ダンジョン発展させ放題の可能性(伝崎の手帳)
ダンジョン経営において、要点は二つしかない。
戦力増強と財宝強化だ。
財宝は充実しすぎるぐらいに充実してきた。
改めて見てみるとわかってくる。
財宝
ミラクリスタル(3000万G)
雷々魔の矢(時価3942万G)
ガラクタの機械兵(???G)
所持金1億2586万9432G。
(3月14日に来たのは騒ぎもあって、大弓士パーティだけだった。
そのパーティの中で倒した二人の武器防具を売り、約111万Gの収入があった)
これらを合計したものがいわゆる「資産」だった。
いくらでもダンジョン経営に生かすことができる。
洞窟の変化にもその様子は見て取れた。
以前の洞窟。
ゴーレム2体がやられて、財宝額が急激に増えたことで以下のように変わった。
現在の洞窟。
真ん中の宝の山がすごいあふれている。
ちゃんと積み上げないと、部隊の足元にまで金貨が転がってくるぐらいだ。
ダンジョンのキャパシティが財宝で圧迫されるぐらいになってきた。
これからダンジョンを発展させるにしても、その前に改めてメンバーの状況をさらっと見てみる。
・ただの洞窟の部隊情報。
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第一軽槍歩兵団(部下平均28LV)
指揮官、金髪軍曹タロウ(星潜竜の長槍、ゲイボルグの赤い槍、崖赤の大盾、黒騎士のフルアーマー)
7匹のゾンビ。装備(白竜鉄の槍、白竜鉄の鎧、白竜鉄の盾)
軍曹の指揮により、正確無比な白き槍攻撃を吐き出す。
ほぼすべてのゾンビがゾンビネスに進化していた。
返事も「うぁーー」から、「はいぃー」に変わってきている。
みんな賢そうなゾンビネスになっていた。
ひとりひとりが隊長クラスを務められそうな可能性が。
訓練度は100。
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第二骸骨槍兵団(平均26LV)
指揮官、リリン。
10匹のスケルトン。装備(白竜鉄の槍、白竜鉄の盾)
リリンが適当に命令すると、白い長槍を誰も出遅れずに突き出す。
カンカラと嬉しそうにスケルトンたちが連携している。
スケルトネスになる条件は35レベルだから、今も進化するスケルトンはいない。
訓練度は100になった。
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第三白弓兵団(平均22LV)
指揮官、白ゴブリン。
10匹のゾンビ。装備(白竜鉄の弓、白竜鉄の矢)
白ゴブリンが指示を出すと、ゾンビたちは狙った一点に矢を当てる。
半数以上はゾンビネスになっているのだろう。
ふらついた弓捌きが、ちょっと的確になっているように思う。
弓力も女々しい感じから、ちょっと男子っぽくなってきたかもしれない。
訓練度は100になった。
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第四魔法師団(平均1LV)
指揮官、キキ(ノモンの黒魔術書、クテカ山の竜の赤布)
1匹のゴーレム。装備(無し。装備不能らしい)
キキの指示に合わせて、ゴーレムがダンスしている!
岩を投げたり、曲芸までし始めていた。
敵はまだ倒せてないから平均レベルは上がっていない。
訓練度は100。マックスレベルで上がっていた。
――――――――――――――――――
他の人材たちは前見た時よりも、それほど変化していない。
しかし、この短期間で特に成長を見せた獣人キキの様子は目が離せなかった。
彼女のアウラだけが洞窟内で際立って輝いていた。
今までの戦いに参加したおかげもあるが、ズケ狩りでもレベルが上がっていた。
キキのステータス(獣人LV21→29)
筋力D-
耐久DD
器用C++
敏捷BB
知力B+
魔力AA+(覚醒!)
魅力C+
詠唱C++
省略術式B+(覚醒取得!)
