「変ない」
「最近、なんかお腹が変ないんよね。」
ポカンとされた。伝わらなかった。
伝わらないんだ……!!
1人の方言話者より
「変ない」は、方言に対して寛容に予測で会話してくれる相手にさえ伝わらないことがあると知りました。
これで終わりにはしませんよ?
私の言う「変ない」は「変だ」という形容動詞の連体形に「い」をくっつけて形容詞化を図ったものです。
「無い」という意味を全く含まないので、形容動詞「変だ」の語幹に「ない」をくっつけたと説明されてしまうと違和感があります。
私が信じている形容詞の定義は
「自立語で活用があって終止形が「い」で終わる単語」
です。
信じているというのは、業界や研究者によっては異なるようなので、少なくとも私は中学国語で覚えた定義を使っているというお話です。
「自立語で活用がある単語」は動詞、形容詞、形容動詞です。
つまり、動詞や形容動詞が終止形を「い」で終わっているかのように活用語尾をくっつけてしまえば形容詞化できます。
できると思っていました。
例え馴染みがなくとも「変ない」→「変だ」に戻して受け取ってもらえるだろうという感覚でいたのです。
伝わらなかった。
「変ない」は「変じゃない」を先に連想してしまうらしいです。
「私の話し言葉、明確にどこの!って受け継げとらんけん、割と変ないんよね。」
(私の話し言葉は明確にどこの方言!という形で受け継ぐことができていないから、割と変なんだよね。)
いや!嫌だ!
変なわけではないんだ!
私が"私にとって普通"に生きてきて、身につけてきた言葉なんだ!どこかの誰かは使っている言葉なんだ!!
変なわけじゃない!!!
ただいま、自分で書き言葉に置き換えておきながら、その変換を拒絶しております。
形容動詞の活用語尾の終止形である「だ」って、断定の助動詞「だ」と同じ音じゃないですか。
だから、「変だ」は言い切っているニュアンスが強く乗っているように感じて、伝えたい気持ちとの齟齬があります。
これこそ、方言と言って良いものか分からないのですが、私にとっては最近のものではなく言語感覚に根を張った単語ですので、こう書かせてください。
1人の方言話者より
「変ない」に代わる標準語をどなたか教えていただけませんか?
「変だ」ほど断定的でなく、「不思議だ」ほど謎めいているわけでもなく、「違和感がある」ほど抵抗感があるわけでもなく、「おかしい」ほど批判したいわけでもないのです。
「変ない」って言われたら、伝わりませんか……?