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未来は見果てぬ旅路の先  作者: 彩守るせろ
第三節 流転の開放/折翼の少女
139/189

P3-13 霧の朝の音の無キ


 

 水瀬椋が、初めてグラティアード離宮で迎えた朝は濃霧だった。

 ひやりと何かにはじき出されるように、目が覚める。その冷気に惹かれるようになんとなく身を起こしベッドから降りてカーテンを開けば、窓の外はすごいほどに真っ白だった。

 3メートル先にも何があるのか分からないくらいに、深い透明な白色に離宮全体が包まれていた。

 高い場所につくられているここは、かなり遅い時間まで、綺麗に整えられた庭や、高い塀越しに灯り続ける城下の街灯を見渡せた。けれど今、見える景色は昨日とはまるで違う。そもそも、こんなになにもかもが真っ白いと、今が朝でも昼でも夜でもないような、奇妙な感じがした。

 何かこれから起きるような、どこか、わくわくするような感覚におされて椋は窓を開く。

 即座に室内にはひんやりと深い、白く沈む空気が流れ込んできた。


「……うぉー、誰もいない」


 見慣れない景色が、まっしろに塗りこめられている。

 霧に包まれているのがわかるのだから、もう今は、朝と呼んで間違いではない時間なのだろう。しかし窓の下も部屋の外も、人の行き交いどころか、何か動くものの影一つ見えなかった。音も、声もまったく聞こえない、ただ、しんしんと静かに、椋が見えうる景色はすべて真っ白である。

 なんとも不思議な感じがする空間が、広いのか狭いのかわからない見通せなさで広がっていた。

 白く深くひんやり冷たい。心地よいまでの「無」だった。時間はわからない、いつでもないかのように、止まっているかのように、なんとなくだが思えてしまう。

 錯覚した。

 時間がただこのままで止まって、椋も、他も、何の意味も持たないままただ何もないように。


「あれ?」


 椋がそのとき抱いたものは、今日これから彼が起こる/起こすであろう事柄に対する、そこはかとない(おそ)れによるものだったのかもしれない。

 時の流れを見失うほどのただ白の間を、どれほど見続けていたくらいでか。

 不意にゆらりと、目の前を何か黒いものが横切った。無動を一瞬で壊し椋の視線を寄せたそれは、この濃い霧の中でも影として見える程度には、椋に近い位置だった。

 朝であるはずの場には、それまで本当に誰も何も生じないままだった。このレニティアス王国有数の都、そのほぼ中心とも呼べる場所で、朝は未だここに訪れてはいなかった。

 椋は異常には一切気づかないまま、ただ、その目で停滞の中で、うまれたものを追った。


「……ニィ、」


 黒が鳴く声が聞こえた。小さな、いきものの声だった。

 助けを求めるような、必死で痛みを堪えるようなひびきだった。小さな黒い揺らぎを追うように、なぜか、瞬間ぶわりと霧白が濃くなるのを椋は見た。

 明らかに寒さとは違う鳥肌が立った。見る先では黒が小さく鳴きまた動き、その軌跡をなぞるかのごとく、霧は形まで辿れそうに色濃く瞬間で変貌していった。

 今にも霧が、黒を食ってしまいそうな勢いだった。

 ひときわ高く悲痛な鳴き声を小さな黒があげる。けれどその黒以外にはやはり、ただ景色には霧しかない。真っ白に塗り込められ、晴れないまま誰もいない。何もいない。どこにも逃げ場はない――何もかも軋ませるように嗤う男とも女ともつかない響き方がおかしい不気味な声が聞こえ、何を考えるより前に、椋は黒に向かって手を伸ばしていた。

 たすけて。

 音が転がってくるのと、胸元に抉りこむように小さな塊が椋へと向かって飛び込んできたのは、ほぼ同時だった。


「っぐ!?」


 剛速球もかくやの勢いでみぞおちを直撃され、ひしゃげた声が椋の喉から飛び出す。

 呼吸が一瞬本当に止まった。痛みと衝撃にちかちかする視界でそれでもなんとか両手を動かして飛び込んできたものを抱え込むと、指先にぬるりと液体の感覚がする。

 けものの毛皮の感覚ではなく。

 思わず椋は目を見開いた。


「ちょ、」


 声が震える。見下ろした先で、見上げて来たそれと目が合った。

 ぞっとする感覚、鼻腔が拾い上げる鉄の臭いとは裏腹に、その目にはまだ光があった。

 少し、周囲が明るくなる。右の前足から明らかに毛皮でも筋肉ですらない色を見つけて、ついあげそうになった声を椋は口の中でつぶした。

 小さないきものを片腕に、開きっぱなしだった窓を空いたもう一方の手で閉める。にぃ、と小さく鳴くそれを抱えたまま窓に背を向け、指で小さな頭を撫でながら椋はベッドに座った。椋の両手で簡単に収まってしまう小ささのそれは、疲れているのだろうか、椋にされるがままだ。じわりと夜着に赤がにじんで、亜空間バッグをあさる手の速度を椋は早めた。