第一級の人材に化けてしまっていた。魔法使いなのに前衛ができる天才ならぬ奇才。
彼女を主力に据えよう。というよりも主力に違いない。
これからの洞窟は彼女次第と言ってもいい。
今、1体のゴーレムを率いているという状況だが、覚醒した今はそろそろ追加を考えてもいい頃だろう。
より多くのモンスターを指揮させれば火力増大。
絶対に面白くなってくる。
キーパーソンである軍曹について改めて見てみる。
軍曹のステータス(ゾンビネスLV43)
筋力B
耐久B-
器用D-
敏捷C
知力CC
魔力D++
魅力C+
槍EE+ → D-
罠解除C-
今はレベルを上げさせていないから、ステータスはほとんど変わっていない。
強いて言えば、槍スキルがちょっと上がってきたというぐらいだろう。
45レベルになるまでに知力を二段階上げて、魅力を一段階上げさえすればゾンビロードの条件を満たせる。
夢のゾンビロードに進化して、「ゾンビ化」スキルを取得できるだろう。
果てしない数のゾンビ軍団を夢見ることができる。
そして、忘れてはいけない銀ちゃんという新しい存在。
銀ちゃんのステータス(銀竜LV1)
筋力C
耐久C++
器用E
敏捷A-
知力D
魔力C
魅力C
まさに期待の新星だ。
今まで徹底的に「質」を追究してきた洞窟。
だからこそ、メンバーをあえて補充せずに戦ってきた。
質が上がってきた今、新たな展開が可能になってきている。
まさに現在、洞窟をどのように発展させるかを問われていたのである。
3月15日の朝。
すべての後始末がなんだかんだ終わった今日。
「ひぃー、やっと終わったか」
伝崎は洞窟の中央で背を伸ばしながら、宝の山の側に座って休んでいた。
いまだに王都は騒ぎの中にあるのか、それっきり冒険者が来る気配はない。
いわゆる評価の激変による調整期間中みたいなものだろう。
ただの洞窟の評価がいきなり変わったわけで、冒険者たちの認識が変わるのに時間が掛かっていると思われる。
一夜明けたぐらいで、すぐに受け入られるものでもないのだろう。
もし、その認識が変わったら、上級パーティが来る可能性もあった。
あくまでもそれは可能性に過ぎなかったが。
上級冒険者で想定するのは、80レベル以上の冒険者。
大弓士ライン・ハートが上級冒険者の基準になるだろう。
86レベルだった。
そのクラスの上級冒険者が、4人とか5人とかでパーティを組んできたら、半端なかった。
1人、そういう冒険者が混じっているパーティを相手にしただけで、あれだけ苦戦を強いられた。
――上級冒険者が5人もいたら、このダンジョンでは勝てない。
上級冒険者を単体で相手にするのと、上級パーティ全体を相手にするのはまた一段違う難しさがあった。
洞窟の中央で宝の山を見上げながら、伝崎は片手で顔を覆う。
「これはもう……」
所持金1億2586万9432G。
かつて、これほど純粋な資金があった状態はない。
シンプルな選択肢が目の前にある。
1 あえて貯める
2 ダンジョンの発展・強化に使う
3 第三の選択肢を探す
妖精のオッサンが金貨の山のてっぺんに座りながら聞いてくる。
「伝崎ぃ、これからどうするんだぁ?」
伝崎はあごに手を当てながら考えてみる。
1番目の「あえて貯める」という選択肢について考えてみよう。
貯めてしまうと、この財宝目当てに上級パーティが殺到してくるかもしれない。
おそらくAランククラスの財宝額で、命賭けていいレベルだからだ。
今の戦力だと全滅するリスクすらあった。
ダンジョン経営をやっていく中でわかってきたことがある。
財宝額の調整が経営のひとつの醍醐味になっているということ。
――貯めすぎてもダメだし、なさすぎてもダメだ。
ダンジョンの戦力と、財宝額をうまくバランスさせること。
現在のダンジョンの戦力で勝てる財宝額にすることで、丁度良い具合の冒険者が来て利益が上がってくるということ。
場合によってはあえて金を使って、財宝額を下げて調整すること。
やってくるパーティの質をコントロールすること。
――まさにそれがダンジョン経営のひとつ。
この世界に来て、ダンジョン経営のシンプルな本質がよりわかってきた。
改めて、あふれるように金貨が盛り上がり、そこらに転がるぐらいになってきた宝の山を見てみる。
