第79話 迷路の家4
市役所の職員とお座敷様のやり取りはテレビで放送される。
情報番組で、沙衣と美湖が出ているオカルト番組が取り上げられる。
番組では高校生の2人にお座敷様と戦わせていいのかと議論される。
ネットでは、仮面の2人の正体探しが始まっている。
沙衣と祖母の古馬沙夜は五條家に来ている。
美月は沙夜の登場に緊張している。
沙夜は、沙衣と美湖に言う
「どうするつもりですか。」
「戦おうと思います。」
沙衣が答える
「・・・」
美湖は黙り込んでいる
「この仕事をしたら、もう仕事を続けることはできませんよ。」
美月が言う。
沙夜が沙衣にいう
「戦うということは世間に正体をさらすことになりますよ。」
「分かっています。これまで十分稼いでいるから潮時かもしれません。」
「沙衣はそれでいいの。もう2度と一緒に仕事できないわよ。」
美湖が沙衣に言う
「いずれは、2人で仕事できなくなるのよ。」
沙衣が答える。
美湖は黙り込む。
分かっているが、まだ早すぎると思っているのだ。
オカルト番組のディレクターから電話がかかってくる。
美月が応対すると彼は
「戦う必要は、ありませんよ。局の方で2人に迷惑が掛からないようにします。」
「ありがとうございます。でも、ネットの正体探しは止まらないでしょ。」
「そうですが、今回は危険です。」
「今、どうするか話し合っているところです。」
「そうですか、世間は無責任なことを言うかもしれませんが無視すればよいと思います。」
「わかりました。」
美月はディレクターも大変なことになっていると想像する。
4人は話あったが答えは出ない。
沙衣は、お座敷様と戦うことを選んでいるが、美湖が拒んだのである。
世論もいろいろな意見が平行線をたどっている。
1か月経った頃、迷路の家からお座敷様が出てくる。
家の前には少数だがマスコミが残っている。
レポーターが、お座敷様が出てきたことを伝えている。
お座敷様は、そのレポーターに近づいてくる。
そして、レポーターを担ぎ上げると家の中に戻って行く。
レポーターはマイクを離さず
「はなしてくれ、頼む。」
と懇願する。
彼は家の中で放される。
お座敷様は、彼に言う
「3分経ったら、お前を探しに行く、見つかったらお前の負けだ。」
彼は怯え
「たすけて、たすけて・・・」
と言いながら、逃げ出すが、すでに出口は分からない。
3分が経って、しばらくするとマイクは断末魔の叫び声を拾う。
続いてお座敷様の声が聞こえる
「1か月に1人、私の遊び相手になっておくれ。」
その言葉は世間を震撼させる。
お座敷様は1か月に1人づつ人を殺すというのである。




