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第67話 お守り様5

 沙衣とお守り様も鬼との戦いは一方的なものである。

 彼女は刀と盾を持っているが鬼に触れさせることもできない。

 鬼の速さは尋常なものではない。

 沙衣は鬼の動きを見ることさえ許されない。

 彼女が生きているのは、鬼が彼女をいたぶって遊んでいるためだ。

 左腕を裂かれ、腹を傷つけられ、背中を切られ、制服は血で赤く染まっている。

 勾玉に願いを込めて傷口は塞いでいるが攻撃が全く通用しないのである。

 鬼は絶対的強者で沙衣は狩られるだけの贄である。

 鬼は笑いながら言う

 「しぶといですね。まだ折れませんか。」

彼にとって沙衣は最高の獲物である。

 逃げるだけしかできない哀れな贄ではなく、弱くても歯向かってくるのだ。

 彼は自分の強さに酔いしれる。

 沙衣は倒れない、水の刀と盾で反撃をうかがう。

 鬼にはそれがたまらない。

 その愚かしさがたまらないのだ。

 鬼は沙衣を切り刻んでゆく。

 仮面はすでにどこかへ飛んでなくなっている。

 美湖は金彦がただでは口を割らないとみると部屋の中に陣を描きだす。

 陣を描き終えると美湖は金彦に言う

 「陣の中に入って。」

 「どうしてですか。」

 「あなたのうそを証明するのよ。」

 「ばかばかしい、そういうことはよそでやってください。」

 「うそをついているから入れないのね。」

金彦は小娘のやることだと侮る

 「分かりました。入ればいいのですね。」

金彦が陣に入ると美湖は陣に気を流す。

 美湖は金彦に問いかける

 「沙衣はどこに行ったの。」

 「知り・・・・・・」

金彦は答えようとすると頭に激痛が走る

 「知っているのね。」

 「し・・・・・・・」

彼は答えられない。

 本当のことを言わないと頭に激痛が走るわよ。

 陣の中で金彦は冷や汗にまみれている。

 金彦は陣から出ようとするがスタッフが押しとどめる。

 金彦はこのまましらを切りとおせばお守り様がなんとかしてくれると考える。

 彼は陣の中に座り込み、だんまりを決める。

 美湖の金彦を見る目が冷たく光る。

 彼女は陣の中の金彦の髪の毛をむしり取るとカバンから呪具を取り出し、その中に入れる。

 当然、金彦は美湖につかみかかろうとするがスタッフに取り押さえられる。

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