前の宝の山の三倍四倍なんてものじゃない。
十倍ぐらいに膨れ上がったそれは、すごい資金力を物語る。
1億2586万9432G。
何度見ても酔いしれる額だ。
1億円の宝くじを当てたらこんな気分になるのかもしれない。
これだけ資金があれば、どれだけの強化ができるだろうか。
考えただけで、浦島太郎状態になりそうだった。
今までカツカツでやってきた分だけ、老人のごとき震えがきてしまう。
常時、体が震えそうな。
伝崎は片手で顔を覆いながら、老人のようなしわがれた声で言う。
「これはもうダンジョン発展させ放題だろ……」
2番目の「ダンジョンの発展・強化に使う」しか考えられなかった。
今は、第三の選択肢をあえて探す必要などなかったのである。
伝崎はいつの間にか洞窟の壁の前に立っていて、小石を片手に持つと描き上げていく。
『上級パーティに勝てるような堅牢なダンジョンを作る』
その描き上げたテーマの文字をどんっと叩いて宣言する。
「これがダンジョン強化の新しいテーマだ!」
伝崎の気合がすごかった。
叩いた壁から風圧が起こり、周りが気圧されるぐらいだった。
その勢いに妖精のオッサンや洞窟のメンバーは、ちょっとだけのけぞっていた。
上級パーティに勝てるダンジョンを作る。
まさに、それこそがAランクダンジョンを作り上げることを意味するだろう。
伝崎は体中に熱気をたぎらせながら、洞窟の入り口方向を見つめて息を荒げて言う。
「この金を使って、ダンジョンを発展させるぞ!」
そのテーマに向かって、手を打つことに決めた。
「決断の前に、必ず情報を集めて確かめる必要があるんだよな」
伝崎は改めて自分の手帳をじっくりと眺める。
情報を集めては、その手帳に記帳していた。
正しい決断をする前には情報を集め、選択肢をあげられるだけあげることが大切。
信長もそうしていたとかで、手帳の情報を確かめるのは大切なことだった。
まさに、ダンジョン発展のための超重要な情報が記されていた。
この機会だ。何にお金を使うのかをじっくりと考えてみる。
妖精のオッサンもじっくりと横で手帳を眺めていた。
王都で調べつつ、手帳に新たな情報も含めて記帳していく。
『伝崎の手帳(強化のための参考一覧)』
・一般的なモンスター価格
ゾンビ 1万5000G
スケルトン 2万8000G
サイクロプス 100万G
ゴーレム 120万G
・目をつけている本たち
ゼニアス王国式剣術書(15万G)
短剣から長剣に至るまでその扱い方を指南した書物。上級騎士ゼニアスが「これからの人」のために親切に解説したもの。
白黒統率指南書(28万G)
作者不詳。統率スキルを身につけるためのアウラの扱いから部隊指揮の実践に至るまで。
レレの槍術論(31万G)
今や槍術の大家となったレレが三十代のときに自分のために記した書物。
あまりにも短文で書かれているせいで、逆に難解だといわれている。
その奥深い内容に、とある槍使いは三日間口を聞けなくなったとか。
トリタニの水魔法書(77万G)
水大魔術師トリタニ先生が陽気な語り口調で水魔法を解説。
ヘイヘイヘイ、水魔法はたのっしぃよーという文句から始まる。
トリタニは先の大戦の英雄の一人であり、共和国軍兵士撃破数268人を誇る。
主に水のナイフで展開する近接戦闘から水のトラップ性など、陽気に敵を葬る水魔法が記されている。
ラノーイラの魅惑魔法書(121万G)
主に人を魅惑するための下級魔法から中級魔法が記されている。
妖艶な魅惑魔法を得意としたラノーイラという女魔術師が人を虜にする魔法をまとめた書物と言われているが、
その実、娼婦のごとき術であり、かなりの評判の悪さと云われている。
第二級の禁書に指定されているとか。ちなみにこの本は偽勇者パーティ一行の一人が読んだとされている。
・異世界商店
『防刃チョッキ(101万G)』
前に試したけど、現代技術だけあって相当の防御力。
『水中ゴーグル(8万G)』NEW
こっちだとすごい高い。
・興味深い人材一覧
黒サイクロプス(403万G)
LV49
筋力A+
耐久A
器用E
敏捷D
知力E+
魔力E
魅力D
通常価格の四倍以上。サイクロプスは通常は黄色い肌のようだが、このサイクロプスは黒肌のレアモンスターだった。
