキに改めて質問する。


「火が苦手なんだよな。逆に水とかって、どう?」


「水、好き」


「ああ、どの感じが?」


「冷やせるもん」


 冷やせるって、かなり火傷対策的な話だなと思った。

 火の被害にあって水で冷やして助かったのかなという想像しか湧かなかったが。


 キキは両手をぐるぐると空振りするようにして言う。


「それにじゃぶじゃぶ楽しい」


「ああ、水が本当に好きなんだな。時間あるし、川に泳ぎに行くか? なんかあったような気がする」


 キキは驚いた顔で猫耳を立てて聞き返してくる。


「いいの?」


「ああ、本当にキキは頑張ってるからな」


 正直、何でも叶えてやりたいぐらいだった。

 川にちょっと泳ぎに行くなんて、まったく全然問題ないだろう。


「……うれし」


 キキと一緒に川に泳ぎに行った。


「こうやって泳ぐんだよ」


「こう?」


「そうだよ、こうやってな」


 充実した休日だった。


 キキの好感度が5上がったような気がする。

 たぶん、今は好感度がマックスなんじゃないか。

 おそらく、たぶん、きっとそんな感じだ。


 これなら、きっとうまくいく。


 肩の上にいた妖精のオッサンにツッコミを入れられる。


「雑な恋愛シミュレーション始めるなよぉお。

 横で見てるオイさんが恥ずかしいレベルだわ!」


 ダンジョン強化に何の意味があるのか。

 それは伝崎しか知らなかった。




 伝崎は洞窟内の広場で両腕を広げたり、掲げたりしている。


「ここは、こうで、こうするのもありだな」


 手でカメラを作るようにして、人差し指と親指を組み合わせたりしている。


 ダンジョンの内容がギルド新聞に載った以上は、不意打ちができなくなった。

 広場の出入り口付近で、がっちりガードを固められると攻撃が通りづらいわけで。


「こうするしかないよな」


 ひとつのアイディアが湧いてきていた。


 柔軟な思考が新しいアイディアをもたらすことがある。

 時には、こだわりを捨てるというのもありだろう。

 すべての選択肢の中から、最適な攻撃を加えられるシミュレーションを何度も脳内で繰り返す。


 そうすると、おのずと見えてくることがある。


「一斉攻撃を効果的に加えたいわけだ」


 伝崎はダンジョン内を見つめながら独り言を繰り返す。


「そうすると、自然とこういう構造がいいよな」


 妖精のオッサンがポケットからにょきりと顔を出して言う。


「オイさんにも、頭の中を教えてくれよぉお」


「まぁまぁ、完成したらわかるから」


 伝崎はなだめるようにそう言ってから、またダンジョン内に向かい合う。

 キキという最高のエースを生かして、上級パーティを一気に叩き潰す構造。


「よっし、こう拡大だ!」


 うおおお、と言いながら、すさまじい切れ味のセシルズナイフで一気に壁を切り取り、地面を切り掘りし始めた。

 通常なら何日も掛かるであろう工事が、威力が上がりすぎたセシルズナイフのおかげでウソのように進んでいった。

 ダンジョンの石の壁を豆腐のように切り取って改築していけるのである。

 ゴーレムの手を借りながら切り取った岩石をどけたりする。


 急ピッチでダンジョンを改築し始めた。




『伝崎の手帳(楽しい買い物強化一覧)』


 改築を進めつつ、買い物に出かけることにした。

 所持金は1億0583万9432G。


 モンスターが欲しい。モンスターが。

 まだアイリスの店は改築中で、新しいモンスターは入ってない様子。

 最下級のモンスターをあえて今、補充したいというのはないので。



・一般的なモンスター価格


 ゾンビ 1万5000G

 スケルトン 2万8000G

 サイクロプス 100万G

 ゴーレム 120万G


 キキの部隊を強化してもいい頃だろう。

 今、補充すると、ちゃんと指揮をしてくれそうだ。

 中央の部隊がすごい手薄なので、なおさら必要。


 20体のゴーレムを一気に買った。

 1400万G(交渉スキルで1体70万Gまで値切った)のお金を使った。


 大金をかけて、中央に分厚い岩壁のごとき部隊を作り出す。



・目をつけている本たち


 ゼニアス王国式剣術書(15万G)

 短剣から長剣に至るまでその扱い方を指南した書物。上級騎士ゼニアスが「これからの人」のために親切に解説したもの。


 白黒統率指南書(28万G)

 作者不詳。統率スキルを身につけるためのアウラの扱いから部隊指揮の実践に至るまで。


 レレの槍術論(31万G)

 今や槍術の大家となったレレが三十代のときに自分のために記した書物。

 あまりにも短文で書かれているせいで、逆に難解だといわれている。

 その奥深い内容に、とある槍使いは三日間口を聞けなくなったとか。


 トリタニの水魔法書(77万G)

