第72話 跡地の家3
沙衣と美湖は、放課後、五條家に立ち寄り、運転手付きの車で中井家に向かう。
家の前では祐二が待っていた。
祐二が2人に声をかけようとすると2人は祐二を押しのける。
祐二が振り返ると2人は手をかざしている。
さらに沙衣は、ミネラルウォーターのペットボトルから水を出し、刀の形にしている。
祐二は何かのパフォーマンスで、沙衣は手品をしているのではないかと思う。
沙衣と美湖は車から降りると中井家の玄関前に4人の霊を見つける。
2人は何も知らず立っている祐二を押しのけ、手をかざし陽の光を出して4人の霊を焼き消す。
沙衣は強い霊の気配にペットボトルから水を出し水の刀を作り出す。
沙衣は祐二に言う
「こんな状況でよく生活できるわね。」
「えっ、何のこと。」
「この家、霊のたまり場になっているわ。」
「足音がするくらいだけど。」
「鈍感ね。」
彼は彼女の言葉にちょっと傷つく。
僕は鈍感なのか?
祐二が玄関ドアを開けると2人は黙って入ってゆく。玄関にも2人霊がいる。
沙衣が刀で切ると霧散する。
次に2人は居間に入る。
居間には、父親の祐介がいたが、構わず2人は除霊してゆく。
祐介は驚き声をかける
「君たちどうしたんだ。」
居間の除霊が済んだ2人は言う
「今、居間の除霊が済みました。」
「そうか、ありがとう。」
「体、大丈夫ですか。」
沙衣が祐介に聞く
「健康だけが取り柄だよ。」
祐介は答える。
沙衣と美湖はこの親子は霊に鈍感なんだと考える
「この家は、霊のたまり場になっています。」
「そうか、それで足音がするのか。」
普通なら住んでいられないはずなのに足音だけで済んでいるのである。
2人はこの家の住人の強さに驚く。