いまだに大通りのど真ん中で、鉄の塊を振るう大道芸を披露している。二メートルはゆうに越える体格の持ち主だった。
ダークエルフLV74
筋力D+
耐久C+
器用A
敏捷A+
知力B+
魔力AA+
魅力A-。
杖B-。
詠唱A+。窃盗B++。暗視B。魅了A-。砂漠徒歩C。痺れ打ちA+。高速詠唱A。
値段『3455万G』
ちょこっとメモ
飼い主を殺しそう。使いこなすのは至難。
今日、改めて見に行くと一旦売れたようだが、なぜかまた店に戻ってきていた。
おそらく飼い主を殺っているに違いない。
モジャ頭の店主の武器防具屋(投資後)
・武器防具の内容。
――――――――――――――――――(棚の境目)
木槍 1500G(攻撃力20)
鉄槍 9500G(攻撃力110)
鋼の槍 1万8000G(攻撃力140)
黒鉄の槍 8万G(攻撃力200)
白鉄の槍 11万G(攻撃力230)
白竜鉄の槍 20万G(攻撃力260)
――――――――――――――――――
皮鎧 2000G(防御力15)
鉄の鎧 8000G(防御力70)
鋼の鎧 1万5000G(防御力110)
黒鉄の鎧 10万G(防御力170)
白鉄の鎧 12万G(防御力(190)
白竜鉄の鎧 25万G(防御力220)
――――――――――――――――――
鉄の盾 7000G(防御力50)
鋼の盾 1万G(防御力80)
騎士の盾 3万G(防御力100)←100が王国騎士団のスタンダード
黒鉄の盾 5万G(防御力120)
白鉄の盾 8万G(防御力150)
白竜鉄の盾 15万G(防御力190)
――――――――――――――――――
木の弓 3000G(攻撃力5)
鉄の弓 6500G(攻撃力70)
鋼の弓 1万2000G(攻撃力110)
黒鉄の弓 5万G(攻撃力140)
白鉄の弓 12万G(攻撃力170)
白竜鉄の弓 15万G(攻撃力190)
木の矢 100本入り1000G(攻撃力追加0)
鉄の矢 100本入り5000G(攻撃力追加15)
鋼の矢 100本入り8500G(攻撃力追加40)
黒鉄の矢 100本入り2万G(攻撃力追加50)
白鉄の矢 100本入り4万G(攻撃力追加60)
白竜鉄の矢 100本入り8万G(攻撃力追加100)
――――――――――――――――――(棚の境目)
・店の片隅のユニークアイテム。
漆黒鉄の大盾 25万G(防御力270)
銀ちゃんこと銀竜の子どもをこれから育てていくために、改めて育成に参考になるメモに目を通す。
鍛錬白書からの写し書きだ。
・ステータスの上げ方。
筋力を上げたければ、重いものを持ち上げてください。
耐久を上げたければ、棒とかで体を叩いてください。
器用を上げたければ、手先の細かい作業をしてください。
敏捷を上げたければ、全力で走りこんでください。
知力を上げたければ、知識を蓄えるだけでなく良く考えてください。
魔力を上げたければ、基本的な魔法を繰り返し打ちましょう。
魅力を上げたければ、着飾ってください。
・食生活について。
食べるものによって、成長や成長限界に好影響を受けるでしょう。
筋力の種と呼ばれているゼネニアスの実を一日三回食べるだけでも筋力の付き方が違います。
耐久の種と呼ばれているソノミアの実でも然りです。
敏捷の種と呼ばれているサシルの実でも然りです。
このように、それぞれの上昇に好影響を与える実が存在するのです。
しかし、こういう種の食べすぎはよくありません。
食べすぎると病気になりますし、他のステータスの成長に悪影響を受けることもあります。
筋力の種ばかり食べている人がいますが、頭の中まで筋肉になっているように見えます。
また、食生活自体に成長限界に影響を与えるものがあります。
肉類を中心に食べれば、筋力の成長限界が上がるといわれています。
穀物類ならば、耐久の成長限界が上がるといわれいます。
野菜類ならば、敏捷の成長限界が上がるといわれています。
正確な影響率については実験中でまだよく分かっていませんが、無視できない影響があることは確かです。
魅力や魔力、知力などは天性のもので、食物などからの影響を受けにくいようです。
それはそうですね。いくら好い物食べたって賢くなったり、美貌を手に入れるのは難しいですから。
一流の戦士になりたい貴方、ちゃんと良質な肉を食べてます?