 水大魔術師トリタニ先生が陽気な語り口調で水魔法を解説。

 ヘイヘイヘイ、水魔法はたのっしぃよーという文句から始まる。

 トリタニは先の大戦の英雄の一人であり、共和国軍兵士撃破数268人を誇る。

 主に水のナイフで展開する近接戦闘から水のトラップ性など、陽気に敵を葬る水魔法が記されている。


 ラノーイラの魅惑魔法書(121万G)

 主に人を魅惑するための下級魔法から中級魔法が記されている。

 妖艶な魅惑魔法を得意としたラノーイラという女魔術師が人を虜にする魔法をまとめた書物と言われているが、

 その実、娼婦のごとき術であり、かなりの評判の悪さと云われている。

 第二級の禁書に指定されているとか。ちなみにこの本は偽勇者パーティ一行の一人が読んだとされている。



 ラノーイラの魅惑魔法書は面白そうだが、魅惑魔法を使いこなしているイメージがキキや小悪魔リリンにはなかった。


 古本屋に入ると真っ先に手に取ったのは。


「キキ、水が好きって言ってたしな」


 トリタニの水魔法書(77万G)だった。

 成長を期待して投資している店なので、あえて値切らずに購入することにした。

 向き不向きを見て、適切な強化をするというのがベストだ。



・異世界商店


『防刃チョッキ(101万G)』

 前に試したけど、現代技術だけあって相当の防御力。


『水中ゴーグル(8万G)』

 こっちだとすごい高い。


「両方とも買いだ!」


 『防刃チョッキ(101万G)』と『水中ゴーグル(8万G)』を購入した。

 新しいダンジョンに間違いなく使えると見ていた。



・興味深い人材一覧


 黒サイクロプス(403万G)

 LV49

 筋力A+

 耐久A

 器用E

 敏捷D

 知力E+

 魔力E

 魅力D

 通常価格の四倍以上。サイクロプスは通常は黄色い肌のようだが、このサイクロプスは黒肌のレアモンスターだった。

 いまだに大通りのど真ん中で、鉄の塊を振るう大道芸を披露している。

 二メートルはゆうに越える体格の持ち主だった。


 ダークエルフLV74

 筋力D+

 耐久C+

 器用A

 敏捷A+

 知力B+

 魔力AA+

 魅力A-。

 杖B-。

 詠唱A+。窃盗B++。暗視B。魅了A-。砂漠徒歩C。痺れ打ちA+。高速詠唱A。


 値段『3455万G』


「ダークエルフは保留かな。和を乱しそうだしな」


 確かに上級冒険者を自力でひとり相手にできそうな能力がある。

 痺れ打ちとか面白そうだけど、それだけに足を引っ張られたら全滅のリスクがある。


 ダークエルフは慎重に保留にした。


 代わりに黒サイクロプス(値切って325万G)を買うことにした。

 指揮官ができるほどの知力がないので、キキの部隊に編入する。

 その耐久の高さ、特殊兵として最前衛を務めてもらおう。



 ・速攻で王都で調べた種の新情報メモ


 筋力の種(時価1万1000G)

 耐久の種(時価1万2000G)

 敏捷の種(時価1万5000G)


「敏捷の種だ!」


 敏捷の種を100個(111万Gに値切った)買った。

 銀ちゃんに与えて、敏捷を伸ばしまくろう。

 やはり、一番の長所を伸ばすに限る。



・ダンジョンマスターギルドの「中級メニュー」


 罠製作(費用150万G、取得時間5日)

 迷宮透視(費用60万G、取得時間1日)

 道具の心得(費用90万G、取得時間3日)

 調教(費用85万G、取得時間4日)

 煙玉(費用50万G、取得時間1日)



 罠を製作するのも面白そうだけど、今からはじめてどこまで行けるかって問題がある。

 金かけてもいいから罠は買ったほうが早いしな。

 調教とか銀ちゃん育てるのに使えそう。


「調教はどういう意味があるんだ?」


 ギルドの訓練士に聞くと、すぐに答えてくれた。


「モンスターを鍛えるときにメニューを与えたりできるようになるし、ステータス向上が早くなったりするさ」


「調教を教えてくれ」


 調教(費用85万G、取得時間4日)の講習を受け始めた。

 4日後には確実に習得できるだろう。

 気合で根詰めれば、2日で習得できる。

 夜に合間を見つけては、寝不足覚悟で根詰めて習い始めた。



・エリカに習えるスキル


 罠設置A+、罠解除C-、交渉B、洞察B、迷宮透視B、道具の心得C、堅牢B、煙玉B-、脅威への耐性A-、闘争本能C、見切りB+、的確な一撃C、防腐処理B、呪詛A、洞窟の使者C。