 ベッドサイドの明かりをつける。明かりの下で見るそれは猫だった。宝石みたいにきれいな紫色の目に、ほぼまっくろな毛並みの、子猫。ひたいには小指の爪くらいの、オパールのような光り方をするふしぎな飾りがついている。

 椋を見上げ、中空で揺れる尻尾の先っぽが白い。触ったら気持ちよさそうなふわふわ具合に、一瞬だけ指先がうずいたがとりあえず抑える。逃げられては何にもならない。たぶんきれいに洗えば手足もまっしろなのだろうが、それらは傷に汚れていて、元の色がよくわからなかった。

 ニィ。もう一声、小さく猫が鳴いた。

 一番ひどいのは右の前足の傷で、傷の中心あたりには多分骨であろう白いものが覗いている。よく探せばもっとあちこち傷だらけなのかもしれない、整えられたまっくろの毛並は、良いのか悪いのか、傷の大体を隠してしまっていた。

 ひとつ、ふたつと道具を出していく椋を、妙におとなしく黒猫は腕の中で紫の目で眺めていた。

 首輪はしていないが、きっとどこかの飼い猫なのだろう。きれいな猫だった。


「よ、っと」


 観察しつつ、椋のメインの思考は出血を続ける足の傷へと向かっている。

 まず防水シートを自分の膝の上に広げ、猫を左手で抱え直し、右前脚の付け根を手で固定した。

 きぅっと痛みを訴える声が上がる、が、無視。出しておいた麻痺の魔術の魔具を発動させ、痛みを消してから、水で傷口を洗い流す。

 この魔具作ってもらったのやっぱり正解だったなと、ぷるぷる震えながら、何とか腕から逃げようと引っ掻いたり鳴いたりうねうねしたりする猫に水をかけながら思った。清潔な水を無限に精製できる、ケチャップの容器に似た形状とやわらかさにしてもらったそれは、ことあるごとに何かとお役立ちの品だったりする。

 続いて創生術の腕輪をはめ、くるりと回して傷に向かい発動させた。

 術式紋が浮かび上がるのを確認して、続いて青と白、代謝の活性化と、免疫機能の賦活化を行うため神霊術の指輪をはめ、とんとん、と親指でそれを叩く。

 窓の外から、音のない光が中に差した。朝だ、と思った。

 きっともうあと少しで、跡形もなくあの深い霧は消えてなくなる。


「ニィイっっ」

「わかったわかった、もう終わるって」


 まるで虐待されているかのような甲高い声で抵抗されさらに爪を立てられる。たかが子猫されど子猫、地味に結構痛い。

 それでも術式紋の消失を見届けるまではなんとか羽交い絞めで安静を維持し、最後のひかり一つが消えた時点で椋は腕の力を抜いた。しゅばっ、なんて擬音がつきそうな勢いで椋から離れて部屋の隅にジャンプした子猫は、治った代わりに椋の服やら腕やらを傷だらけにしていた。

 全身の毛を逆立てて、ふーふー椋を威嚇する黒猫。

 黒の毛並に目立たなくなってはいるもののまだ傷自体は残っているので、できれば包帯のひとつでも巻いてやりたいところ、だが。


「そんなに怒るなって。ほら、もう痛くないだろ?」

「フニィイっ」

「リョウ、何の騒ぎ、」

「ニッ」

「あっ」


 椋が猫に近づこうとしたのと、声とノックと、ドアが開くのと、その隙間にひらりと猫が身を躍らせたのはだいたい同時だった。

 とても右前脚がマヒしているとは思えない、俊敏な動きだった。

 扉をひらいたカリアの足許を抜けていったちいさな闖入者は、驚いて目で追った彼女の目線も多分振り切って、すぐにどこかへ消えてしまったのだろう。もう一度カリアが向けて来た目線は、なんとも状況をはかりかねていた。


「なにしてたの?」

「怪我してたから、治してやったんだけど逃げられた。あと包帯くらいは巻いてやろうと思ってたんだけど、一番でかい傷治しただけでこんなだよ」

「随分派手にやられたのね。あの猫はどうしたの? 拾ってきたの?」

「さっきまで霧がすごかっただろ? つい窓開けて眺めてたら、いきなり俺のとこ飛び込んで来たんだよ」

「霧? ……え、もうこんな時間なの?」

「え?」


 なぜか椋の言葉に怪訝な顔をしたカリアが、懐から引き出した懐中時計の中身を見て愕然と目を見開く。

 つられて自分の時計を椋も見るが、そこに示される時刻は6:30。今朝の朝食の予定時間が確か七時だったから、特にまだ遅いとか驚くような時間でもない、と思う。

 改めて見やった窓の外は、もう霧から朝陽ののぼる朝の光景に完全に切り替わっていた。

 開いたままのドアからは、どこか慌てたような声や足音がばたばたと聞こえてくる。窓越しに見通せる空は爽やかな朝の青色をして、あんなに深い霧に何もかも包まれていたのがウソのような晴天だ。