・速攻で王都で調べた種の新情報メモ
筋力の種(時価1万1000G)
耐久の種(時価1万2000G)
敏捷の種(時価1万5000G)
ざっくり言うとステータス向上の種を食わせながら、鍛えていくとすごいステータスが上がるということ。
かなり、銀ちゃんを鍛える方法論が見えてきた。
あとは、どのステータスを中心に育てて、どんな役割を担ってもらうのかを考える必要があるだろう。
・洞窟が耕している畑情報
現在の食糧生産力 20石(20人の年間食料)
10匹の要員と30万Gを追加するごとに20石生産が増える。
農耕期限は3月末まで。それまでに投資を済ませておくこと。
現在は3月15日なので期限が迫っていた。
・畑強化
アンデッド系モンスターのためのローブ代。
『アンデッド系モンスターが二十四時間耕作が可能になり、一人が二人分の働きをする』
コスト一匹当たり3000G。
肥料導入。
『肥料などを取り入れることによって育つ量は明らかに増えます』
要員十匹。工事期間一週間。コスト45万G。
食料生産量が一,二倍になる。
畜産導入。
『家畜を買い入れることによって生産の幅が広がります』
要員五匹。要員は常時必要。コスト200万G。
食料生産量が一,五倍になる。
灌漑導入。
『水を川から直接引いてくることによって飛躍的な生産量増大を実現します』
要員三十匹。工事期間一ヶ月。コスト750万G。
食料生産量が二倍になる。
・伝崎の食料価格についての計算。
成人の一ヶ月の食費=3万G
成人の一年間(十二ヶ月分)の食費=36万G
一石(成人の十二か月分の食料)の市場価格=36万G
十石を市場で売り捌いたら=360万Gの利益になる。
二十石=720万Gの利益になる。
これもダンジョン強化に繋がるだろうというポイント。
ダンジョンマスター自体がスキルを取得することで仲間の助けになれる。
・ダンジョンマスターギルドで習えるスキル
「初級メニュー」
交渉(費用43万G、取得時間1日)
罠設置(費用140万G、取得時間2日)
罠解除(費用120万G、取得時間3日)
罠探知(費用84万G、取得時間1日)
ダンジョンの評価が上がることで以下のメニューが追加された。
「中級メニュー」追加!