 面白そうなスキルがいくつかあるが、これからの課題を考慮するなら。


「堅牢、教えてくれ」


「わかったわよ」


 仲間に堅牢を使って防御を上げて、がっちがちに守りたい感じだ。

 最初に習った時は習得できなかったが、一回で習得できないなら二回、二回で無理なら三回と。

 しつこいぐらいに何度も挑んで、その場で習得した。

 

 堅牢E取得。



・罠師に聞いたダンジョン専用罠の設置標準価格

(or自分で設置した場合の既製品価格or自分で製作して設置した場合の原材料)


 針山 11万G

(既製品9万2200G、罠設置Dで設置成功率80パーセント。原材料5万G、罠製作EEで製作成功率80パーセント)


 霧 100万G

(既製品89万G、罠設置B-で設置成功率80パーセント。原材料64万G、罠製作C+で製作成功率80パーセント)


 毒沼 12万G

(既製品8万G、罠設置DD+で設置成功率80パーセント。原材料6万G、罠製作D-で製作成功率80パーセント)


 炎穴 30万G

(既製品24万G、罠設置C++で設置成功率80パーセント。原材料19万G、罠製作CCで製作成功率80パーセント)


 槍山 20万G

(既製品14万G、罠設置C+で設置成功率80パーセント。原材料12万G、罠製作D+で製作成功率80パーセント)


 武器吸引 1200万G

(既製品981万G、罠設置A+で設置成功率80パーセント。原材料742万G、罠製作AAで製作成功率80パーセント)


 超吸引 1億G

(既製品8320万G、罠設置AAで設置成功率80パーセント。原材料3200万G、罠製作SS+で製作成功率80パーセント)


 スローモーション 23億G

(既製品16億3200万G、罠設置S+で設置成功率80パーセント。原材料4億2131万G、罠製作SSSで製作成功率80パーセント)



 モンスターダンジョンを作るわけで、罠を使わないと決めていた。

 だが、頭を柔らかく使ったのならば。


「武器吸引を頼みたい!」


 はじめての罠の導入を決めた。

 強力な魔法磁石みたいなものを指定の場所に導入してくれるらしい。

 冒険者の武器を吸引して、攻撃力を奪うことができるという。


 交渉スキルで値下げして、武器吸引(912万G)で購入した。


 オンオフの手持ちボタンをもらえることになった。

 これは新ダンジョンに明らかに使えるものだった。



 ・お金を使ったもの一覧


 20体のゴーレム(1400万G。1体70万Gまで値切った)

 トリタニの水魔法書(77万G)

 『防刃チョッキ(101万G)』

 『水中ゴーグル(8万G)』

 黒サイクロプス(値切って325万G)

 敏捷の種を100個(111万Gに値切った)

 調教(費用85万G)

 武器吸引(値切って912万G)


 合計で約3019万Gだった。

 すべての買い物を終えた時点で所持金を見てみる。


 所持金は1億0583万9432G。

 →7564万4252Gになった。


 一気に金を使った。


 これで財宝額を減らして、冒険者の質も落とすことができる。

 ダンジョンの戦力をはね上がらせて、丁度良いぐらいにバランスしてくれると経営も順調に行く。

 絶対に調整はこれから必要になって来るだろうけれど、これで一回試してみよう。




 3月16日、晩までダンジョンで改築作業を行い、購入品を導入していく。


「できた……」


 新ダンジョンを急ピッチで完成させた。


 洞窟のビフォー。


挿絵(By みてみん)





 洞窟のアフター。


挿絵(By みてみん)