 しかし椋の目の前の、カリアの表情は晴れなかった。

 何か考え込むように厳しい表情で口許に手を当て、じっと、咎めるような鋭さで、もう片一方の手に載せたままの懐中時計の針を見つめている。


「カリア?」

「霧が、出ていたの?」

「え? ああ、うん。すごい深い奴。3メート……あ、いや、三歩先もはっきり見えない感じだった。カリアは? 見なかったのか?」

「……見てないわ」

「そう」


 後ろ手でドアをパタンと閉めると、また難しい顔でカリアは黙ってしまう。どうやらこの感じを見るに、カリアたちにとっての「霧」は、決して良いものではないようだ。

 空はこんなにただ青いのに。人の行き来もいつの間にか始まって、……なんだろう、少し全体的に落ち着かない?

 窓の外とカリアとを見比べ、椋は訊ねる。


「霧って、あれか? なんか、不吉の予兆みたいなものなのか?」

「不吉の予兆……そうね、一番わかりやすく言いかえれば、そんな言葉になるかしらね」

「どういうこと?」

「リョウ。霧が出ていたとき、あなたと、さっきのあの猫以外に、動いているものはいた? いえ、動けている生き物はいた?」

「いや、何にも。人っ子一人、影も形もなかったよ」

「そう……」


 さらに難しそうな顔をして、カリアは口元に手を当てたまま何やら思案をはじめる。知らない椋には、その内容はさっぱりである。

 しかし真剣そのものの瞳の思考を、中断するのもなんとなく申し訳ない。

 いまさらのように痛み出したひっかき傷に辟易しつつ、青空と晴れないカリアの表情を見比べていると、青とは裏腹の重いため息とともに、再度カリアが口を開いた。


「リョウ、あのね。一言で霧と言っても、二種類あるの。自然現象として発生する霧と、作為的になにかが創り出す、時を惑わすための霧が」

「時を、惑わす霧?」

「外を見て。使用人たちの足取りが少し早すぎる、巡回の騎士たちの、魔術師たちの立ち居振る舞いも少し揺らいでる。たぶん私だけじゃない、この離宮にいる人間はみんな、……もしかしたらあなた以外の、この都の人間全員がそうなのかもしれない。皆、時間をわからなくさせられたの。朝が来ていたことに、とうに時が経っていたことに、まるで気づけなかった」


 極力感情を排して話をしようとしているのだろう。常にもましてカリアの言葉は平板だった。

 だが語尾に、遠くを見やる瞳の金色に、押し殺しきれない怪訝と懸念がにじんでいる。少し苦しげにも見える横顔は、何か、いまではない過去のものを思い返しているのだろうか。

 わからない椋は問うしかなかった。


「カリア。それってどういう」

「もちろん偶然なのかもしれないわ。何でもないのかもしれない。それこそ、私と、ここで働いてる人たち、みんな寝過ごしただけなのかもしれない」


 でも。「こんなとき」に。

 「奇病」が、「神隠し」が、頻発する場で起きた「異常現象」。


「……そんな偶然、がんばって探す方が変、だよな」

「ええ」


 椋の言葉にカリアが頷く。

 思わず眉間にしわが寄る。すっきりしない。今日も今日とて、またしても分からないことが増える。今日もまた「相手」として見据えなければならない病は不透明で不気味で、徐々に、確実に患者たちには「死」が迫る。

 望んで人を呪う「だれか」は、それこそ今もあんなものの内側にいるのだろうか。さっきまで見えていたような、すべて覆い尽くしていた、あんな濃くて何も見えない霧の中で、なにかを暗く望み続けているのか。