罠製作(費用150万G、取得時間5日)
迷宮透視(費用60万G、取得時間1日)
道具の心得(費用90万G、取得時間3日)
調教(費用85万G、取得時間4日)
煙玉(費用50万G、取得時間1日)
・エリカに習えるスキル
罠設置A+、罠解除C-、交渉B、洞察B、迷宮透視B、道具の心得C、堅牢B、煙玉B-、脅威への耐性A-、闘争本能C、見切りB+、的確な一撃C、防腐処理B、呪詛A、洞窟の使者C。
しまいには罠のメモにも目を通しておく。
・罠師に聞いたダンジョン専用罠の設置標準価格
(or自分で設置した場合の既製品価格or自分で製作して設置した場合の原材料)
針山 11万G
(既製品9万2200G、罠設置Dで設置成功率80パーセント。原材料5万G、罠製作EEで製作成功率80パーセント)
霧 100万G
(既製品89万G、罠設置B-で設置成功率80パーセント。原材料64万G、罠製作C+で製作成功率80パーセント)
毒沼 12万G
(既製品8万G、罠設置DD+で設置成功率80パーセント。原材料6万G、罠製作D-で製作成功率80パーセント)
炎穴 30万G
(既製品24万G、罠設置C++で設置成功率80パーセント。原材料19万G、罠製作CCで製作成功率80パーセント)
槍山 20万G
(既製品14万G、罠設置C+で設置成功率80パーセント。原材料12万G、罠製作D+で製作成功率80パーセント)
武器吸引 1200万G
(既製品981万G、罠設置A+で設置成功率80パーセント。原材料742万G、罠製作AAで製作成功率80パーセント)
超吸引 1億G
(既製品8320万G、罠設置AAで設置成功率80パーセント。原材料3200万G、罠製作SS+で製作成功率80パーセント)
スローモーション 23億G
(既製品16億3200万G、罠設置S+で設置成功率80パーセント。原材料4億2131万G、罠製作SSSで製作成功率80パーセント)
選択肢が数多くある。
資金もたくさんあるから、自由に選ぶことができる。
その中で何を選ぶかで、これからの未来が決まってくる。
できるだけ選択肢をあげられるだけあげたつもりだが。
目的は上級パーティを倒せる堅牢なダンジョンを作ることもそうだが。
最高目標は、99レベルの絶対魔術師ヤナイを倒せるようになるダンジョンを作ること。
これいかにして実現するか。
最大のテーマだった。
だが、その答えはまだ見えていなかった。
今はAランクダンジョンというステップを超えていくことが肝要だろう。
しかし。
何か、忘れていないか。
ズケがいなくなったことで、エリカ・ビクトムに会えるようになった。
それだけではないはず。
そう、肝心なことを忘れていないか。
地下都市の片隅には、相変わらず建物ごと傾いているんじゃないかという小さな店がある。
看板もななめになっていて、黒くすすけている。
中を見てみると、簡素な鉄格子に最下級のモンスターが何匹かいるだけの。
アイリスの店だった。
伝崎は両手をポケットに入れながら、軽い足取りでその中に入る。
「アイリス、またよろしくな!」
店の中に入って、カウンターに近寄ってみるが姿が見えない。
カウンターの裏側までのぞき込むと。
「は、はい……」
元魔女のアイリスがカウンターの下にいて、消え入りそうな声でそう答えるのだった。
目を合わせてくれないところ、全然前と変わっていなかった。
浅緑の魔力を帯びていることがありありとわかる瞳を地面に向けている。
その金色の髪はあまり手入れされていないのか、ちょっとだけぼさっとしている。
彼女は天才的なモンスター商人というか。
よくわからん魔法で、原価ゼロで仕入れができる能力を持っていた。
アイリスの店のモンスターの異常な安さはその能力に支えられていた。
店の中を見て回ると、数体のゾンビとスケルトンが今にも壊れそうなほど錆びついた檻の中でそれぞれの奇声をあげている。
元々安いうえ、そこにギルドの銀色カードで割引を加え、交渉スキルを使うと、この価格である。
ゾンビ 4200G(正規価格1万5000G)
スケルトン 9000G(正規価格2万8000G)
正規価格の三分の一以下である。
新モンスターは入っていなかった。
ズケを完全追放したことで、これからアイリスの店に入り浸れるようになっていた。
資金が潤沢にある今、シンプルに「ダンジョンを強化する」ことが最大のテーマなのだが。
伝崎は真剣な面持ちで夜色のアウラを放ちながら、片手を服の中に突っ込んだ状態で。
「アイリス、話がある……」
ひ、という声を出して怯える彼女に切り出すのだった。
本格経営編だけにダンジョンの発展を