序章 少年の悲しみ
初めての小説です。未熟者のワタシですが、どうかこの物語にしばしお付きあいくださいませ。
夜の庭を少年は、あるいていた。たった一人で。
城には、楽しいことなんてない。まして安心できる場所でもない。機嫌をとろうとする者、自分を殺そうと企む者、野望と欲望が溢れるあの城には、自分は居場所は本当にあるのか。
―――僕はどうして生まれたんだろう?
―――なぜ『王子』として生まれたんだろう?
答えは返ってこない。だからといって王である父と今は亡き母を責めたり、憎んだりできない。どんなに辛いことが起こっても・・・。少年は、心の優しい持ち主だから。それがこの先己を苦しめる物の一つになっても。
少年は、考えて考えて考えて、誰も信じないことに決めた。自分の利益しか考えない者達が多いあの城には、信じられる者などいないのだから。自分しか信じない。それがあの場所で、この国で生きる術。
けれど、少年は思った。自分が成長し、大きくなったらこの国をもっといい国にしよう。誰かが自分のように悲しむことがないように。苦しむのは自分だけでいい。・・・でもこの何ともいえない気持ちは・・・なんなのだろう・・・。
数年がたち、少年は、立派な青年になった。だがそれでも彼は誰も信頼していなかった。
ただ―――自分以外の者が、民が幸福でいられるのなら・・・・・。青年はもう自分のことなど考えていなかった。
―――青年は孤独だった。どうでもよかった。・・・否。
自分が何を思っているのかわからなかった。自分が何故悲しんで苦しんでいるのかも。もう、何が何なのか、青年はわからなかった。
えーと。なんかイキナリ暗い感じで始まっちゃいましたが、これからどんどんこの物語は進んでいきます。いや、あの暗い感じでじゃなくて。まだ登場していませんが、瑛蓮ちゃんと悩める王子ヴィエナをどうかよろしくおねがいします。
これから頑張ります。頑張らせて頂いちゃいますよっ!!では、酒井 優羽でした。