 今もまた、止めずに誰かを呪っていたり、消し去ったりしているのだろうか。何のために? 何を考えて、何を欲しがってどこで誰が。

 考える椋は、カリアの目が彼自身へ向いたことに気づかなかった。

 それなら、どうしてあなただけ。

 声にはならずに小さく動いた唇の動きを、椋は見なかった。


「リョウ。ひとつ、確かめさせてもらってもいいかしら」

「ん? なにを」

「その傷、私に治させて」

「え」


 名前を呼ばれて告げられたのは、あまりに唐突の申し出だった。

 椋を見上げるカリアの視線が、怖いくらいにまっすぐで強かった。


「い、いや、いいよ。別にこんなの放っといても、いてっ」

「痛いんじゃない」

「や、あの本当に別になんともないって」

「嫌?」

「いや、っていうか、あーっと、」


 まずい。変な汗が流れるのを感じた。椋だけが自覚していて、なおかつ、できれば誰にも知られたくない、知らせたくもない、知られれば確実に騒ぎになることがバレる。

 椋の中では確定事項、「なにもかわらない」ことでしかないが。

 明らかに反応がおかしい椋に秀麗な眉をひそめながら、カリアは椋に癒しを施そうとした。


「……え?」


 だが。

 術式紋が浮いても、光が消えても、すべてが終わっても浅い傷は治らない。痛みは変わらない。ひっかき傷はすべてそのまま、椋についたままである。

 二度、三度、四度。変わらない光景に、愕然とカリアが目を見開いた。

 どうして。唇を震わせる少女に、重い息を一つ椋は吐き出す。


「何回やっても同じだよ、カリア」


 俺は、治らないよ。

 弾かれたようにカリアが顔を上げた。衝撃に金色の瞳が揺れている。分かり切っていたことながら、やはりこれは「異常」なのだと、彼女の表情で改めて椋は確信してしまった。

 だからこそぐるぐると思考を回す。水瀬椋、おまえはちゃんと嘘をつけるか? これがただの一時的な作為だと信じさせられるか? 自分の傷が魔術で治らないことを、ほぼ確実に病気も治せないだろうことを、椋にとっては「当然」で、この世界では致命的な事実を、ちゃんと伏せられるか?

 自信なんてまるでなかった。嘘は苦手だった。

 苦手を覆うためのハリボテも、まだ、ほとんどできていないような状態だった。


「リョウ」


 気が付いたのは偶然だった。ほんの出来心で、紙でうっかり切ってしまった指を指輪で治してみようとして、魔術の前後で「何も変わらない」ことを知った。

 椋としては、多少がっかりした程度だった。癒されるってどんな感じなんだ、実体験してみたくなかったと言えば嘘になる。例えばまた新しい何かをこれから開発できたとして、自分の体で試せないというのはいろいろと残念でもある。

 でも、その程度だ。

 もともと、椋の知る医学は万能ではなかった。万能でないからこそ、今でも救えないものが多いからこそ、医学は日々進む。常識は刻一刻と変化する。十年前の教科書が間違っている、治療の主流が変わっているなんてザラな世界なのだ。

 しかし。


「どうしてそんなに落ち着いていられるの? あなた、」


 カリアは、というより、ここにいる椋以外の誰も、そうは考えないだろう。

 これが「事実」だと、優しいけれど不器用なこの少女が知ってしまえば何を思うか。椋には想像がつかなかった。


「そんなに慌てなくて大丈夫だって。これ、その、あれだ、ヘイが新しく作った魔具のせいだから、さ。外すのも結構めんどくさいから、ごめん、うん。気持ちだけもらっとくよ」


 我ながらなんとも薄っぺらい声だと、上滑り具合に椋自身が微妙に悲しくなった。

 怪訝だらけの目でじっと見上げてくるカリアに罪悪感を覚えつつ、しかし、椋が言葉を続けないわけにもいかない。笑わないわけにはいかない。


「大丈夫。ホントにただちょっと引っかかれただけだし、舐めときゃ治るよ」

「……わかった」


 明らかに納得していない声で、カリアは手を下ろした。思わずほっと息をついてしまいそうになるのを、何とか椋は飲み込んだ。

 ノックの音が響いた。朝食を知らせるそれに、仕方なさそうにカリアが一つ嘆息する。


「リョウ」

「なに?」


 そして椋に背を向ける。ドアを開き、少し驚いた様子のメイドふたりに、静かに、淡く笑みを向ける。

 金の目が細められた。


「……気を、つけてね」


 たぶん、ぜんぜん誤魔化しきれなかったんだろうな、とは。

 その声と表情をみれば、思わずにはいられない情けない椋なのであった。

 入れ替わりで中に入ってきたふたりのメイドが、手早くテーブルの上に簡単に朝食を準備してくれる。

 驚くべきことに、用意されたのは「和食」だった。丼いっぱいの白米と、湯気を立てるお吸い物、さらには海苔や漬物なんじゃないかと思われる何やら紫や緑のもの、焼き魚や卵焼きらしきものまである。

 ぺこりと揃いの礼をして、準備を終えたメイドたちが去っていく。

 見れば見るほど和食である。なんでだろうと思いながら箸を――そう、箸まで準備されていたのである――取ろうとした瞬間、投げるみたいな声がした。


「なァにが魔具のせい、だ。いつ俺が、ンなとんでもねェもんをテメエに創ってやったよ」


 ただひとり、騙しようもない相手の声。

 朝食が遠くなる気配を感じ、空腹を訴え始めた腹を抱えながら椋はため息をついた。




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