第63話 お守り様1
霧島家は、代々栄えていて、奥山地方では知らぬものがいない。
その家は、200年前に突然、栄え始め、今日に至っている。
それには家の者しか知らない秘密がある。
家はお守り様に守られ栄えているのである。
お守り様はいつも家にいて、どこにもいないのである。
霧島家の当主は、お守り様のために特別な役割がある。
それは、半年に1人若い女をお守り様に捧げるのである。
今、その役割は、当主の霧島金彦が行っている。
それは200年間破られたこのない、お守り様との約定である。
金彦は、半年ごとに女をさらってきては、屋敷の中へ放つ。
女は屋敷の中を逃げ回るが外に出ることはできない。
お守り様が女を捕まえ食べてしまうからだ。
しかし、屋敷の中には血が一滴も落ちていない。
それどころか家の者はお守り様が女を食べるところを見たことはない。
いつも屋敷を逃げ回る女は忽然と消えてしまうのである。
ある日、金彦は家族と居間でテレビを見ている。
番組はオカルトもので沙衣と美湖が出演しているものである。
彼はやらせだと思いながら、くつろいでみている。
すると突然、若い男の声がする
「今度の贄は、あの女がよい。」
金彦が振り返ると居間の空間が裂け若い男が半身を乗り出している。
男はやせ形で青白い肌をしている。
そして、頭には2本の角が生えている
「金彦はいう、お守り様、あれはテレビに映っているだけです。」
「そんなことは知っている。」
「居場所が分かりません。」
「頭を使え、家に奇妙なことが起こると作り話をして呼び寄せればよい。」
「しかし、カメラが来ます。」
「お前は、あの女を屋敷に招き入れればよいのだ。あとは我がやる。」
「はい。」
金彦は頭を下げると家族もそれに倣って頭を下げる。
金彦はテレビ局に家の中に幽霊が出るとうその電話をする。
テレビ局の担当者は、検討してから連絡するという。
彼は番組に採用されることを願う。
お守り様を怒らせたくないのだ。




