プロローグ 魔法化学とは
一章と二章を交互に読んでいただいても、片方だけを見ても結構ですが。
話の流れに不都合が生じるかもしれません。
少年は、魔法化学高校へ急ぐ。彼が学ぶのは魔法化学。
魔法科学とは、魔法と科学、相容れないはずの二つの原理をシャーリー=ゴスタコフという人物がシャーリー型ビックバン仮説を基にして創り出した論理、魔法科学。
現代科学技術と未解析とされた魔法を応用した技術、魔法科学とは、
元々宇宙が形作られる前は物質と反物質がぶつかり合ってビックバンという大きな爆発を起こしたと言われている、そして、二つの存在の内、実は片一方、つまり我々を形作っている物質は、その反物質とぶつかり合うことで、お互いに潰しあい、食い合って、強かった方、つまり物質が残ったと考えられていた。二つの相反する力の衝突がこの世界を創り出したという。
しかし、シャーリー型ビックバン仮説は違う、物質と反物質はぶつかりう過程で食い合ったのではなくお互いにその力の一部を放出しあい、弾け飛んだのだと定義した。この時、それぞれ散り散りになった物質と反物質は、同じ性質を持つもの、反物質なら反物質、物質なら物質同士で、引付けあい、お互いに大きな宇宙を形作った。
全く異なる法則をもちながら、酷似した世界を創ったとシャーリーは仮説を立てた。
現代の魔法というものは、この反物質の世界が持っているエネルギーによって生み出された事象である。しかし、普通に暮らしてるだけでは、こんなこと気づきようもないし、関係も無い、元々二つの世界は何の接点も持たないはずだったのだから、しかし、性質が違うだけで、全く同じように創られた世界同士に全く接点が無いなどと言えるだろうか?シャーリーは二つの世界を行き来する、扉のようなものを見つけた、それが、ゲート(異次元の扉)そのゲートを介して、反物質の世界からエネルギーを呼び出して、魔法を行使することが出来る。まず、科学者達は身の回りにあるものからゲートを繋いだ、ここにある物体なら向こうの世界にもあるはずなのだ。その物体からエネルギーを取り出すことにした。
しかし、使える事象は微々たる物だった。静電気が起きるとか、火花が散るとか。
どんな物質でも、とりあえずはゲートになりうる反面、保有する質量が小さければ、向こうの世界に存在するそれと同じ存在の持つエネルギーもたかがしれている。
それならば、大きな力を何とかして借りられないかと、科学者達は模索した。
その結果、太陽と太陽系の惑星と、月にも、ゲートを開くための衛星を設置して、反物質世界に存在する同じ惑星から、エネルギーを引き出すという発想にいたった。
その結果、使えるようになったこの事象を、人々は魔法化学と命名した。
誰もが訓練を受ければ魔法科学をを使いこなせる時代。
この少年もまた、魔法科学に夢を抱き、学び舎に急ぐのだった。