 以前は狭かったダンジョンの広場。

 なんということでしょう。

 今は、二倍近くの広がりを見せています。


 以前は窮屈だった広場の出入り口。

 なんということでしょう。

 今は小さなホール型になっています。

 近くの川から運んできた水で満たされています。


 逆ひょうたん型ダンジョンになっていた。


「これはえぐい……」


 自分で作っておいていうのもなんだが、えぐい。

 そのえぐさというものは、洞窟の外から入って体験してみるとわかる。

 長かった一本道が短くなり、入っていくとすぐに小さな水池のような場所に太ももぐらいまで浸かる。


 手からセシルズナイフを取り出そうとすると、両方から武器吸引の怪しい光が出て、いきなり手から浮かび上がり持っていかれる。


「うおっ」


 右側の壁にセシルズナイフが張り付いていた。

 武器を取られたところで、目の前にがっちがちのゴーレム軍団が両手をついて待っている。

 物言わぬ黒サイクロプスがなぜか怒りの表情で鉄塊を持ち上げて振り下ろそうとしていた。

 さらに足元の水から水中ゴーグルをつけたキキが顔を出して、電撃魔法の詠唱を始めていた。


 伝崎は両手を焦ったように振る。


「待て待て待て! これはあくまでも演習だって」


 もし、こんな水浸しの状況で電撃魔法を撃たれたら、通常の人間は感電死確実だろう。

 しかも、小さなホール型になっているから、4、5人が一緒に入れる

 そこで武器を奪われて、水に浸かって、電撃を流されて身動きできなくなっている状態で、ただの洞窟のメンバーから一斉攻撃を加えられるわけだ。

 黒サイクロプスとゴーレムが殴り倒してきたり、後ろのゴーレムが岩石を投げてきたり、両脇の渋い部隊の槍攻撃に、キキと伝崎による二人組の強力な襲撃などなど。


 中央のゴーレムが三層構造になっていて、宝の山まで抜けないぐらいに固い陣形を作っているのも忘れてはいけない。


 伝崎は手持ちボタンを押して武器吸引の罠を停止し、セシルズナイフを拾い上げながら言う。


「強いダンジョンになった」


 より一斉攻撃が決まり続けるダンジョンになった。


 昇任式を開いた。

 キキにトリタニの水魔法書(77万G)を渡して、防刃チョッキ(101万G)を着せながら。


「キキ、貴様を少佐に任じる! ゴーレム軍団の指揮を一任するだけじゃない! 全軍の指揮をお前に任せる!」


 キキは右腕を胸の前にかしこまったようにやって、はは、と頭を下げてみせた。

 やぁあーーというゾンビ軍団の声と、ぐーーというゴーレムの声が混じるようにして上がっていた。


 キキは近接戦闘をすることになるわけで、防刃チョッキを着てもらうことで防御力を上げてもらった。

 現代技術がどれだけ通用するのかわからないが、これで死ぬ確率を下げられるだろう。


 そして、何よりもトリタニの水魔法書だ。


 この魔法書で水魔法を覚えていけば、最初の水がある新たなポイントで敵を翻弄できるようになるだろう。

 水トラップを作る方法とかも書かれているから、これから水魔法を覚えていくのが楽しみだった。


 しかし、それにしてもだ。

 宝の山の後ろに積み上げた岩石の高さが、天井を貫くんじゃないかというぐらいに高く高くなっていた。

 うまくまとめ上げているが、そこだけ上へと突き抜けていきそうだった。

 壁の改築作業で切り取った岩石が余ってしまっていた。


 ゴーレムの岩投げに使うとしても、何百個もあるとさすがに邪魔だった。

 外に捨てに行くか、と考えていたら。


 おおおん、という地鳴りのような音が聞こえてくる。

 何の雄叫びかと思えば、服の中から出ていた。

 銀ちゃんを取り出してみると、その丸っこい腹から聞こえてくる音だった。


「あ、飯をあんまりやってなかったな」


 銀ちゃんは腕に抱きついてきて、「ぴきゃる」と抗議するように声をあげる。

 確か、岩石を食うとか言っていたので。

 改築工事のせいで余った岩石の山に連れていくと、むしゃむしゃと食べ始める。

 野菜みたいにむしゃむしゃと噛み砕いて、飲み込んでいくのである。


 もう、それは岩石が腐るほど余っていたので、銀ちゃんの飯には困らないように見えた。


 敏捷の種も岩石に混ぜるように毎日3個ずつやるようにした。

 やり過ぎもよくないらしいから、3個というラインを守る。

 敏捷の種は、紫色のひょうたんみたいな実でとてつもなくまずそうだが、銀ちゃんはそれに食らいつくと美味しそうに食べていくのである。

 その足がぴかりと一瞬光ったように見えた。


 新ダンジョンが産声を上げる中で、銀ちゃんは食事を終えると大きくなった広場をすごい勢いで走っていた。

 白狼ヤザンもその後ろを追いつけ追い越せで走っていた。

 いつかこの銀竜の子もこのダンジョンの未来を担うことになるわけで、それが楽しみだった。




 新ダンジョンは完成した。

 あとは、冒険者を待つだけという状況。


 3月17日になっても、冒険者きゃくが来なかった。

 3月18日になっても、まったく来なかった。

 暇すぎて講習に打ち込み、調教スキルをわずか二日で取得してしまうぐらいだった。


 3月19日の朝、妖精のオッサンが痺れを切らしたように聞いてくる。


「伝崎ぃ、このまま冒険者が来なかったら、どうするんだよぉ?」


 冒険者に警戒されているのか。

 それとも評価の調整期間が長引いているのか。

 はたまた、冒険者たちは準備を整えているのか。


 冒険者がなかなか来る気配がないこの奇妙な状況下。


 よくある客が来ない閑古鳥状態。

 まさに経営者の考えが問われる場面。


 伝崎はあごに手をあてて話し始める。


「そうだな……俺だったら」


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