夏のホラー企画『帰り道』
『引率』
「いいですか、つれて帰るまでがきもだめしです」
『高速バスセンター』
確かに、往復切符は見たことがある。
でも、これは、なんか・・・
片道切符を売ってる。
気になって係の人に聞いてみた。
「この片道切符って、普通の切符とどこが違うんですか?」
すると、いい笑顔で教えてくれる。
「ああ、それは、途中下車ができないんですよ」
「ちょっ、こわっ!」
『ランドセル』
どうして、いつもと違う遠回りをしたのだろう。
そうだ、それを言ったのは、あいつだ。
「堤防を歩いていこう」
僕は、抱えたランドセルの上に、もうひとつ、ポンっとランドセルを乗せられていて、前も見えずに、よたよたしてた。
「おい、それ、次の電柱が当分ないだろ!」
二人とも、そんな悪ふざけが楽しかった。
それだけだったと思う。
背中のランドセルが軽く押される感触に、バランスを崩して、アッ、って思った時には――
僕は、そこで目が覚めた。
あの日、じゃんけんに負けたのは、僕じゃない。
もう随分たつというのに、今もうなされる。
助けを求めようにも人がいない。
仕方がなかったんだ。
今となっては、僕しか知らない秘密だ。
※意味怖です、よく読むと・・・
えっと、わかりますか?